「うぁ、また行き止まり!」  
マジプシーのドリアの家から出て数時間。僕達はオケラホールで迷っていた…。  
この穴はホントに複雑で入り組んでて。ボニーでさえ道が分からなくなってしまう程だった。  
「全く、こんな調子でシログネ山にまで行けるのかよ〜…」  
クマトラが地図を見ながらぼやき、僕の足下でボニーが"お腹空いたよ"と言わんばかりに僕の脚をペロペロ舐めている。  
つられて、僕のお腹の虫も大コーラスを奏でてきた。  
「ねぇ、クマトラ」  
「…ん? なんだよリュカ」  
「そろそろご飯にしないかい?」  
「そ、そうだな…。実はオレも、さっきからガマンしてたんだ。アハハ…」  
何故か、ワザとらしい笑い方をするクマトラ。  
「じゃあ、一旦長老さんのいる階まで戻ろう。  
…ボニー!」  
「バウワウ!(がってんだ)」  
僕の合図で吠えたあと、ボニーの背中に背負ってるリュックから小さいオケラが飛び出して、僕達を招くように先導する。  
「さあクマトラ、行こう」  
「…ああ」  
僕よりも二つも年上で、口調は僕よりも男らしいけれど、時折すごく汐らしい表情も見せてくれるクマトラ。  
その時やっぱり、僕はクマトラが女の子なんだな、と改めて実感して、ドキドキする。  
同時に、何か分からない、モヤモヤしたような気分にもなってしまう。  
PSIを覚える時に熱っぽくなった時とも、キマイラ達の攻撃でどんよりした気分になってしまった時とも違う、この気持ち…。  
 
そうこう考えているうちに、先ほどのオケラ達の長老の部屋のすぐ近くにまでたどり着いていた。  
虫とはいえ流石は穴ぐらのプロ、と言った所だろうか。  
すぐ隣の広い部屋に行って、僕とクマトラはハンカチをシート代わりにお尻の下に敷いて腰掛ける。  
ボニーは行儀よく、"おすわり"の姿勢。  
「さて、中に何があったっけな〜…」  
僕達二人とボニーの荷物の中で食べられるのは…  
干し肉が三切れ。とんかつヌードルが二つ。  
ヨーグルト、とんかっちゃん、僕の好物のクセのあるチーズが一つずつ。  
それと、さっき買ったオケラ達が作ったっていうせいじつダンゴが三つ…。  
まぁ、結構多いほうか。  
ボニーの前に干し肉とお団子を置いて、"待て"の姿勢をさせて、クマトラと半分ずつ分け合う。  
「それじゃ、食べよーぜ!」  
相当お腹が空いてたのか、クマトラの瞳はキラキラ輝いてる。  
「うん。ボニー。もういいよ」  
ボニーの"待て"の姿勢を止めさせたら、僕達も食事タイム。  
たまにはダイニングテーブルを囲んでのんびり食べたい所だが、この事態に贅沢は言っていられない。  
 
「ほんと、森って気持ち悪いキマイラが増えたよね。ウマンチュラとか、ダチョウゾウ…だっけ?とかさ」  
「そうだよなぁ。蹴られた所まだ痛いしよー…。  
…それにしても、ダスターって無事なのかよ〜」  
「ん…。あの人なら、大丈夫だと思うよ。僕らがこうして無事なんだから」  
「はは。それもそうだな」  
「キュ〜ン(楽しそうだねリュカ)」  
干し肉をおかずにして、ヌードルをすすりながら、今日のことを語り合う。  
こうして食事の時に語り合うのは、本当に楽しく感じる。  
ダスターがいるときは、更に賑やかだ。  
僕の家は、3年前のあの日以来、父さんと二人だけになってしまったのだから…。  
大好きだったふわふわオムレツも、あれっきり食べていない。  
と言うより、食べれない。  
またあの…、母さんが死んだ時のことを思い出しそうで。  
そして、未だ行方知らずの兄さん…クラウスの事も。  
残ったスープを飲み干して目を開くと…。  
一瞬、僕の中で時間がスリープした。  
クマトラの顔が僕のほんの10センチぐらいの距離の所まで来ていたのだから。  
 
「ぃいっ!?」  
少しつり上がった目尻に奇麗な瞳。柔らかそうな肌。桃色の唇。  
「く、くくくくくくクマトラっ……!?」  
…まただ。また僕の胸のドキドキが…。  
「…お前、くさいぞ」  
「へ?」  
突然クマトラの口から発せられた言葉に、目がテンになってしまった僕。  
「凄く汗臭い! ずっと言うのガマンしてたけど…、お前キマイラ研究所から温泉入ってないだろ!?」  
「ううっ!?」  
研究所の中にあるお風呂には入ったけど…ブタマスクとか"ほぼメカライオン"との戦いとかお猿を追いかけ回したりとかして随分経っている。  
自分でもシャツの匂いを嗅いでみると……うわ。結構来てます。  
ごめんよボニー。こんなんで色々と"待て"とかしたりして…。  
「確か温泉あったよな? そこ入るぞそこ!」  
「うん。…って、クマトラも?」  
更に二度ビックリ。  
自分で何言ってるか分かっているんですか。クマトラさん。  
「別に恥ずかしがることないじゃねーか。今までも結構入ったろ?」  
「そっ、それはそうだけど…!」  
今までの時は大人のダスターが間に入ってくれていたし、タオルも完全着用…って混乱しているうちに、腕を掴まれてズルズルと引っ張られてしまう。  
「ちょ、ちょっと待、タオ…」  
「クゥ〜ン(ボク、ここで待っているよ)」  
こう言う時にだけ、我が愛犬の忠犬ぶりが疎ましく感じる。  
「ほらほら、行くぞ」  
「わ、分かったよ…。せめて引きずるのやめてくれない? お尻が痛いんだけど」  
「…あ。悪い悪い。忘れてた」  
クマトラって、自分の魅力に気付いているんだろうか…?   
と、少しヒリヒリするお尻をさすりながら僕は真剣に考えるのだった。  
 
 
地下の温泉は、明かりこそ薄暗いけど、疲れた身体にはとても心地良かった。  
「…ふぅ」  
リュカに…悪い事言っちゃったな。  
でもああでも言わなきゃ、無理してでもまた迷子になっちゃうだろうからな。  
頑張り屋で、勇気があって…。その癖、泣き虫で。  
3年前のあの時、オレを助けてくれた時も……。  
あの時は、もうダメだと思った。強がってても、恐くて怖くて堪らなかった。  
ドラゴとか言う怪物と一緒にやって来たあいつの背中。  
オレよりも年下で背が低いくせに、とても大きく見えた。  
「リュカー、逆上せていないか?」  
「…ああ、大丈夫だよ」  
湯舟の向こうに……、あいつがいるんだよな。  
あいつが……。  
「……っ!」  
お、オレ…、何を期待してるんだろう!?  
アニキみたいなダスターやボニーと一緒に入ってる時は、タオル一枚になっててもこんなに意識した事なかったのに…!  
さっきだって、結構ドキドキしてたんだぜ…リュカ。  
 
「お、オレ…、先に上がるな? ゆっくり入っててくれよ!」  
「…分かった」  
何だよぉ、その冷めた言い方!  
リュカの…バカ。  
なんだか損したみたいな気分になっちまったじゃないか。  
ブツブツ言いながらお湯から上がって、服のあるほうへ歩こうと思ったら…。  
「あっ!?」  
…しまった。足を滑らせて……!  
「危……!」  
そのまま床に…! と、思ったら。  
なにかオレの下に、柔らかいような固いような感触が。  
「ッ……! 痛た…」  
…リュカだ。オレを庇って…、自分が下敷きみたいになってくれた。  
「だ、大丈夫だった?」   
「…あ。ああ。  
……あり、がとう」  
こいつ、オレより背が低いくせに…何で大きく感じちまうんだろ?  
あの時もそうだった…。年下の、くせに…!  
「怪我、してない?」  
やばいよ…。何でこんな優しい顔するんだよぉ。  
背中擦りむいて怪我してそうなの…、お前のほうじゃんか!  
 
「おっ、お前こそ…、怪我、って…」  
思わず、眼を合わせてしまう。  
眼が合ったその瞬間。オレもリュカも、ハッと気付く。  
オレは今…。リュカに抱き締められてる形になってる。  
それも…。タオルがはだけてしまっていて…!  
普通ならば即座にPSIをムチャクチャに連発してそうなぐらい恥ずかしい格好。  
の、筈なんだけど…。  
「リュ、カ…」  
何でだろう…、心臓もバクバク音を立てているのに、顔だって多分、温泉に入ってた時よりも真っ赤になってる筈なのに。  
何故こんなに、安らぐのだろう?  
「クマ、トラ……」  
リュカの胸の音が、密着してる肌から伝わってくる。  
どきどき。ばくんばくん。どっこんどっこんって。  
オレの背中に回ってた腕…が、オレの頭の後ろのほうに来た。  
「? リュ…」  
来たと同時に、その場に固定するみたいにがっしりと掴まれる。  
掴まれたと同時に、リュカの顔が、無言のまま…近づいて、きて……!  
 
「「……………」」  
キス…、されちまった。ファーストキス…。  
そういやイオニアに…  
『初めてのキスは、心から好きな(男の)子にあげなきゃダメよ?』  
って言われてたっけ…。  
でも、ひょっとしたら。  
いや、ひょっとしなくても…。  
嗚呼もう、どうでもいいや。  
時間にしては数秒ぐらいだったけど。  
オレの中じゃあ十分にも一時間にも感じた。  
リュカの唇がそっと離れて…オレ達はまた見つめ合った。  
「ン……、リュ、カ」  
「…クマトラ」  
後頭部を掴んでた手は、いつの間にかオレのほっぺたの所にまで来ていた。  
まるで産みたての卵でも扱うように、優しく触れてくれてる。  
オレがちょっと眼を細めたら……また、キスしてくれた。  
 
「んっ……」  
「………」  
さっきよりもちょっと、強引に。  
うっとりして眼を閉じると…、オレの唇の間から、何か生温かいものが入ってきた。  
「!? ンン…」  
最初はビックリしたけど、直ぐに分かった。  
リュカの…舌だ…。  
傷口を舐めるみたいに、優しく、滑らかな感じにオレの中を蠢いてく。  
不快には感じない。  
とてもあったかくて、心地良くって……!  
実際オレ達は、傷口を舐め合ってるのかもしれない。  
お母さんと双子のお兄さんを突然失って、ある日突然"選ばれた者"として重過ぎる運命を背負ってしまったリュカ。  
ちょっと変だけど、優しいマジプシーの人達に育てられたとはいえ、ダスターやリュカ達と出会うまで、ずっと独りぼっちだったオレ…。  
気が付いたら、オレは口の中にあるリュカの舌に…そっと自分のを合わせてた。  
 
クマトラの唇…、クマトラの舌。  
どれも柔らかくて、信じられないぐらい甘くって…!  
ちょっと目を開けてみると、お湯の中よりも真っ赤な顔で、きゅっと目を閉じてる君の顔がいっぱいに広がっていた。  
身体は震えていて、飼い始めた頃の子犬だったボニーみたいに弱々しい。  
…可愛いな。  
素直にそう思った。  
口の中で只くっついてただけのクマトラの舌を、ノックをするみたいにそっと二、三度叩いてみると、彼女の舌がちょっと上に向く。  
僕はその隙を逃さず、その下に自分の舌を入れて…絡ませてみた。  
「!! ふ、んんッ…!!」  
初めてだから、よくは分からないけど。なるべくゆっくりと、丹念に。  
そのうちに、僕と同じでぎこちない動きながらも、クマトラも似たような感じで舌を動かしてきた。  
ゆっくり、確実に絡まってゆく。  
バターが溶けていくような、そんな奇妙で甘ったるい感覚。  
何故かさっきよりも……、ずっと甘く感じた。  
 
やがて、永遠にも感じた程長かったキスを、そっと解いてみる。  
離れた瞬間、何か冷たいものが僕の首筋に落ちる。  
唾液…かもしれない。  
どっちの? …どうでもいいか、そんな事。  
僕も彼女も、息が詰まっていたのか唇を離した直後に荒く息を吸って吐いた。  
「リュ、カ…」  
彼女の唇から、か細い声で僕の名前が漏れる。  
普段の男勝りな時とも、クラブ・チチブーで働いてたときとも全然違う。  
「…ごめん」  
僕の口から出た言葉は、謝罪の言葉だった。  
怒っているだろうな。  
怒っているに違いない。  
理由はどうあれ、女の子の唇を奪ってしまったんだから。  
炎で焼かれるのだろうか。それとも氷漬け? それとも落雷??  
…それもいいさ。変な怪物達にやられるよりは、ずっと……。  
「お、オレ。……怒ってないからな?」  
「…え」  
僕にとっては…少し信じ難い一言だった。  
いや…、心の奥底では、ほんのちょっと期待していたのかもしれない。  
だって…クマトラの身体は、未だに僕の腕の中なのだから。  
 
「ちょっと…、ビックリはしたけど。  
なんて、言うか…。  
う、嬉しかった、ぞ? …な、なんか、変な言い方だなぁ…」  
ちょっと涙目のままで。向日葵の花みたいな笑顔を見せてくれたクマトラ。  
そう。母さんの好きだった、向日葵の花みたいに。  
「…んで、さぁ…?」  
その後突然、クマトラがまた頬を染めて、モジモジとし始めた。  
「? な、何?」  
「…………あ…当たってるんだけど。思いっきり」  
「???」  
突然、何の事だか分からなかったけど…。数秒後。ハッと気付いた。  
僕の大事な所が…当たっている。クマトラのお腹の辺りに。  
もう、自分のモノじゃないんじゃないか? と、思うぐらいの勢いで。  
「っあ! ご、ごごごごめ…むご?」  
必死こいて謝ろうとしたら、彼女の人指し指が僕の唇を塞ぐ。  
「言ったろ? 怒ってないって…」  
…た、確かに。でもこの体勢は流石にずっとはマズい。耐えられそうに…  
「お、…お前さえ良かったら、オレ…」  
ない…って、え。え? えええええ?  
あ、あの、それってひょっとして…  
「ク…クマトラっ…」  
 
「そ、その。オレじゃ、イヤか?」  
「いっ、嫌じゃ……ない……」  
僕が動揺しきった口調でこう言うと、またにっこりと微笑んでくれた。  
「そっか。良かった…」  
クマトラが僕の身体からそっと離れて、膝をついて見下ろすみたいな姿勢になる。  
つられて寝っ転がってるような体勢の僕も、同じようになって向かい合った。  
その時初めて、僕は彼女の身体を、ハッキリと見る事ができた。  
華奢な体つき、適度に膨らんでる胸、くびれた腰。細くて奇麗な脚。  
今までちゃんと意識した事なかったけど、クマトラって、こんなに奇麗な身体をしていたんだ…。  
…柔らかそうで、壊れそうな。そんな感じがした。  
僕の心臓の音と共に、覚醒しかけた理性も、もう崩れそうになってる。  
「…初めて、だよな?」  
「あっ、当たり前…だよ」  
「そ、そうだよな。オレも…初めてだから、その…」  
ああ、駄目だ…。そんな、強気な君らしからぬおどおどした顔、されたら…  
「優しく…して……んんっ!」  
クマトラの唇が言葉を紡ぎ終わる前に、僕は彼女をまた抱き締めて、キスしていた。  
「んっ、ふ、リュ、カぁ……!」  
「止まらないよ。もう…、止まらないから…!」  
今度はさっきまでの遠慮はない。  
ちょっと荒っぽい言い方をしてみると、彼女は少し震えながら…一度だけ首を縦に振ってくれた。  
 
オレが一度頷いたら…。  
「いくよ…」  
「ン。……うん」  
リュカの両手が、オレの胸にそっと添えられた。  
そのまま、ふにふにと弄られてく。  
さっきまでキスしてくれた顔はオレの首筋に吸い付いたり、ちょっと噛まれたり。  
「……んっ!」  
彼なりの一生懸命な愛撫に思わず…声が出ちまう。  
オレの胸を揉む力も、ちょっとずつ強くなっていく。  
彼の手の、指の動きの通りに、オレの胸は形を変えていく。  
同時に先っぽの辺りが、なんだか段々固くなっていくような…!  
「んっ…ん、…ぁ」  
少し前から大きくなってきて…。  
クラブ・チチブーでバイトをしてた時にはイヤらしい視線を感じたり、  
戦いの時にはジャマになり始めてきたけど、リュカがこんなに夢中になってくれているんだと思うと、なんだか嬉しくなってくる。  
そして…。リュカの顔が首から鎖骨の辺りを通って、どんどん弄られてる胸に近づいてって…!  
「!! ひゃあっ!?」  
先端に、軽くキスされた。  
たったそれだけなのに、オレの口からオレじゃないみたいな声が…漏れちまった。  
 
「…クマトラ…」  
「……? んぁ?」  
目眩がしてきた時に、リュカの囁き声が聞こえてきた。  
「気持ち、いいかい?」  
クラクラして、サンダーやパラライシスを受けた時とも違うビリビリが走って…。  
気持ちいいって、こう言う感覚の事なのかな?  
今の所は…  
「ん…、わかん、ない、けどっ…」  
「けど?」  
「な、なんだか…じんじんして……んぁぁっ!」  
オレの言葉を待たずに、リュカはオレの左の胸に吸い付いた。  
ちゅーって吸い付いてきて、歯で固くなっちゃってるとこをこりこり噛まれて…!  
まるで、赤ちゃんみたいだ。  
…オレは実際に赤ちゃんがこういう風に胸を吸ってるとこなんて見た事ないけど…何故か一瞬イメージが湧いてくる。  
やっぱりオレって…。  
「ふにゃ、あぁ……! ら、めぇ…!」  
リュカは左右両方の胸に吸い付いて、時々甘く噛んで。  
空いているほうの手はオレのお尻のほうに伸びて…胸のときよりも、力を入れて揉んでいく。  
バイトの時ヨッパライのオッさんにお尻触られたときは死ぬ程イヤだったけど…リュカなら全然イヤじゃない。  
 
「んぁ、あぁ、はぁぁんっ…! リュ、カぁ…!」  
上から下から来る何とも例えられない感覚に…、オレの口からはどんどん変な声が漏れてく…。  
「クマトラ…。可愛い」  
え?   
「今、なんて…」  
げ、幻聴かなぁ? なんか、物凄く信じられない言葉が出てきたような気がしたんだけど。  
「可愛い、って言ったんだよ」  
手の動きを止めて、リュカがオレの目を見て、今度は強い口調で言い切った。  
「そ、そんな、事…!」  
こんなオレが? 自分で言うのもなんだけどガサツで、男の言葉で…  
「僕は、可愛いと思っているよ。  
クマトラは世界中で…一番可愛い女の子だって」  
可愛いなんて…、言われたの初めてだ……!  
自然と、涙が溢れてた。  
「あ、あれ…? 何で、だろ? 何で…ちくしょー、止まら、な…」  
リュカはそんな情けないオレをまた抱き締めて…頭を撫でてくれた。  
「…! ご、ごめん…。  
僕のほうが年下なのに、生意気言っちゃったかな?」  
「…ううん。ふぇ、ち、違う…! ぐす、ちが、うんだ…」  
オレの背中に回ってる腕に、力が籠る。  
こいつ…。かっこいいな。  
本気でそう思った。  
こんなんじゃ、どっちが年上でどっちが年下なんだか分かったもんじゃないよなぁ…。  
 
ちょっと泣いたら、幾分落ち着いてきた。そっと眼を合わせてみる。  
「落ち着いた? 母さんの…受け売りなんだけど。  
僕も夜恐い夢を見て泣いたときなんかこうやって…してくれたから」  
「リュ、カ…」  
こんな優しいリュカを巡り会わせてくれた"お母さん"…、オレも、会いたかったな。  
"ありがとう"の意味を込めて、今度はオレのほうからキスしてみた。  
「…!」  
やっぱりリュカも不意打ちには弱いのか、思いっきり眼を見開いてた。  
何だ。お前だって可愛いじゃんか…。  
触れ合うだけのキスだったけど、なんだか幸せな気分になってくる。  
同時に、下腹部の、大事なとこの辺りからじんじん感じる熱も…またハッキリとしてきた。  
「ご、ごめんな。その…」  
「…?」  
「続き…、してもいいから。な?」  
ちょっぴりだけ聞いた事のある、赤ちゃんを授かる場所。オレの、"オンナ"の部分…。  
「…いいの?」  
「なっ、……何度も…言わせるなよなぁ…」  
オレは多分、信じられないぐらい真っ赤っかで、だらしがない顔になってるだろう。  
それでも年上の意地で、精一杯強がってみた。多分、これで限界。  
「…うん」  
そんなオレを見てリュカは…顔を赤く染めながら、太陽みたいな笑顔を返してくれた。  
 
クマトラの表情は、言葉は強がっていても不安でいっぱいになっていた。  
だから僕は、少しでもその不安を取り除いてあげたいと思い、精一杯優しくしてみた。  
でもそんな気持ちとは裏腹に、欲望に身を任せようとする僕がいる事も事実。  
いつまで保てるのか…、僕にも分からない。  
「…クマトラ」  
僕はそっと、彼女のきれいな太腿の…、やや内股の所に触ってみる。  
「……!」  
ちょっと触っただけで、ピクンと反応してきた。震えてるのが…分かる。  
「リュカ…」  
「し、心配…しないでいいから。ちょっと脚、開いてみて」  
これは多分嘘。僕だってビクついている。  
「…うん」  
でもクマトラは…、そんな僕の言う通りにお尻を床に付いて、脚をそっと開いてくれて…!  
「……………!!」  
これが、女の子の…!   
思わず。音を立てて唾を飲み込んでしまった。多分、絶対、聞かれただろうな。  
そこからは透明な液体がとろとろと流れてて、僕の同じ所みたいに、少しだけ毛が生えてて…!!  
それに、なにか頭を蕩けさすみたいな、香しい匂いが漂っている。  
なんだか、ピンク色の花びらみたいだ。  
花におびき寄せられる蝶や蜂って、今の僕みたいな気分なのかな…!?  
 
「あ、あんまり…、ジーッと見ないでくれよぉ…」  
クマトラは恥ずかしさから、瞳を潤ませて俯いてる。  
駄目だ。こんなに奇麗な姿を見せられちゃあ…ガマンしろって言うほうが無理な話だ。  
「さ、触るよ…」  
一応彼女に一言言ってから、僕はその莟に指をそっと…、擦ってみた。  
「!! ンぁあんっ!!」  
にちゃり、と言う感じの音がしたと同時に、クマトラの背中がビクン、と反応した。  
さっき…彼女の胸に夢中で吸い付いてしまったときよりも、反応が大きい。  
声色も甘くなっているのは、気のせいではない筈だ。  
人指し指と中指にねっとりと絡み付いたそれを…、舐めてみた。  
しょっぱい。けど、なんだか甘い。…甘酸っぱいと言った方が正しいのかな?  
「ゃあ…、リュカぁ、汚…だろぉ…」  
クマトラのだもの…  
「汚くなんか…ないよ」  
確かお母さんがよく歌ってくれた唄に…  
"What are little girls made of?"(女の子は何で出来てるの?)  
って言うのがあったな。そして、答えは…。  
"Sugar and spice And all that's nice, That's what little girls arc made of."  
(砂糖 スパイス 素敵な何か そんなこんなで出来てるよ)  
小さい頃の僕には分からなかったけど…、今、その通りだなって感じた。  
そして…、もっと、もっと。  
クマトラの可愛い顔が見てみたい。喘ぐ声を聞いてみたい。弄ってみたい。  
そう思った瞬間、僕は再び濡れたそこに手を添えて…さっきよりも強く、動かした。  
 
「んっ! ぅんん! ンひゃ、あぁあん…!」  
擦りながら割れ目の間の部分にそっと…指を割り込ませるようにしてみると、  
クマトラの背筋はそれに合わせて甘い声を出しながら仰け反っていった。  
そこから垂れていく液体も、どんどん僕の指に、手に絡み付いてゆく。  
最早、彼女は床に寝そべってる状態。ここがコンクリートではなく比較的柔らかい床だったのがせめてもの救いか。  
暫くそれをやっていると、莟の上のほうで何か固いものが出たような感じがしたから、  
親指でそれも一緒に刺激してみる。何か…、コリコリとしてて感触が心地いい。  
「ひゃうんっ…! やぁ、だ、ダメぇっ……リュ…あぁぁんっ!!」  
泣きそうな声で僕の方を見上げてるクマトラは、普段の姿が嘘みたいにか弱くて、奇麗で、可愛い。  
もう、僕の固くなってるものも、限界になってきた。  
さっきまでクマトラのそこを弄りまくっていた手をそっと離して…、僕は彼女の上に覆い被さる。  
「あ…、リュ、カぁ…」  
「クマトラ……、僕、もうっ…!」  
この後何をするのかは、僕は知っている。  
一応村のお兄さんやダスターとの猥談で知識だけは知っている。  
けど、いざ本番と言うときは…やっぱり、本能だろう。男としての…!  
 
「…! ひっ…!?」  
僕のそそり立ってるものをチラッと見て、クマトラが小さく悲鳴を上げる。  
その気持ちは分からないでもない。  
正直、僕だって恐い。  
僕はこれから、君の一番大切なものを奪おうとしてるんだから…。  
でも、止められない。止めたくない。君を全て、僕のモノにしたい。  
誰にも……! 渡したくない……!!  
「クマトラ」  
「ふえ? ん、ぅ…」  
せめて不安を少しでも拭わせてあげる為に、軽く触れるだけのキスを何度もする。  
「あ…、リュカ……」  
「………、大好きだよ」  
「…バカぁ…。  
言うの、遅過ぎだぞ…」  
「ごめんよ」  
クマトラは涙目でにこりと微笑んでくれて…、一度、頷いてくれた。  
それを了承と捉え、僕は固くなった先端を、さっきまで弄っていた莟の入り口まであてがった。  
同時に…、僕の中にある欲望の固まりのような、ケダモノのような自分に、従う事にした…。  
 
「…ぎ、いっ……っ!」  
条件反射的に、眼を瞑って下唇を噛む。  
入って…きてるっ…のか!? なんだか、押し広げられるみたいな。  
本当なら湯冷めしててもおかしくないのに、熱い。熱過ぎる。  
頭の中でみちみちって音がして、抉れて、裂けて…っ!  
「………………ッッ!」  
痛い…。痛い痛い痛い痛い痛いっ…!   
正直言ってオソへ城の蛇の化け物やあのブタ仮面達のレーザーとかより、ずっと痛い。  
半分ぐらい入ったみたいな感じがしたとき、オレはとうとう音を上げてしまった。  
「や、あ…っ! もう、ダメぇ…」  
痛みが全身にまできてる。歯が噛み合わない。  
ごめんなリュカ。  
こんな…情けないよ。オレ…。  
大好きなリュカを、まともに満足してあげられないなんて…!  
そんなオレを見てリュカは…、ちょっと困ったような顔をしたら。  
にっこり微笑んで……。オレが予想もしなかった行動をした。  
「っ!! ん、ふんん〜!?」  
オレの唇を塞いで、ぎゅっと抱き締めてきて…! 強引に、更に腰を沈めてきた。  
 
「ん…、〜〜〜〜〜…!」  
痛い筈だけど、何故かさっきよりは"一方的にされてる"って感じなかった。  
キスしてくれたリュカも…、震えてたから。  
リュカもオレとおんなじで…不安なんだなって分かっただけで、なんだか嬉しかった。  
途端。ぷつん、って音がしたように思った。  
遂に…。リュカのそれが、オレの中に入りきったのが感じた。  
同時に、繋がったそこから、じわーっと血が流れてるのが分かる。  
「ぷぁ、あ…」  
「は、入ったよ…!」  
キスを解かれると、またも痛みがじんじん広がってく。  
痛みを解す為に、大きく息を吸って吐く。  
「まだ…、痛い?」  
リュカは、待ってくれてる。こんなオレなんかの為に…。  
そこでようやく、彼とオレが繋がってるんだって事が実感になってきた。  
「ン…、なんか、へいきに…なってきた」  
オレ、これで…女になっちゃったんだよな。リュカのものに…!  
そう考えると、なんだか…  
 
「動いてみて、いいかい?」  
期待半分と不安半分で、オレはそっと頷いた。  
頷いた途端…、オレの奥の奥が穿たれるみたいな、凄まじい感覚がした。  
「んぁ! あぁぁあぁっ!」  
抉られて…、めくり上げられて。  
突かれるたんびに、オレの中から液体が溢れ出て…痛みと痺れが、同時に迫ってくる。  
奥の奥で、ごつん。ごつん。って。  
リュカの先っぽの所と…、オレの奥の所が、キスしあってるみたいになっちゃってる。  
「クマトラ…、これ、凄いよ…。凄く、気持ちがいい」  
「あ…、ひゃぁ、ンぁ、あああっ…」  
嬉しい…! リュカが、満足してくれてる。  
オレも段々、痛みが消えてって、気持ちよくなってきてる。  
頭の中で、火花が起きてるみたいにチカチカって光が何度も来て…!  
「…っ! ごめんっ!!」  
リュカが突然、オレの腰を掴んで…、自分の腰の動きを強くした。  
「ゃあっ! あ! アア、ひゃぅん、あっ、あーっ!!」  
腰を動かしながら、リュカの手がオレの胸に伸びて、もみくちゃにしてゆく。  
荒々しく先っちょを指で弄って、唇で吸われて…。  
 
「クマ…、クマトラ。クマトラ……、クマトラ! 好きだよ…、クマトラぁ…」  
「ふぁ、リュカ、はぁぁ、すき、リュカ、リュカリュカぁぁ…っ!」  
全然、呂律が回ってない。  
こんなの…なんだか獣の交尾みたいだ。  
いや、実際今、オレ達は獣になってる…。  
モラルも道徳も。二つしか離れてない歳の差だって。  
もう全部、どうだって良くなった。  
「ひゃあ…、ふん、んんん、〜っ」  
また…、キスされて。  
貪り合うみたいに舌を動かし合う。流れる唾液を飲み込む。  
オレは…悦んでる。完全に。  
溶ける。溶け合う…。  
突かれる。貫かれる。犯されてる…!!  
何度も…、何度も何度も何度も。  
そのうちに、オレの中で…なんだか登り詰めてくみたいな、変な感覚が迫ってきた。  
頭の中が真っ白になってって…朦朧としてくる。  
「…っ! リュカ、恐いっ…! オレ、くる、何か…くるぅぅぅッ…!!」  
オレがやっとの事で口を動かしたら…、リュカはオレの手をそっと、指を絡めて固く握りしめてくれた。  
 
「う、うん…、僕も、何だか…! そろそろ……」  
同じ? リュカもおんなじ…? 一緒、いっしょに…!?  
ダメ。もう何も……考えられない…!!  
「クマトラ! クマ……、クマトラぁぁっ!!!」  
「リュカ…、ダメ、リュカ、リュカぁぁぁ……!!」  
登り詰めてた感覚が一気に。イカヅチ玉みたいに弾けて飛んだ。  
同時に、オレの奥の方に…、リュカのものの先っぽから、何かが流れ込んできた。  
もの凄く熱い何かが勢い良く、びゅくん、びゅくんって…!  
いっぱい出てる。  
まるでオレの中を満たすみたいに。  
なんだよこれ。ひょっとして、赤ちゃんのもと?  
オレ…、リュカの赤ちゃん、産んじゃう事になっちゃうのかな?  
……。  
 
それも……、いいかなぁ……  
 
そう思った瞬間、オレの目の前は完全に真っ白になった。  
 
 
クマトラは…、完全に気を失っちゃってたみたいだ。  
取りあえず僕は、自分とクマトラの身体をお湯で奇麗にしてから…、ちょっとだけ彼女のバッグの中を失敬する。  
替えの服と…、し、下着と。  
…………、白が…好きなんだね…。  
ぶっつけだけど着せてあげたら、自分のも着て、彼女を背中におぶって上の階に上がった。  
「クゥ〜ン…(遅いよ。心配したよ?)」  
上がった途端ボニーに抱きつかれて舐められる。ごめんね。心配掛けて。  
広い部屋の方に戻ると、オケラ達が寝れる場所を作っていてくれていた。  
厚手の布と毛布、枕だけの簡素なやつではあったけど、野宿よりは遥かにマシだ。  
それより…、枕が二つあるんですけど。  
……そういう風に、見られてたのかなぁ……。  
僕はクマトラを起こさないように気をつけながら、そっと寝床の方に降ろしてやる。  
そして毛布を上に掛けてやって…、荷物を壁側に置いたら、僕も隣に横になった。  
「キャウン、キャン(僕はすぐ隣で寝るからね。おやすみ!)」  
「ああ。おやすみ…」  
ボニーとお休みの挨拶をしたら、僕も毛布を肩まで掛けた。  
 
それから、暫くして…。  
「……で」  
突然、クマトラの声が聞こえてきた。  
何事か、と上半身だけ起きて彼女の方を覗き込む。  
「…寝言?」  
…彼女は眠ったままだ。  
それでも…、クマトラはぽつりぽつりと。か細い声で呟く。  
「オレ…ぼうっきれ……やだ…、オレを…見て…捨て、ないで…」  
一筋、固く閉じてる彼女の瞳から涙が零れ落ちる。  
恐い夢でも…、見ているのだろうか?  
何か辛い事でも、思い出しているのだろうか。  
僕は、彼女の過去を何も知らない。ダスターや本人から聞いた事しか知らない。  
でもそんなことは、…どうだっていい。  
別にクマトラの正体がなんであろうと…、姫であろうとなかろうと関係ない。  
確信できるのは、僕はクマトラの事が好きなんだってことだけなんだから。  
僕は、彼女の涙を指でそっと拭ってやって…そっとキスする。  
そして、こう囁いた。  
「君は…、ぼうっきれなんかじゃないよ…!」  
すると、心なしかクマトラの顔が朗らかになったような気がした。  
「守ってあげるよ。僕がずっと…」  
僕はもう、大切なものを立て続けに失った。  
もう、失うのは嫌だ。守ってみせる。  
父さんも、友達も。ダスターも、ボニーも……。そして、クマトラを。  
これから、ずっと……!  
心の中で誓いながら、僕もそっと眼を閉じた……。  
 
「…カ」  
誰かに呼ばれる声がして、僕はそっと眼を開ける。  
「リュカ。朝だぞ」  
先ず目に入ったのは…。僕の愛しい人の顔。  
髪は随分伸びている。体つきも、成熟した大人の女性になった。  
「…あ…、お、おはよう」  
あれから…、5年も経った。  
タツマイリの村も、大分元通りになった。  
ダスターは…、そのタツマイリ村の新しい村長になった。  
村民の人達からも慕われて、奇麗なお嫁さんも貰って順調なご様子だ。  
会議を良くサボって僕の家に遊びに来るんだけど。  
父さんは…、他の島を探す旅に出て、年に数回しか帰らない。  
5年の間に、新しい島と人々を次々に見つけて、一躍時の人になっている。  
ボニーは…、孫犬もできて、もうすっかりおじいちゃん犬だ。  
「ほら。ジッとしてろよ。ほんと、相変わらずバクハツ寝癖なんだから」  
「あ。はい」  
釣られて、背筋を伸ばして髪をセットしてもらう。  
最後の戦い以来…、僕とクマトラは一緒に暮らしている。  
僕の背も、クマトラを追い越すぐらいには伸びた。  
そして。  
「…ハイ。できたぞ。旦那様」  
「有り難う。僕の奥さん…」  
夫婦に…なった。  
 
向き合って、朝の挨拶のキスをする。  
あの戦いで、僕は大切なものを沢山失った。  
だけど、その代わりに……!  
「パパ、ママ! おはようございま〜す!」  
「パンパ〜、マンマ…、おはゆごじゃま〜…」  
ガチャリとドアが開いて、寝ぼけ眼の男の子と女の子が一人ずつ、僕達の部屋に入ってきた。  
「ああ、"クラウド"。"ヒナタ"。お早う」  
「お〜っ、起きたかねぼすけちゃん達!」  
これが新しく得た…、僕の、僕達の大切なもの。  
4歳になる男の子のクラウドと、2歳の女の子の…ヒナタ。  
それぞれ…、兄さん(クラウス)と。母さん(ヒナワ)の名前からあやからせてもらった。  
少なくとも、僕もクマトラも。父さんも…みんな信じている。  
…生まれ変わりだって。  
「あ〜、パンパとマンマ、またらぶらぶしてゆ〜!」  
「ずるいー! ボクもボクもー!」  
二人とてとて走ってきて、ボクに向かってダイブ。  
鳩尾に入って、結構痛い。痛いけど、嬉しい。複雑な気分だ。  
「あてて…おとーさん痛いぞ〜」  
「こらこら、パパをいじめちゃダメだぞ!」  
クマトラの一喝で、おチビ二人は僕の上から渋々下りる。  
…これじゃあ、どっちがパパなんだか。  
 
「ほら、朝御飯作るから…」  
「わーい! ボク、ママのふわふわオムレツ大好きー!」  
「わたしもわたしも〜」  
「分かった分かった。早く作ってあげるから…早く着替えるんだぞ」  
「「はぁ〜い」」  
クラウドがヒナタの手を握って誘導してあげながら、大人しく僕達の部屋から出て行った。  
「…もちろん、リュカも食べるよな?」  
何度経っても、聞いてくる質問。  
ちょっと照れながら、僕の反応を伺ってるクマトラ。  
彼女の作るふわふわオムレツも…、だいぶ上手になった。  
僕の方も、…吹っ切れるようになった。  
「当たり前だよ」  
僕がそう言うと、彼女は安心して明るい笑顔を見せてくれた。  
二人してパジャマから着替えて、僕はそっとクマトラに手を差し出す。  
「じゃあ、行こう。ちび達が待ってるよ」  
差し出した僕の手を、彼女は固く握る。  
「…うん」  
固く手を握って、僕達は歩く。  
これからどんな未来が待ってるのかは、僕達にも分からない。  
でも、またおんなじ事を繰り返す程、人間は馬鹿じゃない筈だ。  
この星はまだまだ、僕達を見捨てた訳じゃない。  
そして僕の戦いは、まだ終わっていない。大切な人を守るための…戦いは。  
だから…  
 
A mother the Earth . Please watch me if you please…!  
 
*終わり*  
 

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