ピカッ…ゴロゴロ…  
今は真夜中、外は大雨。  
「あー…うるせー…」  
自室のベッドで横になっていたネスは独り愚痴る。雷の音がうるさくて眠れないのだ。  
――ガチャ…  
「ん?」  
不意に扉が開く音が聞こえ、ネスは音のした方に目を向ける。  
「おにいちゃん…」  
そこには枕を腕に抱いた妹、トレーシーの姿があった。  
「どうした…トレーシー?」  
「一緒に寝てもいい…?」  
そう弱々しく呟くトレーシー。少し丈の長いパジャマを着ているので、いつもより小さく見える。そんなトーレシー放っておく訳にもいかず、ネスは彼女を迎え入れる。  
うん…とだけ頷き、トレーシーはおずおずとネスのベッドに入り込む。  
「ありがと…」  
「別にいいよ」  
 
と、その時外から雷が鳴り響き、トレーシーはネスに抱きつき身を竦ませる。  
「うぅ…」  
自分の腕の中で小さく震えているトレーシー…そんな彼女をは愛おしく思い、ネスはギュッと抱きしめ返す。  
「おにいちゃん…?」  
「大丈夫…僕がいるから」  
一人で怖かったのだろう…そう思い、不安そうな声をあげるトレーシーに微笑みながら、ネスは優しく語り掛ける。  
「うん…」  
しばらくそうしてると、安心したのかトレーシーは静かな寝息を立てていた。  
腕に感じる妹の柔らかな感触に心地よさを覚えながら、いつしかネスも眠りに就いていた。  
外から聞こえてくる雨音を子守歌に、二人の兄妹は寄り添いながら眠る。  
 

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