「ゼー…ゼー…」  
荒々しい男の息づかいが、路地裏に響く。  
「この俺とした事が…トチっちまったぜ…」  
男は逃げていた。  
「ゼー…ゼー…ここまで来れば…」  
「いたぞ!!」  
「チッ…」  
追っ手に気付き、逃げようとした時…  
―パンッ!!  
路地裏に響き渡る銃声。  
「クッ…」  
銃弾を腹に受け一瞬、男の動きが止まる。だが、また走り出す。  
「待て!!」  
「待てって言われて…待つ奴がいるかよ…」  
男は角を曲がる。それに続き追っ手も後を追うが、男を見失ってしまう。  
「探せ!まだこの近くにいる筈だ!!」  
追っ手はそれぞれ散らばっていく。  
「……行ったか?」  
ゴミ溜めの中に隠れていた男が姿を見せる。  
「チッ…ヤベーぜ…今回ばかしはよ…」  
腹に受けた傷を見ながら男は忌々しげに呟く。  
致命傷ではないにしろ、早く病院に行かねば命に関わる傷だ。  
「病院は駄目だ…すでに奴の手に落ちている…」  
傷口を押さえながら男は、都会の闇へと消えていった…。  
 
 
モノトリーのオフィスにて。  
モノトリーは今、電話で部下からの報告を聞いていた。  
「つまり…取り逃がしたと言う訳だな…」  
『申し訳ございません…ですが、手傷を負わせましたのでそう遠くへは…』  
「まあよい…」  
『宜しいのですか?』  
「ああ、この都市に奴の居場所など無い…じきに死体となって現れるだろう…」  
『では、捜索は…』  
「切り上げて構わん。」  
『分かりました。』  
―ピッ……  
電話を終え、溜息をつくモノトリー。  
「奴には感謝している…奴のおかげで今の地位があるのだからな…」  
モノトリーは立ち上がり窓際へと進む。ここからは大都市フォーサイドの情景が一望できる。  
「ハハハハハ…逃げるとは愚かな男だ…逃げなければ一思いに死ねたものを…」  
朝日を浴びたフォーサイドの都市は一段と美しい。  
「この美しい都市は全て私の物だ…奴の様に小汚い者はこの都市には不釣合いだ…」  
暫くの間、モノトリーは窓から見える情景に目を奪われていた…。  
 
―――――――――――――――――――――――――  
 
「おはようポーラ…よく眠れたかね…」  
いつもの部屋。モノトリーはベッドの上に寝かされているポーラに話しかけた。  
「……」  
今日はいつもと違い、服を着せられている。だが、ポーラはぐったりとしていて、反応らしい反応を見せない。  
今、ポーラには体の自由を奪う薬が投与されている。だが、反応が無いのは別の理由がある。  
無理も無いだろう…先日の調教で浣腸され、耐え切れず拘束台の上で漏らしてしまった…。  
その場にいたのはモノトリー一人だけとはいえ、人前でそんなあられもない姿を晒してしまったのだ。そのショックは大きいだろう。  
それを察してか、モノトリーもその話題には触れない。  
「今日は少し趣向を変えてみよう…入ってきなさい…」  
「失礼します…」  
モノトリーに呼ばれ部屋に入ってきたのは、メイド姿の女。彼女の名はエツコ…モノトリー専属のメイドだ。  
突然の訪問者に反応し、虚ろな眼でポーラはチラリとエツコの方に目を向ける。  
そこにいるのはメイドの衣服を身に纏った女性。歳は20代前半位だろうか…。自分と同じブロンドの髪をショートカットにしており、活発的な印象だ。目や鼻などがひとつひとつ小作りで、整った顔立ちをしている。  
特にパッチリとした目元がチャーミングで、可愛らしさと美しさを同時に備え持っていて、同じ女からして見ても、つい見とれてしまう美貌の持ち主だ。  
 
「今日の調教は、このエツコに任せる…私はそこの椅子に座って見ているとしよう…」  
そう言ってモノトリーは、ポーラが寝かされているベッドのすぐ傍にある椅子に座る。  
「な…何を…?」  
自分の元に歩み寄るエツコを見て、ポーラは不安そうな声を上げる。  
「初めまして、私はエツコと申します。今はモノトリー様の元で、メイドの仕事を与えられてます。」  
「は…初めまして…ポーラです…」  
自己紹介をしてきたエツコにつられて、自分も自己紹介してしまうポーラ。  
その様子を見て、クスリ…と笑みをこぼすエツコ。  
「これは丁寧に…安心してポーラ。あなたに酷い事はしないわ。」  
優しく包み込む様なエツコの笑みに、ポーラは心なし安心する。  
だが、今から行われるのは自分への調教…ポーラは自分の身に起こる事を想像して、身を強張らせていた。  
「そんなに緊張しないで…」  
そう言ってエツコは、ポーラの頬を優しく撫でる。  
ポーラは薬の効果で自由に動けない。だが、薬の効果がなくても、ポーラはエツコの手を払い除けようとはしないだろう。エツコの手には不思議と嫌悪感を感じない…。  
優しい笑みを浮かべるエツコによって、少しずつ緊張が解れていくポーラ。  
「モノトリー様が気に入られるのも無理も無いわ…だってこんなに可愛い娘だもの…」  
可愛いと言われて、頬を赤く染めるポーラ。そんな彼女の様子に笑みを浮かべながら、エツコは彼女の目をジッと見つめる。  
 
美しく透き通った双瞳に見つめられ、心の中を覗かれている様な感覚を覚えるが、ポーラはエツコの視線から目を逸らせれなかった。  
ポーラを見つめたまま、エツコは顔を近づけていく。  
「うん…ん……」  
触れ合う二つの唇。エツコの唇はとても柔らかく、少し冷たかった。  
突然の事に驚き目を見開くポーラだったが、エツコの浮かべる優しい笑みによって、次第に彼女を受け入れ始める。  
瞼を閉じて、エツコの唇の感触を受け入れるポーラ。同性同士のキス…普段ならそんな事は受け入れないだろうが、今の彼女は、それに抗う気持ちなど無かった。  
顔を真っ赤にしてキスを受け入れるポーラの様子に悪戯っぽい笑みを浮べ、エツコは薄っすらと開いたポーラの唇の合間から、舌を割り込ませる。  
「んんっ……」  
突然の事に一瞬ビクッ…と、身を震わせるポーラ。その間もエツコの舌はポーラの口内を犯し続ける。  
歯茎にネットリと舌を這わし、ポーラの口内を味わうエツコ。歯をしっかりと閉じていたポーラだったが、口内を舐られる感覚に思わず閉じていた歯を開いてしまう。エツコはその隙を見逃さず、一瞬できた隙間に舌を潜りこませた。  
「はぅ…ん…」  
お互いの舌が触れ合い、ポーラは思わず声を上げる。痺れる様な感覚が全身に伝わり、下腹部が熱くなって来る。  
(どうして…?体が…熱い…)  
ポーラは自分の身に起きた異常に困惑する。尚も、エツコの舌は口内を責め立てており、お互いの舌が絡み合う度にポーラはゾクゾクとした感覚に見舞われる。  
 
自然と吸い寄せられる様に、ポーラはエツコの口内に舌を這わす。エツコもポーラの侵入に顔を上気させながらそれに応える。  
「あぁ……」  
舌を甘噛みされ、ポーラは悩ましげな声を上げる。その刺激が全身を痺れさせ、彼女の理性を少しずつ侵していく。  
暫くの間お互いの口内を味わい合っていた二人は、自然と唇を離す。お互いの舌の先に、つぅ……と、銀の橋が掛かっている。ポーラは、トロン…と潤んだ瞳でそれを見上げていた。  
「本当に可愛い娘…」  
エツコに囁かれ、ポーラは陶酔しきった表情でその言葉を受け止める。  
その様子に優しげな笑みを浮かべながら、エツコはポーラのワンピースに手を掛けた…。  
 
少しずつ露になってくる日焼けのしていない、真っ白に透き通るようなポーラの素肌。  
ポーラの心臓は傍からでも聞こえる程、大きく脈づいていた。  
「すごい音ね…ドキドキしてる…」  
「…恥ずかしい…です…」  
ポーラは弱々しく呟く。  
「ひゃぅ…」  
まだまだ膨らみかけの二つの膨らみをブラジャー越しに撫で上げると、ポーラは鳴く様なか細い嬌声を上げた。  
「ふふ…可愛い反応ね…」  
エツコの目が妖しく光る。  
ブラジャー越しに触れるのを止め、今度は隙間から手を滑り込ませて直に揉み上げた。  
「あっ…」  
瞼を閉じ、顔を首元まで赤く染めながらエツコの成すがままになるポーラ。  
ポーラの胸はまだまだ未発達とはいえ少女のそれだ。見た目以上に柔らかく、エツコの手の中で様々に形を変える。  
ブラジャーを脱がし終え、胸への愛撫に集中する。先端の突起には触れず、焦らす様につぅ…と、突起の周りに指を這わすエツコ。  
「はぁ…ん…」  
ポーラの様子を傍目に見ながら、エツコはもう片方の膨らみの突起に吸い付いた。  
「ひゃぁっ…」  
 
「感じてるのね…いやらしい娘…」  
「そ…んな……ちが…」  
エツコの言葉に弱々しく反論するポーラ。だが、ポーラ体は彼女に意に反して正直に反応している。  
「そう?ここをこんなにしちゃって…」  
ツンとぷっくり膨らんだ突起を軽く抓り上げるエツコ。  
「ふぁぁっ!!」  
突然の出来事にポーラは甲高い嬌声を上げる。エツコは彼女のスカートを捲くり上げ露になった純白のショーツに目を向ける。そこは既に十分な湿り気をおびていていた。  
「これでもまだ感じてないって言うの?」  
エツコはショーツの隙間に手を滑り込ませ、直に秘所を弄る。  
「やっ…そこは…」  
ポーラは慌てて足を閉じようとするが、薬の効果で自由に動けず、エツコの侵入を許してしまう。  
「ふふ…すごい事になってるわよ。」  
グチョグチョに湿り気をおびている秘所を見ながら、エツコはポーラの耳元で囁く。  
「だ…だめっ…」  
愛液に濡れた手を引き抜き、それをポーラに見せ付ける。  
「見える?糸引いてるわ…」  
エツコの指にはポーラのネットリとした愛液が糸を引いていた。  
 
「あぁぁ……」  
それを見てポーラはあまりの恥ずかしさに悲鳴の様な声を上げ、それから目を逸らす。  
エツコは再び、ポーラの秘所に手を這わす。暫くは秘所の周囲を軽く撫で上げていたが、不意にぷっくりと膨れ上がった肉芽に手を触れる。  
「やっ…ひゃぁっ!」  
不意に与えられた感覚に、ポーラは耐え切れず嬌声を上げる。  
「ふふふ…可愛い声で鳴くわね…」  
エツコは妖しげな笑みを浮かべながら、ポーラの耳元で甘く囁く。  
「んっ…うぅん…」  
ポーラは声を押し殺し、与えられる快感を必死に耐えていた。だが、それも長くは持たず、ポーラはついに屈してしまう。…  
「んんっ…あっ…ふぁぁんっ…」  
一度崩れてしまえば、後はもう押さえきれない。全身に襲いかかる痺れる様な快楽に、ポーラの理性は少しずつ決壊していった。  
「あっ…ああ…はぅん…んんっ…」  
ポーラの喘ぎ声が部屋に響き渡る。  
「そうよ…自分の気持ちに素直になりなさい…」  
エツコの言葉に促されるまま、ポーラは喘ぎ続ける。  
「んんっ…だめっ…も、もう…」  
ポーラは達しようとしていた。だが、達する寸前でエツコは責めるのを止める。  
「はぁ…はぁ…」  
肩で息をしながら、ポーラは潤んだ瞳でエツコを見つめる。だが、エツコが責めを再開する事は無く、ふふ…と、妖しい笑みを浮べポーラを見つめ返す。  
「どうしたの?ポーラ…」  
「……」  
 
ポーラは無言でエツコを見つめている。その様子を見て、エツコは責めを再開する。  
「ああっ!…っは…んんっ…ううぅ…」  
ポーラは再度達しそうになる。だが、またしても達する寸前でエツコは責めるのを止める。  
「はぁ…はぁ…なん…で…?」  
「イかせて欲しいの?」  
エツコは今にも燃え出しそうなほど顔を真っ赤に染めたポーラに問い掛ける。  
「…はい……」  
暫く押し黙っていたポーラだったが、イクにイケず生殺しの状態だった為、彼女の理性は既に限界に来ておりエツコに懇願する。  
「…駄目よ。」  
「え…?」  
このまま責めて続けてくれると思っていたポーラは、エツコの意外な言葉に目を丸くする。  
「そ…そんな…」  
体の自由を奪われている為、エツコの成すがままになるしかなかったポーラは、彼女の言葉に悲愴な表情を浮かべる。  
「そうね…どうしてもって言うなら、考えなくも無いわ。」  
「お…おねがい…します…」  
ポーラは弱々しく懇願する。  
「あなたがモノトリー様の牝奴隷になるって誓うなら…イカしてあげるわよ。」  
「そ…それは…」  
ポーラは困惑する。本当なら今すぐにでも誓って、イカして欲しい…だが、彼女の中に残された残りわずかな理性がそれに歯止めを掛ける。  
「い…嫌です…」  
「そう…なら仕方ないわね…」  
エツコはポーラへの責めを再開させる。  
 
「はぁぁんっ!…あ…ああっ…」  
ポーラの秘所は、既に愛液で溢れかえっていた。クチュ…クチュ…と、艶かしい淫音が静かな部屋に響いている。  
「気が変わったらいつでも言いなさい。」  
達しそうになると寸止めされ、落ち着いてくると再開する。そんな生殺しの様な状態が何度も続く…。  
だが、ポーラはそれに屈する事無く、必死に理性を保とうとしていた。  
不意にポーラの反応がなくなった。  
「失神しましたか…まさか耐え切るとは…」  
気を失ったポーラの姿を見て、エツコは小さく呟く。  
「申し訳ありません…モノトリー様…」  
二人の様子を黙って見ていたモノトリーに頭を下げるエツコ。  
「フフフ…まあよい…ご苦労だったな。」  
「……」  
「思っていたより意志の強い娘の様だな…そう気に負うなエツコ…」  
「はい…」  
「後は任せたぞ。」  
そう言ってモノトリーは後始末をエツコに任せ、部屋を跡にした。  
 
―――――――――――――――――――――――――  
 
その頃、ネス達はボルヘスの酒場に向かって大通りを歩いていた。  
「で、どこにあるんだ?そのボルヘスの酒場は…。」  
「もうすぐだよ。そこの角を左に曲がった所に…おっと…」  
話していたジェフに後ろから誰かがぶつかってきた。  
 
「あ、すいません…」  
「いえ、大した事は無いです…それよりどうしたんですか?そんなに慌てて…」  
ぶつかってきた男にジェフが問い掛ける。  
「いや、実はね…この先にあるボルヘスの酒場の裏路地で人が倒れてるって聞いてさ…」  
「だとさ…ネス、どうする?」  
「行ってみよう。ちょっとした事だったらヒーリングで直せるしさ。」  
「そうだな…。」  
二人はその現場へと向かった。  
そこは既に人込みが出来て、賑わっていた。  
「ここからじゃ良く見えないな…」  
遠巻きに見ていたジェフが呟く。  
「そうだな…ん!!…あれは…」  
人込みの合間から一瞬見えた男の姿。サングラスにアロハシャツ…ネスはその男に見覚えがあった。  
「あ、ネス!?どうした!」  
気が付けばネスは駆けていた。  
「退けて下さい!!」  
人込みを掻き分け、慌てて倒れている男の元に駆け寄ったネスに、男が話しかけて来た。  
「……ゼイゼイ…………ネス、ネス…だろ?…目の前がぼ、ぼやけてよく見えないけど…お前、ネス…だよな?お、俺だよ、ツーソンの…ヌスット広場のトンチキだよ。」  
「トンチキさん!!」  
以前に会った時と比べてかなりやつれているが、紛れも無く彼はトンチキだ。  
 
「覚えててくれたんだな。そうさ…俺はトンチキだ…世界一のドロボーだよ。あの…ハッピーハッピー村のカーペインターがおかしなものを…ゼーゼー隠し持ってたんだ。  
そいつを俺が盗んできて、この町で売ろうと思った…。物知りのじいさんが「マニマニの悪魔」と呼んでた。不吉な色をした人形だった。…う、…う、苦しいぜ。  
…で……モノトリーの野郎にだまされて…とられちまった。ドロボーの俺をだましやがって、しかもこの秘密を知っている俺を…付けねらって消そうとしやがったんだ。」  
「何だって!?」  
「何て奴だ…」  
二人はトンチキの話を聞き、激しい憤りを覚えた。  
「まあ待て…そんな事はどうでもいい…奴はあの人形から悪魔のパワーを受けてるんだ。…いいか? 一度しか言わないからよく聞け。酒場の…カウンターの中を調べるんだ。…ウッ…」  
ゲホッ…ゲホッ…と、咳払いをする度に口から鮮血が溢れてくる。  
改めて彼の様子を見ると横腹辺りが血で滲んでいる…ここまで酷いとさすがにネスのヒーリングでも直せないだろう。  
「トンチキさん!!分かったから…もう…喋らなくていいです…」  
「そんな事より、早く病院へ…」  
だが、トンチキは片手を挙げ、二人を制する。そしてフラツキながら立ち上がると二人に言った。  
 
「おれの最後の頼みだ。後を追うんじゃねぇよ。ドロボーのいぢ…がある。あ・ば・よ!」  
そう言ってトンチキはヨロヨロとした足つきで、二人の前から姿を消した。  
早く手当てをしなければ、命に関わるだろう…。  
だが、ネスは彼を止める事が出来なかった。  
「トンチキさん…」  
ネスは小さく呟いた。  
「ネス…行こう、彼の命を無駄にしない為にも…」  
トンチキの気迫に押され、ジェフもトンチキを止める事は出来なかった。  
「……ああ…行こう!」  
暫くトンチキの過ぎ去った方に目を向けていたネスは立ち上がった。  
ポーラの事…トンチキの事…様々な思いを胸に抱き、二人はボルヘスの酒場へ乗り込んだ…。  
 
 
(最終章へ続く…)  

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