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いつからだろうか…僕は彼女に惹かれていた…。  
スノーウッドの寄宿舎で寝ている時、聞こえて来た少女の声。  
とても優しい声。  
その声に導かれるまま、僕は南へと向かった。  
スカイウォーカーの着陸に失敗し、墜落した先で出会った二人。  
ネスとポーラ。  
あの時は緊張していて…今思い出すと笑える自己紹介だったな…  
「説明はいらないよ。ぼくはジェフ。きみたちに呼ばれて来たんだ。力は弱い。目は強度の近視。怖がりで無鉄砲。こんなぼくだけど仲間に入れてくれるかな?」  
自分の短所ばかり言って…断られたらどうするつもりだったのだろうか?  
だが、そんな僕の自己紹介を聞いても、二人は笑いながら受け入れてくれた。  
「僕はネス、短気で騙されやすい性格さ。」  
「私はポーラ、少しおてんばでおっちょこちょい。こんな私達で良ければ仲間になるわ。」  
そう言って優しげな微笑を浮かべる少女に、僕は心惹かれた。  
彼女があの声の主なのだろう…。  
それから僕達は地下牢を抜け出し、冒険の続きを始めた。  
その後、どせいさん達をゲップーから解放し、スリークの町をゾンビの魔の手から救った。  
それから砂漠を越え、今は大都市フォーサイドにいた…。  
 
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今僕達は、フォーサイドの大通りを歩いていた。  
「うわーすっげーな…」  
山の様に立ち並ぶ高層ビルを見ながらネスが感嘆の声を上げる。  
「そうね、私達の町は田舎だったからね。」  
ネスの大げさな反応を見ながら微笑んでいるポーラ。  
「ジェフのいた所は、どんな感じだった?」  
ポーラの微笑に魅入っていたため、急なネスの問いに戸惑ってしまう。  
「え…?…ああ、僕の住んでた所か…一年中雪が積もっている町だったよ。」  
「へー雪国か…行って見たいなー。」  
そんな他愛も無い会話を続けながら、僕達は歩いていた。  
不意にネスに話し掛けられる。  
「ポーラって可愛いよな。」  
「え?…ああ、そうだね。」  
「それによく気が利くし、恋人にするならあんな子がいいな…。」  
親友に打ち明けられるポーラへの思い。  
「…僕も、そう思うよ。」  
肩の辺りでカールした綺麗なブロンドの髪。パッチリとした目元。どれを取っても稀に見る美少女だ。それに、性格も優しく、よく気の回る子だ。ネスが惹かれるのも無理は無い。  
ネスは強くて頼りになる…ポーラには相応しいかもしれない…。  
だが、純粋に友の思いを受け入れられない自分がいる。  
僕も彼女に惹かれていた。でも…僕はどうだろう…。  
ネスの様に強くはないし、少し頼りないと思う。  
 
「二人とも何してるのー?早くしないと行っちゃうよー。」  
気が付くとポーラは随分先を歩いていた。  
「ごめんごめん、今行くよー。」  
そう言ってポーラの元へ走っていくネス。走り去る親友の後姿を見ながら、何か言い知れぬモヤモヤとした感情が、心に渦巻いていた…。  
 
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その日の晩、僕達はホテルに泊まっていた。  
僕は徹夜をして、壊れた機械を修理していた。  
「ふーこれで良しっと…」  
今ちょうど終わった所だ。  
時間を見る。午前二時だ…。  
「そろそろ寝ようか…」  
僕は道具を片付けると、眠るためベッドへと向かった。  
部屋にはちょうど三つベッドがある。  
壁際のベッドがネスのベッド。ポーラのベッドを挟んで窓際にあるのが僕のベッドだ。  
自分のベッドに向かっていた時、不意に、ポーラの寝顔が目に映った。  
後になって思い返せば、僕は焦っていたのだろう。  
(ポーラって可愛いよな。)  
親友の言葉が脳裏に蘇る。  
(恋人にするならあんな子がいいな…)  
僕は、ポーラのベッドのすぐ傍に来ていた。  
 
ポーラは静かに寝息を立てている。  
とても綺麗な寝顔だった。  
その寝顔を見た時、僕の理性は弾け飛んだ。  
僕はポーラに顔を近づける。頬に当たる寝息が思考を麻痺させていく。  
気が付くと僕は、寝ているポーラに口づけをしていた。  
唇に広がるやわらかい感触に酔いしれていた…。  
だが、その時ポーラが目を覚ました。  
見つめ合う目と目。  
ハッと我に返った僕は慌てて唇を離す。  
「え!?な…何!?」  
突然の事に慌てふためくポーラ。  
僕は…何て事をしてしまったのだろう…。  
我に返ったジェフは、自責の念に駆られていた。  
「ジェフ…?」  
重苦しい空気が部屋を包み込む。  
「ご…ごめん…ポーラ…」  
俯きながら謝るジェフ。ジェフはポーラの顔を直視出来ないでいた。  
だが、ポーラは意外な事を聞いてきた。  
「ジェフは…私の事…好き?」  
ハッと顔を上げるジェフ。  
ポーラは怒っているといった様子では無く、優しげな声だ。  
 
「好き…だよ…」  
あまりにも予想外の反応に思考が回らず、聞かれたままに答えるジェフ。  
それを聞いて、ポーラ微笑んだ。  
彼女の意外な反応にジェフは戸惑う。  
「私もジェフの事が好きよ。」  
「え…?」  
全くもって予想していなかった言葉に、ジェフは目を丸くする。  
「友達としてもそうだけど…それ以上にジェフの事が好きよ…」  
ポーラの告白に驚くジェフ。  
「そ、そんな…僕はネスと比べると力も無いし、少し頼りないし…」  
尚も自分の短所を言い続けるジェフを、笑いながら止めるポーラ。  
「え?」  
「ジェフ…いい?ネスにはネスのいい所があるのよ。ジェフ…あなたもそうよ。あなたにもいい所は沢山あるの…だからそんなに自分を過小評価する事は無いのよ…」  
黙ってポーラの話を聞き続けるジェフ。  
「私は、ジェフの事が好きよ…そういう所も含めて…」  
笑いながらポーラは続ける。  
「それに…ジェフがこんなに大胆な事するなんて思っても見なかったわ…」  
それを聞いて顔を真っ赤にするジェフ。  
 
「ねえ…ジェフ?」  
「え?」  
「キスの続きしましょ…」  
再度唇を交わす二人。今度はお互いの意志で…。  
 
(あーあ、取られちまったな…)  
寝たふりをしながら一部始終を聞いていたネスは、小さく呟いた。  
(それにしても、意外だったな…ポーラはジェフの事が好きだったなんて…)  
横目でチラッと様子を伺うネス。  
二人はまだキスを続けていた。  
(良かったな…ジェフ…)  
親友の恋が実った事を素直に受け入れるネス。  
恋人達に水を差すのも悪いと思い、そのままネスは眠りに就いた。  
しばらくしてどちらとも無く自然に唇を離す二人。  
「好きよ…ジェフ…」  
「僕もだよ…ポーラ…」  
お互いの意思を確認し合い、もう一度軽めのキスをして、二人はそれぞれのベッドで眠りに就いた。  
 
 
 
終  
 

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