そこはドコドコ砂漠。  
灼熱の砂漠をひた走る一人の男がいた。  
彼こそが「電話一本で何処でもすぐに駆けつけます。」の売り文句で有名なエスカルゴ運送に勤める専属の配達員その人である。  
そしてようやく目的の人物を発見し、急いで彼らの元へと向かう。  
「エスカルゴ運送でーす!お預かり料金は18ドルです。お金持ってますよね?」  
「あ…お金ないや…」  
一瞬場の空気が凍りつく。  
「もう、ネスったら…しっかりしてよねー」  
「まったく…ネスはどこか抜けてるよな。」  
「ごめんごめん、うっかりしてたよ。」  
(こいつら正気か!?俺がここまで来るのにどんだけ苦労したと思ってるんだ!?)  
今すぐにでもシバキ倒したいのを必死に押さえ、マニュアル通りに対応する配達員。  
「そうですか。またよろしく。」  
そうして彼は元来た道を逆走していく。  
帰り道にて。  
「くっそー、これで何度目だ!?いい加減にしてくれよな!!」  
独り愚痴りながら、彼は本社へ向かって走っていた。  
彼が言う通り、キャンセルされるのは今回が初めてではない。  
特にあの、赤帽子の少年には度々キャンセルされる。  
「あぁ!!あの糞ガキ…マジでありえねぇ!いつか一矢報いてぇ」  
あまりの怒りで物騒な事を口走っていた彼だったが、ふと、ある事を思い出す。  
(そういえば、あいつの妹がうちでアルバイトしてたっけな…)  
トレーシーの事だ。  
彼の頭に邪な考えが浮かぶ。  
「そうだな…やっぱり兄の責任は妹に取って貰うべきだな…」  
怒りで冷静さを失っていた彼は、とんでもない事を思いつく。そして、それを実行すべく、すぐさま行動に移した。  
 
計画は順調に進んでいた。  
配達員の男はまず、トレーシーの家族構成を調べた。  
両親と兄が一人の四人家族。  
父親は長期で出張中のため不在。兄は…あのにっくき赤帽子の糞ガキは、この前ドコドコ砂漠にいたからまず、家には居ないだろう。  
「さて…どうしようか…」  
男は今、本社にいた。自分の席に座り、独り考えを巡らす。  
トレーシーの担当は電話受付だ。  
これは自宅でも出来るから…という理由で、本人が希望した事。  
したがって、トレーシーと接触するためには、彼女の自宅まで行かなくてはならない。  
だが、彼はエスカルゴ運送最速の男。その程度の事は苦ではない。ただ、問題はどうやって彼女と接触するか…。  
考えを巡らす男だったが、すぐに結論は出た。  
彼女の仕事がオフの日に、家の前で張り込めばいいのだ。  
今、家に居るのは母親とトレーシーの二人だけだ。  
これは…最高のシチュではないか…。  
「そうだな…母親にも息子の責任を取って貰おうか……いや、そうなると後々面倒だ…ここは妹一人に絞るべきか…」  
訝しげな目を向ける同僚達に目もくれず、ブツブツと呟いていた男だったが、ここで大きな壁にぶち当たる。  
「問題はどうやるかだな…普通にやっちまうと犯罪だしな…」  
さっきは怒りに我を忘れて計画したものの、冷静になって考えると、とんでもない事だ…。  
「これを使うか…」  
そう言って、男が手にしている物は睡眠薬。仕事柄、ストレスが溜まって眠れない日が多い彼の必需品だ。  
「問題はどうやって飲ますかだな…」  
 
と、独り考えを巡らせていた男に、仕事の依頼が入る。  
「ん、預かり物か…依頼主は…けっ、またあの糞ガキかよ!」  
愚痴りながらも、依頼を受けた男はすぐさま本社から飛び出す。  
それが彼の仕事だ。放棄する訳にはいかない。  
「今度は、金準備しとけよな!でないと、今度こそシバクぞ!!」  
物騒な事を口走りながら、男はフォーサイドに向かって疾走していた。  
 
―――――――――――――――――――――――――  
 
「確認します、お預かりするのはスーパーエアガン、ペンシルロケットあと、アストロマシンガン以上でよろしいですか?」  
「はい。」  
「はい確かに、ありやとあんしたー。」  
マニュアル通りの対応をしてその場を去る配達員。  
帰り道にて。  
「さすがに今回はちゃんと金を用意してたな。それにしても……あいつら何者だ!?」  
預かった荷物に目を向けながら男は呟く。  
「こんな物騒なもの持ち歩いて…何する気だ?」  
視線の先には、怪しく黒光りするアストロマシンガン。  
「まあ、いいか。俺は指定されたものを運ぶのが仕事だからな…」  
本社に向かって走っていた男だったが、ふと思い出す。  
「そうだった…あのガキの預かり物は自宅に運ぶんだったな…」  
それは、兄が家に帰って来た時にいつでも渡せるようにと、トレーシーが言い出した事だ。  
「ちっ…めんどくせーな…」  
そう愚痴りながらも、ネスの家へと向かって走る男だった。  
 
―――――――――――――――――――――――――  
 
「エスカルゴ運送でーっす!荷物のお届けに参りましたー。」  
ネスの家に着いた男は、戸口を叩き、家主に呼びかける。  
「ハーイ、今開けます。」  
家の中から少女の声が聞こえ、すぐにドアが開いた。  
「スーパーエアガン、ペンシルロケット、あと、アストロマシンガン以上をお届けに参りましたー。」  
「いつもご苦労様です。」  
そう言って労いの言葉を掛ける少女こそ、今回のターゲット、トレーシーである。  
「いえいえ、これが私の仕事ですからー。」  
営業スマイルを浮かべ、男は答える。  
「はい確かに、ありやとあんしたー。」  
荷物を預け、すぐにその場を去ろうとする男だったが、トレーシーに呼び止められる。  
「はい?何でしょう?」  
「良かったら、何か飲み物でも飲んでいかれませんか?」  
予期せぬ言葉に戸惑う男。だが、冷静に考えると、これはチャンスだ。  
そう考えた男は二つ返事で承諾する。  
家の中に案内された男は、部屋を見渡す。  
そこに母親の姿は無い。  
「今準備しますんで、リビングで休んでて下さい。」  
トレーシーの言うがままにリビングへと向かう男。  
ソファーに座りながら、次なる計画を練る。  
「お待たせしました。すみません…こんな物しかなくて…」  
暫くして、トレーシーがオレンジジュースを持ってやって来た。  
「あ、いえいえ、お構いなく。」  
そう言って、オレンジジュースを受け取ると、彼女も自分のジュースを持って男の隣に腰掛ける。  
 
「そういえば、今日は親御さんの姿が見えませんね。」  
何気なく探りを入れる男。  
「ああ、ママは用事があって夕方まで帰ってこないんですよ。」  
男の事を全く警戒していない様で、トレーシーは聞かれるままに答える。  
「それでは、一人で留守番ですか?」  
「はい。」  
キタ――――――(゚∀゚)─――――――!!…と心の中で雄叫びを上げる男。  
今は昼前だ。夕方まではまだ時間がある。  
後はこの睡眠薬を飲ます事が出来れば…と、男が考えを巡らせていた時、タイミングよく電話のベルがなる。  
「あ、すみません…ちょっと出てきますね。」  
そう言って席を離れ、電話の元へと向かうトレーシー。  
彼女がさっきまで座っていた場所には、飲みかけのオレンジジュース…。  
(今しかない!!)  
男はそのジュースの中に睡眠薬を混入する。  
暫くして、トレーシーが戻ってきた。  
「仕事の電話ですか?」  
「いえ、間違い電話でした…。」  
「そうですか。」  
トレーシーはさっきまで座っていた席に戻ると、飲みかけのジュースを口にする。  
よし!…と、心の中で笑みを浮かべる男。あとは効果が現れるのを待つだけだ。  
その後は他愛も無い会話をしていた。トレーシーも一人で暇だったのか、楽しそうに話をしていた。  
暫くして。  
「あれ…なんだか、眠くなって…」  
そういい残し、その場で眠りに就くトレーシー。  
その様子を見て、フフフ…と怪しい笑みを浮かべる男だった…。  
 
「これで暫くは目を覚まさないだろう…」  
トレーシーの頬に手を這わしながら男は呟く。  
「それにしても…なかなか可愛いじゃねえか…」  
普段は気にも留めていなかったが、トレーシーは顔立ちもそこそこ整っており、美少女の部類に入るだろう。  
ソファーで静かに寝息を立てているトレーシーに、思わず見とれてしまう男。  
「おっと…こんな事してる場合じゃなかった…」  
タイムリミットは夕方だ。母親が帰って来るまでの数時間の内に、事を済まさなければならない…。  
とは言ってもこの男。睡眠薬を使う事で頭が一杯で、眠らせた後、何をするかまでは考えていなかったのだ。  
「そうだな…とりあえず脱がすか…」  
後々の事を考え、丁寧に服を脱がせていく男。  
シャツとショーツ姿になったトレーシー。少女らしい飾り気の無い純白の下着が眩しい。  
男にロリコンの趣味は無かったのだが、その可憐な少女の眩しい下着姿には、男のズボンの中のモノをパンパンにさせる程の魅力があった。  
「や…やべえ…何かムラムラしてきた…」  
俺ってロリコンだったのか?…と心の中で自問する男。  
「ま、まあいいか…」  
気を取り直し、男は恐る恐るトレーシーの胸元に手を這わす。  
まだまだ未発達な胸を、シャツ越しに撫で回す。  
プニプニ…とした少女特有の肉付きが、男の意識に揺さ振りを掛ける。  
男は思う。こんなにドキドキしているのは、何年ぶりだろうか…と。  
「ハァ…ハァ…やべぇよ…これは…」  
シャツ越しに撫でるのを止め、今度は直に撫で回す。  
しっとりと吸い付く様な肌の感触に、男は陶酔していた。  
トレーシーはと言うと、依然、静かに寝息を立てている。  
 
暫くの間、トレーシーの肌を堪能していた男だったが、今度はショーツに手を這わす。  
いかにも少女らしい、厚手の生地で作られた、もこもこしたショーツだ。  
男は恐る恐るショーツを脱がしていく。  
次第に露になる、産毛すら生えていないツルツルな秘所。  
男は初めて見る少女の秘所に興奮していた。  
そして、完全にショーツを脱がし終えると、今度は秘所へと手を這わす。  
ぴっちりと閉じられた秘所を捲り、その感触を堪能する。  
「こ…これが…少女のあそこか…」  
男は復讐するのも忘れ、トレーシーの秘所に没頭する。  
暫く弄っている内に、男はトレーシーの様子がおかしい事に気付いた。  
「もしかして…感じてるのか…?」  
トレーシーは眠ってはいるものの、頬には紅みが差し、息づかいも少し乱れてきている。  
甘い吐息に潤んだ半開きの口が、誘っているように思えた。  
男は耐え切れず、ズボンのジッパーを下ろし、自らの肉茎を取り出した。  
男は、すでに硬く反り返っているそれを、トレーシーの口元に持ってくる。  
トレーシーの寝息が、男の先端をくすぐる。  
男はトレーシーの唇に肉茎をあてがった。  
しっとりしたやわらかい感触が男のそれを刺激する。  
「うぅ…すごい…」  
男はその場でしごき始める。  
歯に押し当てないように、ゆっくりとトレーシーの唇を堪能する。  
「ハァハァ…だ、だめだ…限界だ…」  
あまりの快感に耐え切れず、男はトレーシーの顔に射精する。  
エスカルゴ運送最速の男は、イクのも最速だった…。  
 
「ハァ…ハァ…これで、すっきりしたぜ…」  
自分の精液塗れになったトレーシーを見下ろし、復讐を成し遂げた事に満足げな笑みを浮かべる男。  
夕方まではまだ時間がある。それまでに後始末をしなくては…と、男が思っていた矢先、家のドアが軽快に開く。  
「ただいまー誰か居ないのー?」  
「おじゃましまーす。」  
「失礼します。」  
そう言って家に入ってきたのはネス達だった。  
(何!?こいつらさっきまでフォーサイドにいただろ?何でここにいるんだ!?)  
慌てふためく男だったがどうにもならない。彼らが対面するのも時間の問題だ。  
「あっ…」  
「えっ?」  
「ん…!」  
「ありやとあんしたー。」  
ここは逃げるが勝ちと判断した男は、ネス達が状況を理解する前に俊足で立ち去ろうとする。だが、出口まであと少しのところで、ねばねばした物が体に纏わり付き、動けなくなってしまう。  
状況をいち早く察したジェフが放った、ねばねばマシンの効果だ。  
「く…体が…」  
固まって動けない男の下へ歩み寄る影。ポンッ…と後ろから男の肩に乗せられた手、が万力のように締め付ける。  
「痛ててててててて…」  
男は痛がりながら、恐る恐る後ろを振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべながらも、身も凍る様なおどろおどろしいオーラを発するネスの姿…。  
「逃げないで状況を説明して貰いたいんですがね…」  
喋りながらじょじょに鬼の形相に変わっていくネスを見て、男は肝を冷やす。  
肩に食い込む手に力が込められ、ミシミシと濁った音を立てていく…そして…  
―べキッッッ!!  
「ギヤアアアアアアアァァァァァァァァァッ!!!」  
 
 
「おはようございます。モーニング新聞サービスです。今朝のオネットタイムスにはこんな記事が載っています…運送屋の男、少女に猥褻な行為をし、家族に半殺しにされる……物騒な世の中ですね…。」  
 
 
 
終  
 
 

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