むかしむかしあるところに、妖精さんが住んでいる森がありました。
年をとった妖精さんはモリゾー、つるぺたな妖精さんはキッコロという名前でした。
ある満月の晩、近くの村の男の子4人と女の子4人が森に探検に来ました。
すると、森の奥の方から何やら叫び声が聞こえてきました。
「おじいちゃん!おじいちゃん!やめてよおぉおぉ!こんなの酷いよぉおぉ!」
子供たちがおそるおそる覗き込んでみると、
そこには黄緑色のカタマリを無理やり押さえつけ、
白濁した花粉をばら撒く緑色の醜悪な物体の姿がありました。
その緑色の物体は自らの巨大な茶色く剥き出しになった枝を、
黄緑色の茂みの奥の穴に深々ともの凄い勢いで挿し込みました。
黄緑色のカタマリはしばらく動いていましたが、やがて動かなくなりました。
そして。
こちらを向いた緑色の物体はこんどは探検に来た女の子に襲い掛かりました。
男の子たちは女の子を見捨て、村に逃げ帰りました。
それ以来、4人の女の子が戻ってくることはとうとうありませんでした。
その醜悪な緑色のケダモノがモリゾーという森の精霊だということを
男の子たちが知ったのは随分と先のことでした。
モリゾーさんは今でも5人のキッコロさんたちと戯れに戯れているそうです。
おしみゃー