崖の上の四ツ谷カフェ。晴海と澄也が来て四ツ谷兄と話し込んでいる。
「晴海!今日こそ正直な気持ちを言ってくれ!俺と四ツ谷とどっちを取るんだ!?」
カウンターで食器を洗いながら呆れた目で見ている寿々子。四ツ谷兄が哀れむような表情で澄也に語りかける。
「きみさぁ、いい加減別れて別の彼女つくった方が悩まなくてすむんじゃない?」
「別れたくせに晴海を誘惑するお前が悪い!」
「誘惑した覚えなんかないよ!イナバウアーを披露した覚えはあるけど」
「てことはつまり誘惑してるんじゃないか!」
傍から聞くと意味不明な会話を延々と続ける二人。寿々子、水を入れたコップをお盆にのせ、3人のところに持っていく。
「さあ答えてくれ!俺と!この馬鹿と!どっちが好き……」
「寿々子ちゃん」
「え?」
コップを置こうとしていた寿々子。晴海の方を見る。晴海も寿々子を見つめている。
「い、今なんて?」同時に尋ねる3人。
「寿々子ちゃんの方が好き」平然と言う晴海。愕然とする3人。寿々子思わずお盆をコップごと落とす。
「な、何で!?何で寿々子なんだ!?」「そうだよ何で!?」うろたえる四ツ谷兄と澄也。
「すぐに人を殴っちゃったり、お料理がありえないくらい下手だったりして、ヨっくんよりおバカなところがあるし……」
「ああ納得」うなづく四ツ谷兄。
「いや納得しないでよ!ていうか晴海さん、さらっと酷い事言わな……」うろたえる寿々子。が、
「それに何より、寿々子ちゃんカワイイから」
「なっ……!?」晴海の思わぬ発言に赤面する寿々子。
愕然とする四ツ谷兄と澄也。晴海、寿々子の方に歩み寄り手を握り、
「……お友達から始めましょう、ね?」
「あ……う……」
赤面したまま硬直している寿々子。が、
「チクショー!何でだー!?カワイさなら俺だって寿々子に負けないのにぃーー!」
いつ着替えたのか、いつぞやのエロゲ風フリフリメイド服姿で絶叫する四ツ谷兄。
「ちょっ……まだその服持ってたの……」寿々子、正気を取り戻すも兄の姿を見て顔面蒼白。その四ツ谷兄に語りかける晴海。
「ヨっくん、ずっと言おうと思ってたんだけど……その女装癖だけは直して欲しいの。気持ち悪いだけだから」
ショックの四ツ谷兄、滝の様に涙を流しながら兄ノートを抱え山に向かって走り去る。メイド服姿のままで。
「本物の女の子の方がカワイイわ」後ろから笑顔で寿々子に抱きつく晴海。
「ちょ、晴海さん、やめ……誰か助けてー!?」寿々子赤面しつつ絶叫。その様子を見ていた澄也も絶叫。
「馬鹿でも無い!カワイくも無い!女の子でも無い!俺は一体どうすりゃ良いんだぁーー!?」
完。