「お兄ちゃぁん、ミサ、彼氏ができたんだよっ!」
ミサはおさげをぴょこぴょこさせながら、嬉しそうに俺に報告して来た。
「・・・ハァ?なんだって?」
ハッキリ聞こえたが、聞き返してみた。
「カーレーシ!・・が、できたのっ」
「連れて来い」
「え?でもいま部活・・」
「さっさと連れてこんかこんクソガキがァァア」
「う・・・怒っ・・・お兄ちゃ・・ごめんなさ・・・・」
あぁスマン、泣かすつもりは無かったんだ。
ついむなぐらを掴んで揺さぶってしまったんだ。
他意はない。
「・・・ほんと?」
50センチ近く下の地点にあるミサの顔が、俺の顔を覗き込む。
「あぁ」
「えへっ、・・・呼んでくるねっ」
ミサの姿が校舎へ消える。
しばらくした後、毛並みのいい犬についたリードを持って姿を現した。
「えっと、これが彼氏!」
「・・・・・・・ほう。」
随分だな
「いっつも背中に乗せて送り迎えしてくれるんだよ☆」
「別れてもらいなさい」
「え・・・」
「いいから。別れてしまえ。」