いつも楽しそうに可愛らしい笑顔でニコニコと笑っている。  
それが芹沢夏希の主な印象であろう。  
まるで天使のような笑みは、女の子と見間違うほど無邪気で可愛らしい。  
──が、どうあっても彼は男子。しかも普通の男子よりよっぽどの男らしさを備えている。  
日常の中でそれを実感する事はたまにあるが、それでもハナは油断していた。  
夏希の同性のような外見と自分に対する態度から、  
彼の「男」の部分を見縊っていた、と言ってもいいのかもしれない。  
 
***  
 
 
「ちょっと学校早く終わったけど・・・、誰も来てないかな?」  
終鈴よりかなり早く終わってしまった5限目の教室を後にして、  
夏希は鞄片手に放課後のたまり場と化しているホッケー部部室に足を運んだ。  
誰もいないのなら取り寄せた菓子を盛り付けて、お茶の準備でもしておこうか。  
そんな事を思いながら。  
 
 
ガラリと引き戸を開けて中に入ると、そこには意外にも先客がいた。  
──ただし、白目を剥き、鼻提灯を垂らして眠っていたが。  
 
天使の寝顔とは程遠いそれの持ち主はハナ。夏希の友人織田泉が強引に勧誘してきた後輩だ。  
「──まさか授業サボって寝てたわけじゃないよね・・・」  
知らずにぽろりと言葉が漏れる。彼女ならばそれさえもやりかねない。  
(う〜ん、下手に起こしても機嫌悪くなりそうだし・・・。  
みんなが来て、お茶の準備が終わったら自然に起きるだろうな、多分)  
そう独りごちてお湯を沸かそうとコンロに火をつける。  
 
昔はコンロの存在さえ知らず火をつけることにも一苦労だった夏希だが、  
その扱い方をハナに教えてもらった今では造作もない事だ。  
やかんを火にかけ、取り寄せてもらったお菓子の包みをがさがさと開ける。  
 
今日の一品は熊本産ブルーベリーゼリーだ。  
普段のお菓子よりかはかなりの安値だが、ブルーベリーの酸っぱさと冷たいゼリーの感触が堪らない。  
見た目の涼やかさに舌鼓を打ちながら、夏希はそれを皿に盛って冷蔵庫に入れようとする。  
と、その時、ハナの体がびくりと動いた。   
 
「・・・・・・?」  
不気味な気配を感じ取って、夏希は恐る恐るハナの方を見る。  
すると今までマッサージチェアで歯軋りしながら寝こけていたはずのハナが、ゆらりと起き上がっていた。  
意識のないまま。  
その異様な有様は、人が見れば叫んで逃げるなり警察に通報するなりなんなりしていただろう。  
 
 
しかし夏希にとってこんな光景はもはや日常茶飯事だった。  
「・・・ああ、食べ物の匂いがしたから無意識に起きちゃったのかな?  
ハナちゃんは相変わらず食欲旺盛だねえ」  
白濁としている目からして彼女に聞こえているとは到底思えないが、  
夏希は普段の可愛らしい微笑でハナを見ながらそう言った。  
 
とりあえず体をあちこちにぶつけながらもこちらの方へと(ゼリーの方へと)  
近寄ってくるハナの眼前に、ゼリーの乗った皿を差し出してみる。  
くわっと口を開け、犬食いでそれに喰らいつこうとしたハナを見て、夏希の悪戯心が芽を出した。  
 
食いつく直前で、さっと皿を手前に寄せる。  
──ガキン!と歯と歯の強く噛み合う音が聞こえた。  
 
 
「・・・駄目だよハナちゃん、寝たまま食べるなんて行儀が悪いなあ」  
その様子を見てツボにはまった夏希が、笑いながらハナに向かって言った。  
そして何度かそれを繰り返し、しまいにはハナの目の前で、──それをぱくりと自分の口に収めた。  
「きちんとハナちゃんの分もあるから、ちゃんと目を覚ましたら食べさせてあげるからね。  
・・・あ、これひんやりしてて美味しいなぁ」  
咀嚼しながら悪気のない笑顔で夏希がハナに言う。勿論その声はハナに届いていない。  
 
そして、──無意識のハナにとって、おあずけは我慢できる行為ではなかった。  
 
 
「!?ハナちゃん、なにっ・・・、──んむ・・・・・・!!」  
突然夏希の唇に、ハナのそれが強く押し付けられる。  
そして彼の開いた口の隙間から強引に舌を差し込み、ゼリーだけを丁寧にかき寄せ、自分の口に運び込む。  
その巧みな舌使いに夏希は目を見開いて驚いた。  
 
「ハ、ハナちゃん──!?」  
その間にもハナは名残惜しそうに甘さの残る夏希の唇や、ゼリーが零れ落ちた胸元を丁寧に舌先で味わっていた。  
それが終わると、それまで意識のなかった表情に幸せそうな笑顔が浮かぶ。  
 
 
「・・・・・・美味しい・・・」  
満足そうに笑って言うと、ハナは再び全身を弛緩させて眠りに落ちた。  
呆然としている夏希に、ぽてりとハナの体が寄りかかってくる。  
「──ハナちゃん・・・」  
彼女の唾液でべとべとになった薄い唇を拭いながら、夏希は笑顔でぽつりと言った。  
 
 
「ここまでしといてなんにもないと思うなよ?」  
 
 
普段より多少強めになった語尾を発する彼の笑顔には、  
それはもう物凄いくらいのどす黒さを感じ取る事ができる。  
もちろんそんな彼の言葉も、ましてやその恐ろしい威圧感も、  
ひたすら惰眠を貪っているハナに届く事などはなかったのだった。  
 
見た目は華奢でもやはり男は男。持ち前の腕力で軽々とハナを抱きかかえた夏希は、  
柔らかいマッサージチェアにハナを下ろし、制服のリボンをそっと外す。  
 
 
相変わらず死んでいるような半目の瞼を強引に瞑らせ鼻提灯を割ってやると、  
童顔のハナは結構可愛らしく、無垢な天使の寝顔と言っても過言ではなかった。  
「みんなが言うよりかは可愛いと思ってるんだけどね」  
 
ハナの寝顔に自分の予想が当たったと思えた夏希は満足そうに彼女の頭を撫で、  
先程自分に押し付けられた唇に今度は自分からそっとそれを重ねた。  
ゼリーの甘酸っぱい味が、まだ舌先から味わう事ができる。  
「ん・・・、甘いな・・・」  
ハナの唇をつっ、と舌の先端でなぞりながら夏希。  
 
更に彼は先程ハナにされたように、今度は彼女の口内に自分の舌を侵入させる。  
ゼリーの余韻残る冷たさと唾液のとろりとした生暖かさが、夏希の舌を支配した。  
「・・・んぅ、・・・む・・・」  
多少の息苦しさを覚えたのかハナが顔を歪ませるが、それでも起きる気配はない。  
 
 
どちらかと言うと早く起きてハナに驚いて欲しいと思っている夏希は、できるだけ大胆に彼女の口内を蹂躙していった。  
歯茎を丁寧に舌先でなぞり、そのまま彼女の舌に吸い付いて自分のそれを絡ませる。  
(ハナちゃんの唇って柔らかいな〜。・・・まぁ、当たり前のことなんだけど・・・)  
普段余りにも人間離れしている行動を取るハナも、結局は年端もない少女なのだと実感する。  
するとそれまで欲情しかしていなかった夏希の心のどこかに、切ない胸の痛みが走った気がした。  
 
 
「・・・まさかね」  
泉じゃあるまいし、と思いながら慌てて唇を離す。  
互いの唇の間に名残惜しそうに垂れる唾液の糸が、やけに夏希の感情を昂らせた。  
「ふにゃ・・・」  
やっと十分に酸素を得られるようになったことに満足したのか、  
多少頬を赤くしたハナは再び安堵したような表情で眠りについている。  
本来ならば、夏希はここで彼女をなんとしてでも起こすつもりだった。  
(・・・でも・・・)  
夏希にしては珍しく胸を高鳴らせながら、ハナのセーラー服にそっと手を潜らせる。  
音もたてずに、彼女のブラジャーのホックが外された。  
 
 
「ごめんねハナちゃん。・・・まぁ僕も所詮男の性には抗えないってことなんだよ」  
少しだけ自嘲気味に微笑んで。  
 
彼は少し自分より高めだと感じる彼女の体温に、溺れるように触れていった。  
 
予想通り、──といっては失礼なのだが予想通りなのだから仕方がない。  
ハナの乳房は控えめな大きさだった。  
それでもその手のひらに収まるくらいが可愛らしいと思えてくるから不思議なものだ。  
 
セーラー服とホックの外れたブラジャーを上にまくしあげると、  
白い乳房とその先端に控えめに色づく薄桃色の突起が露になる。  
それを両手で優しく撫で回し、先を指で軽く弾いた。  
「ふ・・・にゃぁ・・・」  
眠りこけている表情は変わらないものの、ハナの体がぴくりと身じろぎする。  
 
 
「・・・ハナちゃん可愛い」  
心底そう感じながら、夏希は胸の先をくりくりと指で押さえつける。  
しばらくそうした後に指を離すと、ハナの先端はぷっくりと固くなって芽を出した。  
捏ねるように乳房をしだきながら、乳輪やその先を舌の先でちろちろと舐めると、ハナの体が一層ふるりと震えた。  
 
「ん・・・、やぁ・・・」  
心持ち息を荒げながらハナが声を上げる。そろそろ意識を戻しそうだ。  
これだけ彼女の体を弄っていれば当然の事とも言えるだろう。  
しかしそんな事など全く気にする様子もなく、夏希はひたすらハナの体をまさぐっていた。  
 
まだ幼さの残る腰回りをひたすら撫で回したり、  
柔らかい鎖骨にかぷりと噛み付いたりしているうちに、段々夏希の体にも熱が回ってくる。  
 
「ハナちゃんの体って、・・・意外とやっぱりちゃんと女の子なんだよねぇ」  
どことなくしみじみと実感しながら、次第に声音を上げていくハナを楽しそうに見つめ、  
彼女の感じる部分をじりじりと攻め上げていく夏希だった。  
 
「ぁ・・・、や、も・・・っ!なに・・・??」  
喘ぎながらも睡眠を妨げられた不快感に眉根を寄せながら、やっとハナが目を覚ます。  
「あっ、やっと起きた?おはようハナちゃん」  
驚きもせずに、至近距離で夏希がいつものように挨拶をする。  
 
「す、すいません夏希先輩、・・・って、なんじゃこりゃああああああ!?」  
自分の置かれた状況に案の定慌てふためきながら、ハナがいつも通り可愛くない悲鳴を上げた。  
「ちょっと黙ってて。今いいとこなんだから」  
それだけ言って、未だ雄叫びのような悲鳴を上げ続けるハナの口に、自分の口で蓋をする。  
「!・・・ふぅ、む!・・・ふ!ぁ・・・あふ・・・」  
何がなんだか分からない内に唇を奪われ、犯されるハナは目を白黒させるばかりだった。  
 
 
「ふぁ、もぅ・・・!な、なんなんですかぁ・・・!?」  
先程より幾分語気の弱まった口調で、ハナが必死に唇を離して言った。  
「なんなんだはこっちの台詞だよ。言っとくけど先にちゅーしてきたのはハナちゃんなんだからね?」  
「うっ、うっそだぁ!私がそんなことするわけないじゃないですかぁ!?」  
元々色恋沙汰に全く興味のないハナは、確信めいた口調で反論してくる。  
それに笑みで圧力をかけ、夏希は改めてハナを組み伏せた。  
 
「もう嘘でもホントでもどっちでもいいよ」  
 
 
顔のすぐ上にある、今まで見たこともないような不敵な笑みを見せる夏希に、  
ハナはどきりとして思わず目を逸らした。と、その時。  
「──あれ?部室の鍵開いてないけど誰がもってんだっけ?」  
 
部室の外から、泉の声が聞こえた。  
 
「────っ!!!???」  
両手で口を塞ぎ、声にならない悲鳴を上げながらハナが顔を蒼白にする。  
 
 
「崇〜、鍵もってんの誰だっけ?」  
「俺じゃないし、普段から双子と鈴木は持たないし、・・・夏希じゃないか?」  
更に崇の声まで聞こえてきて、ハナは今にも卒倒しそうな心持ちだった。  
 
そんなハナを見てくすくすと小さく笑いながら夏希が小声で言う。  
「大丈夫だよ。鍵ならほら、机の上に置いてあるから」  
見やると確かに、そこには鍵が置いてあった。しかしハナはもし鍵を開けられたらと気が気でない。  
とりあえずそろりと立ち上がり、引き戸の部分につっかえ棒を置いた。  
「・・・こ、これでなんとかならないかな・・・」  
 
冷や汗をだらだらと流しながら鍵を見るハナの後ろに、ぬっと影が沸く。  
「あ、ハナちゃんも本気になってくれたってこと?嬉しいなあ」  
本気で思っているのかと感じるような軽口を叩きながら、夏希がハナを後ろから抱きしめた。  
そして再び少し熱が冷めてしまった胸に手を這わせる。  
 
「ちょ、ちょっと・・・!」  
「だーめ。大声出すと泉たちに聞こえちゃうよ?」  
 
非難しようとするハナの唇をちゅ、と吸って、夏希がいたずらっ子のように笑った。  
「う・・・、で、でもだからってこんな・・・、・・・!? ・・・っ!」  
小声で口うるさく咎めようとするハナを余所目に、  
夏希は乳房を弄りつつもう片方の手でハナの下着の上から、その秘裂を指で撫でていた。  
「ちょっと、・・・!」  
「だから大声だしちゃ駄目だって」  
それまで執拗に胸を責めていた手で、ハナの口をくっと塞ぐ。  
それでももごもごと何か訴えようとする彼女の耳元で、夏希は面白そうに囁いた。  
 
 
「・・・あれ?ハナちゃん、嫌がってる割には結構濡れてるんじゃない?」  
 
 
途端にハナは顔を真っ赤にして身を固くした。  
あえてゆっくりと、確認するように、じわじわと下着を指でなぞる。  
すると中心部は既にもらしてしまったかのようにぐっしょりだった。  
 
「ほら、ね?・・・ホントはいっぱい感じてたんじゃないの?」  
言いながらそっと下着の中に指を忍び込ませ、改めて割れ目を辿って行く。  
とろとろに蜜が溢れたそこは、くちゅくちゅと音を立てながら夏希の指に花弁を震わせた。  
「・・・ぐちゅぐちゅいってる」  
「そ、そんなこと言わないでください・・・!」  
外のメンバーに聞こえないように小声で、それでも涙目で必死にハナが叫んだ。  
「恥ずかしがる事なんかないんじゃない?寧ろ俺としては嬉しいんだけどね、感じてくれてて」  
耳元で囁きながら、敢えて敏感な部分には触れないようになぞっていく。  
 
 
「やぁ、・・・ずるいです、こんなの・・・」  
びくびくと背をひくつかせながら、ハナはぼろりと涙を溢した。  
 
「それにしても誰も来ないのな、結構終礼終わってから時間たってんのに・・・」  
ため息を漏らす泉に、崇が冷静に返事を返す。  
「双子は今日はなんか用があるとか言ってたな。鈴木と夏希は、・・・何も聞いていないが」  
「そうか・・・。さっきからハナに連絡してるんだけどあいつ全然携帯でる気配ねーんだけど」  
「俺も夏希にかけているが、同じく一方通行だな」  
 
 
 
「良かったね、ハナちゃん携帯サイレントにしといて」  
泉と崇がため息をついている扉の正に向こうで、夏希は必死に声を押し殺しているハナに囁きかけた。  
寝る事が何よりも幸せな彼女の事だ、部員が来るまで邪魔はされたくないと思って携帯を無音にしたのだろう。  
対して夏希の方はマナーモードであるものの、鞄に入った体操服が上手くバイブの音を外に漏れにくくしているようだった。  
 
「はぁ・・・、も、夏希せんぱ・・・、んぅ・・・」  
扉にもたれかかりながら必死に声を押し殺し、「やめて」を懇願するハナだが、  
ここまできて夏希に引くという選択肢など微塵も無かった。  
寧ろ彼女の体を焦らし、虐めるのが楽しくて堪らなくなっていたりしていて。  
 
乳房をくにくにと蹂躙させながら臀部を撫でていると、彼女の腰が困ったようにくねり始める。  
「あれ、どうしたの?ハナちゃん。どこか痒い所でもある?」  
「ちが、ちがいます・・・!」  
しれっとした様子で言うと、多少語気を強めて返してきたので、夏希は慌てて彼女の唇を手で塞いだ。  
 
 
「あれ?今なんか声が聞こえなかったか?」  
「・・・気のせいだろ」  
 
外の二人のそんな会話を聞きながら、夏希は諭すように言葉を紡ぐ。  
「大声だしちゃ駄目、っていったでしょ。分かってるよ、疼いてるんでしょ?」  
必死でぶんぶんと首を横に振るハナ。しかし彼女のそんな態度とは裏腹に、  
指先に甚振られた彼女の秘部は物欲しそうに涎を垂らして唇を震わせているのだった。  
 
既に夏希のほうも我慢の限界に近づきつつあったので、手早くジッパーを下ろし、そこから自分のモノを取り出す。  
「・・・何度も言うけど声だしちゃ駄目だからね」  
十分に硬くなったそれをハナの入り口に当てて、夏希は言った。  
「やっ、だめ・・・」  
ハナのそんな言葉は無視して、彼は一気にハナの蜜壷を貫いた。  
 
 
「────────っ・・・!!!!!!」  
「ん・・・、はぁ・・・!」  
 
 
互いに懸命に声を押し殺す。二人とも待ちかねた快感に思わず声を漏らしてしまいそうだった。  
それを何とか喉の奥に堪え、ふるふると体を快楽に震わせた。  
「・・・なんだかんだで気持ち良いんでしょ?えっちだなぁハナちゃんは」  
自分の事を棚に上げて言うと、言われた相手は顔を真っ赤にして涙を零しながら、それでも毒を吐いた。  
「夏希先輩の・・・ばかたれ・・・!」  
 
 
(・・・可愛いなあハナちゃん)  
彼は心底そう思った。  
 
「誰も来ないみたいだし、そろそろ帰るか。メールは入れといたし」  
「ん、そだな。崇俺ん家の車のってくか?」  
「・・・・・・」  
「・・・」  
 
 
遠ざかる二人の声に安堵している様子のハナを見ながら、夏希は一気に腰を強く動かしていく。  
「やっ・・・!せ、せんぱい・・・・・・!」  
「もう二人ともいなくなっちゃったみたいだし、思う存分声出して良いよ」  
こっちも存分に動けるし、とは言わないでおく。  
 
「だ、誰が声なんか・・・・・・」  
後ろから責め立てられる快感に知らん振りをしてみるも、熟れた体は既に情欲の炎が滾っていて、  
我慢すればするほど、泣きたくなるくらい気持ちよくなってしまうハナだった。  
それは勿論夏希も同じ事で、冷静にしていてもやわやわと暖かく蠢くハナの内部に理性は瓦解しかかり、  
ともすればあっという間に達しそうな具合であった。  
 
 
「うっ・・・ふ、・・・・・・は、・・・・・・ぅ・・・・・・」  
必死で声を堪えるハナを見ていると、夏希に意地悪をしすぎてしまったかという少しの罪悪感と、  
愛らしいという想いが胸に込み上げて来てしまう。  
今度ばかりは自分が折れるべきかな、と思いながら夏希は耳元で切なくハナに懇願した。  
「ごめんね、ハナちゃん、意地悪ばかり言って。・・・声出してよ。ハナちゃんの可愛い声、聞きたいからさ」  
 
それを聞いた瞬間、ハナがぼろぼろと涙を零した。  
「そんなの、ずるい・・・!今更・・・・・・っ!」  
「・・・ごめん」  
 
体勢を維持するためにぴんと張り詰めた彼女の細い背中を優しく抱きしめる。  
そして腕を回して上下に揺れる幼い乳房をふにふにと弄ると、ハナが困ったように悲鳴を上げた。  
「あぁっ・・・!や、・・・せ、せんぱぁい・・・!ふ、・・・んぁ・・・、は・・・ぅ!」  
それが嬉しくて、夏希は激しく腰を動かし、己を突きたてる。  
「んあ、だめ・・・!あぅ、んっ、んんっ、・・・っはあ・・・!!ひぁ、や・・・!」  
「うん、・・・ハナちゃん、可愛い」  
熱くなったハナの首筋に唇を落とし、それからは甚振る事もなく、本能のままにハナを貪った。  
 
にちにちと絡まりあう粘膜に自分自身を擦り付けながらハナのか細い肢体を抱き寄せる。  
汗ばむ体がぴったりとくっつき、なんとも言えない安心感と心地よさを夏希は覚えた。  
同時に、少しずつ自分が放たれそうなのを感じ取る。  
 
「ハナちゃん・・・、そろそろ、俺イッっちゃうかも」  
ごめんね、と謝りながら、夏希は一気に、ハナの体を壊してしまうほどの激しさで腰を上下に動かした。  
「んや・・・!あっ、そんな、・・・あたしも、うっ、んっ、あ・・・!あんっ・・・!ふぁあんっ・・・!!」  
がしがしと腰を打ちつけられながらハナもまた、意識を快感に手放してしまうのだった。  
 
「ん・・・、あ、ああぁっ・・・!!」  
「ふ、ぁ、はぁ・・・」  
 
 
ハナの胎内に夏希の性がどくどくと流れ込む。  
崩れ落ちるハナを抱き寄せ、夏希は残りの体力を振り絞ってソファーに倒れこんだ。  
そのままぐったりとうなだれるハナの頭にちゅっと口付け、どさりと頭をソファーに落とす。  
暫く二人とも、 無言で息を荒げたまま寝転がっていた。  
 
 
 
「いや、実際襲っちゃったのは俺のほうだし、本当、ごめんね?」  
しばらくして乱れた服を整え、部室の鍵を開けながら夏希はハナに謝った。  
「こういうことって本当は好きな人と、することでしょ?・・・夏希先輩の遊び事に巻き込まないでください!!」  
普段泉に向かって怒鳴り散らすような面持ちで言うハナをみて、  
夏希は悪いと思いつつも、なんだか嬉しいような気がして仕方なかった。  
 
「俺だって好きな人としかしない主義だけどな」  
その言葉にハナがぎくりとする。  
「・・・またまたご冗談を・・・」  
「本当だってば!」  
どことなくむきになっている自分を実感しながらも、夏希は敢えて素直に、自分の気持ちを伝えた。  
 
 
「俺はハナちゃんのこと好きだからしたい、って思ったんだ。・・・本当のことだから。  
結局無理やりしちゃった形になったけど、ハナちゃんはどう?俺のことどう思う?」  
こればかりは期待できない答えに不安を覚えながらも、夏希は真っ直ぐにハナを見つめた。  
 
──自分の気持ちが出来るだけ伝わるように。  
 
すると顔を真っ赤にしながらハナが俯く。  
「キライだったらあの時部室の扉叩いて、泉先輩達呼んでますから・・・!」  
その精一杯のハナの答えに、夏希の顔が思わず綻んだ。  
「・・・そっか」  
 
 
 
 
 
「ねぇ、今日ウチくる?誰もいないんだけど」  
部室を後にした帰り道。二人で帰路を歩きながら夏希はにこにこと笑いかけた。  
「夏希先輩のおうち・・・。素敵なベッドなんでしょうね!」  
こいつ明らかにガン寝する事しか考えてやがらない、  
といったようなうっとりとした表情を見せるハナに、夏希は冷静に突っ込んだ。  
「いや、誰もいないんだけどって言ってるじゃん。寝かすつもりないから」  
察したハナが顔を赤くして夏希に抗議する。  
「夏希先輩のえっち・・・」  
「男なんてそんなものですから。でもま、疲れたらさ、──・・・一緒に寝よう?」  
柄にもなくどこか照れたような夏希を見て、ハナは初めて、バカみたい、といつものように微笑んだ。  
 
 
 
翌日起こしても起こしても起きないハナに夏希が頭を悩ませるのは、また別の話。  
 
 

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