「ふぅ…」  
 
カンカンと照りつける太陽の下、アシタカは畑仕事に精を出している。  
 
「今日も暑いな…」  
 
手ぬぐいで汗をぬぐう。もう旅装束を着てはいない。  
むき出しの二の腕から先には、もうタタリのアザはかすかに跡を残しているだけだ。  
 
「アシタカさまー!」  
 
村の方から一人の女性が走り寄ってくる。  
 
「おトキさんか。」  
「はい、お弁当とお水だよ!」  
「いつもありがとう。」  
「あれ?うちの幸六は?」  
「ああ、幸六なら…」  
 
アシタカは木陰で居眠りをしている幸六を指差した。  
それを見てトキは眉根をしかめた。  
 
「ったくもう!アシタカさまばっかり働かせて…こら幸六!!」  
「…ふが?…うわぁ、お、おトキ!?か、堪忍!」  
「牛の世話もほったらかしで何してんだいこの石潰し!」  
「ははは…おトキさん、許してやってくれ。まだ怪我が辛かろう。」  
「甘やかさないで下さい!大飯は食らうくせに、なーにが怪我なもんですか!」  
「お、おトキぃ…堪忍してくれよぉ…」  
「ダメだね、あんたの分の弁当は没収!牛にでもくれてやるさ!」  
「そんなぁ…」  
「ははは…」  
 
タタラ場が崩壊してから、この地ではエボシを筆頭に戦とは縁遠い村づくりを目指していた。  
タタリから開放されたアシタカもまたこの地で暮らしている。  
シシ神騒動の際、石火矢衆も地走りは元より、男衆もタタラ場を守っていた女衆も  
その数を減らしてしまっていた。人手はいくらあっても足りない。  
悲しい出来事だったし、取り返せない過ちではあったが立ち止まるべきではない。  
アシタカは村の再興のためにこの地に残るためにしたのだ。  
そして何より…  
 
「さて幸六、ここは任せたぞ。」  
「へいダンナ!いってらっしゃいやし!」  
「あれ、アシタカさま?」  
「ああ、いいからいいから。ダンナ、ごゆっくりー!」  
 
トキはせっかく弁当を持ってきたのに、とアシタカの背を見送った。  
何故だろうと考えていたが、思い出した。  
 
「ああそっか、今日は…」  
「他人の恋路を邪魔する奴は、って言うだろ?」  
「だったらなんでアンタが居眠りしててアシタカさまだけ働かしてんのさ!  
 仕事代わってさしあげるくらいしないか、この宿六!」  
「ヒィ!か、勘弁…!」  
 
アシタカは慣れた足取りで森の中を歩いていく。  
件の騒動の際、森の多くの木々から生命は失われ枯れ果てたかと思われたが  
シシ神の命を分け与えられ、徐々にそれを取り戻してきている。  
 
コロコロコロ…  
 
「コダマか。今日も邪魔するぞ。」  
 
森の精霊であるコダマの姿も徐々に戻りつつあるようだ。  
自然と共に生き、先の騒動において森を守るために戦った彼に対して  
森は優しく迎え入れる。  
人々も今は山や森を切り崩すことなく、共存していこうと考えているようだ。  
いつかは森と人が争うことなく、平和な村が出来上がると良いな。  
アシタカはそう考えている。そしてそれはきっとエボシも同じはずだった。  
そして…  
 
サラサラ…  
 
水音が聞こえてくる。  
いつぞやのあの泉…シシ神の池だ。  
チャプ、と水が弾ける音がした。  
アシタカはそちらに足を向ける。  
 
 
「…シシ神さま…」  
 
そこにいたのは、森で唯一アシタカと心通わせた少女、サンであった。  
サンは一糸まとわぬ姿を惜しげもなく晒し、腰まで水に浸かっている。  
それに気づかず、アシタカは歩を進めた。  
 
「…サン、ここにいるのか?」  
「…!あ、アシタカ!?」  
 
バシャ、と水が奔る。とっさに身を翻し振り返ったサンとアシタカの目が合った。  
 
「あ…」  
「あ…」  
 
木の陰から現れたアシタカの眼前には、水に濡れ、木漏れ日にきらめくサンの白い肌があった。  
二人はそのまま固まってしまう。  
髪から垂れた水がピチャン、と水面に落ちた。  
 
「す、すまない!」  
 
アシタカは顔を逸らし、木の陰に戻った。  
 
「…」  
 
サンはそれに答えず、水中に立ち尽くしたままだった。  
 
ぴちゃん。  
 
「…」  
 
水から上がり、服を着たサンは何も言わずにねぐらへの道を歩いている。  
アシタカには声をかけない。  
相当に怒っているのだろうか、アシタカもまた声をかけることもできず後ろを付いていく。  
木々の合間を抜け、岩場に出る。  
高台にある洞窟、そこがサンのねぐらだった。  
 
ねぐらに入ると、サンは壁に背を向けてあぐらをかいてしまった。  
いまだ一言も発さない。  
せっかく十日に一度の逢瀬だと言うのに、下手を打ってしまった。  
アシタカは後悔しながらサンに語りかける。  
 
「サン…すまない。本当に、わざとじゃ…」  
「…見たのか?」  
 
背を向けたままサンは言う。  
嘘はつけない。  
 
「…すまない。」  
 
あの池の水はとても澄んでいたが、木漏れ日が反射していたため、下半身は見えなかった。  
見えたのは年相応に成長した、白い胸と…  
だが実際のところ、そんなことはアシタカは考えてはいなかった。  
ただただ混乱し、まじまじと見ることは叶わなかったが、もとよりそういうことにはあまり興味は無い。  
サンは徐々に口を開いた。  
 
「山犬の裸など、見ても面白くないだろうに。」  
「サン…」  
「それはもういいんだ。水浴びなら、いくらでも見せてやる。」  
 
確かにサンはそういうところに疎い。  
山犬として育てられたために、俗世の感覚からかけ離れているところがあった。  
ならば、今怒っているのは何故だろうか、とアシタカは考えて思い当たった。  
あの池は…  
 
「…シシ神、か…」  
「…そうだ。あそこにいると、またシシ神さまが来るような…  
 シシ神さまを感じられるような、気がするんだ。」  
 
サンはいまだシシ神を慕っている。  
たとえ錯乱したシシ神に呪いを受け、命を奪われかけようとも。  
そのシシ神にとって大事な場所であるあそこで、自らをさらす事でシシ神を思い出し、感じていたのだろう。  
とすれば、邪魔をしたことは本当に悪いことをした、とアシタカは思う。  
 
「…すまなかった。」  
「…いいさ。もう、怒ってない。」  
 
クル、と座ったままでサンは振り向いた。  
良かった、いつものサンの笑顔だ。  
胸元には玉の小刀が揺れている。  
 
「今日は、長くいれるのか?」  
「ああ、仕事はひと段落したからね。」  
 
アシタカがこの地に残ったもう一つであり、最大の理由はこれだった。  
森の近くに住めば、いつでもサンと会える。  
願わくばサンと共に暮らしたかったが、それは叶わない。  
せめて十日に一度でもこうして会えるなら、それで十分だった。  
そうしてサンとアシタカはお互いに話をする。  
村で何があったか、森の木々がどうなったか、獣たちは戻ってきたか、何を食べたか…  
共通の話題も、くだらないことも、何でも話し合った。  
そうすることで、お互いの存在を確認しあってきたのだ。  
だが、アシタカは妙に思った。なにやらサンに元気が無い。  
それに気になることはもう一つ。  
 
「そういえば、山犬たちは?」  
「…今は、いない。」  
「いない?」  
 
おかしな話だ。あの二匹はモロがいなくなってからというもの、それまで以上に  
サンを大切にし、付かず離れず暮らしていたはずだ。  
初めの頃などはアシタカが来るたびに警戒し、うなり声をあげたこともあっただろうに。  
 
「サン…何かあったのか?」  
「…」  
「サン、教えてくれ。」  
 
悲しげに眉尾を下げ、目を逸らすサンの顔がアシタカの胸に刺さった。  
アシタカはサンの肩を掴み、サンの目を見据える。  
 
「…盛りだ…」  
「盛り?」  
「あの子たちはオスだから…子供を作りたいんだって…」  
 
盛り、発情期か。  
なるほど、獣である山犬ならば当然あるだろう。  
 
「それで何故、ここを出て行く?」  
「…わたしがいるからだ。」  
「何故サンがいると?」  
 
そこまで聞いて、アシタカの鼻を甘い匂いがついた。  
良い匂いだ、そのときは単にそう思った。  
 
「…サン…」  
「…この間、下の子がわたしを押し倒した。いつもみたいにじゃれあってるんだと思って…」  
「…」  
「でも、違った。…すごく興奮してて……大きくなってたんだ…」  
「サン…」  
「…上の子が、すぐ止めたからそれで終わったけど…  
 しばらくの間は一緒にいられないって…わたしを、襲ってしまうからって…!」  
 
ぽろぽろとサンは大粒の涙をこぼす。  
兄弟のように育った山犬に襲われたことが悲しいのだろうか。  
離れなくてはならなかったのが悲しいのだろうか。  
しかし、サンの口から出たのはそのどれとも違った。  
 
「わたしは山犬だ!山犬が山犬の子を産んでなにが悪いんだ!」  
「サン…」  
「わたしと子を作りたいならそう言えばいいだろう!  
 母さまもいない!もう山犬のメスはいないんだ!わたしが産まなきゃ、山犬は…!」  
 
髪を振り乱してうなだれるサンから放たれる甘い匂いがますます強くなった。  
それにより、アシタカは確信した。  
単に発情期だからあの二匹は出て行ったのでは無い。  
山犬として育てられたサンもまた、同調するように体の準備が出来たのだろう。  
この甘いメスの匂いが、二匹を狂わせてしまうからだ。  
実際には山犬の子を産むなどできはしない。  
それに、山犬の生殖器がどういうものかアシタカは知らないが、  
サンを背に乗せて走ることのできるあの二匹とサンでは、体の大きさが違いすぎる。  
きっと、サンの体が壊れてしまう。  
サンは人間なのだから。  
だが、今はそれを口にしない。  
それを今言えば、サンはますます興奮してしまうだろう。  
山犬として育ち、山犬の家族として愛されながら、決して山犬になりきれない。  
サンは今、家族に捨てられたような、山犬ではないと言われたような気持ちなのだろう。  
誰よりも強く、凛々しい少女の体がかつてなく小さく思えた。  
アシタカはただ涙を流すサンの肩を抱きしめていた。  
 
やがて、夜の帳が下りた。  
 
「…夜に、なっちゃったな。」  
 
もう獣たちの姿はほとんど失われたとは言え、夜の森を歩くのは危険だ。  
 
「泊まっていけ。」  
 
アシタカはサンの申し出をありがたく受けることにした。  
 
 
更に夜が更ける。  
岩場を煌々と照らす満月が紺色の空に上がる。  
毛皮にくるまって寝ていたアシタカは、チリン、というかすかな音を聞き目を覚ます。  
 
「…サン…?」  
 
横で寝ていたはずのサンの姿が無い。  
先ほどの弱弱しい姿を思い出し、ふと不安になる。  
サンの姿を求め、洞窟の中を見渡すがやはりサンの姿は無かった。  
 
チリン…  
 
先ほどと同じ音が洞窟の外から聞こえた。  
サンは外にいるのだろうか。アシタカは洞窟の外に出る。  
 
 
月明かりが眩しいほどに降り注いでいる。  
岩場は銀色に染まった荒野のように見えた。  
 
チリン…  
 
音は頭上から聞こえてくる。  
洞窟の天井を作っている大岩の上からだ。  
アシタカはそちらへ向けて岩を登っていく。  
 
 
結論から言えば、サンはそこにいた。  
だが、アシタカは目を疑った。  
 
「ふ、ぅ…っ…ん…ぅ…」  
 
クチュ、クチュ…シュル、チュプ…  
 
サンは月明かりを一身に受けながら、銀色の丘の上で自らの股間に指をやっていた。  
身を震わせるたびに胸元の小刀が揺れ、音を鳴らす。  
アシタカは声を出せずにそれを見つめる。サンはアシタカに気づいてはいない。  
 
「んっ…んぅ…くぅ…」  
 
ぴちゃぴちゃ、と水音が響く。  
ちりんちりん、と石音が混じる。  
ハッハッ、と吐息が荒く、早くなっていく。  
 
サンが今何をしているのか、アシタカは知っている。  
だが、驚きを隠せない。サンはそういうこととは無縁だと思っていたし  
そういうことを想像したことも無かった。  
昼間、サンが何度も子を作る、と連呼していたことが思い出される。  
子を作るのであれば、避けられないことがある。  
そういうことをサンで想像することはしなかったし、したくはなかった。  
アシタカにとってサンは何よりも大事なものであり、強く、美しくあって欲しかった。  
そのサンが自慰にふけっている。  
アシタカはその様を見つめ続ける。股間が硬く膨らんでいることにも気づかずに。  
 
「ふ、うぅっ…ん、んくぅ…あ、あぅ…」  
 
サンはアシタカに気づかず、自慰を続けている。  
発情期、その言葉がアシタカの脳裏をよぎった。  
サンは赤子の頃から山犬として育てられた。  
兄弟として育った山犬が発情期なのだとしたら、サンもまた発情期なのでは無いだろうか。  
そんな想像がかきたてられるが、すぐに消える。  
今、アシタカの頭の中にはサンの姿を見続けることしかない。  
 
「はぅっ…はっ、はっ、はっ、は…!あ、あ…、〜〜〜〜〜〜ッ!!」  
 
ぎゅう、とサンが身を丸める。  
腰巻の裾から水滴が飛び、月明かりで銀色に輝き、岩に落ちて染みこんでいく。  
服の中から手を抜く。指先は余すところ無くぬめっており、きらきらと輝いている。  
サンは指に舌を伸ばす。  
ぺちゃ、と指先に付いた汁を舐め取っていく。  
伸ばされた濡れた舌の動きから、細められた目の淫らさから目が離せない。  
そういう経験があるわけでも無いだろうに、オスを興奮させる仕草だった。  
股間で主張するアシタカの男根がギリギリと服に締め上げられて悲鳴を上げる。  
身をよじった瞬間、衣擦れの音と共にジャリ、と足音を立ててしまう。  
 
「!?」  
 
サンが振り返った。アシタカと目が合う。  
昼間と同じ状況が再現された。  
だが、アシタカは今度は隠れる気は無い。  
ザ、と岩場へ登っていく。  
 
「あ、アシタカ…見てたのか…?」  
「…」  
 
アシタカは答えない。黙々とサンが腰掛けている方へ歩を進めていく。  
サンは何をしていたのかを隠すように、そして無言のアシタカから逃げるように身をよじる。  
 
「あ、アシタカ…」  
 
アシタカはなおも答えない。  
サンのそばに立つと、アシタカは手を伸ばした。  
手はサンの腕を掴む。抱きしめられたときとは違う、遠慮の無い強い力で腕を掴まれ  
サンは顔を歪ませる。  
そのままサンは腕を引かれ、立ち上がらされる。  
 
「あうっ…」  
 
サンはアシタカに手を引かれ、洞窟へと戻る。  
月明かりの届かない洞穴の中に入ると、アシタカはサンを寝床へ追いやった。  
アシタカの手はなおもサンの腕を掴んでいる。  
 
「アシタカ、痛い!」  
「サン…私も、男なのだ…」  
「…!?」  
 
バッ、とサンが羽織っていた毛皮を剥ぎ取る。  
中にこもっていた甘いメスの匂いが強くなった。  
 
「やめろ、アシタカ!」  
 
暴れるサンの両肩を掴み、寝床へ押し倒す。  
乱暴に背中を叩きつけられ、サンの肺から息が押し出される。  
 
「か、はっ…あ、アシタカ…!」  
 
目の焦点が合わず、力の抜けたサンの体から服を剥ぎ取っていく。  
動物の毛皮や、人間から奪った布切れでできているだろう服は簡素で、  
たやすくサンは肌をはだけさせられてしまう。  
 
「サン…ッ!」  
 
上着を脱がせると、サンの白い肌があらわになった。  
山野を駆ける生活を送っていたサンの体は肉付きがよく、それでいて引き締まっている。  
ぷるん、と双の乳房が揺れた。  
アシタカの目がそれを捕らえたとき、アシタカの動きが止まった。  
乳房の先端、小さく尖った乳首に目を奪われる。  
その瞬間、サンの手がアシタカの服を掴んだ。  
 
「…!ふっ!」  
「っ!?」  
 
サンの手によって服を引かれ、アシタカは引き倒された。  
その勢いを殺さず、サンは立ち上がって駆け出す。  
だがアシタカはそれを逃さなかった。  
アシタカの手がサンの足首を掴んだ。  
 
「あっ!?」  
 
足を掴まれたサンは地にヒザを付く。  
アシタカはすぐに起き上がり、背後からサンの腕を掴んだ。  
サンがアシタカをにらむ。  
 
「やめろ、アシタカ!」  
 
アシタカは先ほどまでとは違う、冷静な、いつくしむような目でサンの目を見据える。  
そして、言った。  
 
「サン…そなたは、美しい…」  
「え…」  
 
それ以上何かを言えないように、アシタカはサンの唇を塞いだ。  
 
「ん…っ!」  
 
サンの目が驚きに見開かれる。  
かみ締められた歯を、アシタカの舌が舐める。  
少しずつ、少しずつ、サンの体から力が抜けていく。  
サンの目が細くなっていく。  
サンの腕を掴んでいるのとは反対の手が、白いわき腹からへそのあたりへと滑っていく。  
 
「んぅ…!」  
 
サンはなおも身をよじる。だがアシタカの力には抵抗できず、  
下半身だけがもぞもぞと動くしかできない。  
その最中、サンの尻がアシタカの股間の膨らみに押し付けられた。  
硬い感触が伝わる。  
 
「…ッ!」  
 
アシタカは口を離す。つぅ、と引かれた糸が月明かりに輝く。  
 
「わかるか、サン…これが、人間なのだ…これが、男なのだ…!」  
「あ、アシタカ…」  
「サン…そなたも、人間だ…!」  
「違う!わたしは山犬だ!」  
「あの山犬たちはそうは思っていないから去ったのだ!」  
「…!!」  
 
アシタカは普段ならばこのようなサンを傷つけるようなことは言わない。  
だが、アシタカにも今は余裕は無かった。  
 
「サン…そなたでは無理なのだ…山犬の子は、そなたには産めない…!」  
「嘘だ!わたしは山犬だ!母様の娘だ!」  
「サン…」  
「わたしが子供だったからだ!あの子達と交われなかったから悪かったんだ!  
 だから、だから…!」  
 
だから山犬のモノを受け入れるために、一人あのような行為に走ったとでも言うのだろうか。  
それもあるかも知れない。  
サンにとって、山犬はたった二人…いや、二匹の家族であり、  
自身が山犬であることが自分の証明であったのだ。  
だからこそ森のために命を賭けた。これからもきっとそうなのだろう。  
どこまでも人間になりきれないこの少女が、今はたまらなく愛おしい。  
それはサンの体から漂う、淫らな匂いのせいで無いと言い切れるだろうか。  
 
「サン…!わかってくれ、そなたが人間であると…!」  
「黙れ!黙れ黙れ!わたしは山犬だ!」  
「サンっ!」  
「あっ!?」  
 
再びアシタカはサンを引き倒す。  
うつ伏せに押し倒され、起き上がろうともがくサンの背にアシタカがのしかかる。  
 
「やめろ、アシタカ!こんなのダメだ!」  
「サン…もう止まらぬのだ!」  
「アシタカ!」  
 
サンの体にただひとつ残された衣服である、腰巻に手をかける。  
一瞬の躊躇の後に、アシタカの手はそれを一息に剥ぎ取った。  
 
「あっ!?」  
 
下履きは履いていなかった。  
ふくよかな白い尻があらわにされる。  
先ほどの自慰のなごりか、股間から尻の間までは透明な露にまみれていた。  
甘い匂いが濃さを増す。アシタカの鼻から脳を突き上げる。  
引き下げられた腰巻を、サンのヒザの辺りで腕まくりをするように巻き上げる。  
きつく締め上げられた両足は動きを封じられるが、なおも逃げ出そうとサンはもがいている。  
 
「サン…なんと、美しい…」  
「や、やめろアシタカ!そんなの、嬉しくない!」  
 
つう、とアシタカの指が丸い尻の表面を滑る。  
 
「ひっ!?」  
 
つつつ…と指は外から内へと滑っていく。  
その先に何があるのか、それはサンが一番よく知っていた。  
 
「あ、アシタカ…!」  
「サン…ッ!」  
 
つぷ、とアシタカの指が柔らかな膨らみに触れる。  
誰も触れた事の無いそこは蜜にまみれていた。  
 
「う、うぁ…!」  
「サン…濡れている…」  
「や、やめろ…!」  
 
クチュクチュクチュクチュ…!  
 
「うあ、あ、あ、あ、あああーーーーッ!?」  
 
アシタカの指が割れ目に添えられ、蜜をかき混ぜる。  
遠慮も気遣いも無い、先ほどサンが自分でしていたのとはかけ離れた愛撫。  
サンにとっての不幸は、それを受け入れられるほどに濡れていたことだった。  
 
「や、めろ…あ、した、か…!」  
「サン…!こんなにも、熱い…!」  
 
前後に走っていた指の動きが変化する。  
突く様に、広げるように、撫でるように。  
なんとか逃げようと腰を揺らすが、無為に終わる。  
それどころか動くたびに指が強く当たることがサンを苛んだ。  
 
「う、うあ、うあぁ…は、ぅぁ、あぁぁ…あ、あああッ――――!!??」  
 
ぴ、プシャ…  
 
サンの股間から、一筋の水が噴出した。  
ひくひくと腰が震えている。  
達したのだ、アシタカはそれを目の当たりにして理解した。  
 
「サン…わかるか、これが人間の交わいだ。」  
「あああ、あ…」  
「山犬の交わいではない。私も…そなたも、人間なのだ…」  
 
上気した顔を寝床に伏せ、サンは言った。  
 
「う、うるさい!お前なんか大っ嫌いだ!…っ!?」  
 
そこまで口にして、サンはハッとした。  
そんなこと、思ってもいなかったのに。  
サンは混乱していた。  
自分は山犬だ。こいつは人間だ。  
わたしのことを、美しいと言う。  
わたしのことを、好きだと言う。  
わたしのことを、人間だと言う。  
わたしは…?  
 
アシタカは顔を伏せたサンの耳元に顔を寄せ、つぶやいた。  
 
「サン…私が嫌いか?」  
「…」  
「…サン…すまない、ひどいことをした…」  
 
バ、とサンは顔を上げて、アシタカをにらみつけた。  
サンの目は涙に潤んでいる。  
怒号のごとく、サンはアシタカに怒鳴った。  
 
「うるさい!お前は卑怯だ!」  
「サン…」  
 
ぽろぽろと涙を流しながら、サンは怒鳴り続ける。  
 
「わたしは山犬なのに!人間じゃないのに!人間なんてなりたくないのに!」  
「…」  
「人間なんて嫌いだ!お前なんて嫌いだ!」  
「サン…」  
「わたしを人間だって言うお前が嫌いだ!わたしの中にずかずか入ってくるお前が嫌いだ!」  
「…」  
「山犬になれないわたしが嫌いだ!お前が来るのを楽しみにしてるわたしが嫌いだ!」  
「…」  
「お前が人間の村でどうしてるんだろうっていつも考えてるわたしが嫌いだ!  
 お前が来たら何を話そうっていつも考えてるわたしが嫌いだ!  
 お前がくれた小刀が手放せないわたしが嫌いだ!」  
「…」  
「山犬じゃなくて人間だったら、なんて、考えてしまうわたしが嫌いだ!  
 おまえに触れられるのが嫌じゃなかったわたしが嫌いだ!」  
「…」  
「お前のことが嫌いになれないわたしが、いっちばん大っ嫌いだ!!!」  
 
嵐のように怒号を撒き散らした後、再び顔を伏せてはー、はー、と荒い息をする。  
うぐ、えぐ、と嗚咽を漏らしている。  
アシタカはそっとその肩に手を添えた。  
サンの身を起こし、抱きかかえる。  
サンはアシタカの肩口に顔を埋めて涙を流す。  
 
「すまない…」  
「…お前は、卑怯だ…」  
「…」  
「…勝手にしろ…」  
「サン…」  
 
二人は暗闇の中で口付けを交わした。  
 
アシタカもまた裸になり、サンの背後に回る。  
手はサンの尻肉を掴む。  
柔らかな肉が指の間からはみ出している。  
 
「アシタカ…」  
「サン…そなたは、子供では無い。」  
 
それを教える。そうは言わない。口にせずとも、今からそれをサンは知るだろうから。  
硬く反り返った男根に手を添えて、サンの股間へと導く。  
サンもまた、尻を上げてそれに備える。  
覚悟ができていたわけでは無い。人間であることを認めたわけでもない。  
後ろからするようにアシタカを導いたのはそのためだ。  
するならば、山犬の交わいでしたかった。  
それはサンの最後の抵抗だったのかもしれない。  
 
「サン、ゆくぞ…」  
「…」  
 
サンは無言で顔を伏せる。  
アシタカの男根の先端がサンの膣口に触れる。  
静かな洞窟の中にくちゅ、と音がした。  
ああ、今から交わうんだ。人間と。アシタカと。サンの心に様々なものが飛び込んでくる。  
だが、それらは全て股間から走った激痛によって霧散した。  
 
「ぎっ…い、痛い!アシタカぁ!!」  
「サン…耐えろ!」  
 
ぐ、とアシタカが尻を掴み、腰を進める。  
硬い男根が少しずつサンの股間に呑み込まれていく、いや、割り入ってくる。  
 
「う、あああーーーーーッ!!!」  
 
身を引き裂かれるような痛みに、サンは手足を振り乱す。  
じたばたともがき、何とか逃げ出そうとする。  
だが、いまだ足の拘束は解かれていない上に腰を掴まれているのでは  
それは叶わない。  
少しずつ自分が壊されていくような感覚にただ耐えるしか無かった。  
 
「痛い!アシタカ、やめて!!」  
「もう、止められぬ…!もう少しだ!」  
 
ぐぐぐ、と男根の先端、亀頭が埋まっていく。  
男根の中で最も太い部分がサンの処女膜を引き裂き、膣へと侵入していく様を  
アシタカは罪悪感と共に眺めていた。  
サンの顔に目をやれば、涙が頬を伝い、寝床へとポタポタと落ちているのが見えた。  
早く済ませなければ、そう思いなおも腰を進める。  
 
グプン…!  
 
やがて、亀頭の全てが膣内へと埋まった。  
そこでアシタカは動きを止める。  
処女膜の部分には、最も侵入に苦労した雁首よりもやや細い竿が当たっている。  
先ほどまでよりも、幾分かは楽なはずだ。  
サンを見る。サンは顔を枕に埋めて耳を真っ赤に染めている。  
よほど辛いのだろう。プルプルと小刻みに震え、呼吸が浅い。  
アシタカはサンの首に手を添える。  
ビク、とサンの体が震えた。  
 
「サン…大丈夫か?」  
「…!」  
 
ゆっくりとサンは顔を上げる。顔が涙に濡れていた。  
 
「お、終わったのか?」  
「済まぬ…これからだ。」  
「ッ!?」  
 
アシタカは残された部分を全て膣内に埋めんとし、サンの肩を掴み  
腰を押し出した。  
 
ズ、グググ…!  
 
「――――――ッ!!」  
 
声にならない絶叫を上げ、サンは目を見開いた。  
開いた口がアシタカの手首を噛んだ。  
 
「ぐっ…!」  
 
食い込んだ歯がわずかに皮を破る。  
アシタカの手首からは血が数雫滴った。  
これでサンが少しでも楽になるならば、とそれを振りほどこうとはしない。  
その代わりに、少しでも早く済むようにと腰を進め続ける。  
 
「―――ッ!!―――――ッ!!――ッッッ!!」  
 
獣のように、アシタカの手を加えたまま頭を振り乱す。  
あと少し、というところでアシタカは意を決した。  
空いた手を腰から離し、下腹を下から抱え上げる。  
腰を固定し、一気に残った男根の全てを突き入れた。  
 
ズンッ!!  
 
「―――ッ!!!!カハッ…!!」  
 
サンはこれ以上無いというほどに口を開く。  
アシタカの手が開放されると同時に、背後からサンの顔が見えないアシタカの目から  
開かれた口の隙間から、犬歯が垣間見えた。  
背を反らしたサンの胸元で、小刀が漏れ入ってくる月明かりを反射しキラキラと輝く。  
サンは上体を縮めるようにして痛みに耐えている。  
数秒の間そうしていたかと思うと、突然糸が切れたようにサンの体が  
寝床へと倒れ伏した。  
ギチギチと男根を締め付ける膣とは正反対に、全身が脱力している。  
 
「サン、無事か?」  
「ぐ、痛い…!壊れそうだ…!」  
 
サンは寝ワラをかみ締めて痛みに耐えている。  
 
「辛いか?山犬とでは、もっと辛いぞ?」  
「…」  
 
サンもわかっていた。人間としての交わいがこれほど辛いのならば、  
あの子達と交わえば、自分は本当に壊れてしまう。  
サンは山犬ではない。  
身を引き裂かれるような痛みは、サンの心もまた引き裂こうとしている。  
アシタカも苦悩していた。  
サンを人間としたいのに、それがサンを傷つけてしまう。  
そして今、サンが苦しんでいることも、これから苦しむであろうこともわかっているのに  
男根に絡みつくヒダの感触は、それを貪れ貪れとアシタカの頭をせかし立てる。  
アシタカもまた、まだ年若い少年なのだ。  
惚れた相手との交わいで後に引けるほど、年経ても磨れてもいない。  
 
「サン、動くぞ」  
「ま、待ってアシタカ、まだ痛い…!」  
 
密着していたアシタカの下腹とサンの尻が離れる。  
サンの股間から、アシタカの男根がズズズ、と姿を現してくる。  
森を守るためにただ一人戦い続けてきた強く尊い少女が、今自分の下で、自分の手によって  
もたらされる苦痛に歯をかみ締めて耐えている。  
しかしてそれを拒絶するでもなく、受け入れようと耐えている。  
その姿が、引き抜かれていく男根についた破瓜の血が、アシタカの心を責め立てる。  
獣になれと。人間という獣になれと。  
男根に絡み付いてくる少女の膣ヒダは、入ってくるなと拒んだり、出て行くなと引き止めたり、  
まるで人と獣の狭間で揺れるサンの心を表しているようであった。  
 
アゴを上げ、真白い背を反らしてふるふると震えるサンの横顔に顔を近づける。  
 
「サン…」  
 
耳元でつぶやいた。  
サンは薄目を開けてアシタカを見る。  
どちらからともなく、舌を絡め合わせた。  
サンの手がアシタカの頭を抱える。  
 
「アシタカ…怖い、怖い…!」  
「大丈夫だ、私がいる」  
 
アシタカの手がむき出しの乳房に触れる。  
初めに指が触れたのは、ツンと立った乳首だった。  
ピクン、とサンの体が強張った。  
サンの目がアシタカを見つめる。  
サンは不安そうな顔で、何も言わずアシタカを見つめ続ける。  
アシタカもまた、内心では不安でたまらなかった。  
だが、今一番辛いのはサンだ。溺れるものを救うには、自分が立っていなくては。  
その一心…男としての誇り、とも言えるのかも知れない。  
それがアシタカに不安げな顔をさせることも、目を逸らさせることも許さなかった。  
 
目を合わせ、無言のままアシタカは指をふくよかな乳房に走らせる。  
 
「…っ、…、…っぁ…!」  
 
経験の無いサンには、何をされているのかわからない。  
胸など、戦いの邪魔でしか無いと思っていたはずなのに、  
アシタカに触れられると、そういうのが全部どうでもよくなるような、幸せな気持ちになる。  
吐息のかかりそうな距離で、眉尾を下げて不安そうな、すがるような顔をアシタカに向けるサン。  
アシタカはそれをまっすぐに受け止め、大丈夫だ、という言葉を目に込めて見つめ返す。  
アシタカの指はなおも少女の胸を弄び続ける。  
つつつ、と胸と腹の境目をなぞり、先端をくりくりと捏ね、乳房を絞り上げるように揉む。  
少しずつ少しずつ、乳首は尖りを増していき、同時にサンの吐息も荒くなっていく。  
 
ハッ、ハッ、ハッ…!  
 
アシタカの指が尖りきった先端に触れる。二本の指で挟みこむように、つまむように。  
決して圧力をかけず、触れているだけの状態にとどめる。  
もう一方の指はすすす、と胸から下腹へと滑っていく。  
股間の薄い茂みを越え、その奥にあるもう一つの突起へと迫る。  
あとほんの僅か指を進めればそこに触れるだろう、というところで指を止めた。  
 
サンとアシタカの目が合う。  
サンの瞳は痛みだけでは無い潤みに濡れていた。  
まるで、何かを懇願するような。  
 
「…」  
「…」  
 
コクリ、とアシタカが頷いた。  
サンが飛びつくようにアシタカの口を塞いだのと、アシタカの指が動きを再開したのは同時だった。  
 
「…!ふ、んむ、むぅ…っ!ん、んっ、んぅ、んっ!!」  
 
互いの唾液を貪るようにすすりあう。  
アシタカの口腔にサンの甘い唾液が流し込まれる。  
指は硬くしこった乳首と、股間の茂みの更に奥にある突起をつまみ、こねまわす。  
キュ、と指が突起を締めるたびにサンの体が跳ねる。  
それでもサンは口を離さない。  
それどころか、アシタカの頭を抱える腕の力はますます強く、  
細い指が首筋につきたてられる。  
アシタカには、その痛みすらも心地よく、拒絶するものではなかった。  
 
どれほど互いを貪っただろうか。  
やがてアシタカの男根にかすかにぬめりが感じられた。  
アシタカは腰を動かしてはいない。  
しかしそれが感じられたということは、答えは一つだった。  
アシタカは目を開き、サンとの結合部に目をやった。  
サンの股間から湧き出た蜜が茂みを伝わり、ポタポタと滴り落ちている。  
それだけではない。  
硬く痛みに耐えていたサンの腰が、わずかずつ動き始めている。  
それは自覚してのことだろうか。  
答えは否だ。サンにその余裕は無い。  
だが、三つの突起に与えられた刺激によって十分な潤みを得、  
膣内を広げたまま動こうとしない男根から刺激を搾り取ろうという本能がそうさせたのだろう。  
先ほどまでは痛みに耐えるように、ただただ強く締め上げられていた男根だったが、  
今はその締め付けは緩んでいる。  
もう痛くは無いのだろう、アシタカはそう考えた。  
であれば、することは一つだった。  
 
なおもアシタカの口を貪り続けるサンの顔を引き離す。  
半開きの口から舌が覗く。  
アシタカはサンの顔を見たまま、腰を数回動かしてみる。  
決して乱暴にはならず、伺いを立てるように。  
 
「あ…」  
 
アシタカの言わんとするところを理解したサンは、アシタカの首に回していた腕をするりと解いた。  
 
「サン…」  
「アシタカ…」  
 
荒い吐息を呑み込んで、サンは微笑んだ。  
そして、顔を伏せて小さく頷いた。  
それだけで十分だった。  
 
アシタカは体勢を整え、サンの腰を掴む。  
 
「サン、ゆくぞ」  
 
返事は無かった。その代わりなのか、男根を締め付ける膣口がきゅうう、と締め付けを増した。  
ぐ、と腰を押し出す。  
まだ狭い膣はやはり抵抗は強かったが、それでも最初とは比べ物にならないほど  
スムーズに男根を飲み込んでいく。  
ずずず、と押し入れていくと、何度かサンの背がピクン、ピクン、と震えた。  
アシタカの下腹とサンの尻が触れ、また離れる。  
ぐぐぐ、と男根が引き抜かれる。硬く膨れ上がった亀頭がサンの膣内を抉っていく。  
ヒダの合間にたまった蜜を巻き込むようにかき出していく。  
サンの背はまたもピクンピクンと震える。  
フーっ、フーっ、と何かに耐えるような荒い鼻息をかいている。  
何に耐えているのだろうか、少なくともそれは痛みにでは無いことはわかった。  
一回出し入れするのに数秒、いや十数秒もかかっていた抽送が、徐々に勢いを増していく。  
それにつれ、サンの背がじっとりと汗をかいていく。  
 
「サン…サン…っ!」  
「……っ!」  
 
アシタカは抽送を続けていた男根を引き抜いた。  
つぅ、とサンの蜜が糸を引いた。  
アシタカの手が、顔を覆うようにしているサンの手を掴んだ。  
ぐい、と両腕を引っ張る。  
 
「うぁっ!?」  
 
サンの手の甲には歯型がついていた。  
何かを耐えるように、歯を立てていたのだろう。  
だが、それももう叶わない。  
腕を引かれ、上体を起こさせられたサンの口を覆うものは何も無い。  
アシタカは何をするんだ、と不平を漏らしそうに振り返ったサンに言った。  
 
「聞かせておくれ、サンの声を」  
 
言うや、引き抜いた男根を再度突き入れた。  
 
ズプププ…  
 
「…!ふぁ、ぁぁぁぁ…!!」  
 
サンの口から、甘い声が漏れる。  
アシタカは先ほどまでよりももっと早く、抽送を繰り返す。  
サンの膣から湧き出た蜜に洗われ、男根にこびりついていた破瓜の血はもはや残っていなかった。  
 
ズプッ、ズチュッ、ズチュッ、グププッ、グポ…!  
 
「ふぁっ、あ、うああっ!あ、あぅっ、くぁあっ!!」  
 
漏れ出す声は止まらない。溢れる蜜もまた止まらない。  
パン、パンと肉と肉がぶつかり弾ける音が洞窟にこだまする。  
 
「アシタカ、ダメっ!わたし壊れちゃう!わたしがわたしで無くなっちゃう!あ、あああっ!」  
 
絶頂が近いのか、膣の締め付けがきゅうう、と強まった。  
アシタカもまた、限界が近かった。  
 
「サン…!私もだ、共にゆこう…ッ!」  
「アシタカ!アシタカぁ!!」  
 
それから数度、かつてなく深く、かつてなく強く、アシタカの男根が  
サンの膣を抉った。ふるふると痙攣していることが男根を伝わってわかる。  
小刻みな震えはやがてギュッ、と強烈な締め付けに変わった。  
ほぼ同時に、サンの口から雄たけびが放たれる。  
 
「ォァアアアアアアアアアアアッ!!!」  
 
ギュウウ、と男根を千切るような締め付けの中で、  
一瞬遅くアシタカも限界に達した。  
 
その一瞬の中で、アシタカは逡巡した。  
このまま出してしまって良いものか、と。  
確固たる理由も答えも出なかったが、ためらいはあった。  
そのためらいが、アシタカに男根を引き抜くことを選ばせた。  
 
絶頂し、ガクリと頭をうなだれたサンの股間から男根を引き抜いた。  
その瞬間、アシタカも達した。  
力の入らない全身を、サンの尻の上にのしかからせる。  
 
「うぐ…!」  
 
ビュル、ビュク、ドク…!  
 
「…!?わぷ、あ、アシタカ、やめ…うぶ…!」  
 
男根の先端は、寝床に頭をつけて脱力していたサンの顔に向けられていた。  
自然、放たれた精液はサンの顔へ、びちゃびちゃと振りかけられた。  
アシタカはそれに気づいていない。  
一通り射精を終え、全身から力が抜ける。  
サンの腕を掴んでいた手を離し、寝床へと倒れ付した。  
 
「はぁっ…!サン…」  
 
肩で息をするアシタカの横で、絶頂の余韻がまだ消えないだろうサンが  
むくりと体を起こした。  
アシタカはそこでようやくサンの顔に自らの精液を振りまいてしまったことに気づいた。  
 
「!さ、サン…済まない、私は…!」  
 
サンの顔の赤い化粧が、白く濁った精液で乱されている。  
ぷるん、と粘り、まぶたに張り付いた精液のために片目を開けないでいる。  
アシタカはサンが激怒することを覚悟した。  
だが、サンは怒る様子も無く、まぶたの精液を指ですくいとった。  
それを眺めて言う。  
 
「アシタカ、これは何だ?」  
 
仰向けになり、虚脱感に襲われているアシタカを見下ろしながら、サンは尋ねた。  
 
「…子種だ。」  
「子種…これが…」  
 
サンは指先でふるふると震える精液を口に運んだ。  
ちゅぱちゅぱ、と子供がするように精液ごと指をしゃぶる。  
 
「サ、サン…」  
 
顔中に塗りたくられた精液を、すくっては舐め取っていく。  
それはアシタカの子種だからなのだろうか、それとも本能なのか、何も考えていないのか…  
だが、アシタカにとって自分の体からでた欲望の発露である穢れ、それを  
惚れた少女が舐め取っていく様子は、たまらなく興奮させられるものであった。  
やがて、全ての精液を飲み終えたサンが言う。  
 
「やっぱり…変な味。」  
「…」  
 
アシタカは何も言えない。  
サンはアシタカの股間の男根が徐々に硬さを取り戻し、雁首をもたげ始めているのを見た。  
そこには、サンの膣から湧き出た蜜がたっぷりと塗られていた。  
 
「…」  
 
無言でサンは体を起こし、拘束されたままの足をひょこひょこと進めながら  
アシタカの股間に顔を近づけた。  
 
「さ、サン!?」  
 
サンの手がアシタカの男根を掴んだ。  
乱暴ではなく、添えられるような感じだ。  
だが、射精直後で敏感になったアシタカの男根はそれでさえも  
耐え難い刺激と受け取ってしまう。  
 
サンの口が開かれ、舌が伸ばされる。  
赤い舌がサンの蜜でてらてらと光る男根に触れる。  
 
ピチャ…  
 
「サン、よせ!そのようなことせずとも良い…!」  
「大事なところだ。綺麗にする。それに、初めてじゃない。」  
「なに…?」  
 
静止を聞かず、サンはアシタカの男根へ舌を走らせるのを止めない。  
 
ピチャ、ピチャ、ペチャ…  
 
「う、ぐ…」  
 
相手を気持ちよくさせようというのではなく、ただ単純に汚れを落とそうというだけの  
舌での愛撫。無骨で他意のないそれはまさしくサンという少女の内面を表したようで  
アシタカはそれによって再度欲望を高められていく。  
やがて蜜をぬぐい終えたサンが、硬くそびえた男根を見つめて言った。  
 
「綺麗になったな。」  
「サン…初めてじゃないとは…?」  
 
サンは屹立した男根を手で握り、ぐにぐにと揉みしだきながら言った。  
 
「お前が倒れていたとき、苦しそうにしていた。ここもすごく大きくなっていたんだ。」  
 
いつぞやの、シシ神に命を助けられたときのことだろうか。  
あの時は意識も朦朧としていたために、よく覚えてはいない。  
 
「母さまが教えてくれたんだ。こうやって、悪いものを抜いてやれって。」  
 
シュニ、シュニ、シュニ…  
 
「うう…モロが…?」  
「そうだ。人間の男はこういうことがたまにあるって。  
 シシ神さまからもらった命が暴れてるんだって。」  
 
亀頭の先端、鈴口から先走りがプクゥ、と玉を作る。  
サンはそれを指でぬぐい、潤滑油にするように塗り付けていく。  
 
チュク、チュク、チュク…  
 
「悪いものを何回抜いても治らなかったから、心配した…  
 あれは、子種だったんだな。」  
「サン…そのときに…?」  
「…うん。ちょっと、飲んだ。悪かった。」  
「い、いや…」  
 
硬く膨らんだ亀頭をサンは口に含み、舌を走らせる。  
指は根元から丹念、と言っていい指使いで男根を擦り上げている。  
 
チュプ、ヌル、ヌルルルル…ジュル、ジュプ…  
 
「う、ううう…さ、サン…!」  
「…ぷぁ…わたしにしかできないからって、教えてくれた。  
 アシタカ、楽になったか?」  
 
どう答えればいいのだろう。  
楽になったかどうかと言われれば、答えは否だ。  
射精への欲望がさらに高まって、苦しいとさえ言える。  
だがそれを説明する自信は無い。  
言いよどんでいると、サンは男根から口を離した。  
 
「…ぷぅ。…まだ、出るんだろ?」  
「サン…?」  
 
足を拘束していた履物を脱ぎ、ポイと放り捨てる。  
サンは脱力したまま仰向けで寝転がり、されるがままになっていたアシタカの  
頭上をまたぐ。しっとりと蜜にまみれた股間が眼前を横切った。  
 
「サン、何を?」  
「子種を中に出すのが交わいだろう?母さまに教わったんだ。」  
 
たしかに本当の目的はそれだ。  
だがアシタカにはその覚悟が薄かった。  
だから先ほどはそれをせずに終えようとしたのだが、  
この少女はそんなところでもアシタカよりも強い。  
もう覚悟ができているというのか、アシタカは自分を恥じた。  
サンはアシタカを見下ろし、屹立する男根の上に立った。  
腰を下ろしていく。  
 
「今度は…わたしが上だ。いいだろう?」  
「サン…」  
「見たいんだ、アシタカの顔…」  
 
今度は山犬のするような交わいでは無く、人間のそれを、というのか。  
それはサンの心の中の、山犬へのこだわりに何か変化が生じたのだろうか。  
思案するアシタカの眼前で、サンの腰が沈んでいく。  
 
つぷ…  
 
「んっ…」  
 
亀頭が粘膜に触れる。先ほどまでの交わいで、サンのそこは十分に準備ができていた。  
大股を開き、アシタカの腹に手を置いて少しずつサンは腰を落としていく。  
 
ズプンっ…!  
 
「うぁ…」  
 
男根が根元まで飲み込まれ、サンの口から喘ぎが漏れる。  
じゅく、と膣から湧き出た蜜が溢れ、アシタカの股間を濡らす。  
 
「サン…」  
「アシタカ…」  
 
サンはアシタカの顔に手を添える。  
目を離さないまま、サンの腰だけがまるで別の生き物であるかのように  
蠢き、男根を締め上げる。  
 
グチュ、ジュプ、チュブ、チュク…  
 
ハッハッ、とサンの吐息が早まっていく。  
サンの頬は赤く上気し、瞳は潤みを増していく。  
それでもなお、アシタカとサンは互いの目から目を逸らさない。  
サンは上下の動きだけでなく、前後左右へ腰を揺らす。  
まるで経験は無いだろうし、誰に学んだわけでもないのに、  
そうすることが当然であるかのようにサンはアシタカを責め立て、自らも高みへ登っていく。  
サンの柔らかい肉と、吸い付くような白い肌の感触が  
アシタカとの間に塗りたくられた蜜を挟んで伝わってくる。  
男根を根元まで加え、前後に腰を揺するサンの陰唇が  
アシタカの玉を挟み込み、ねっとりとした愛撫を加える。  
 
「アシタカ、アシタカぁ…!気持ちいい…アシタカ、気持ちいい…?」  
 
半ば強引に犯されたような状況であるのに、まだ自分を気遣おうとしている。  
サンのそんな様子がたまらなく愛おしく、アシタカもまたサンの顔に手を添えた。  
互いの顔を見つめあいながら、アシタカは腰を突き上げた。  
 
ズグンっ!  
 
「ふあっ!?あ、アシタカ…」  
 
サンは腰を止めない。アシタカも止めない。  
前後左右に振り乱されるサンの腰と、激しく突き上げられるアシタカの腰。  
それがぶつかり合う戦場となったサンの膣内は、容赦なくかき混ぜられ  
溢れる蜜は所構わず撒き散らされる。  
腰だけではない。サンは頭を振り乱して、慣れない感覚に耐えている。  
胸元で小刀が揺れている。  
アシタカはそれを見て、ふるさとで待っている少女の顔を思い出したが、すぐに消した。  
 
「アシタカ、アシタカ!」  
「サン…!」  
 
自身の名を連呼し、汗と蜜にまみれて自分の上で踊るように腰を振り乱す  
サンの姿から目を離せない。  
頬に添えていた手をするすると滑らせる。  
頬から耳へ、耳たぶへ、耳の裏からうなじへ…  
指が新しい場所に触れるたび、サンの体が震えた。  
眉根を下げ、口をへの字に縛りながら顔を赤く染める。  
サンの体がぞくぞくと震え、やがて限界を告げる声がした。  
 
「アシタカ!アシタカ!もう、わたし、もう…っ!」  
 
くしゃ、とうなじから指を髪の隙間に入れる。  
空いた手はサンの腰を捕らえて逃がさないようにし、  
小刻みな痙攣を起こし始めた腰、その中央の結合部をめがけてアシタカは腰を突き上げた。  
 
ビチャンッ!!  
 
たっぷりと溜まった蜜が弾ける音と時間差で、サンの目が見開かれ、絶叫がこだました。  
 
「あ、あ、あ、わた、わたし、あ、わあぁァァァアアアアアアアッ!!!!」  
 
突き出された舌からよだれを垂らし、ぎゅう、と足を締めて腰を密着させ、  
背を弓なりに反らせてサンは長い長い絶叫を上げた。  
きゅうう、と膣が締まり、プシャ、と潮が飛んだ。  
サンは滑らかな首筋を全開に広げ、天井を見上げたまま舌を突き出し、ヘッヘッと荒い呼吸を繰り返している。  
開かれたままのサンの口の端から垂れたよだれが、つぅ、と頬から首筋へと伝う。  
やがてサンの体はゆらり、と前に向けて倒れてくる。  
アシタカはそれを両手で肩を掴んで止め、半ば失神したサンの体をゆっくりと  
自分のもとへと抱きいれた。  
ビクン、ビクン、とサンの体はなおも痙攣を続けている。  
四肢を投げ出して脱力したサンの体が小刻みに震える。  
アシタカの胸に押し付けられ、形を歪ませたサンの乳房の感触が心地よかった。  
その中央でツンと自己主張している硬い突起もまた同様に。  
 
「へぁ…あ…ぅ…」  
 
サンはアシタカの肩口に顔を埋め、いまだ絶頂の余韻から抜け出せていない。  
アシタカは身をよじり、投げ出されたサンの両足を自分の両足の下に敷いた。  
アシタカはサンの耳元で告げる。  
 
「済まない、サン…私はまだ、出していないんだ。」  
 
その言葉の意味を、呆けた頭でサンが理解するよりも早くアシタカは腰を突き上げた。  
 
ズンッ…!  
 
「うあああッ!?」  
 
がば、と身を起こして逃げようとするサンの頭を抱え込む。  
もとより足を下に敷いているために、腰から下は逃げること叶わない。  
 
「ダメだ、アシタカ…んっ…!」  
 
騒ぎ立てるサンの口を口で塞ぐ。  
強引に舌を割りいれ、サンの舌を引き出して吸い上げる。  
 
「んっ…ん、んぅ…あひたか、んぁ…!」  
 
サンの舌を捕らえた後、アシタカの手はサンのいまだ抽送から逃れようと引けている尻を掴んだ。  
ふくよかで、しっとりと吸いつく尻肉に指を埋め、腰を落とさせる。  
上からは手で押さえつけ、下からは男根で突き上げられ、逃げ場の無くなった  
サンの膣を、アシタカは縦横無尽に容赦なく突きまわす。  
 
ズグッ、ズンッ、グチュジュプジュプジュプ!!!  
 
「んぉ、ぉおおーーーッ!!あ、あひたひゃ、ひゃめ、ひゃめろお!」  
 
捕らえられた舌を動かせず、サンは口の隙間から舌足らずな声を漏らす。  
だが、アシタカはそれを聞き入れない。その余裕もまたアシタカには無かった。  
サンも、舌を逃れさせようと思えばできた。  
振り払おうとすれば、それもできたはずだ。  
だがそれをしようとはしない。それはアシタカを拒絶することになるからだった。  
どれほど人間を嫌っても、どれほど山犬になりたいと望んでも、  
どうしようもなくこのサンという少女は、この少年に惚れてしまっているのだ。  
少年がそうであるように。  
 
そして、覚悟はできている。  
人として交わいに臨み、一度は外に放たれた子種を、今度は胎内で受け止める、その覚悟は。  
山犬の子が産めないのなら、というやけっぱちというわけでは無い。  
始めはそうだったのかも知れないが、今ではサンは…  
 
「んぉ、ぅぶ、ぅぉぉ…ぉ、んおおぉ…!」  
 
舌と舌を絡めあわせ、アシタカとサンは互いの目を見つめあう。  
初めての感覚に翻弄され、心に火を燃やすサンの瞳は熱く潤み、  
アシタカの瞳にもまた、目の前の少女への愛と、かすかな獣欲が燃えている。  
逃れようとしていたサンの手から力が抜け、アシタカの頭へと回される。  
サンはアシタカの頭を抱え込み、逃がすまいとがっちり捕らえ、舌と舌の交わりを強めた。  
 
アシタカはサンの抵抗が無くなったのを知り、体を起こす。  
上に乗っていたサンの腰に手を回し、抱きかかえたまま優しく寝床に横たえる。  
その間も、サンはアシタカを離そうとはしない。  
拘束されていた足は、逆にアシタカの腰から離れまいとがっちりとアシタカの腰で組まれている。  
舌を貪るのをやめないサンをなんとか引き離し、アシタカは言った。  
 
「サン…せめて、人として…」  
 
獣のように背後からでも無く、商売女のように上下からでもなく、  
人として、互いに向き合って。  
それがアシタカの望みだった。  
サンがそれを承諾するかどうか、それが不安だった。  
 
「ん…」  
 
サンはアシタカの目を見て、優しく微笑んだ。  
コクリ、と頷く。  
それが合図になったかのように、二人は今度こそ遠慮なく、余すところ無く、  
お互いを貪った。  
 
「ん、んぅ、ぷぁ、あ、アシタカ、アシタカぁ!!」  
「サン…サン…!!」  
 
舌だけでは無い。すべての粘膜を擦り合わせ、全ての体液をすするように口を重ねる。  
アシタカの腰はその間もズンズンとサンの股間へと叩きつけられている。  
サンもまた、浮かした腰をグネグネとくねらせ、より深くアシタカを迎え入れようとしている。  
 
ズチュ、ズチュ、ズチュ、ジュパン、ジュパン、ジュパン…!!  
 
サンの手はアシタカの背に回されている。  
男根が突き入れられ、刺激に震える瞬間わずかに爪が立てられるが  
それすらもアシタカには心地よいものだった。  
アシタカの手はサンの双の乳房に回され、根元から先端までを余すところ無く  
揉み上げていく。ぐにゃ、むにぃ、とふくよかな乳房がいびつな形に歪む。  
 
パン、パン、パン、グチュプ、グチュ…パン、パンパンパンパン!!  
 
「あ、あああーーーーっ!!アシタカ、アシタカ、わたし、わたし!!」  
「サン…私も、私もだ…もう…!!」  
 
ギリリ、とサンの爪がアシタカの背に立てられる。  
それを引き金としたかのように、互いに体がビクビクと痙攣を始めた。  
サンは下に組み敷かれながら背を弓なりに反らせ、アシタカの体を持ち上げる。  
両足はがっちりとアシタカの腰を捕らえて離さない。  
アシタカはサンの背から頭へと手を回し、がっしとサンの顔を抱き寄せる。  
そのまま数度、男根をサンの膣へと突き入れ、最奥へと亀頭が触れた瞬間、そのときはやってきた。  
 
「アシタカ、あ、ぅああーーーーーーーっ!!」  
「サンーーーーーッ!!」  
 
ビュク、ブビュル、ドクン!!ドク、ドク…  
 
アシタカの男根から、サンの膣内へと精液が注ぎこまれる。  
同時に、サンの膣がかつてなくきつく締まった。  
狭い膣の中に大量の精液が流れ込んでいるのに、一滴も漏れ出さない。  
サンはアシタカの背を抱きかかえながらフーッ、フーッ、と獣のような吐息を漏らしている。  
全ての感覚を膣内へと集中しているのか、二人は一言も発さない。  
サンの足がアシタカの腰を捉えたままピクピクと震える。  
 
ドクン、ドクン…  
 
徐々に射精の勢いが弱まっていく。  
なおも二人は互いを抱きしめて離さない。  
乳房は押しつぶされ、硬く尖った乳首が埋め込まれてもサンは手を離そうとしない。  
やがて、射精が終わる。  
それを確認したかのように、サンの全身から力が抜けていった。  
腰を捕らえていた足が緩み、サンの腰が落ちていく。  
ヌルル、と膣内に埋まっていたアシタカの男根が引き抜かれていく。  
ヌポ、と水音を立てて引き出され、サンの腰が寝床に落ちた。  
腕からも力が抜け、サンは仰向けにバタリと倒れた。  
度重なる絶頂で疲労しきったサンは、うつろな目で天井を見上げていたが  
やがて意識を失った。  
 
アシタカもまた、全てをやり終えたかのような充足感に満たされて  
サンの隣に倒れこんだ。  
 
獣のような咆哮と激しい水音が響いていた洞窟内に静寂が戻る。  
後に残ったものはオスとメスの獣欲の名残のような、甘い匂いだけだった。  
 
 
夜明けが近くなった頃、サンが目を覚ます。  
 
「ん…」  
 
あたりを見回すと、もうすぐ太陽が昇るからだろうか、空が明るくなり始めていた。  
こんな空を見ると、あの日のことを思い出す。  
シシ神さまが乱心し、森が死に絶えかけたあの日のことを。  
すぐに隣で寝入っているアシタカが目に入った。  
すぅ、すぅ、と安らかな寝息を立てている。  
 
「サン…」  
 
寝言だろうか。自分の名を呼ぶこの少年の顔は  
夕べ見せた、オスのような猛々しいものとは全く違って見えた。  
身をよじると、股間がぬちゃり、とした感触に包まれているのが感じられた。  
そこには交わいの名残とでも言える、サン自身の蜜とアシタカの子種が残されていた。  
 
裸のままのアシタカに毛皮をかけてやると、  
サンはそれを指でぬぐい、匂いを嗅ぎ、舌に運ぶ。  
 
 
「人間臭い…」  
 
 
 
終わり  
 

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