ドルファンの気候がいくら温暖だとは言え、真冬ともなればそれはそれなりに寒い。  
傭兵達も外で剣技や馬術の訓練をするのを、ちょっと嫌がる季節ではある。  
しかしながら、彼らは戦闘のプロである。  
これしきの寒さで参っていては、過酷な戦場を生き抜く事など出来はしないし、訓練を怠けたつけは己の命で  
支払う羽目になる。  
しかし。  
過剰な訓練で体調不良を招いたのでは、それは本末転倒である。  
効果的に休養を取る事も又、重要事項である事は言うまでもないのだ。  
そう!  
傭兵たるもの、いつ如何なる時に召集がかかっても良いように、ベストコンディションでいなければならない!  
 
「と、言うわけで俺はあえて休んでいるんであって、これは怠けている訳では無いのだよ。ピコ君」  
 
ベッドの上で陸に上がったトドさながらに、ぐでーっと寝そべりながらそううそぶく青年傭兵を、ピコはじどっと  
見つめながら言った。  
 
「それを屁理屈って言うんだよ。この怠け者!」  
 
ここしばらく、大きな戦も無い。  
それを良い事に、ピコの相棒であるこの青年は宿舎で寝続けている。  
青年の主張もまんざら的外れでも無い。  
確かに、休養出来る時に休養しておくのも傭兵の心得ではある。が、しかし、だ。  
 
「いい若いもんが、一日中ゴロゴロゴロゴロ!訓練をしないっていうならせめて女の子とデートでもすればいい  
じゃない!」  
「むー」  
「むー、じゃない!いっぱい可愛い女の子と知り合ったじゃない!デートに誘ってみればいいのに」  
「なーんか、違うんだよなあ…」  
「違うって?」  
 
ピコは小首をかしげた。触角のように伸びた金色の髪が愛らしく揺れる。  
なおもぐでぐでと寝続ける青年の顔の方に羽ばたき、空中で静止して彼を見下ろしながら、ピコは尋ねた。  
 
「何?何が違うって言うの?」  
「イマイチ、俺の理想の女性達じゃないんだよなー」  
「ぜ、ぜ、贅沢な事を!」  
 
ここしばらくの自主的休養の成果か、青年の顔は歴戦の兵士と思えぬほど緩みきっている。  
緩んだのは顔だけで無く、おつむの方も同様らしい。ピコは呆れながらも言葉を繋ぐ。  
 
「ソフィアは?清楚で気立てが良くって、おまけにあれだけの美少女だよ?」  
「おっぱい」  
「はあ???」  
「おっぱいが、ちっさーいっ!!!」  
 
やおらやる気を出し、ベッドの上に起き上がって声高らかに叫ぶ相棒を見て、ピコは頭を抱えずにはいられなかった。  
そう。  
腕も立つし顔だって悪くない。  
そんな彼が今まで「もてない」でいるのは、ひとえにこの、女性に対する妙なこだわりのせいだった。  
 
「あのねー。女の子ってのは、おっぱいの大きさで判断していいものじゃないよ?」  
「否。断じて否!」  
「なんで文語体なのよ…」  
「そもそも!なんで俺が生まれ育ったとこを捨て、ドルファンくんだりまで来たと思う!」  
「この国なら、聖騎士になれる道があるから、でしょ?」  
「それもある。しかしそれは我が野望の一部にすぎんっ!」  
 
(あー、また始まった…)  
 
ピコはため息をついた。こうなると止まらないのは、長い付き合いでよーく分かっている。  
 
「俺がわざわざドルファンを選んで来た理由!それはっ!男ならば誰しも見る夢をかなえるため!」  
「あーはいはい」  
「つまり!」  
 
だん!とベッドを叩いて青年は声高に叫ぶ。  
 
「金髪!巨乳!男の夢見る二大アイテムを兼ね備えた女性と、やーらしい事をする為だあっ!!!」  
 
まっ昼間の宿舎の部屋に、青年の主張が轟き渡った。  
只でさえ、他人には見えない存在であるピコと会話している彼は「独り言の多い変な奴」と傭兵仲間で評判なのに。  
これで又、妙な噂が尾ひれつきで流れる事だろう。  
ピコはこめかみを揉んで頭痛をこらえた。  
 
「あー…じゃあさ、レ、レズリーなんかはどお?金髪だし、おっぱいだって…」  
「んー、悪くは無いが、もう一声欲しいな」  
「何が?」  
「おっぱいが」  
「…聞いたアタシが馬鹿だったよ…」  
 
青年には、良い恋人でも見つけて幸せになって欲しい。  
ピコはその為になら幾らでも尽力を惜しまないつもりだし、事実今までも様々な形で協力して来たつもりだ。  
しかし。  
 
(肝心の本人が、これじゃあねえ…)  
 
思わず匙を投げたくなるのをぐっと堪える。このくらいでめげていては、彼の相棒は務まらないのだ。  
 
「で、でもレズリーだってまだ成長期だし!これからいくらでもおっきくなるんじゃない?」  
「んー。しかしなー。彼女、割と気の強いとこあるだろ…」  
「う、うん」  
「俺、さ。ピコ…」  
「う、うん?」  
 
突然深刻な声を出す彼に、思わずピコは彼に近づき、顔を覗き込む。  
 
「実はさ。俺さ…」  
「う、うんうん」  
「もう一つ、理想の女性に求める資質があるんだ…」  
「うんうん。それは?」  
「それは、なあ…」  
「それは?」  
 
彼の鼻先に触れんばかりにして、ピコは彼を見つめる。  
その彼の口が、動いた。  
 
 
「すぐに、やらせてくれそうな女が、いいっっ!!!!!」  
 
 
蚊取り線香に燻された蚊のように、ピコはへろへろと失速してベッドに墜落した。  
 
「あ、あ、あ、あのねえっ!」  
 
こんなこっちゃないかとは思った。思ってはいた。  
しかあし。  
 
(こ、こっちの苦労も知らないで、コイツはぁっ!!)  
 
つぶらな瞳で、きっ!と彼を見上げ、文句の一つでも言ってやろうと口を開けかけたピコが、不吉な予感に押し黙る。  
まずい。この位置は、まずい。  
ベッドの上に胡坐をかいている彼の、丁度股間の真ん前に墜落してしまったのだ。  
彼の顔が、にまあっと笑う。  
ピコの額に、彼女の体に似合いの小さな汗が、たらっと流れた。  
 
彼の手が、ピコの肢体をむんずと掴む。  
決して強すぎず、それでいてピコには決して逃れられない力で握るその手口は、常習犯のそれだ。  
 
「なー、ピコー」  
「こ、こら!は、離しなさいってば!」  
「俺さー、金髪で巨乳で、んで、頼めばすぐやらせてくれそーな女の子がいいんだよー」  
「だ、だからちゃんと人間の女の子に頼みなさいっての!」  
「んー、俺、ピコがいいなー」  
 
にまにまと笑いながら、彼は器用に片手だけでピコを拘束する。  
両手と羽を握られ、ピコは辛うじて自由になる両足をばたつかせた。  
 
「も、もうっ!やだやだ!もうしないっ!」  
「なんだよー。最初にしてくれたのは、ピコの方じゃんかー」  
 
ピコの足が、ぴたっと止まる。  
最初は、同情心からだった。  
過酷な戦場で戦い続けているにも関わらず、心を許せる恋人も無く、さりとて商売女を買う度胸も無い彼のストレス発散  
は、空しい自慰行為のみだった。  
孤独と言うには余りに惨めなその姿を見るに見かね、ピコはある日言ったのだ。  
 
(ねえ…アタシ、手伝ってあげようか?)  
 
その日から。  
ピコに、新しい仕事が加わった。  
 
 
「で、でも、もうしないっ!いい加減キミも、人間の女の子とちゃんとこういう関係になった方がいいって!」  
 
最初は、彼の慰めになればと思って始めた行為ではあったが、しかし彼は格好の性欲処理玩具を手に入れたかのように  
ピコに依存し、あまつさえ人間の女の子との交際までおろそかにしている。  
それは、ピコにとって不本意な事に他ならない。  
しかし。  
 
「だ、だからね?こ、こういう事はっ…んっ!ダ、ダメだってばっ!」  
 
彼は左手でピコを拘束したまま、右手の人差し指でゆっくりとピコの二つの膨らみを撫でている。  
体のサイズが小さいので分かり辛いが、その双丘は人間のサイズに直すと、巨乳と言って良いほどに大きい。  
 
「んっ!ダ、ダメ!こ、こらっ!や、やめなっ、あんっ!」  
 
彼の無骨な指が、驚くべき繊細さを発揮してピコの乳房を玩弄する。  
若草色のピコの上着の上から、正確に乳首の位置を捉えて、二つの指先で両の乳房を揉みしだいてゆく。  
 
「ダ、ダメだって、言ってるのにっ!」  
「でも、乳首立ってるだろ。ピコ」  
 
彼の目が確信犯のそれでにたりと笑う。  
大きさにして1mm程度のピコの乳首は確かに隆起し、若草色の衣装をほんの少し押し上げてしまっている。  
 
「やらしいなあ、ピコは」  
「そ、そんな事っ!」  
「乳首を勃起させた妖精かあ。すっごい俺好みの眺めだなー」  
 
(そ、そりゃあそうでしょ!)  
 
ピコは心の中で叫ぶ。  
彼女は、青年の孤独が生み出した妖精だ。  
彼女の姿形、性格に至るまで、彼の好み通りに形作られている。  
しかし、性的嗜好まで彼の理想通りになっているとは、実のところ、ピコ自身も彼に愛撫を受けるまで知らなかった。  
 
「いっつも嫌、嫌って言っているのに、ちょっと触られるとこれだもんなー」  
「あんっ!」  
 
彼の指が少し乱暴にピコの乳房を押しつぶす。  
苦痛を上回る快感に、ピコは太股をすり合わせて悶えた。  
 
「そうそう。感じやすいし。すーぐエロスイッチ入っちゃうんだよなー」  
 
嬉々として彼は、人形ほどの大きさしかないピコに淫猥な愛撫を続ける。  
必死にそれを逃れようとするピコではあったが。  
 
「あ…ふ…んっ……」  
 
逆らえない。  
彼の為だけに生み出された妖精である彼女には、彼の欲望を忠実に叶えてしまう本性がある。  
彼の愛撫を毎日の様に受け続け、開発され尽くした性感が更にその本性を後押しする。  
 
「いやぁ…ん…気持ち、い、い、よお…」  
 
彼の指がピコの太股を割り、短いスカートの中に潜り込んでゆく。  
彼女には太すぎる指が、小さな性器全体を柔軟に揉み解し、クリトリスと膣に執拗に快楽を送り込み続ける。  
 
「やぁ…んっ…」  
「あー、濡れてきた」  
 
目を閉じ、もはやされるがままになっているピコの耳に、彼の嬉しげな声が響いた  
 
人間では決してありえないほど大量の愛液がピコの秘所から滴り、小さな彼女の純白の下着を濡らす。  
ピコのスカートを摘み上げ、それをにたにたと覗き込んでいる彼が、ピコをからかう。  
 
「相変わらず、良く濡れるおまんこだなあ」  
「ば、ばか…」  
「で?どうする?もうやめる?」  
「…」  
「ピコの大好きなアレ、して欲しく無いの?」  
「…んっ…」  
 
想像しただけで、か細い体全部が燃えるように熱くなってしまう。  
それもこれも、彼の望みを叶える妖精の性ゆえの事だ。  
 
「どうする?やめる?」  
 
ピコの返事を確信している彼が、それでも意地悪に聞いてくる。  
言わせたいのだ。ピコ自身に。  
いやらしい、女の台詞を。  
ピコには、分かっている。  
彼がそうすれば、喜ぶか。  
どうすれば、興奮するか。  
そして、それを満たしてやれるのは自分しかいない、という密かな自負もある。  
それは妖精としての感情というより、一人の女としてのそれに近い。  
そう。  
彼の事を一番分かっているのは、自分だ。  
自分が一番、彼を悦ばせてやれるのだ。  
 
「ねえ…ん…」  
「ん?なんだ?ピコ?」  
 
彼が自分を見ている。自分の言葉を待っている。  
彼を悦ばせてやれるのは、ソフィアでもレズリーでもない。自分だけだ。  
ピコの小さな胸に秘めた感情が溢れる。  
 
「ねえん。なめ、てぇ、ん」  
「んー?どこをだよ?」  
「もおん、わかってる、くせにい」  
 
少女の顔に、熟練の娼婦にも勝る妖艶な笑みを浮かべてピコは言った。  
 
「お・ま・ん・こ。アタシのおまんこを、キミの長くて熱い舌で舐めて欲しいのぉ」  
 
着せ替え人形の衣服を剥ぎ取るように、彼がピコを裸に剥いてゆく。  
もはや抵抗もせず、それどころか双乳を見せつけるように胸を張って、ピコはその裸身を彼の前に晒す。  
黄金の長い髪。  
雪より白い肌。  
そして豊かな乳房。  
それは、彼が欲しがっていたもの全てを、最も理想的に具現化していた。  
 
「ねえん。はやくぅ」  
 
彼の手の平をステージにして、ピコはストリッパーのように股を開く。  
細い指先で陰唇を拡げると、そこから失禁でもしたかのように蜜が滴り、小さな水たまりを作った。  
その激し過ぎる濡れ具合も又、彼の欲望の発露に他ならない。  
 
「なあんだ。やっぱり欲しいんじゃないか」  
「そうなのぉ。もう、我慢出来ないのぉ。ねえねえ、はやくぅ」  
 
彼の手に椅子のように腰掛けつつ、ピコは淫らに腰をくねらせる。  
その淫舞をじっくりと楽しみつつ、彼はピコには巨大すぎる大きさの舌を、濡れきった中心に、伸ばす。  
 
「きゃうっ!」  
 
ねっとりと舌先が、ピコの性器全体を舐めずり、蠢く。  
快楽にのたうつ体が、彼の手に握りこまれ、身動きを封じられてゆく。  
大切な宝物を触るように注意深く、しかし彼の手は確実にピコを拘束し、大股開きの姿勢をとらせる。  
そして。  
 
「きゃぁあああんっ!!!」  
 
淫楽に打ち震えたピコの嬌声が、彼の耳にだけ響く。  
妖精には似合わない動物的な雌臭を股間から垂れ流しながら、ピコは彼の舌の動きのままに悶え狂う。  
時折聞こえる彼が唾液と愛液をすすり上げる音が、更にピコの官能をあおってしまう。  
 
「はんっ!きゃふっ!だ、めえっ!イク!いっちゃうぅっっ!!!」  
 
華奢な肢体が彼の手の平の中で、暴力的な官能に翻弄されるままに跳ねる。  
彼の温かな指に押さえ込まれている充足感が、ピコを絶頂の高みへと押し上げてゆく。  
 
「あ!い、いく!いっちゃう!お、おまんこっ!おまんこイクっ!い、いっくぅっ!!!!」  
 
幼さすら残る甘い声に、淫らな女の叫びを乗せ、ピコが一回目のオーガズムに達する。  
しかし。  
 
「あ!あ!あ!ダメっ!とめてっ!とめてえっ!」  
 
彼の舌は彼女を休ませない。  
鼻息を荒くし、尚もピコに絶頂を強いる。  
 
「だ、め、イク!ま、またイク!イグゥッ!!!」  
 
強すぎる快楽は拷問に等しい。  
しかし、それを望むのが彼である限り、応えてしまうのがピコだ。  
 
「はっ!はっ!はっ!ま、またっ!またいっちゃうっ!またイクッ!イグヴッ!!!」  
 
性器と言わず肛門と言わず、彼の舌は彼女の股間を這い回り、うねる。  
敏感過ぎる官能を生まれながらに与えられた妖精は、息も絶え絶えになりつつも、健気に愛撫に応え絶頂を続ける。  
 
「あー!あー!おか、おかしく、おかしくなるぅっ!ひゃぁんっ!い、い、いくぅ……」  
 
既に意識は朦朧となり、自分が何回目のオーガズムに達しているのかも分からない。  
 
「ひ、ひいっ!ま、またっ!も、もおらめっ!た、たすけて!い、い、いっ」  
 
狂乱し、全身の力を込めて彼の指にしがみつき、悶える。  
 
「い、いっくぅっ!!!」  
 
一瞬、彼の握力を上回るほど激しくピコの体がのけぞり、そして糸の切れたあやつり人形のように崩れ落ちた。  
 
「はぁ……はぁ……はぁ……」  
 
全身、自分の汗と愛液、そして彼の唾液と手の汗に濡れつくしている。  
身動きも取れないほどの絶頂後の虚脱感の中、体を包む彼の手の平の温かな感触が心地よい。  
 
「はぁ…ん……っ…」  
 
傷ついた小鳥にそうするように、彼がそっと手の中のピコを撫でる。  
 
「ん……きもち、いい……」  
 
まるで鳥のヒナになったような、甘い心地よさがピコをつつむ。  
このまま眠ってしまえたらどれほどいい気持ちだろう。  
しかし、その前にやらねばならない事がある。否、それは同時にしてあげたい事でもあった。  
 
「…ねえ…」  
 
彼の手の中で丸くなったまま、ピコは彼を見上げて言った。  
 
「今度は、アタシの番、だよね……して、あげる、ね…」  
 
全裸になった彼を仰向けのままベッドに寝かせ、天を突くような勢いで勃起している彼の男根に全身を絡ませる。  
それが、ピコが彼に奉仕する時のスタイルだった。  
 
「…んっ…」  
 
まだ濡れたままの肢体を熱いくらいに昂ぶっているペニスに押し付け、両腕を回して締め付ける。  
亀頭の先端から流れてくる先汁を小さな舌先で舐め、そして尿道口に舌を突き入れる。  
 
 
「んーっ!!」  
「どう?気持ち、いいでしょ?」  
「う、うん」  
「さっきの、おかえしだよっ」  
 
悪戯っぽくそういうと、全身を使って彼のペニスをしごき立てる。  
両腕と両足を絡ませ締め上げて彼を感じさせつつ、自分自身の秘所を彼の肉棒にこすり付けて自身も昂ぶってゆく。  
 
「あ、あ、ピ、ピコのおっぱいが、あたって気持ちいい!」  
 
華奢な体には不似合いな程発達した膨らみを彼の亀頭の裏筋にこすりつけながら、ピコは誇らしげに微笑んだ。  
 
「ふふ。いっぱいキミのエッチな汁をおっぱいにつけて…ほら、どお?」  
「あ!!そ、それっ!」  
「うふふふ。イイんでしょ?でもダメ。そう簡単にイカせて上げないんだから!」  
 
柔らかな膨らみが、妖しく亀頭を這い、時に体全体を使って最も敏感な先端の部分を擦る。  
分泌された先汁と、ピコ自身の愛液がとめどなく溢れ、彼の肉棒を汚してゆく。  
ぬるぬるした淫液に全身まみれながら、ピコは全身で淫猥な奉仕を続けた。  
 
「き、きもちイイっ!す、すごい!ま、まるでピコの中に入ってるみたいだ!」  
 
快楽に忘我になっている彼が叫んだ言葉が、小さくピコの胸を刺す。  
 
「……ごめんね……」  
「んっ!あっ!な、何っ?」  
 
小妖精の巧みな淫技にのたうちながら、それでも彼が聞き返した。  
 
「おちんちん、入れて上げられたらいいのにね…」  
「な、なんだよ、いきなり。い、いいよ。こうして、してくれてるだけでさ」  
「ん……でもね」  
 
ぎゅ、と肉棒にしがみつく手に力を込め、一際強くしごき立てる。  
 
「あ!あうっ!」  
「ホントはね。アタシだって入れたいんだよ。キミの…」  
「な、なに?良く、聞こえな、あうっ!」  
 
彼の言葉を遮る様に、ピコはいきなり尿道に舌を差し込んだ。  
突然の快楽にのけぞる彼を見て、彼女は口元を先汁で汚したまま、可憐に笑った。  
 
「なーんでもないよっ!それより、そろそろイカせちゃうからね!覚悟はいい?」  
 
言うと、柱に抱きつくようにしてピコは彼のペニスを締め上げた。  
陰唇を擦りつけ、乳房を押し付け、逞しい彼の肉柱に舌を這わせてその臭いと熱さに酔いしれる。  
 
「あっ!き、きもちいい!きもちいいよっ!ピコッ!」  
「んっ。アタシも…」  
 
彼のペニスが、びくん、びくんっ、と脈打つ。  
彼の絶頂の前触れを感じ、ピコの女性自身もかあっと熱くなった。  
 
「出、出そう!い、いきそうだっ!ピコ!」  
「ま、待って!」  
 
ピコは肉柱の先端に登り、彼の尿道口に自身の小さな性器を押し当てた。  
そのまま両足でペニスを掴みつつ、激しく腰を使う。  
 
「ああっ!」  
「だ、出して!このまま出してっ!」  
 
潤みきったヴァギナを彼の尿道に擦りつけながらピコはあえいだ。  
もはや絶頂に弾ける寸前に与えられた尿道快楽に、白目を剥きながら彼が震える。  
 
「ああぉっ!!で、出るっ!出るうっ!!!」  
「出して!アタシの中にキミの!出してぇっ!!!」  
「イク!イク!ピ、ピコっ!い、いっくぅっ!!!」  
「あ、あ、ああーーっっ!!!!!」  
 
ピコの体を弾き飛ばすかと思うほど激しい射精が吹き上げた。  
間欠泉のように吹き上げ、降り注いで来る彼の精子を全身に浴びつつ、ピコはうっとりと目を細めた。  
少し、ヴァギナの中にも注がれてしまった。  
子供が出来る事など間違ってもありはしないが、それでも彼のほとばしりを子宮で受け止められた事が、  
たまらなく嬉しい。  
 
「はあ…はあ…はあ…」  
 
二人の荒い息遣いと、性臭が部屋に満ちてゆく。  
オーガズムの後の心地よい気だるさの中、二人の口から同時に、  
 
『ありがとう……』  
 
という言葉が聞こえた。  
 
ドルファンに来て、三年目の秋が訪れようとしていた。  
あれからいくつかの戦があり、そして出会いがあった。  
彼は順調に武功を立て、それは町の皆も耳にするところとなり、彼の評判は徐々に上がって行った。  
そして。  
 
「んじゃ、行ってきまーす!」  
 
彼は意気揚々と宿舎の部屋を出てゆく。今日は、待ちに待ったデートなのだ。  
 
「行って、らっしゃーい…」  
 
精一杯の笑顔を作って見送るピコだけが、部屋に取り残される。  
彼が扉を閉めた音が、ひどく耳障りにピコの耳を打った。  
彼は今、テディー・アデレードという看護婦と交際をしている。  
彼好みの胸の大きな女性ではあるが、髪の毛は栗色だし、潔癖で性に対しては拒絶的ですらある女性だ。  
 
「ふーん、だ」  
 
ピコはうつむいて小さく呟いた。  
彼は、変わった。  
それは、成長と呼べる変化である事は重々承知している。  
彼はもう、彼にしか見えない妖精だけを相手にする孤独な青年ではない。  
一人の成人として、ちゃんと女性を愛する事の出来る、男なのだ。  
でも。  
 
「金髪が好きって、言った癖にさ。えっちな女の子がいいって、言ってた癖にさ」  
 
寂しい。  
彼の願望を叶える為に生まれた自分の存在価値すら、無くなってしまったような気がする。  
そして、悔しかった。  
テディーと付き合うようになって、彼は以前のようにピコに性欲の発散を求めて来なくなった。  
時々、こっそりと自分一人でしているのを、ピコは知っている。  
その時、誰の名前を呼んでいるかも。  
 
「なによ。あんな女。あんな女なんかより、ずうっと!」  
 
ピコの中で、何か大きなものが膨れ上がろうとしていた。  
 
「彼はね!金髪で、ちょっとエッチなくらいの女の子が好きなの!何よ!ちょっと胸が大きいからって!」  
 
溢れる想いが、言葉と共に一つの形を作って湧き上がってくる。  
 
「あんな女なんかより!アタシの方がずっと、ずうっと!彼を悦ばせて上げられるんだからっ!!!」  
 
嫉妬、欲情、そして、愛。  
 
「アタシだって!アタシだって!!」  
 
一瞬の光の後、そこにピコの姿は無かった。  
そして。  
流れるような金髪と豊かな乳房を持った、一人の人間の女性が、そこにはいたのだった。  
 

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