「じゃあ、問題。ジギタリスの作用を二つ挙げよ!」  
 
メネシス先生の眼鏡が光り、その奥の知性的な目が私を見据えます。  
少し緊張し、鼓動が早くなってしまいますけど、それでも私は落ち着いて答えました。  
 
「心筋収縮力の増大と、心室の拍動数の低下です」  
「正解。なら、ジギタリス治療が最も適応となる症例は?」  
「うっ血性心不全です」  
「正解!ま、心臓はあんたの得意分野だしね。これくらいは当然か」  
 
これは、メネシス先生としては最大級の誉め言葉です。  
ほっとすると同時に、私は少しだけ誇らしい気持ちになりました。  
こうしてメネシス先生のラボで、薬学の講義を受けるようになってから随分経ちます。  
実験でお忙しいメネシス先生が講義をして下さるのは週に一回。  
勤務が終わってから、いつも着替える時間すら惜しんで私はここに通っています。  
だからここで講義を受ける時は、ピンクのナース服の上に紺のカーディガンという、病院での格好のままです。  
 
「そういやテディー。最近は心臓の調子はどうなのさ?」  
 
珍しくメネシス先生が私の体調の事を聞いてきて、私はちょっと驚きました。  
いつもご自身の興味の無い事は、全く聞かない人なのに。  
 
「又、倒れたんだって?アイツが言ってたよ」  
 
彼に、聞いたんだ・・・  
戦の無い時は薬局で働いている彼は、メネシス先生のラボにも仕事で出入りしています。多分、その時に  
聞いたんでしょう。  
大好きな彼とのデート。  
夜勤明けで余り体調が良くないのに、どうしても彼と会いたくて、無理をして待ち合わせ場所に向かったの  
だけれども、私は発作を起こして倒れてしまいました。  
そんな私をベンチに寝かせてくれて、夜が更けてもずっと側にいてくれた彼。  
ようやく発作が治まった後も心配して、寮まで送るよと言ってくれた彼。  
今度会ったらお礼をしなくちゃと思うのだけれども、あれから一ヶ月、彼からのデートの誘いが無くて・・・  
 
「・・・なんて、言ってました?」  
 
病気持ちの女なんて面倒だって思われてやしないかと恐くて、こちらから連絡する勇気もありませんでした。  
難しい薬学の問題を出された時よりも、私の鼓動が早くなっています。  
 
「心房中隔欠損症の特効薬みたいなものは無いか!って、あの男にしちゃあ、えらい剣幕でねえ。あたしも  
あしらいかねたよ」  
「そう、ですか・・・」  
 
嬉しくて、そして申し訳無い気持ちでいっぱいになりました。  
そう、彼はそういう人です。私が病気だからって、面倒くさいなんて思う人じゃありません。  
それなのに、私は自分自身の弱さを棚に上げて、彼に連絡するのを恐がっていたのです。  
彼は必死に、私の為にいい薬が無いか探してくれていたのに。  
 
「ま、あんまりうるさいもんだからさ。だったら」  
 
突然の激しいノックの音が、メネシス先生の言葉を遮りました。  
この森林区の奥にあるメネシスラボに私以外の人が来るなんて、滅多に無い事です。  
 
「誰だい?物好きな」  
 
メネシス先生が訝しげに言います。  
その呟きが聞こえたかのように、ノックの主が声をかけてきました。  
 
「メ、メネシスさんっ!お、俺だけど!」  
 
彼だ!  
私は思わず竦みあがり、又も動悸を感じてしまいます。  
ダメ。落ち着かなきゃ。まず、彼にこの間のお礼を言って、それから。  
 
「なんだい。まだ来る予定の日じゃないだろうに」  
 
メネシス先生はぶつぶつ言いながらそれでもドアの鍵を開けてしまいます。待って。まだ心の準備が!  
 
「た、大変なんだよ!」  
 
勢いよく部屋に飛び込んで来た彼。  
初めて見る、動揺しきった顔と声。  
荒い息遣い。  
そして。  
 
「い・・・・・・いやああああっ!!!!」  
 
思わず、手に持っていた分厚い教科書を彼に投げつけてしまいました。  
教科書は彼に向かって真っ直ぐ飛んで、鈍い音を立てて彼の頭に命中します。  
 
「んがっ!」  
 
歴戦の勇にしては余りにあっけなく、彼はあお向けに倒れてしまいました。  
 
・・・・・・ズボン越しでも、はっきり分かるほど、その、ペ、ペニスを勃起させたまま。  
 
女性の一人暮らしの家に、ペ、ペニスを勃起させて入ってくるなんて!  
い、一体何を考えているの!不潔っ!  
で、でもまさか彼が?どうして?そんなはずは。でも、だって、だって。  
 
大の字にひっくり返ったまま、彼の中心で勃起したペニスが天を突くようにそそり立っています。  
この状況を理解しようという理性よりも、性に対する嫌悪の感情が先に立って、私はそっぽを向きました。  
不潔。不潔不潔不潔っ!!!  
 
「あー、気絶してるねえ」  
 
メネシス先生の言葉に、はっとなって振り向きます。  
そんな。重いって言ってもたかが本です。傭兵である彼が、そのくらいの衝撃で気絶するなんて。  
倒れた彼のそばにかがみこんでいた先生がこっちを向いて言いました。  
 
「あ。まずいわ。テディー、ベッドの用意して。血圧降下しちゃってる」  
 
ええっ!  
驚きつつも、看護婦の習性で体だけは、てきぱきと動いてしまいます。  
メネシス先生と二人掛かりで彼をベッドまで運び、足を上げ、頭が下になるようにしてベッドに寝かせました。  
次いで、脈拍と脈圧、呼吸数などバイタルをチェックします。  
いつも健康的に血色の良い彼の顔は少し青白く、そしてそれなのにペニスはズボンを突き破りそうな勢いで  
勃起したまま。  
明らかに普通じゃありません。けれどもこんな病気なんて、聞いた事もありません。  
 
「やっぱ副作用が出たかあ」  
「ふ、副作用?」  
 
私の驚きを意にも介さず、メネシス先生はどこか暢気に答えます。  
 
「彼には新薬の実験に協力してもらってたんだよ」  
「じ、実験って!」  
「新種の血管拡張薬だったんだけどねえ。でもまた、実に面白い副作用が出たもんだねえ!これはインポテンツ  
の治療薬になるかも!ふっふっふ。早速新たに実験を」  
「ちょ、ちょっと待って下さい!!」  
 
慌てて先生を押し止めます。  
一旦実験モードに入ってしまったら、メネシス先生は誰の言葉も耳に入らなくなってしまうのです。  
その前に、聞くべき事を聞いてしまわなくては。  
 
「い、一体これはどういう事なんです?」  
 
今にも実験モードに入ろうとしていたメネシス先生は、さもうるさげに言いました。  
 
「あんたが発作で倒れて、んでコイツがいい薬は無いかって言うもんだからさ。だったら新しい心臓の薬の  
実験台になんないかって言ったのよ」  
「そんな!」  
「丁度新しい血管拡張薬の実験したかったし。活きのいい被験者が欲しかったんだよね」  
 
言いながらも先生は実験の準備を進めようと、戸棚をごそごそ探っています。  
 
「せ、先生!な、何とかして上げて下さい!」  
「何とかしてあげたいのは山々なんだけどさ。まだ実験途中の薬に拮抗薬なんてあるわけないでしょ?ま、  
それほど大量投与したわけじゃないし、安静にしときゃ血圧も元に戻るんじゃない?」  
 
戻るんじゃない?って!  
そ、そんな無責任な!  
 
「あー、でも」  
 
手元を止めて、メネシス先生が彼を見ました。  
 
「待てよ。そうか。うんうん、それはあるかもねえ」  
「な、なんですか?」  
「テディー、ちょっと彼のズボン下ろしてくれる?ペニスが見たいのよ」  
「え、ええっ!!!」  
「何を驚いてるんだか。あくまで医学的な興味に決まっているじゃない」  
 
メネシス先生はつかつかとベッドに歩み寄ると彼のズボンのベルトを緩めにかかります。  
 
「せ、先生!」  
「何やってんの。さっさとズボン下ろすの手伝いなさい」  
 
躊躇う私にお構いなく、先生は彼のズボンを膝下までずり下ろし、更に彼のパンツをも思い切り良く脱がせて  
しまいました。  
 
「きゃっ!」  
「おおー、やっぱりねえ」  
 
思わず両手で顔を覆う私と、眼鏡の位置を直してしげしげと観察するメネシス先生。  
一瞬だけど見てしまいました。  
か、彼の、おちんちんを。  
 
「ほら、見てごらんよ、テディー」  
 
無理です。無理です無理です!まともになんか見られるはずありませんっ!  
声を出す事も出来ず、私は髪の毛が乱れるほど激しく頭を振ります。  
そりゃあ看護婦だし、今まで男性器くらい見た事はあります。  
手術前の剃毛の時、大きくなってしまう患者さんもいたから、勃起したそれも何度か見た事はあります。  
けど、それとこれとは別です!  
好きな人のペニスを客観的にしげしげ眺められるほど、私は度胸も経験もありません!  
 
「このままじゃ、ちょっとまずいかもねえ」  
 
意外にも深刻なその声に、思わずそっちを見てしまいました。  
ちら、とメネシス先生の顔を見て、それよりも更に短く彼のおちんちんを盗み見て・・・視線が止まります。  
大きい。  
いえ、確かにサイズも大きいんでしょうけど、何と言うか、不自然に大きいんです。  
まるで膨らみ過ぎて破裂寸前の風船みたいに。  
充血し過ぎて真っ赤になった彼のペニスは、明らかに病的に見えました。  
 
「・・・ま、まずいって、どういう事?」  
 
横になって、頭に血が上って来たのでしょう。ようやく意識を取り戻した彼がかすれた声で尋ねました。  
股間を隠す事も出来ないらしく、力なくベッドに横たわったまま、顔だけで先生の方を見ています。  
 
「持続勃起症って言ってね。勃起した状態が長時間続くと、血行障害の挙句、最悪の場合インポテンツに  
なってしまう事があるんだよ」  
「う・・・うそ、だろ?」  
「まあ、薬の効き目が切れれば治ると思うし、大丈夫だとは思うけどねえ。どお?ペニスに痛みはない?」  
「そ、そう言えばさっきから痛む・・・」  
「やっぱりねえ」  
 
おちんちんを出したままなのを気にするゆとりも無いほど、彼はショックを受けています。  
すがるような眼差しでメネシス先生を見つめている彼を見て、私も胸が痛くなりました。  
元はと言えば、私のせいなんです。  
私の為に、彼は人体実験を買って出てくれたのに。  
それなのに、私は早とちりして、本までぶつけちゃって・・・・・・  
 
「せ、先生!治して上げる方法は無いんですか?」  
 
私も必死で尋ねました。  
私のせいなんだもの。治してあげなくちゃ。たとえ、どんな事をしてでも。  
 
「んー・・・・・・」  
 
先生は目を閉じてしばらく考えていましたが、やがて目を開けて、  
 
「多分薬のせいで、勃起中枢が異常に刺激されてるんだと思うんだよねえ。だから、基本的には薬が切れるのを  
待つしかない」  
「そ、そんな!」  
「ま、後は前立腺をマッサージして血行を良くするとか。んー、後は何回か射精させて見るとか?何発か出して  
すっきりさせれば、少しはましになるんじゃない?」  
 
最後の方は何となく投げやりに、メネシス先生は言いました。  
しゃ、射精って言っても!  
困惑する私を尻目に、先生は野草を採取する為の篭を手に、さっさとラボを出て行こうとします。  
 
「ま、待って下さい!先生!」  
「あたしは実験の材料を採って来たいの。テディー、あんた看護婦なんだから何とかしてやって」  
「な、何とかって!」  
「あんた達、恋人同士なんだろ?いいじゃないか。抜いてあげれば」  
 
あっさりとそういう先生の頭は、既に実験の事で一杯のようでした。  
何やらブツブツ呟きながら、先生はあっけにとられている私を振り返りもせずにラボを出て行ってしまいました。  
部屋には、二人っきり。  
後ろを振り向けば、そこには、お、おちんちんを出しっぱなしの彼が寝ているはずです。  
どうしよう。  
頭の中は真っ白です。私が何かしなくちゃいけないのに、思考は凄い勢いで空回りするばかり。  
 
「いててて・・・」  
 
彼の小さな声で我に返りました。  
振り向くと、彼は私の視線を避けるように、こちらに背を向けて横になっていました。  
まだ身なりを整える力は戻っていないらしく、お尻を出したまま、おちんちんだけ両手で隠しています。  
がっくりと肩を落としたその姿を見て、私の心に熱いものが込み上げてきました。  
そうだ、私、何をやっているの。苦しんでいる彼を、助けて上げられるのは、私しかいないんじゃない!  
私は勇気を振り絞って彼に近づきます。震える手を、必死に抑えながら。  
 
「ご、ごめん。テディー。こんな、みっともないとこ見せちゃって」  
 
初めて聞きました。彼の、こんな弱々しい声。  
打ちひしがれて、身の置き所も無い様子です。いつも活発で、私に元気をくれる、あの彼が。  
私は思わず大きな声を出してしまいます。  
 
「そ、そんな事ありません!」  
 
驚いたように彼の背中がびくりと動きます。  
 
「わ、私のせいです。わ、私が」  
 
声がつまってしまいます。言いたい事がいっぱいありすぎて、口から出てくれません。  
 
「違うよ、テディー。これは俺の意思でした事だし、それに副作用があるかもとは聞いていたんだ」  
「ど、どうしてそこまで・・・新薬の実験、特に心血管系の薬なんて、色んな危険があるのに」  
 
彼は私に背を向けたまま、静かに答えてくれました。  
 
「好きな女の子が病気で苦しんでいるってのに、俺、何にもしてやれなかった・・・・・・人を殺すのは上手い癖に、  
救う事には、無力だった・・・・・・」  
 
そんな事ありません!貴方が側にいてくれて、どれほど心強かったか!  
そう言いたいのに、彼の言葉の中にある重さが、私から声を奪っていました。  
私の視線をその広い背中で受け止めながら、彼は訥々と語り続けます。  
 
「それが、悔しくってさ。何か出来る事は無いかって考えてね。だからメネシスさんの実験も受け入れたんだ。  
ほら俺、体だけは丈夫だし、心臓も強いし。少々副作用出ても、大丈夫かなって」  
 
一旦言葉を区切ると、彼は軽く笑いました。  
 
「でもまさか、こんな副作用出るなんてなあ。はは、かっこわるー」  
「そんな事・・・」  
 
涙が込み上げてきて、続きが言葉になってくれません。彼の優しさが胸に染みて、痛いくらいです。  
 
「テディー。悪いんだけどさ、ちょっとだけ外に出ててくれる?」  
「え?」  
「その・・・試してみるよ。メネシスさんが言った方法。その、何回か出してみる、ってやつ。だからその間、  
ちょっと外に出ていてくれないかな」  
 
少しきまり悪そうに、彼は言いました。  
でも、まだ体を起こす事も出来ない状態なのに、自分でなんて出来るはずありません。  
言葉が、素直に出ました。  
 
「私、お手伝いします」  
「・・・!!」  
 
顔は見えないけれど、背中が強張っています。きっと凄く驚いたんでしょう。  
はしたないって思われるのが恐かったけれど、でも、もう迷いはありませんでした。  
彼は私の為に、私だけのためにその身を投げ出してくれたんですもの。今度は私の番です。  
 
「お願いします。私に、させて下さい」  
「テ、テディー・・・」  
 
彼が、唾を飲み込んだのが分かりました。  
私は、寝ている彼の背中にそっと近づき、震える手で彼のペニスを握りました。  
 
「ど、どうすれば、いいですか?」  
 
声まで震えてしまっています。初めて手術の助手に入った時みたいに、緊張しきっていました。  
 
「テ、テディー、む、無理をしなくてもいいよ。お、俺が自分で」  
「い、いいえ!貴方こそ無理をしちゃダメです!わ、私は看護婦で、これは医療行為なんですから!」  
「いた!いたた!つ、強く握らないで」  
「あ、ご、ごめんなさい」  
 
慌てて手を緩めます。  
彼の異常に勃起したペニスの温もりが、不思議な心地良さを伴って、手の平から伝わってきます。  
子猫を撫でるように、私は指先で彼のペニスを撫でてみました。  
撫でて上げる度に、ぴくん、と動いて、まるで本当に別の生き物みたいです。  
あ・・・と彼が艶っぽい吐息をつきました。気持ち、いいの?  
さわさわと、痛くないように気をつけながら、おちんちんの先から根元まで、指先だけで触っていきます。  
彼の体が、何かを堪えるように震えています。  
 
「あ、あの、い、痛くありませんか?」  
「う、うん」  
「こ、こんな風でいいですか?」  
「・・・握って、欲しい」  
「はい・・・」  
 
軽く、きゅっと握ってあげると、彼の体が電流が流れたかのように痙攣しました。  
 
「う、動かして。上下に」  
「こ、こうですか?」  
「んっ・・・も、もっと早く」  
「は、はい」  
 
緊張の余り汗ばんだ手が、彼のペニスの上を滑ります。  
さきっぽから、透明な液が少し出てきました。垂れてきたそれが潤滑剤のようになって、ペニスも手も  
ぬるぬるです。  
なんだか、手の平全体が卑猥な器官になってしまったようで、私は耳まで赤くなってしまいます。  
 
「テ、テディー!お、俺、俺、出ちゃいそうだ!」  
 
彼の切迫した声。私は夢中で手を動かします。  
 
「い、いいですよ!だ、出して下さい!」  
「あ、あ、あ!で、出るっ!!」  
 
まるで水鉄砲のように勢い良く、彼のペニスの先端から白いものが飛び散りました。  
二度、三度と徐々に勢いを弱めながら噴出するそれを、私は熱に浮かされたように呆然と見守っていました。  
精液・・・これが彼の、精液なのね・・・  
 
青臭い、生々しい匂いが部屋に漂います。  
何故でしょう。私はそれが、すごく甘い匂いのように思えました。  
呼吸をする度に、鼻腔の奥に彼の匂いを感じます。  
彼は荒い息をついて、絶頂の余韻に浸っているようです。  
そんな彼の姿を見、彼の匂いをいっぱいに感じ、私は深い喜びに包まれます。  
けれど。  
 
「あ・・・」  
 
彼が小さく呟きました。  
彼のペニスは、少しも小さくなっていません。射精前と変わらぬ勢いのまま、誇らしげに反り返っています。  
 
「こ、困ったな」  
 
彼が、独り言のように呟いて、私の方を振り返りました。  
その、途方に暮れた視線を受けた時、私の中の看護婦としての使命感が燃え上がるのを感じました。  
 
「今度は、前立腺をマッサージしてみましょう」  
「ぜ、前立腺?」  
「少し血液の循環が良くなるかもしれません」  
 
彼を横向きに寝かせたまま、私はラボの中を物色します。  
実験用の清潔なゴム手袋と、潤滑剤代わりのオリーブオイル。膿盆は摘便用に。それからティッシュを少し。  
用意をする私を、彼は不安そうに見ています。私は微笑んで言いました。  
 
「大丈夫ですよ。力を抜いて、楽にして下さい」  
「う、うん」  
 
子供のように素直に頷く彼が、可愛く思えて仕方ありません。  
表面上は、ナースとしての落ち着きを取り戻し、冷静に準備をしているように見える事でしょう。  
けれども私の中には、好きな人を愛撫出来る口実を得た事を喜ぶ気持ちがありました。  
不謹慎だと分かってはいるのですが、今し方目にした、耳にした彼の絶頂が忘れられないのです。  
私はもう一度、とっておきの天使の微笑みで彼に言いました。  
 
「大丈夫ですよ。私に任せて、気持ちよくなってくださいね」  
 
右手だけゴム手袋をはめ、人差し指と中指にオリーブオイルをつけます。  
たっぷりとオイルをまぶした指で、彼の窄まったアナルの入り口を濡らします。  
居心地悪そうにむずむずしている彼に、優しく声をかけます。  
 
「はい。じゃあ、大きく息を吸って下さい」  
 
彼が、すうっと息を吸い込みます。アナルも、きゅうっと窄まって、愛しいくらい可愛く思えます。  
 
「はい。吐いて下さーい」  
 
彼がふーっと息を吐くのに合わせ、ずぶずぶとアナルに指を挿入しました。  
彼が思わず息を止め、硬直します。  
 
「大丈夫ですよ。ゆっくり、息をして下さい」  
 
胎児のように丸まったまま、彼はゆっくりと深呼吸を繰り返します。  
私は徐々に、彼の直腸の中を探ってゆきます。  
幸い直腸内には大便は無く、前立腺はすぐに分かりました。  
 
「もし万一、気分が悪くなるようだったら言って下さいね」  
 
声をかけると、彼はこちらをみないまま、こっくりと頷きました。  
後ろから抱きしめてあげたくなる衝動を堪えて、優しく前立腺をマッサージしてゆきます。  
 
「どうですか?」  
「ん。な、なんか変な感じ」  
「気持ち、いいですか?」  
「う、うん。な、なんか、おしっこしたいような、射精しちゃうような、変な感じ」  
 
優しく優しく。  
私の指は彼の中を往復します。開いた肛門から、独特の動物的な匂いがするのですけど、少しも嫌な感じが  
しません。  
私、どうしたのかしら。こういう、ちょっと不潔な作業は、余り好きじゃ無かったのに。  
 
「あ!テ、テディー!な、なんか変だよう!」  
 
彼の声のトーンが変わりました。心臓がどきんっ、とします。  
だって彼ったら、女の子が感じているみたいな、いやらしい声出すんですもの・・・  
 
「いいんですよ。き、気持ちよくなって下さい」  
「あ、あ、あ!き、きもちいいよおっ!」  
 
指を、ずぼずぼ音のするほど入れて上げます。  
大切な彼を犯しているような倒錯した性感に、くらくらしてしまいます。  
肛門に指が入っていくのを見てると、まるで自分のそこにも指が入れられているように思えてしまって。  
もう、犯しているのか、犯されているのか分かりません。  
私、濡れて、います。  
 
もっと気持ちよくなって欲しくて、私は彼のペニスを握りました。  
 
「あうっ!」  
 
感じているというより悲鳴に近い声に、びっくりしてしまいます。  
 
「い、痛かったですか?」  
「う、うん、ちょっと」  
 
さっきと力加減は変わらないはずなのに。  
一回イって、却って敏感になっちゃったのかしら。  
でもこれじゃ、射精させてあげられないわ。どうしよう。  
気がつくと私は、おちんちんをまじまじと見ながら考え込んでいました。  
前立腺を刺激されたせいで、尿道から大量の前立腺液が垂れ流しになっています。  
 
(おいしそう・・・)  
 
反射的に浮かんだ言葉に、自分が驚いてしまいました。  
私がそんな恥ずかしい事考えてしまったなんて、彼に分かる筈が無いのに、思わず彼の顔を窺ってしまいます。  
お尻からの快感に悶えながらも、決してイケない状態で生殺しにされて、彼、とっても切なそうです。  
私はゆっくり彼のお尻から指を抜き、手袋を脱ぎ捨てました。  
彼の下半身を抱えるようにして、優しく仰向けにします。  
物問いたげな彼の視線を正面から受けて、私はもう一度勇気を振り絞りました。  
 
「て、手で痛いなら、お、お口だったら、どうですかね?」  
 
彼のペニスがびくんっと跳ねました。  
まるでペニスが返事をしたような、ちょっとユーモラスな光景に、私に微笑む余裕が戻ってきます。  
 
「雑誌で読んだ事があるだけですから、上手に出来るかどうかは、自信ありませんけど」  
「う、うん・・・・・・して、くれる?」  
 
私は頷き、逞しくそそり立つ彼のペニスに口をつけようとして・・・躊躇いました。  
 
「あ、あの」  
「な、何?」  
「する前に、キスしてもらって、いいですか?」  
 
彼が、きょとん、とした顔になります。  
 
「キ、キスの経験も無いのに、先にフェラチオを経験しちゃうのは・・・」  
 
私は、訴えるように彼の目を見てそう言いました。  
 
「お、お尻の穴に平気で指を突っ込む女が何言ってるんだって思うかも知れませんけど、わ、私、まだ、キス  
も経験してないんです。ほんとです!そ、それにまだバージンなんです!ほ、ほんとなんです!」  
 
信じて欲しくて必死に言葉を繋げるんですけど、却ってどんどん嘘っぽくなるみたいに、自分でも思えます。  
けれど、ほんとなんです。信じて下さい!  
ありったけの気持ちを込めて、彼を見つめました。  
彼は、優しく笑って頷いてくれました。  
まだ本調子じゃないのでしょう。私に差しのべてくれた手が、小刻みに震えています。  
私はその手を、胸の前で捧げ持つようにして握りました。  
 
お い で  
 
彼の唇が、声も無く、そう動きました。  
眠れる姫にキスをする王子さまのように、私は彼の上に覆い被さってゆきます。  
 
想像していたより、ずうっと、柔らかい、唇・・・  
 
私たちは目を閉じたまま、何度もお互いの唇をついばみました。  
薬のせいで、彼の唇は少し冷たくなってしまっています。  
温めてあげたくて、自分の唇を強く重ねた時、彼のそれが開いて、舌が私の中に滑り込んで来ました。  
まるで労わるような優しさで、彼の舌が、戸惑う私の舌に絡みつきます。  
彼の舌が私の口内で舞うように動くと、夢心地の浮遊感にうっとりとしてしまいます。  
やっぱり、彼は素敵。  
 
唇を離すのは名残惜しかったけれど、いつまでも甘い接吻に酔ってばかりはいられません。  
今の私は、彼の為だけのナースなんですから。  
彼に向かってもう一度微笑むと、私は彼の股間へと顔を埋めてゆきます。  
おあずけをされたおちんちんは、まるで泣きながら怒っているみたい。  
前立腺液を涙のように溢れさせ、真っ赤になって怒っているきかん坊さんに、私はキスをして上げました。  
もう一度、さきっちょにキス。根元の方にも。たまたまの方にも。  
変です。私。  
こんな、お世辞にも清潔とは言えない行為なのに、嬉しくて仕方ありません。  
いつの間にか、私は夢中になっていました。  
舌で舐め上げ、唇だけで噛み、そしてお口に含んでしゃぶり上げます。  
 
「あうっ!」  
 
口に含んだまま、亀頭をしゃぶってあげた時、彼が堪りかねたような声を上げてくれました。  
 
長い髪は、こういう時ちょっと邪魔です。  
彼のものを含み、唇でしごいて上げている時、背中まで伸びた私の栗色の髪が、顔の方にかかって来ちゃって。  
おまけに私、少し猫っ毛だから、鼻をくすぐられてくしゃみしそうになっちゃうんです。  
困ったわ。後ろで束ねようかしら。  
そう思って、ナースキャップを取ろうとしたら、彼が「あっ・・・」と小さく言いました。  
 
「ど、どうしました?」  
「う・・・うん」  
 
何となく、言いにくそうに彼はもじもじしてます。  
いつも頼りがいのある彼だけど、今日はいっぱい子供みたいな表情を見てしまいました。嬉しい。  
 
「なんですか?して欲しい事があったら、何でもおっしゃって下さい。私、貴方の看護婦なんですから」  
「う、うん。あのさ、ナ―スキャップ、つけたままでいて欲しい」  
 
私はきっと目を丸くしていたと思います。  
そんな事?男の人って、そんな事が気になるのでしょうか?  
驚きの後、おかしさが込み上げて来て、声を出して笑ってしまいました。  
彼も苦笑しています。私、笑いすぎて、ちょっと涙が出てしまいました。  
 
「も、もう!わがままな患者さんですね。他には、ご要望はございませんか?」  
 
ようやく笑いをおさめて、ちょっとおどけて彼に聞きます。  
彼の望みなら、何でもかなえてあげたいような、そんな満ち足りた気持ちが私の胸一杯に広がっていました。  
 
「う・・・うん。あのさ、テディー。その、お口も気持ちいいんだけど、その、胸で、して欲しいな」  
「胸?」  
 
何の事か分からず、私はおうむ返しに聞き返してしまいます。  
 
「胸の谷間で、挟んで、して欲しい」  
 
そんな事、雑誌でも読んだ事がありません。そ、それに、挟む為には当然上を脱がなくちゃいけないわけで・・・  
赤くなって彼の表情を窺います。少しはにかみながらも、彼は私の目を見て言いました。  
 
「見たいんだ。テディーの、全てを」  
 
そんな事、言わないで下さい。  
そんな事言われたら、もう、従うしか無いじゃありませんか・・・  
 
私は立ち上がり、少しうつむいたままカーディガンを脱ぎ、ナース服に手をかけました。  
ファスナーの開く音が、静かな部屋に、殊更大きく聞こえました。  
 
ナース服って汚れる事も多いから、脱ぐの、すごく簡単なんです。  
ファスナーを開くと、すぐに肩が露出してしまいます。  
恥ずかしい。  
彼の前で水着になった時の、何十倍も恥ずかしいです。  
目をつぶったまま、上着を脱いでしまいました。その下には、ナース服とお揃いのピンクのブラをしています。  
ピンクか白じゃないと下着、透けて見えちゃうんです。  
今日はお気に入りのレースのブラをして来て良かった、なんて頭の隅っこで思いましたけど、これも脱がなく  
っちゃ、ダメですよね?  
あ、でもスカート履いたまま上だけ裸って、何だか格好悪いな。  
でも言われてもいないのに下まで脱いじゃったら、変に思われないかしら?  
迷っている私の耳に、彼の声が優しい温度で聞こえて来ました。  
 
「素敵なブラだね。良く似合っているよ」  
 
どうしていつもそうやって、私を有頂天にしてしまうんですか?貴方は。  
・・・下も、お揃いなんです。見て欲しく、なっちゃうじゃないですか。  
パンティーが見えてしまわないようにスカートの裾を気にしながら、白のストッキングを脱ぎます。  
どうせなら一番可愛い形で見て欲しいんですもの。  
緊張して、スカートのホックが外れません。落ち着いて。小さく深呼吸して、もう一度。  
すとん、とスカートが床に落ちました。  
 
「おお・・・」  
 
変じゃ、ないですか?可愛い、ですか?  
 
「すっごく、綺麗だよ」  
 
私の心の呟きが聞こえたように、彼は私の欲しがっていた言葉を言ってくれました。  
目を開けます。彼が、私を見つめています。もっと、もっと見て欲しい。  
私は背中に手を回し、ブラの留め金を外します。  
押さえつけられていた胸が、ブラからこぼれ落ちそうになるのを、両手で押えます。  
この胸、私、だいっきらいでした。  
この大きな胸のせいで、下品な言葉でからかわれたり、触られそうになったり。いくら思い返しても、少しも  
いい思い出がありません。だから私、いやらしい事が大嫌いになりました。  
でも。  
でも貴方だけは、別です。  
貴方にだったら、見て欲しい。ありのままの私を。  
私は、両手を下ろしてゆきます。  
自由になった私の乳房が、少し揺れました。  
 
彼は息を呑んで、私を見つめています。  
見て。見ないで。見て。見ないで。  
恥ずかしくて恥ずかしくて、でも彼が誉めてくれる言葉を聞きたくて、私は彫像のように固まってしまいます。  
寝たまま、食い入るようにこちらを見ていた彼が、ゆっくりと半身を起こしてゆきます。  
慌てて私はそれに手を貸しました。動く度におっぱいが揺れて、何だが頼りない感じです。  
私に体を預けるようにして、彼がもたれかかって来ました。  
私の乳房に頬を寄せるながら、彼は呟きます。  
 
「・・・綺麗だ」  
 
意識する間も無く、私は彼の頭を抱えるようにして抱いていました。  
硬質の黒髪を撫で、かき抱きます。彼の髪の匂いも、背中に回された手も、全てがただ、愛しい。  
私の乳房に埋もれるようにしていた彼は、突然私の乳首にキスをしました。  
 
「あっ!」  
 
まるで子供のように、無心に私の乳首を吸う彼。  
驚きと心地良さと母性的な愛情が入り混じった感情に、私は目を閉じて陶酔してしまいます。  
悪戯な彼の舌は、私の少し小さめの乳首を転がし、固くしこらせてゆきます。  
 
「素敵だよ。桜色だ」  
 
甘く耳元でそう囁きながら、彼は私の両方の乳首をつまんで引っ張り、勃起させてしまいます。  
じーんと痺れるような快感が、乳首から背筋に這い登って来ます。  
その時、気がつきました。  
あそこが、冷たいんです。  
彼のものを口にしている時から、ずうっと濡れていた私のあそこは、パンティーの布をすっかりぐしょぐしょに  
してしまっていました。  
やだ、恥ずかしい。  
 
「ま、待って下さい」  
 
恥ずかしさが気持ちよさに勝って、私は彼から身を離しました。  
ちょっと不満そうな彼をあやすように、  
 
「わ、忘れちゃダメです。私じゃなくって、あなたが気持ちよくならなくっちゃ」  
 
と言ったのですけど、ごめんなさい。ほんとは私も一瞬忘れていました。  
彼をベッドに腰掛けるような姿勢にさせて、私は床にしゃがみこみます。  
胸で挟む、って、えっと、こんな感じでいいのかしら。  
 
左右のおっぱいで、おちんちんを挟みこんで、揺すってあげます。  
まだ止まらない前立腺液がローションみたいになって、私のおっぱいの間でおちんちんがぬるぬると滑ります。  
 
 
「うわっ!き、気持ちいい」  
「ほ、ほんとですか?」  
「す、すごいよ。テディーの胸」  
 
嬉しいな。もっともっとしてあげますね。  
おっぱいの間から顔を出したおちんちんの頭を、舌で舐めてあげます。前立腺液を垂れ流し続ける尿道口を舌先  
でいじって上げると、彼はお尻をいじられていた時みたいによがってくれます。  
おっぱいの間に唾を垂らして、もっとぬるぬるにしちゃいましょう。  
どうですか?  
 
「うわ!す、すごいよ。すっごくいやらしくて気持ちいい。ま、まさかテディーがここまでしてくれるなんて」  
「・・・自分でも、びっくりしてます」  
 
私は、おっぱいで竿の部分をしごき続けながら言いました。  
 
「こんな事、想像するのも嫌だった筈なのに、嬉しくて仕方ないんです。変ですかね。私」  
「そんなこと無いよ。俺、すごく幸せな気分だ」  
 
彼が手を伸ばして、私の髪を愛おしむように撫でてくれました。  
私も、すごく幸せです。いっぱいいっぱい、感じて下さい。  
私の動きが速くなると、彼はシーツを掴んで悶えてくれます。  
おっぱい、大きくて良かったって、初めて思いました。我慢しないで。いっぱい出して下さい。  
 
「ああっ!で、出ちゃうよ!テディー!」  
「出して!出して下さい!」  
「うわあっ!!」  
 
私の顔めがけて、彼の精液が勢い良く発射されました。  
 
「きゃっ」  
 
胸の谷間は、汗と唾と前立腺液と精液でべとべと。すっかり汚れちゃいました。  
生暖かい液体が、私の頬から口元に垂れてきます。無意識のうちに、私はそれを舐めとっていました。  
彼の、彼の精液。  
頬についたのを指で掬い取り、放心のまま口に運びます。  
胸についた精液も、おっぱいを持ち上げるようにして直接舐めてしまいます。  
彼の匂い。彼の味。  
 
「おいしい・・・」  
 
私は、呟いていました。  
 
気がつくと彼が、興奮しきった顔でこっちを見ていました。  
や、やだ私、なんて事言っちゃったのかしら。  
今更慌てても、もう後の祭りです。  
恥ずかしくて俯いた私の顔の前には、まだ勢いを失っていないおちんちんがありました。  
 
「あ・・・まだ、ダメみたいですね・・・」  
「いや、わかんない」  
「え?」  
 
顔を上げると、彼がとっても複雑な表情をしていました。  
 
「薬のせいで勃起が治まらないのか、今のテディーの姿を見たせいで治まらないのか、わかんない」  
 
又俯いてしまいます。は、恥ずかしい。  
 
「ね、テディー。俺にもさせてくれないかな。してあげたいんだ、俺も」  
 
む、無理です。  
だって、パンティーが、おもらししたみたいに濡れているんですもの。  
こ、これを見られたら私、死んじゃいます。  
 
「立って」  
 
・・・彼の言葉には、どうしても逆らえません。  
まるで催眠術にでもかかっているように、私の体はフラフラと動き、立ち上がってしまいました。  
ちょうど彼の目の高さの所に、私のパンティーの一番濡れている部分があります。  
おもらしがばれちゃった子供みたいに、私は小さくなっています。  
 
「・・・すごい」  
 
感動したように言うと、彼はまるで犬みたいに私の股間に鼻をくっつけて来たんです。  
 
「い、いや!ま、待って下さい!」  
「いい匂いだよ、テディー。すっごく、甘い匂いだ」  
 
じ、自分ではそうは思えません!な、何だかちょっと臭いんですもの!  
いや!いや!嗅がないで下さい!恥ずかしい!  
彼の頭を持って、弱々しく押しのけようとした時、私のあそこに甘い電流が走りました。  
 
「あっ!」  
 
彼の唇が、パンティー越しに私のあそこを、吸っています・・・  
 
彼の唇の感触が、濡れそぼった股布を通して伝わって来ます。  
ちゅ、ちゅ、と時々音を立てながら、彼はパンティーに染み付いた愛液をすすり上げています。  
 
「君のも、とってもおいしいよ」  
「い、言わないで、下さい」  
 
恥ずかしくて目を閉じると、いよいよ感覚があそこに集中してしまいます。  
き、気持ちいい。こ、こんな気持ちいい事が、この世にあったなんて。  
あそこが熱くて、気持ちよくて、立っていられません。パンティーの上から舐められているだけで、私のあそこ  
は、とめどなく愛液を分泌してしまいます。  
だ、ダメです。もうっ。  
私はベッドの上に身を投げるようにして彼から逃れました。  
背伸びをする猫みたいにお尻を上げて突っ伏している私の腰に、彼の両手がかかります。  
 
「だ、ダメです・・・」  
 
恥ずかしいのに、体が動いてくれません。無意識に、見て欲しがっているのでしょうか。  
快楽に潤みきっている、私のヴァギナを。  
彼の手が、じらすように少しずつ、私のパンティーを下げてゆきます。  
 
「すごい・・・愛液が、パンティーに糸を引いているよ」  
「い、いやぁ」  
「あそこが開ききって・・・ああ・・・これが、処女膜か・・・」  
 
恥ずかしい、恥ずかしい。  
でも、もっと見て下さい。全部、貴方のものです。  
 
「・・・私の全てを、貴方に、捧げます」  
 
震えながら言った私の言葉に、彼は優しいキスで答えてくれました。  
そして唇にした時よりも更に優しい口づけを、彼は私の性器にするのです。  
下着ごしとは比較にならないほど強烈な口淫の快楽が、私を淫らな女にしてしまいます。  
 
「ああんっ!」  
 
四つんばいのまま、まるで発情した獣みたいに、お尻をくねらせてしまいました。  
ちょっと大きめの私のお尻を抱えるようにして、彼は私の花びらを慈しみ、勃起した雌蕊に吸い付きます。  
あ、ダメ。何か来る。何か来ちゃう。  
私の中に、これまで感じた事の無い快感が、津波のように押し寄せていました。  
 
彼は音を立てて、私のヴァギナを舐め続けています。私は訴えました。  
 
「こ、恐い!な、何か来ちゃう!来ちゃうんです!」  
 
重く痺れるような快楽が、私の平衡感覚を失わせてゆきます。恐い!自分じゃなくなっちゃいそうで、恐い!  
背中から覆い被さるように、彼は私を抱きしめてくれました。  
後ろから回された手は秘所に伸び、その太い指は私の陰核を震わせています。  
 
「あ!あ!こ、恐いですっ!」  
「大丈夫。大丈夫だよ、テディー。俺が、ついてる」  
 
いつも私を守ってくれるその声に、私の体から力が抜けてゆきました。  
そう。彼がついてる。私には彼がついているんだわ。  
理屈抜きの安心感が、私の緊張を解きほぐしてくれます。  
 
「イって。テディー」  
「あんっ!」  
 
彼の指先が加速します。  
炎のように激しい快感が噴き上げ、私の理性を消し飛ばしてしまいます。  
もう、恐くありません。指先から伝わってくる熱が、私を看護婦から、一人の女へと変えてゆきます。  
 
「は!は!はあぁっ!!!!」  
「イって!イクんだ!」  
「は・・・い。イ、イキま・・・っっっ!ああぁっ!!!」  
 
ぐらっ、と私の世界が傾きました。  
快楽の淵に突き落とされ、私の意識はどこまでも下降してゆきます。  
昇りつめる、というより、落ちてゆく感じ。これが、イク、って事なんですね・・・  
しっかりと、背中から彼が抱きしめてくれています。その体温が、心地いい。  
目を閉じて、生まれて初めてのオーガズムに浸りきっている私の顎が上げられ、彼の唇が重なりました。  
キスだけで、また達しそうなほど気持ちがいいです・・・  
 
「テ、テディー・・・お、俺」  
 
目を開くと、彼は自分の逞しい肉棒を右手で握り締めていました。  
とっても切なそう。いいんですよ。私を、好きにして下さい。  
私は仰向けになって、少しだけ足を開きました。こ、これが精一杯の意思表示です。  
 
彼が、私を抱きしめます。私も、彼の背中に手を回します。  
柔らかく絡み合う私達の真ん中で、彼のペニスだけが鉄のように固くなっています。  
やがて体が離れ、彼は私の足を大きく広げました。  
恥ずかしい事がありすぎて、少し羞恥心が麻痺しているみたい。開ききった性器を彼の前に晒している私は、  
むしろ彼の猛り立ったペニスを癒して上げられる事に誇らしささえ感じていました。  
 
「いくよ」  
 
私が頷くと同時でした。  
私の中に、杭のように太いものが打ち込まれ、私の奥へ奥へと食い込んでゆきます。  
さ、裂けちゃいそう。ううん、私を裂いて、入って来ているんだわ。  
 
「大丈夫?」  
 
痛みに耐える私を気遣って、彼が声をかけてくれます。  
 
「気に、しないで下さい。う、動いても、いいですよ」  
「うん、でも、また痛そうじゃないか」  
「いいんです。私は貴方の・・・」  
 
看護婦、と言おうとして、止めました。今、私のしている事は、お仕事なんかじゃありませんもの。  
 
「私は、貴方のものなんですから」  
 
乱暴でもいい。貴方の好きなように、して欲しいんです。  
そんな気持ちを込めて、彼を見上げます。彼も、恐いくらい真剣な表情で私を見つめています。  
 
「・・・いくぞ」  
 
それが、嵐の始まりでした。  
それまでの優しさとは一転して、まるで暴風雨の激しさで彼が私に襲い掛かります。  
痛いくらいに両方の乳房が揉まれ、まだじわじわ出血している私のヴァギナに叩きつけるような激しさで肉の杭  
が打ち込まれます。  
勃起した乳首を抓られ、痛みと快感に悶える私を、容赦無く彼の肉棒が抉ります。  
 
「あああああぁ!!!!」  
 
私は、絶叫していました。  
 
本当に、彼は容赦無く私を責めたてます。  
痛みの余り本能的に逃れようとする私を押えこみ、強引に犯し続けます。  
いいんです。いいんです!もっと、もっと犯して下さい!  
私は泣きながら彼にしがみつきます。背中に爪あとが残るほど激しく。  
 
彼が激しく腰を使うごとに、私の双乳が揺れて汗の粒を飛ばします。  
全身全霊を彼に捧げている満足感に、私の体の奥の部分が開いてゆくのを感じました。  
絶え間なく与えられる痛みは徐々に麻痺して鈍くなってゆき、強引に目覚めさせられた女の官能が、私の秘所を  
紅く濡らしてゆきます。  
 
「ああ!ああ!ああぁ!!」  
 
涙を流しながら、私は快楽に溺れ始めていました。  
彼の大きな手が、私の乳房を握ります。もっと、もっと強く!握りつぶして下さい!  
焼けるほど熱かった私の膣は、今、お尻の穴にまで垂れるほど愛液を流しつづけています。  
逞しい亀頭に肉壁を擦られ、鋭い快楽と共に私の尿道から何かが漏れました。  
 
「で、出ちゃう!出ちゃうぅっ!」  
 
私の悲鳴にも構わず、彼のピストンは更に激しさを増してゆきました。  
まるで射精しているようにおもらしをしながら、私は膣奥からの快楽に絶頂します。  
 
「あああああっ!!」  
 
クリトリスでのそれよりもっと深くて重いオーガズムにほとんと意識を飛ばしかけている私の中を、まだ満足  
していない彼のペニスが狂ったように暴れまわります。  
もうだめ。これ以上されたら、死んじゃう。  
なのに、私のヴァギナは物欲しげにひくひくと動いて、彼のペニスを咥え込んで離そうとしません。  
イキっぱなしになっている私の耳に、彼のうめくような声が聞こえてきました。  
 
「お、俺もイキそうだっ!!」  
 
出して。出して下さい。  
もう、言葉を発する事が出来ません。だから私は、彼の目を見ながら、お口を開けて見せました。  
飲ませて。飲ませて下さい。あなたの、ザーメンを。  
 
「い、イクぞっ!テディーッ!!」  
 
雄たけびを上げて、彼がペニスを引き抜きました。  
私の顔の前に突き出された肉柱は私の愛液に濡れ、赤黒く光っています。  
逞しい激しさで彼が自分の肉棒をしごいているのを、うっとりと見ながら私は口を開けました。  
卑猥に、舌を伸ばしながら。  
 
「う、うおおおっ!!」  
 
びゅっ、びゅっ・・・  
 
私の舌に、彼の精液が降り注ぎます。  
それを充分に味わって飲み下し、彼のペニスの先端で滴っている白濁すら舐めとります。  
 
おいしい・・・  
 
赤ちゃんが哺乳瓶を欲しがるように私は彼のペニスを求め、愛液と精液と少しの血の味のするそれを、飽く事を  
知らないようにしゃぶり続けました。  
 
「あ・・・」  
 
と、彼の声。  
無心に舐めつづけている私の口の中で、彼のペニスは徐々にうなだれてゆきます。  
ようやく満足したように段々小さくなってゆくそれを見て、私は微笑みました。  
 
「よかった・・・もう、大丈夫ですね」  
「あ、ありがとう、テディー」  
 
でも少し、頑張り過ぎてしまいました。  
ぐらりと傾く私の体を、彼が支えてくれます。  
 
「だ、大丈夫か!」  
「ご、ごめんなさい。ちょっと眩暈がしただけです」  
 
私を抱きしめてくれる彼に、甘えるようにお願いをしました。  
 
「このまま、こうしていて下さい・・・」  
 
彼の腕に包まれている安心感の中、私は目を閉じました。彼の心臓の音が、健康なリズムで聞こえてきます。  
その鼓動を子守唄のように聞きながら、私はまどろんでいました。  
それは、とても幸せな、時間でした。  
 
それから、数日後。  
彼と私は、ロムロ坂で久しぶりのデートを楽しみました。  
彼もすっかり元のように元気になり、私の体調も良く、これまでと同じように楽しいデートでした。  
でも私は、これまでの私とは少し、変わっていたのです。  
 
あれから。  
私の体は、すっかり女として目覚めてしまいました。  
彼と結ばれたあの日、あの後。  
寮に帰りついた私は、まだ痛みの残る性器を消毒しようと、手鏡で自分のそこを映してみました。  
そこに映し出されていたのは、彼を受け入れた痕跡。裂けた処女膜と、少し濡れた膣口でした。  
まだ体の奥に残る彼の逞しさが、たまらなく恋しく思い出され、私は激しく欲情してしまいました。  
私、看護婦として、失格です。  
結局性器を治療するどころか、私は指を三本も入れて、オナニーに耽ってしまったのです。  
あの日だけじゃ、ありません。  
あれから毎日。時には日に何回も。  
彼を想いながらの自慰行為を、私はどうしても止められませんでした。  
難解な医学書も、看護婦としての職務も、彼を求める心を紛らしてはくれません。  
ただ、彼の側にいたい。女として、彼に必要とされたい。  
その願いは、まるで危険な火種のように私の奥で燻り続け、いつの日か私を焼き尽くしてしまうように思われて  
なりませんでした。  
 
やがて。  
楽しい時は過ぎ、辺りは暗くなって来ました。  
いつもならデートを終え、家路につく時間です。  
この時の為に、何度も練習した言葉を、私は口にしました。  
 
「あの・・・もう少しだけ一緒にいたいんですけど・・・」  
 
顔が赤くなります。もう、潤んでしまっているのが分かります。  
そんな私の心を見透かしたように、彼は私の肩に手を回し・・・そして、服の上から乳房を掴むのです。  
私達は上気した顔のまま寄り添いながら、ロムロ坂の外れにある小さなホテルへと向かうのでした。  
 
 
そう。恋人達の夜は、これから始まるのです。  
 

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