アンにとって、彼から与えられる感覚すべてが幸せの源だった。
彼の手が、そっと伸ばされてアンの胴を這って下着に指をかけてくる。
「・・・あ・・・」
小さく抗弁しそうになって、アンは慌てて言葉を飲み込んだ。
怖い、と思うけれどそれは口にしてはいけないと思う。
自分から貴方の物にして欲しいと言っておいて気後れするなど失礼な事だ。
それでは、彼への想いまでもを否定するかのようではないか。
アンは小さな身体をぷるぷると震わせながら、健気に彼を見つめる。
しかし、どうやら彼の方が先にアンの震えに気付いたようだった。
「・・・怖いかい・・・?」
アンは、その優しい問い掛けに、思わずこくんと頷いてしまう。
ただ、すぐその後に首を左右に振って言葉を続ける。
「・・・でも、貴方だから・・・大丈夫、です」
既に涙で一杯になった瞳で、アンは息を吐いて彼に身体を寄せた。
なんとか息を吐きつつ、体の力を抜くようにしてみる。
そうしてみて、アンは改めて自分がどれだけ緊張していたか気付く。
身体が滑稽な程に強張っており、背中などまるで定規でも差し込んでいるみたいだ。
そんな身体を操って、下着を脱がせて貰う為に脚を広げるアンだった。
普段はなるべく揃えるようにしている脚を、自分で広げる事に奇妙な感覚を持った。
それは、好きな人の為だったら自分はこんな事も出来るんだという感動である。
そう・・・私はこの人が好きです、この人の為ならなんでも出来ます。
そんな言葉を、アンは心の中で呪文のように唱えるのだ。
いつも彼の名前を、まるでお守りであるかのように繰り返しているのと同じように。
彼の名前を口にする時、アンはいつも幸福感に包まれるのだ。
彼が、アンの腰の両側に指を掛けて下着を太腿から滑らせてくる。
お気に入りの下着を着けて来たつもりだが、どう思われただろうかとアンは思う。
可愛いと思って貰えただろうか、愛しいと思って貰えただろうか。
アンはその小さな胸をどきどきとさせながら、目を潤ませる。
そして、自分の足の付け根がとっくの昔に濡れそぼっている事に赤面した。
いやらしい女の子と思われないだろうかと、またもアンは胸を詰まらせる。
アンの愛液はさらさらとして、自分を愛する時に指に絡まる事はない。
しかし体質のせいかとても濡れ易く、すぐに下着を汚してしまうのだ。
今もちょっと彼に愛されただけで、アンの股間はまるで洪水のようなのである。
アンは恥ずかしさに顔を手で覆って、小さく首を振った。
そして、程なくしてアンの女の子として大事な部分が彼の目に晒される。
アンの下のヘアは控え目で、割れ目を僅かに彩っているくらいだ。
下腹部はほぼ平らで、そっと息づく股間は可愛らしく盛り上がっている。
「・・・はぁぁっ」
自分の隠されていた秘所が空気に触れるのを感じて、アンはそっと吐息を漏らす。
そよそよとした風が割れ目を撫でるのを感じて、アンは自分が裸だと感じる。
彼は下着を膝上に掛けたまま、アンの太腿の内側に手を掛けて脚を開かせた。
「・・・う、ぁ・・・っ」
覚悟していたとはいえ、自分の秘所を彼に見られる羞恥にアンは身を捩る。
彼がアンを宥めるように、そっと太腿を撫でてから割れ目に指を触れさせた。
「あああっ」
アンは彼に彼女自身が広げられた瞬間、くちゅんっと音を立てたのに気付いた。
彼に胸を愛撫されて、アンの割れ目は愛液でくちゅくちゅになっているのだ。
彼の手が動く度に、どうしようもなく感じてしまうアンなのである。
彼はそんなアンを咎める事なく、アンの股間に指を差し入れる。
「う、うぁっ・・・んん」
赤みのあるピンクの襞はまだ開いてはいなかったが、奥からは透明な蜜が漏れて来る。
彼は指に液を取ると、アンのクリトリスにそれを塗りつける。
「くはぁっ、あああっ」
アンは敏感な尖りを愛撫されて、喉を鳴らすように快感を訴える。
そうして、彼が愛撫を続けると更に濃い愛液を湧き出させるアンの秘所だ。
アンは、頭の中がぐるぐると廻っているような錯覚を感じる。
それはちょっと混乱しているが、確かにはっきりとした快感だった。
自分がまるで猫か何かのように絶え間なく喘ぎ声を上げているのに、アンは驚く。
押さえようとしても押さえられないその声は、彼に甘える色で満たされている。
自分が自分ではないかのように彼に自由に扱われるのは、新鮮な感覚だった。
彼は、そんなアンの割れ目に指を這わせてくる。
熱くなっているアンのそこは、待ち構えていたように彼の指をくわえ込む。
「くはぁっ・・・」
湿った割れ目が、彼の指を貪欲に味わい更に濡れて行く。
アンは思わず手を伸ばして、ぎゅっと彼の身体の背中を求める。
アンの大切な場所が、彼の指の動きに連れてぴちゃぴちゃと音を立てていた。
「きゅぅっ・・・んんっ」
そうして優しく掻き回されるたびに、アンは身体をびくっと震わせる。
すっかりほぐれているアンの秘所を暫く愛撫した彼が、アンの瞳を覗き込んで来た。
「・・・・・・」
アンは、彼の目に向かってこくんと頷いた。
彼の物になれるという感動と、幾ばくかの恐れと躊躇いがアンの体を包む。
だが、初めての経験に対する恐怖に彼への一途な恋心が勝利した。
アンは彼を促すように、彼の首と背中に廻した腕に力を入れる。
彼は自分のものを取り出すと、アンの股間にそれを近づけた。
そして、すっかり準備が整っているアンの脚の付け根に身体を割り込ませる。
「あっ」
アンは初めて知る熱く硬い男のものの感触に、ちょっと竦んでしまう。
だが、すぐに大きく息を吸い込むと彼に全てを委ねる。
「・・・す、すいません・・・お願い・・・します」
アンは、囁くような口調で彼に向かって微笑みかけた。
彼のアンの膝を開かせて、その中心に彼自身をあてがい力を入れる。
「力を抜いた方がいい」
彼がいつもの優しい口調でアンを気遣ってくれた。
自分はどこまで彼に甘えればいいのかとアンはちょっと自己嫌悪に陥る。
こんなに優しく素晴らしい人なのだから、きっと誰もが好きになるに違いない。
彼の心の中に、自分のいる位置などあるのだろうか。
彼に抱かれれば全てが変わるというのは、ただの思い込みなのではないか。
それでも、彼の身体が自分に重ねられてくるのがとても嬉しい。
そっと息を吐いて力を抜いたアンを見つめた彼が、腰を進めてくる。
アンの狭い処女の入り口が、彼を飲み込んで大きく裂かれた。
「く、あ・・・い・・・痛っ・・・ああああああっ」
アンの目から、堪えきれない涙がどんどん溢れてくる。
まるで身体が裂かれてしまうような・・・傷口を抉じ開けられるような。
そんな痛みがアンを苛むが、彼自身は更に深く進んで来た。
「あああっ!! ああああっっ!」
彼のペニスが根元まで、アンの秘所を貫いて挿入されていた。
アンは、自分の身体の奥で何かを破られたような鮮烈な感覚があった。
ああ、自分は女になったんだとアンは感動で涙を流す。
「・・・あ、あの・・・」
まるで心臓がそこにあるかのように、じんじんと股間が疼くのを感じる。
それでも涙で一杯になった瞳で、アンは彼に弱々しく微笑みかけた。
「わたし・・・今すごく幸せな気分です・・・」
大切な初めてを彼に捧げる事が出来たと思うと、女の幸せを感じてしまうアンだ。
まるで身体が溶けてしまうような、そんな感動に包まれるのだ。