「あやめ」
「あ、はい」
とてとてという擬音が似合いそうな歩みで空目の元へ歩み寄るあやめ。
文芸部員が全員揃った部室に次の瞬間、電気が走る。
「眠い。膝枕してくれ」
「えっ…あ、あの………」
この発言にあやめがうろたえる間、闘志を燃やした人間が二人居た。
片方、空目に片思いする亜紀。もう片方は番犬たる俊也。
(恭の字を…膝枕………鼻血と涎が出るね)
(木戸野がヤバいオーラを出してるな…奴らにやらせるぐらいならば俺がやる!)
「恭の字! 膝を使いたいならこの膝を!」
「空目! 俺の膝なら貸すぜ」
「遠慮する。俺はロリっ娘の太ももが良いんだ」
その言葉に亜紀は叫んだ。
「あと少し若ければアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
俊也も叫んだ。
「そもそも俺は男だアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
発狂する二人を武巳と影の薄いアイツが宥める。
そんなこんなで騒がしい中、空目はあやめの太ももに頭を置いて安らかな寝顔を浮かべていた。
だからその場に居た者は誰一人として気付かない。
あやめがニヤリと笑んだ事を、空目意外は気付かない。
(腹黒いあやめも可愛いな…)
保守