「バレンタインデーの為に頑張った5人の成果を披露する時が来たよ!!」
絶叫しているのは綾子―――ではなく何故かテンション高い十叶先輩。
部室には神隠し含めた文芸部三人と一時休戦中の十叶先輩と摩津方IN木村圭子が居る。
文芸部の男を待っているのだ。
何の為? チョコを渡す為よ。
「魔王様達遅いね」
「遅いな、小僧達」
「シェーファーフント君達まだかなぁ…うへへ、シェーファーフント君…ジュルリ」
「………」
若干一人キャラクターが崩壊するほど興奮しているけど気にしたら負けだと思ってる。
だって、魔女だし。
各々のチョコは個々の人間性が顕著に現れてると思う。
私のは見た目シンプルだけど意外と手間を掛けてる。
綾子のは見た感じかなり派手な板チョコ型。チョコチップが凄まじいわね…。
神隠しのは不器用ながら頑張った感じがしてなんか暖かい雰囲気がする多分ハート型。
木村圭子のは落ち着いて、摩津方の物はデコレートされてどちらも可愛いけど摩津方何故作った?
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドギャァン!!
ふと廊下から凄まじい音が轟いて思考を止めざるを得なくなった。
「ちょ、ちょっと待てってばァァアッー!!」
「空目さぁん!」「たけみん!!」「Toshiya!!」
村神の壮絶な絶叫と黄色い声。途中Dir混ざった?
「な、何ぞ?」
しばらくして落ち着いた後に、物凄い数のチョコレートを持った三人が現れた。
「えっと…それ何…?」
一応聞いておく。村神が聞いて欲しいと目で言ってるし何か哀れだ。
「チョコ。待ち伏せされてたみてぇだ…99%女子からのものだ」
確かに見た目は良いからこいつらがチョコを貰っても不思議じゃないけど…多っ。ってか
「…聞きたいんだけど残り1%って―――」
「それは聞くな!」
疲労を隠しきれない村神と、何故か目がパッチリしてキュンキュンしてる恭の字と、苦笑いを浮かべてる近藤。
何があったかは想像したくない。
「で、お前らもチョコ用意したんだろ?」
「うん。でもそれだけあると迷惑になりそうだね」
「いや。どこぞの連中のより優先すべき物がある」
「村神の言う通り!」
「キュン(゚∀゚)キュン♪」
村神に同意した近藤に続くように多分同意したと思われる恭の字。
そして、しばらく部室には甘い匂いと笑い声が漂った。