完全に乙女になり果てた摩津方IN木村圭子は焦っていた。クリスマスの存在を認識したからだ。
その時既にクリスマスまで1ヶ月と無い。
摩津方IN木村圭子は無意識に武巳と一緒に過ごすクリスマスを妄想した。
「小僧にケーキ作って…一緒に………はっ!? 私は何を考えて………!?」
一気にボンッと赤くなる顔。
カァ〜となりながらモジモジし、床でジタバタと暴れピタッと止まった。
天井を見ながら
「どうしたら良いんだろう…」
無意識のうちにぽつりと呟く。
『誘えば良いじゃないですか?』
ふと頭の中に直接、木村圭子の声が響く。少し苦笑い気味に。
「そう簡単にもいかないの!」
『武巳先輩を誘えば良いんですか? それなら私がやりますけど』
「だ、駄目! それは駄目ッ!!」
ガバッと起き上がり慌てたようにジタバタと手を動かす。
『解ってますよ〜。自分で誘いたいんでしょう?』
笑い声混じりに言う木村圭子に摩津方IN木村圭子は少しムッとした。
「そ、そんなんじゃないんだからね!」
『じゃあクリスマスは私に体譲って下さい。武巳先輩とお食事したいんで』
もやもやとする胸中。
摩津方は自分が武巳を取られたくないと思ってることを認めたくなかった。が、
「駄目。私が、小僧と過ごすんだから!」
抑えきれない何かがそう叫ばせてしまった。すぐにしまったと思ったが聞こえる笑い声がもう遅いと告げる。
『解りました。あ、でも少しは共有させて下さいね? 私も武巳先輩好きなんですから』
「むぅ………」
女二人…と言えるか怪しい夜はこうして更けていく。