「こんばんは、『影』の人」  
  空目が自分の部屋で本を読んでいるときのこと。夜も更け、皆が寝静まっ  
た時間にそれはやってきた。  
 玄関の呼び鈴は鳴らされていない。それ以前の問題として、玄関には鍵をか  
けた上にチェーンロックまで施してある。一体どうやって入ったのか。  
 最近にしては珍しく『使徒』を連れてはいない。肉体的な能力に劣る空目な  
らば、別に一人でも良いと判断したのだろうか。  
 ベッドに腰掛け、あやめを近くに立たせている空目は迷惑そうに詠子を見な  
がら読んでいた本を閉じた。  
「何の用だ」  
「つれないなぁ。大丈夫、別に何かしようなんて思ってないよ?」  
「では、何故ここに来た」  
「……それはね」  
 いつものような邪気のない笑顔。狂気すら帯びたその笑みは、しかし今日は  
頬が紅潮している。  
 自然な動きで空目の隣に座る詠子。それを見て、あやめの顔が険しくなった。  
 ごめんね、とあやめに向けて詠子の口が動く。声は出さず、ほんの少しだけ申  
し訳無さそうな表情で。  
 そのことをあやめが訝しむ前に、詠子は次の行動に移る。  
 自然な、本当に自然な動きで詠子は空目を押し倒し、その唇を奪う。  
 全く予想すらしていなかったことに、さしもの空目でさえも目を丸くし硬直  
してしまう。あやめに至っては失神でもしてしまいそうに驚いてしまっていた。  
 
「……何を?」  
 慌てて詠子を押しのける空目。しかし、詠子は空目の顔から十センチも離れ  
ていないところで留まり、寂しそうに笑う。  
「こうしないと、もう駄目なの。ちょっと向こうに関わりすぎちゃったみたい」  
「他に、いるだろう。何故俺なんだ?」  
「『使徒』達じゃあ駄目だし、『狼人』の彼じゃあ壊されちゃうよ。『追憶者』 
君には『魔術師』がついてるし」  
「しかし……んんっ」  
 空目が何かを言うより早く、詠子は再びその唇を奪う。  
 舌を空目の口腔に挿し入れ、ぴちゃぴちゃと音がするほどに蹂躙する。  
 その様子を、あやめは目を逸らすこともできずにただ見続けていた。  
「っぷは、ぁ、あやめ、見たくないなら、部屋から出ていろ」  
「……え?」  
「先輩は、どうあっても、最後までするつもりだろう。だから、出ていると良い」  
 息を切らせながら、空目はなんとか詠子を引き剥がしあやめに告げる。  
 だが、あやめは敵のトップである詠子を空目と二人きりにすることを躊躇っ  
ているのか、おろおろするばかりで動こうとはしない。  
「でもっ」  
「いい。どうやら、危害を加えたりする気はないらしい。その気なら『使徒』  
を連れて来ているはずだ」  
 さぁ、と促す空目に、あやめは顔をくしゃくしゃにして、声なき叫びを上げ  
ながら部屋を出て行く。  
 ばたん、という大きな音と共に部屋の扉が閉じられると、後には静寂だけが  
残された。  
 しんと静まり返った部屋で、その沈黙を破ったのは詠子だった。  
「いいの?」  
「構わん。俺では、どうせ振り払うことも出来んからな」  
「そう、じゃあ続けるね」  
 
 自分の着ている服をはだけ、その控えめな乳房を晒す詠子。  
 それを見ても空目は特に顔色を変えることなく、半ば義務であるかのように手を伸ばす。  
 あまり大きくはない、が形の良いそれは空目の手の中で柔軟に形を変える。  
「あっ、人にされるのって思ったより恥ずかしいね」  
「知らんな」  
「ふふ、そうみたいだね。少しは反応してくれるかと思ってたけど、ここも勃ってくれてないみたいだし」  
 そう言って詠子は空目の股間に手を伸ばす。  
 器用に片手でベルトを外し、ズボンとパンツを同時に脱がす詠子。  
 露わになった空目の肉茎は詠子の言葉通り勃つ気配すら見せていない。  
「ふふ、失礼するね。あんまり見ないでくれると嬉しいな」  
 そう言って体を反転させ、詠子は空目の股間の方に頭を向ける。当然、空目の顔の前には詠子のスカートの中が丸見えになっていた。  
 羞恥を感じているのかいないのか言葉の割に詠子は恥ずかしがる気配すらない。  
 しかし、室内の灯りに照らされ、空目にはショーツの中心辺りが濡れているのがはっきりと見えていた。  
「濡れているな」  
「あっ」  
 空目はショーツの濡れている辺りに手を伸ばす。  
 生暖かいそこは、なにか心地よく空目は何度もそこを指で往復させる。  
「んっ、や、ふ、ふふ。わ、私も負けないよ?」  
 言うや否や、詠子は空目の肉茎に舌を這わせる。  
 唇を噛むようにして声を漏らすことはないが、空目の顔が露骨に歪んだ。痛みなどに、ではない。快感に、である。  
 その感覚を紛らわせるように、空目は詠子のショーツをずらし直接底に触れる。  
「ひゃ、そんな、いきなり……んんっ」  
 流石に空目が声を出さないので恥ずかしいのか、それとも自分ばかり責められているのが悔しいのか詠子は空目のモノを口に含む。  
 もうかなり硬くなってきていたそこは、最初の頃よりも随分と敏感になっているようで口に含まれただけでもびくびくと暴れてしまう。  
 耐え切れなくなってきた空目は体を僅かに起こし、詠子のクレヴァスにむしゃぶりつく。  
「あ、んっ。……そこ、もう少し奥を、あぁっ」  
 膣内に舌をねじ込まれ、嬌声を上げる詠子。  
 拙い空目の愛撫だが、元々詠子が相当に感じやすい体質らしくビクンと体を震わせる。  
 軽く絶頂を迎えたのか、詠子はくたりと脱力し、空目の顔を見ながらあの邪気のない笑みを浮かべる。  
 
「そろそろ、いいよね?」  
 再び体を反転させ、自分の秘所が空目の肉茎の上に来るように調節し詠子は腰を落とす。  
 ミチ、と空目の肉茎に何かを引き裂くような感触が伝わる。  
 まさか、と思い空目が詠子の秘所を見ると、血が伝っていた。  
「先輩?」  
「んっ、やっぱり、痛いね。でも、これで良いの。私だけ何も失わないなんて不公平だからね」  
 笑みを崩さないまま、詠子は空目の腹に手をやり自分から動き始める。  
 じゅぷちゅぷと湿った音が響くが、それは詠子の愛液だけの音ではない。  
 痛いぐらいの締め付けで空目はそれだけでも果ててしまいそうだが、詠子はかなりの痛みを我慢しているのだろう。笑みを浮かべているのは変わらないが、しかし少し動くたびに顔を顰めている。  
「先輩、失礼します」  
 空目はそう言うと体を起こし、抱きかかえる形で詠子を押し倒す。  
 ちょっと驚いた顔をする詠子の唇を奪い、空目は乳房に手をやり揉みしだく。  
「ふ、んん……もう、強引だなぁ」  
「次に、何かを残したくはありませんから。ここで借りを作るわけにはいきません」  
「ふふ、真面目だねぇ。借りを作ってるのはこっちなのに」  
 それはまだ詠子と空目が対立する前のように。敵同士ではなく、仲の良い知り合い同士のような会話。  
 幸せそうに詠子は笑い、空目の頬にキスをする。  
「もう、大丈夫。一気にやっちゃって欲しいな。思い出に残るぐらいに」  
「分かりました」  
 空目が腰を突き出し、詠子の膣のより深いところに肉茎が突き刺さる。  
 大丈夫、と言ったのは本当のようで、先程よりも肉茎の行き来がスムーズになっている。  
 激しく腰を振る空目を、詠子は受け止める。  
 まだ痛みがなくなったわけではないのに、自分からも腰を動かし空目と自分を高めていく。  
「あっ、ひゃ、ん、ああっ!」  
「……く」  
 最初は大きなストロークで動いていたが、だんだんと動きが切羽詰ったように早く、短くなっていく。  
 パンパンと肉がぶつかり合う音が響く。  
 それに同調するように詠子の声も高くなっていき、遂に二人は限界を迎えた。  
「せ、先輩、もうっ……」  
「このままっ、このままお願い! あ、ぁぁあああっ!」  
「くぅぅっ!」  
 びゅくっ、びゅくびゅくびゅるっ!  
 詠子の一番奥で放たれた白濁液が子宮を叩く。  
 空目自身かなり溜まっていたらしく、奥で出されたにも関わらず外に溢れ出していた。  
 かなり息を荒らげて、空目が詠子の上に倒れる。  
 体力のない空目にはかなりの重労働だったようで、果てた瞬間に意識を失ってしまったようだ。  
 そんな空目の頭をいとおしげに撫で、詠子は再びその頬にキスをする。  
 そして、空目を起こさないようにベッドを抜け、ゆっくりと乱れきった服を直す。  
「じゃあ、ね。『影』の人。夢だったと思って、忘れてくれると嬉しいな」  
 疲れきって寝息を立てている空目を愛おしそうに、それでいて寂しそうに見て詠子は部屋を出る。  
 部屋の扉のすぐ傍には、体操座りでうずくまっているあやめがいた。  
 泣き疲れてしまったのか、詠子が部屋から出てきても反応がない。もしかしたら意図的に無視しているのかもしれない。  
「ごめんね」  
 そう言って詠子は足音を立てることもなくどこかへと歩き去っていく。  
 空目に注がれた子宮の辺りを、大切そうにさすりながら。  
 
 
 
 

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