「チアキ・・・ウサギって何のこと?」
肩に置かれたハルカの手にチアキはただ震えた。恐怖が体を満たして行くのがわかる。その様子はまさにウサギのようで・・・
辛うじて振り返るとハルカは笑っていた。が、目は笑っていない。
「違うんです!ハルカ姉様!あれはカナが!」
必死に叫ぶチアキをハルカは右手で制す。
「何が起きたのか説明してくれないとわからないよチアキ?」
チアキは震える手で壊れてしまったウサギのペンダントを差し出した。
「・・・ごめんなさいハルカ姉様」
ハルカはペンダントをじっと見つめながらチアキに話しかけた。
「少し、お話しようか?」
チアキは今玄関で目隠しをして正座をしている。ハルカがするように言ったからだ。
「ハルカ姉様はいったい何をするつもりなんだろう・・・」
チアキの不安は募るばかりだ。しかし何も見ることができないこの状況では不安を解消するすべはない。ハルカの声が聞こえてくる。
「私は二人がペンダントを壊したことを怒ってるんじゃないの。正直に謝ればそんなに怒らないわよ。間違いだしね。」
「はい、ハルカ姉様・・・」
「でもチアキはそれを隠そうとした。」
「はい。」
「それはとってもいけないことよね?」
「はい。」
「悪い事をした子には?」
チアキは意を決して言った。
「・・・お仕置きです。」
ハルカの気配が動いたことがチアキには感じられた。後ろに回り込んだハルカはチアキの脇の下に手を差し込み・・・
「よくできました。」
指を動かし始めた。
「うひゃ!は、ハルカ姉様!」
脇の下からくる鋭い刺激にチアキは吹き出しそうになった。だが
「チアキ、これはお仕置きなんだから笑っちゃだめよ?」
ハルカは世にも残酷なことを言ってのけた。チアキは歯を食いしばって我慢する。
「くっ、くくっ、ハルカ姉様!許してっ!」
ハルカの指によるイタズラにチアキは許しを乞うた。しかし返事は無情だった。
「だめよ。お仕置きだもの。」
「そんな、ひぅ!」
ハルカは文句があるのかとばかりに人差し指を奥に突き立てた。無論他の指でバラバラに脇のしたを撫でくすぐるのは忘れない。
「は、ハルカ姉様!もう・・・」
「そうだ、チアキ!」
必死の思いで耐えているチアキにハルカは天気の話でもするように言った。
「両腕を上げなさい。」
厳しい。只でさえ苦しんでいるチアキに弱点を思い切り曝せというのだ。
「それは、無理ですぅ!くくっ! 」
「仕方ないわねぇ・・・」
一瞬くすぐりの手が止まりチアキは一気に酸素を吸引した。しかし安堵する暇は与えられず正座のまま仰向けにされ両手をハルカに押さえ込まれてしまう。
「なっ、何を!」
目隠ししているチアキには一瞬なにが起きたかわからなかった。しかし、直後に起きた自分の右脇の異変に嫌でも状況を理解させられた。
「いや、はははは!ハルカ姉様!やめっ、はははは!」
さっきまで閉じていた自分の弱点を全開にさせられチアキはガマンどころではとてもなくなった。
「全く、お仕置きだから笑っちゃダメって言ってるのに!チアキはいけない子ね!」
ハルカはそう言うと更に刺激を強めた。爪で深いところを刺激しつつき浅い所をなでひっかく。
その一つ一つがチアキを翻弄し笑いを無理やり作り出す。
「うひゃひゃぁ!ハルカ姉様ぁ!許してくださいぃい!」
「だーめ!もうちょっと頑張りなさい。」
暴れたいが腕は押さえ込まれ足は自分の体が押さえつけている。普段の冷静な姿と対照的に今のチアキはただよがることしかできない哀れな小学生だった。
「いひゃひゃははは!もうだめぇ!」
「チアキ、もう悪いことを隠さない?」
「はい!隠しませんもう二度と!あはははは!」
「そう、なら。」
ハルカは左手で抱えていたチアキの両手を両足で押さえ込んだ。
「最後に両脇をくすぐったら許してあげる。」
そしてがら空きになったチアキの両脇をくすぐり始めた。左手で脇をかき混ぜつつ右手で焦らすようになであける。時たまアクセントに脇腹やお臍にも刺激を加える。
この激しい責めについにチアキは泣き出した。正確にいうと泣き笑いだが。
「あーははっはっはっ!ごめんな、ひゃあはははごめんなさい!」
気が遠くなる寸前にチアキはハルカに許された。
「もう隠し事しちゃだめよ?」
「はあはあ、はい、ハルカ・・・姉様。」
「じゃあカナが帰るまでそこで正座なさい。」
チアキは泣きながら正座を始めた。ハルカは壁にもたれ掛かりながらゆっくりこれからのことを考えた。おそらく実行犯もチアキをそそのかしたのもカナだろう。
「しっかり反省させなくっちゃね・・・」