昼下がりの管理人室。  
 
窓の外からは子供たちのはしゃぐ声や  
大人たちの騒ぐ声が聞こえる。  
 
 
今日は澪やプラチナ、正宗も遊びに来ている。  
 
最初はリビングで雑談していたのだが、なにせクーラーのない  
うたかた荘ではいくら玄関を明け放して風を入れたところで  
昼の暑さには太刀打ちできず、そのうち耐えかねた澪が  
 
「アズミ!外で水遊びしよう!」  
 
と言いだした。  
 
大きめのタライに頸伝導した水を張り、はしゃぐアズミを見て  
大人たちも涼を取っていたが、そのうちせっかくみんないるんだし、  
庭でBBQでもやろうか、という話になった。  
 
「あら〜いいわね〜大勢でお外でごはんなんて。」  
「じゃあ炭とか買ってこなきゃね☆この際だからいろいろ揃えちゃってもいいかな?」  
「あ、もしかしたら管理人室の押入れに何かあるかも?  
そろそろ明神さんも起きる頃だし、私ちょっと見てくる!」  
「よろしくね姫乃ちゃん☆」  
 
 
 
管理人室のドアを開けると、見慣れた白い頭が布団から顔を出していた。  
ゆうべはいつにもまして帰りが遅かった。そのことを考えると  
起こすのはためらわれたが、もう太陽も真上を少し過ぎたころだし…と  
そっと顔を覗き込んで、  
 
「…明神さん?もうお昼ですよ…?」  
 
と耳元に優しく声をかけた。  
 
「んぅ…?」  
 
白くて長いまつげがふるえて、その奥にまだ覚醒しきらない瞳が揺れる。  
あ、起きたかな?と思った瞬間、伸びてきた腕に捕らえられてしまった。  
 
「わわわっ!みょっ明神さん!?」  
「んーあれ?ひめのんだぁ〜今日もかわいいなぁ〜」  
 
寝ぼけている。完全にねぼけている。  
抱き枕のようにしっかりと胸に抱かれてしまって、身動きがとれない。  
 
「明神さんっ!起きてー!明神さんってば!」  
 
じたばたと抵抗を試みるも、その腕はまったくほどける様子はない。  
また眠ってしまったのかと顔を見上げると、ぼ〜っとした瞳と目が合った。  
なんだ、起きてるんじゃない…とホッとしたのもつかの間、  
 
「んっ!んんぅ…!」  
 
突然息を奪われた。  
 
普段ふと二人きりになったときなどにどちらともなく軽く口づけることは  
あったが、明神のほうからいきなりこんなふうにされたのは初めてで、  
とまどいながらも少しうれしく思っている自分がいた。  
 
けれど、今はそんな場合ではなくて。  
 
「んっふぁっぷはっ!明神さん!起きて!」  
「ん〜起きてるよ〜?」  
 
明神は明らかにねぼけた声でそう返事すると、するっと  
姫乃のスカートの中に手をすべりこませた。  
 
「ちょっ!こらっ!起きなさいっ!もおっ怒るよっ!?」  
「ん〜怒ってるひめのもかわいい…。」  
「もうっ!何言って…やぁっ!やだぁっ!」  
 
冗談ぽくさわさわとお尻をなでていた手が今度は背中に回り込んで、  
あっさりブラのホックを外してしまった。肩ひものないタイプのブラを  
つけていたのを激しく後悔したがもう遅い。あっという間に  
するりと抜き去られてしまう。  
 
「ちょ…ちょっと!だめだってば!だめっあああんっ!」  
 
服の上から敏感な実をきゅっと甘噛みされ、思わず声がもれてしまい  
あわてて自分の口をふさぐ。  
 
 
やだ…みんなに聞こえちゃう…!  
 
 
するとその声に気を良くしたのか、明神はTシャツをめくりあげ、  
直接その実を啄ばみはじめた。  
 
「あっああんっ!みょう…じんさんっだめっ!こえ…でちゃう…んんっ!」  
「いいよ出して…。ひめのの声聞きたい。」  
「そっ…そうじゃ…なくてぇっ…んぁあっ!」  
「聞かせて?」  
 
もう姫乃をとらえていた腕はとっくに離れていて、逃げようと思えば  
逃げられるのに、力が入らない。呼吸が乱れ、頭がぼおっとする。  
執拗に胸を刺激され、ビクビクと体がはねる。  
逃げ出すどころか布団のはじを噛んで、声を殺すので精一杯だ。  
 
「ぁっ…うんっ…んんんっ!」  
 
硬さが増し、ツンと上を向いた実を舌や指でこれでもかと弄ばれ、  
体の奥がむずがゆく感じて姫乃は身をよじらせた。  
 
「ぅんんっ…はぁっ…みょうじんさん…!  
お願いおき…てよ…!ぅあんっあっあっっんん!」  
「んー…ひめの…かわいいよひめの…もっと…。」  
 
ちゅうっっと強く吸われ、体が大きくはねる。  
大きな手が下半身に伸び、下着の中に滑り込む。  
 
「やっ!そこはだめぇっ…!!」  
「…だめ?」  
「やっいやぁっ…!だめだよっ…おねがいっ!誰かきたら…。」  
「ん〜だってひめののココはだめって言ってないもん〜」  
 
明神がほんのちょっと指を動かすだけで、くちゅりと卑猥な音が響く。  
 
「ほら、いつもよりとろっとろ。」  
 
いつもより。その理由が自分でもはっきりとわかって、  
あまりの恥ずかしさに涙で視界がにじむ。やだ…私…そんな…!  
 
「やらしいひめのもかわいい〜。」  
 
明神は相変わらずぼやっとした瞳で愛おしそうに姫乃を見つめながら、  
聞こえてくる水音を楽しんでいるようだった。  
その長い指が動くたびに姫乃の体はビクビクと跳ね、かわいらしい声が上がる。  
 
「ぅあんっ!そっそんなことない…もんっ!んっああっだって…明神さんが  
こんなことっする…から…だもん…!あっあんんっ…!」  
「そっか俺のせいか〜じゃあ責任とらなきゃね」  
 
くちゅくちゅと入口をもてあそんでいた指をすべらせ、  
ぷっくりと硬くなった蕾を優しくこすりあげる。  
 
「やぁっあっあっあっ…!!だめぇっ…!!」  
「だめじゃないって。ほら…こんなに硬くして。」  
「やっ…ああっ…!いじ…わるっ…!」  
「ん〜そんなこと言われるともっといじわるしたくなっちゃうかな〜」  
「あっ!やぁんっ!やめ…っあああっ!!」  
 
優しかった指の動きがとたんに攻め立てる動きに変わる。  
 
「これでもだめ?」  
「あああっ!あっあっあっあんっ…!!」  
「だめならやめるけど。」  
「んっやっあっあっ!ずる…いっ!ああああっ!もぉっだ…め…!」  
 
大きな快感の波にさらわれかけた瞬間、明神の指がぴたりと動きを止めた。  
 
「あっあぅんっ…!」  
 
寸止めされて下半身がガクガクと震える。体の芯がジンジンする。  
あと少し。あと少しなのに。  
 
「はぁっ…!どし…て…」  
「ん〜だってひめのだめって言うから。」  
「んんっ…いじ…わる…。」  
「…どうしてほしい?」  
「え…」  
「ちゃんと言って?どうしてほしい?」  
 
言いながら明神はゆっくりとやわらかい動きで蕾をなでる。  
楽しそうに姫乃の反応を見ながら、じらし、追い詰めてゆく。  
イケそうでイケない、もどかしい快感に包まれて、姫乃は思わず自分から  
腰を揺らす。  
 
「ちゃんと言わないとみょーじんさんわかんないよー?」  
「んんっ…も…もっとさわって…ほし…い…の…。」  
「…どこを?」  
「やぁっ…い…いまさわってる…とこ…!」  
「ここ?」  
「きゃああんっ!」  
 
きゅうっと強く摘まれて体が跳ねる。  
 
「…よくできました♪」  
 
「あっあっあああーーっ!!」  
 
今までのやわやわとしたもどかしい動きから、求めていた動きに変わる。  
限界まで膨らんだ蕾を指の腹で押しつぶされ、こねられ、  
快感の波が次々に押し寄せる。  
 
…みんなに聞こえてしまうかもしれない。  
誰か来てしまうかもしれない。  
 
そんなことはもう考えられなくなっていた。  
もうこの部屋に入ってどのくらい時間がたったのか。  
ほんの数分のようにも、数時間にも感じられる。  
 
「あっあっあっ…!みょうじん…さんっ!!  
ああああっ!もう…もう…んあああーーっ!!」  
 
 
大きく体を痙攣させて、ようやく姫乃は絶頂に達した。  
 
体が熱い、息が苦しい…。  
胸を大きく上下させながら、自分の横で満足げに寝息を立て始めた  
恋人の顔をうらめしげに見つめる。  
 
いつだって寝起きは悪い。寝像も悪い。  
だからって…こんなのは初めて…。  
 
 
と、そのときトントンッとノックの音が聞こえて、  
姫乃はあわてて飛び起きた。急いで乱れた服と髪を整える。  
 
 
「はっ!はいっっ!!」  
 
カチャリと遠慮がちに細く開いたドアの隙間から、白い髪とサングラスが覗く。  
 
「あ〜姫乃ちゃん?ちょっとみんなで買い出し行ってくるから、留守番頼むね☆  
…押入れの整理ってやり始めると止まらなくなっちゃうけど、ほどほどに☆」  
 
「えっ!?あっ、はい!わかりましたっ!」  
 
…押入れの整理?  
 
あ、そうか私「押入れ見てくる」って言ってきたんだっけ…。  
じゃあみんなそう思ってくれたのかな?とホッとした瞬間、  
 
「って、みんなには言っておいたから☆」  
 
と、隙間からピースサインが覗く。  
 
「あ、ありがとうございま…ええええええっ!!?」  
「冬悟くんが起きたら「貸しひとつね☆」って伝えてくれたまへ☆」  
「あのちょっと待ってプラチナさんっ!!?」  
「買い出したくさんあって時間かかりそうだから、ごゆっくり〜☆」  
「えっ…まってまってまって…いやああーーーっ!?」  
 
もう自分の顔が赤いのか青いのかわからなくなった姫乃を残し、  
ヒーローは去って行った。  
 
「や…やっぱり聞こえちゃってたんだ…どうしよう…!  
もう〜!!明神さんのばかぁっっ!!!」  
 
穴があったら入りたい、という言葉がこれほどぴったりな状況が  
ほかにあるだろうか。  
こみあげる恥ずかしさとやり場のない怒りを枕に込めて、  
気持ちよさそうに眠る白い頭に思いきりぶつける。  
 
「うおぅっ!なっなんだなんだっ!」  
「なんだじゃなーい!もうばかばかばかばかばかばかーーー!!!」  
「うおっひめのん!?ちょっちょっとまて!なんだっ!何が起きた…!?」  
「もうやだぁ…!恥ずかしくてしんじゃうううっ…!!」  
 
グスッ…と泣きだした姫乃を見て、明神はすべてを理解した。  
えーとつまり、今見ていた超幸せな夢は夢じゃなくてー…。  
 
「…全部現実だった…ってこと…か?」  
「夢だと思ってたの!?」  
「あー…どおりでずいぶん感触がリアルだなぁーとは…。」  
 
言いながら自分の手を見つめる明神を見て、ついさっきまで自分が  
その手にされていたことを思い出し、冷めかけていた熱が一気に蘇る。  
いっそ全て忘れてくれていたらよかったのに!  
 
「さっきの声、プラチナ?」  
「えっ…うん…聞こえてたの?」  
「んー夢の中でだけどなんとなく。じゃあさ「ごゆっくり☆」ってのも現実?」  
「ええっ!?…きゃあっ!」  
 
ぐいっと手をひっぱられて再び布団の上に転がされる。  
 
「せっかくプラチナが気を利かせてくれたんだし♪」  
「だし♪じゃなーーーいっ!!!」  
「ん〜やっぱり姫乃は夢より現実のほうがかわいいなあ〜」  
「だからさっきのは夢じゃないんだってばぁっ!んんーーっ!」  
 
 
 
 
「で、結局管理人室には使えそうなものは何もなかったのか?」  
「んーガラクタはいっぱいみたいだけどね☆押入れあけたら雪崩が起きちゃったらしくて。  
あれは時間かかるんじゃないかなー?」  
「明神も冬悟もマメに掃除なんかするタイプじゃないからなぁ」  
 
まったくあの師弟は…とブツブツ言う澪をまあまあ、となだめながら  
この借りをどうやって返してもらおうかな☆とほくそ笑むプラチナだった。  
 

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