再び押し倒されて、深く口づけられる。  
たくさんあったはずの言いたかったことがすべて蕩けて消えていく。  
 
ずるいなぁ…。  
 
さっきまでのねぼけ眼じゃない「いつもの明神」に求められ、  
うれしく思う自分を否定できない。  
 
ホント、ずるいんだから…。  
 
姫乃は離れようとする明神の頬を両手でつかんで引き寄せ、  
自分からチュッと口づけた。  
 
「…へ?」  
「仕返しです。」  
 
ぱちくりする明神を見て、思わず笑みがこぼれる。  
 
「…本当に怒ってるんだからね?」  
「すみません、反省してマス…。」  
「よーっく反省してください!もう…プラチナさんにどんな顔して会えばいいの…。」  
「あー…ホントすみません…てゆかそれは俺もショックだ…。」  
「え?」  
 
言われた意味がよくわからなくて聞き返すと、返事の代わりに首元にキスを落とされる。  
 
「あんっ…!みょうじん…さん??」  
「…俺だけのものだったのに。」  
 
耳元で低くささやかれ、心臓が跳ねる。  
 
「ほかの男に聞かせてやる気はなかったんだけどな。」  
「あっ…ぅんっ…!」  
「…ごめんな?」  
「んんっ…ああんっ!」  
 
言いながらあちこちにキスの雨を降らされ、服の上から胸を優しく刺激される。  
 
「俺のせいだけど…あーなんか腹立ってきたぞ…。」  
「えっ…?」  
「姫乃の声を聞いていいのは俺だけなの!」  
 
スッとTシャツを捲られ、小ぶりだが形のいい胸があらわになる。  
薄桃色の実を舌でやさしく転がされ、そのたびビクビクと体が跳ねた。  
 
空いた手はすでに下着の中へと伸びている。  
ついさっき散々刺激され、じらされた末に達したそこはしたたるほどに  
濡れそぼり、指を動かすたびにいやらしい音を立てる。  
もう遠慮はいらないとばかりの激しい愛撫がもたらす快感の嵐に、姫乃はたちまち飲み込まれてゆく。  
 
「あっああっんっ…!あああっ!!」  
「…もうぜってー誰にも聞かせねえ。」  
 
腰を高く持ち上げられ、濡れて秘所にはりついている下着をずらされる。  
窓から光が差し込む明るい部屋で、恥ずかしい部分が丸見えになる。  
 
「あっやあっ!そんな…とこっみない…でぇ…っ!」  
「やだ。見る。俺だけ見る。」  
 
充血し、ぷっくり膨らんだ蕾にくちづけながら、2本の指をゆっくりと差し入れる。  
姫乃の反応をみながら浅く、深く、出し入れする指の動きを早め、高みへと追い詰めてゆく。  
 
「ああっ!あっあんっみょうじんさんっ…!もう…あっだめっ!だめぇっ!!あああーーーっ!!!」  
 
大きな波に逆らうすべもなくあっという間に絶頂へといざなわれたかと思うと、  
今度は息も整わないうちに足を大きく開かされる。カチャリとベルトを外す音が聞こえて姫乃はあわてた。  
 
「みょうじんさん…まって…!」  
「無理。俺ももう限界。」  
「だって…まだへん…なのっ…!おかしくなっちゃう…!」  
「いいよ。今度は誰もいないから。」  
 
ジーンズを下げて硬く張りつめた自身を取りだす。明るいところで見るのは初めてで、  
姫乃は思わずまじまじと見てしまった。  
 
「…なんか俺今姫乃の「見ないで!」って気持ちわかったかもしんない…。」  
「えっわわっ!ごっごめんなさいっ!!」  
 
真っ赤になってあわてて目をそらす姫乃を見て苦笑する。  
 
「恥ずかしいから隠しちゃおっと。」  
「え…ああっ!あんっ!ああああっ!」  
 
明神は愛液がしたたる秘所に自身をあてがい、ずぶりと奥深くまで一気に貫いた。  
まだ達したばかりで余韻の残るそこを、容赦なくこすり上げていく。  
 
「あんっあっあああっ!!」  
 
パンパンと激しく肉のぶつかりあう音が響き、同じリズムで嬌声があがる。  
 
「んあっあっあっあっあんっ…!!みょう…じんっさぁあんっ!ああっ!」  
「…痛くない?」  
「あああっだい…じょぉぶ…っんんっあぁんっ!きもち…いいっ…よぉ!」  
 
その声に安心した明神は姫乃の片足を抱えて高くあげさせできるだけ深くつながると、  
更に動きを早めて激しく腰を打ちつけた。  
 
「ああああーーーっっ!!」  
 
最奥をこれでもかと突かれ、姫乃は気が遠くなりそうな快感を覚えていた。  
絶頂の余韻が消えないうちに、すぐ次の絶頂がやってくる。  
 
「好きだよ、姫乃…!」  
「あああっ!あっあっあっ…!わた…し…もっ!」  
 
強く抱き合ったまま激しく愛し合い、姫乃がもう何度目かわからない絶頂を迎えたと同時に、  
明神も白濁した熱いものをその胎内に思いっきりぶちまけた。  
 
 
気がつけば日は傾いて、部屋の中をオレンジ色に染め上げていた。  
 
「ただいまー」  
「あっ、澪さんおかえりなさい!」  
「湟神、暑いのに悪かったな。」  
 
共同リビングの入口にスーパーのビニールをどさりと置いた澪を明神と姫乃が出迎える。  
缶ビールやたくさんの食材がぎっしり詰まっていていかにも重たそうだ。  
 
「ああただいま。おまえらもご苦労さん。あの部屋だって暑かったろう?」  
「えっ…うん、まあ…。」  
 
えへへ、と曖昧な笑顔を浮かべて顔を見合わせた二人の間から  
 
「あら澪ちゃんおかえりなさい。重かったでしょう〜?」  
 
パタパタとスリッパの音と、ほがらかな声がリビングに響く。  
 
 
「…え?」  
 
明神と姫乃が同時に振り返ると、そこにはニコニコとした顔の雪乃が立っていた。  
 
「おっおかあさん!?み…みんなと一緒に行ったんじゃ…。」  
 
「お母さんはお洗濯物を取りこまなきゃいけなかったから、残らせてもらったのよー。  
それに今夜はどうせそのままここで宴会でしょう?床で寝る人もいるだろうから  
リビングのお掃除もしておきたかったし。」  
 
お洗濯を取り込むのは管理人室の窓の外にある庭で、リビングは管理人室の真ん前だ。  
にっこりとほほえむ母の前で、ひきつった笑みを浮かべた2人は同じことを考えていた。  
 
 
「おのれ、プラチナ!」と。  
 
 

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