「何だ、落ち着け水(バ)!」  
「まだ言うかぁぁぁああ!!!!!」  
「だから何がだ、おい!水(バ)!」  
「大人しく座れ火神楽!その首叩き落として…ーっ!!?」  
暴れる澪を止めようとした手が、乳房を鷲掴みにしてしまう。  
一瞬何が起こったのかわからずお互いそのまま硬直し、少し間を置いてやっと手を離した。  
(あー…ヤバい、本気で殺され……、ん?)  
叩き斬られる覚悟で一瞬目を閉じたものの、何も起こらない。  
違和感を感じて目を開けると、澪は両腕で胸を隠し、赤らめた頬を見られまいと俯き込んでいた。  
垂れる髪の隙間から見える瞳には、涙まで浮かべている。  
「おい、」  
「………」  
「おい、水(バ)」  
「…っ!」  
呼び掛けた瞬間顔が上げられ、鋭い目つきで睨みつけられる。  
勢いよく動いた反動で、目尻に溜まっていた涙が頬を伝い下りた。  
(…どうしろってんだ。)  
胸を押さえつける両腕に寄せられて、乳房はくっきりと谷間を成している。  
呼び掛けても澪は無言のまま、真っ赤に染まった頬と潤んだ瞳を向けられるだけで、どう扱えばいい  
のか全く想像もつかない。  
特に女として意識していなかった相手の突然の女らしい仕草には、戸惑いしか起こらなかった。  
「………」  
コートを掴み寄せ、噛みしめられた唇へ無理矢理自分のそれを押しつける。  
驚きに見開かれた瞳を視界の隅に捉えたまま、乱暴に床へ押し倒した。  
 
…にゃんにゃん。  
 

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