夏も終わりに近付いた頃、一人の高校生らしき女性が周囲を確認するように歩いていた。  
「ふう。」  
(ずいぶん遠くに来たな。これなら一日はアイツも追ってこないだろ。)  
適当に見つけた公園で一休みすることにした澪はベンチで横になった。  
(修業なんてやってられるか。こんな力…)  
日暮れ前の公園では5、6人の子供たちがカゴメ、カゴメ、と遊んでいた。その光景を複雑な思いで眺める。  
しばらくすると澪は子供たちから目を背け、声を塞ぐように頭を抱えるとそのまま眠りについていった。  
 
ふわりと温かい感触に目を覚ますと肩からコートがかけられていた。  
(誰だ?)  
身体を起こそうとすると少し離れたところから声がかかる。  
「おーい。澪。起きたかー?」  
サングラスをかけた声の主を確認すると澪は冷や水をかけられた気分になった。  
(げっ。明神っ)  
コートもよく見ると明神が普段着ている黒いそれだった。澪はがばりと起き上がるとすぐさま逃走を開始する。  
「ちょっ。待てぇ!!」  
明神の声を無視して澪は全力疾走をする。  
(なんでアイツいつも見つけられるんだ?!しかも来るのが早過ぎる!今日こそは逃げてやるっ)  
そう思うが矢先、澪を通り越して明神は目の前を塞ぐ。  
「俺から逃げられると思うな。」  
にかっと笑う。  
「また変な技を使ったな。」  
澪が後ずさりしつつじろりと睨む。  
「『飛』だ。俺から逃げたいなら覚えるこった。さー帰るぞ。」  
がしっと澪を脇から羽交い締めにすると、ずるずると元にいた公園に引きずっていく。  
「離せ!!誰が帰るかっ」  
無理矢理振りほどくと澪は明神に蹴りをいれる。  
「痛っ。やるのか。」  
「大人しく帰るつもりはない。」  
澪はすっかり喧嘩腰になり続けざまに蹴りを入れていくが、明神は楽々と攻撃をかわしていく。  
「ほれ、もっと本気出さないと当たらないぞ。っうげ」  
余裕を見せたところに拳がみぞおちに入る。  
「ふん。」  
澪はすかさず蹴りを入れるがかする程度だ。そんなやりとりが一時間も経つと互いに息が上がってくる。  
「澪。もういいだろ。少しはすっとしたか?」  
ぜーはー肩で息をしながら明神が待ったをかける。  
「知るかっ。毎回毎回、追ってくるな。しつこいぞ。」  
「んなこと言ったって年頃の女の子をふらふらさせとくわけにはいかないだろ。さっきだってあんなところで  
無防備で寝てるし。危うく襲うところだっ…」  
言い終わらないうちに澪の蹴りが顎に入る。  
「変態はお前だ!!」  
澪は深くため息をつくと悶絶している明神を放って近くの自販機に向かう。  
(疲れた。喉が渇いた…)  
炭酸が喉に心地よく澪はごくごくと一気に飲み干した。  
「澪、それ酒だっ」  
後から来た明神が手にしていた飲み物を確認して慌てる。  
「ん?」  
(何を慌てて…)  
振り返ろうとして澪の視界がぐらりと揺らぐ。  
 
カチっと金属音が部屋に響く。ふぅっ吐き出された息と共に煙が漂う。  
澪は混沌とした意識の中、違和感を感じて目を開けると見慣れない天井が上にあった。  
「目が覚めたかい、お嬢さん。」  
からかうように明神が煙草をくわえて澪の視界の中に入る。  
「私?」  
「あんなに暴れた後に酒を一気飲みするから倒れたんだよ。まったく。」  
言われてみて頭が少し痛いのに気付く。と同時に手首に違和感を感じて動かそうとするが動かない。  
見上げると両手はバスローブの紐で拘束されていた。自分の状況を把握して澪は眉をひそめた。  
ダブルベットに大きなテレビ。手狭な部屋に冷蔵庫など揃えられている。いるのはホテルだ。  
 
「なんのつもりだ。」  
怒りを込めて睨みつけると明神は飄々と煙草をふかしている。  
「決まってるだろ。悪い子にはお仕置きだ。」  
心なしか声が楽しんでいる。  
「誰が好きにさせるかっ」  
自由になっている足で抵抗しようとするが直ぐさま強い力で押さえ付けられてしまう。  
「俺からは逃げられないって言ったろ?今度は暴れないようにしてやる。」  
にやっと澪にとっては悪魔のような笑いが向けられる。煙草を消すと明神は澪にまたがる。  
「さて、と。」  
背けている澪の顔を無理に正面に向かせて明神は口づける。固く閉じた唇をこじ開けて舌を差し入れると逃げている  
舌を捕まえる。酒の余韻なのか温かく感じる。舐めとるように口をなぶると澪が不意に明神の舌を噛んだ。  
思わぬ反撃に口を離す。  
「まだ酒の匂いがするな。」  
明神は反撃に怒りもせずに言ってのける。かえって澪にはそちらの方が怖かった。  
「もう、いいだろ。やめろ。」  
「やだね。」  
澪の着ていたキャミソールをたくしあげブラのホックを外すと押さえられていた柔らかな実が弾けるように  
さらし出された。  
「やっ」  
「どんどん大きくなってくな。」  
明神はすくい上げるように揉んで感触を楽しむ。なすがままになるしかない澪は抵抗の言葉が少なくなっていく。  
「もう感じてるのか?乳首がたってるぞ。」  
明神は突起した乳房の先端を軽く指で弾き、指で挟む。  
「そんなことないっ」  
(こんなことされて感じてたまるかっ)  
そう思っていても身につけていた物をはがされ裸にされると心細くもある。  
「じゃ、確かめないとな。」  
閉じた澪の足に自分の片足を割り込ませ開かせると澪のベルトを解きジーンズを緩くするとショーツの合間から  
いきなりじかに澪の秘所に手を差し入れる。  
「そこはやだっ」  
か細い澪の悲鳴を無視してあっと言う間に明神の指が秘所を探りあてる。入口を二度三度、指で撫で上げると  
そこはすでに湿っていた。  
「体は嘘つけないな。濡れてるぞ、ここ。」  
「違うっ…」  
顔を真っ赤にする。こんな屈辱から逃れたいが抗う術がない。花芯をねぶられると澪は思わず身体をよじる。  
澪の耳を甘噛みすると首筋を音を立てて吸う。  
「いいなら素直にそう言いな。」  
明神の耳元での甘い囁きが澪にはこそばゆい。  
(流されてたまるかっ。)  
目を閉じてせめてもの抵抗としようとするが、感覚が研ぎ澄まされて明神の動きがかえって鮮明になる。  
身体をまさぐる手、口の動き。息づかい。煙草と共に明神の身体の匂いが満たされていった。  
やがて自分の息づかいが不規則になっていくのに気付く。  
(犯される)  
そう澪は思っていてもそれは恐怖とは違うものだった。初めて明神と体を重ねてから、もう何度目になるのか  
行為に身体はならされつつあった。あらがいがたい快感も、もう知ってしまっている。  
再び明神が唇を重ねて舌を割りいれてくるが、澪は抵抗しなかった。  
「正直になってきたな。」  
明神は澪の変化に気付き、ほくそ笑む。澪のジーンズを膝まで脱がすと体を持ち上げてうつぶせにする。  
「やっ」  
羞恥に足を閉じようとする澪を明神は押さえつけ、尻が突き出される体勢にする。白いふくらみが突き出され、  
秘所があらわになった姿は明神の欲情に火をつける。秘所は既に濡れて光り誘うかのようにひくついていた。  
「やめてくれっ明神。」  
懇願するような澪の声を無視して明神は頭を澪の足の間に入れる。  
「大人しくしてろよ。」  
そう言うと花弁を開き舌を這わす。突然の感触に澪は腰を浮かすが、押さえられ思うように足が動かない。  
「はぅっ…いやっ」  
ぴちゃりと卑猥な音が耳に届くと澪はぼうっとして思考が止まる。  
明神は舌を巧みに蠢かせると中心に舌を差し入れようとしてくる。びくりと澪の体が跳ね侵入から逃げようとするが  
明神は割って入る。愛液が溢れだし、澪の足を伝って零れ落ちていく。  
 
「あっ」  
澪の声にも艶が出てくる。舌でかきまぜたあとに指を侵入させる。だが、まだそこはきつく指二本でも締め上げて  
動かすのも容易ではない。指を出し入れしつつ陰核を軽く舌で転がすと澪の声が高くなっていく。  
澪は快感にのまれ、足を支えるのがやっとだった。少しでも腰が落ちるとこすりつけるようになって快感が  
増してしまう。くちゅくちゅと指の動きに合わせて音が響いて澪を煽る。  
しだいに澪の中に大きな感覚が押しよせようとしていた。  
「あぁっもうダメっ」  
思わず声をもらす。明神は澪の反応を見てわざと動きを遅くする。指を抜くと澪を仰向けに戻す。  
なんでやめるんだ、とは口に出せずに澪は目で訴えるが、明神はふっと笑う。  
「ダメなんだろ?無理矢理はよくないからな。お終い。」  
「っ」  
絶句する澪にバスローブを被せ、縛っていた紐も解くと明神はベットに腰掛け煙草に火をつける。  
(ちょっと待て。ここまでやっておいて…本気なのか?)  
明神の様子を伺うが背中を向けていて推し量れない。やがて煙草を吸い終えると明神は冷蔵庫からビールを取り出し  
飲み始める。  
「なあ…」  
「んー?」  
呼びかけてみるが生返事が返ってくるばかりだ。しんと静まりかえった室内に明神がビールを飲むのどの音だけが  
繰り返される。その傍で火照った体を澪は持て余していた。取り澄ましている明神がうらめしくなる。  
当初からすればほっとすべきところなのだろうが身体が熱を帯びて、快感を求めてやまない。  
澪はがばりと起きあがり明神のビールを奪うと一口飲み干す。酔いの勢いを借りて自分で乱れていた服を脱ぎ出す。  
ぱさりと最後の一枚を脱ぎ捨てると、おそるおそる明神に後ろから抱きついた。  
「明神…」  
澪は自分でも思いがけない程、甘い声が出ていた。すると明神の肩が小さく震える。  
(なんだ?)  
「お前、本当に可愛いな。」  
振り向いた明神の顔を訝しげに見ると笑いをこらえていた。  
「なっ」  
澪は顔を真っ赤にそめる。  
(こいつ私の反応をみて楽しんでたのか?!)  
「お仕置きだって言っただろ。たまには素直になった澪も見たかったんでな。」  
「っっ!!」  
(はめられたっ)  
自分の行動を悔やむが後の祭りだ。明神は澪を組みしくとなだめるように唇を合わせる。  
「そう照れるなよ。俺も我慢するのに大変だったんだぞ。」  
そう言って明神も服を脱ぐ。澪は張りつめたものに思わず目がいってしまう。そそり立ったそれはいつになく  
大きいような気がした。  
「そんなに見るんじゃない。恥ずかしいだろー。」  
「誰がっ」  
澪は慌てて視線を逸らす。明神は澪の肩の下に手を入れ抱くと唇を重ね舌を絡める。  
「もういいか。」  
明神は澪の耳を愛撫しながら尋ねるが、返事を待つのも惜しいのか手早くゴムを付けると既に先端を秘所に  
あてがっていた。澪は目を手で隠してコクリとうなずく。  
溜まりきっていた欲情をぶつけるかのように明神は張りつめたものを突き入れる。  
求めていたものが一つになり互いに声にならない息が出た。  
ゆっくりと明神は腰を動かしていくが慣らしたとはいえ澪の中はひどく絞め付けてきていた。  
「そんなに絞めるな。」  
明神が射精を押さえるためにゆっくり動いているのに、澪の中は動きに呼応して余すところなく締め上げてくる。  
(ホントにいい身体になってきたな。)  
明神は衝動に身を任せると思い切り奥まで突き入れる。  
「いいか?」  
「ぁ…もっとっ」  
先刻よりも素直に返ってくる反応が明神を駆り立てる。欲情を煽られ明神は荒々しく奥を突く。  
やがて澪の中も波打ってくる。  
「やっ」  
「っ」  
澪は身体をから力が抜け、明神はどくりと放つ。汗ばむ身体をそのままに二人はベッドに転がり込んだ。  
 
澪は天井の一点を見て考えに耽っていた。  
「なあ。何でじーさんやあんた達は私に修業させるんだ。私は湟神を継ぐつもりはないぞ。」  
「なんだ、澪わかってなかったのか?」  
明神がきょとんとしている。  
「湟神のじーさんは澪が自分で身を守れるようになってほしいだけだ。お前は力が強い分、陰魄にも狙われやすい。  
いつも守れるとは限らないからな。じーさんなりの愛情だろうよ。継ぐ継がないなんてその後の話だ、半人前。」  
明神は澪の頭をぽんぼんと撫でる。  
「ふーん。」  
ぼんやり生返事をする。  
(そういや明神にも助けられたことがあったな…)  
「なんだ。てっきり最近の家出は俺を誘ってるもんだと思ってたぞ。」  
明神は澪を抱き寄せて軽く口づける。  
「なっ。そんなわけあるか!」  
頬を染めて明神から逃げようとする。  
「はっはっ」  
「バカ!」  
ばすばすと枕で明神を叩きながらはたと澪は思い当たる。  
(そういや最近、家出する度にこいつのいいようにされてる…か?)  
思い返してみると明神が迎えに来るようになってから家出すると明神に抱かれている結果になっていた。  
(やばい。明神に流されてるっ。なんかやり返す方法ないのか?!あ!)  
澪は荷物を漁るとおもむろに黄布を取り出し左手に巻き付けていった。  
「待て。何をする気だ、澪!?」  
明神のバスローブをはぎ、大人しくなっている一物に手をかけると澪は赤い舌をちろりと出し根元から上へと舐め  
始める。ゆっくりと上から下へと舌を這わせた後に口に含む。えぐれている部分を一周させ割れ目をなぞると  
入口を吸い、丹念に先ほどの残滓を舐めとっていく。舌を絡み付け軽く吸いながら口を上下に動かす。  
澪の柔らかな舌の愛撫にしだいに硬さが増していっていた。  
(すぐにさっきみたいにはならないな…)  
澪が剄伝導を試みると直ぐさまそれは明神の意思に反して張り裂けんばかりになっていった。  
「勘弁してくれ、澪。」  
まだ疲れの余韻が残っている明神はため息をついた。  
「さっきのお返しだ。やらないのか?」  
にやりと笑う澪は照れる顔とは違いひどく大人びて誘惑的だ。  
「一休みくらいさせてくれ。」  
そう言いつつも澪が自分の物を舐める姿は明神の欲情に再び火をつけるには十分だった。  
澪を四つん這いにさせると間髪入れずに貫く。大きさにたえかねたのか澪から甘い吐息が漏れる。  
腰を掴み、思うままに突き上げると体液が交わる音が響き渡る。澪も身体を反らせて快感に溺れていた。  
しだいに澪もしなやかに腰を動かしはじめる。  
(やべ、もういきそうだ)  
明神は一気に突き上げる速度をます。澪の息づかいも荒くなっている。  
「っ」  
限界を感じ引き抜いて射精しようとした明神は一瞬固まった。行動が取れず、身体はつながったままでいる。  
「何をした?!」  
「まだいかせてやらない。」  
「…っ」  
(まさか下の方でも剄伝導したのか?これじゃ澪の思うがままじゃねえか…)  
澪は汗ばんだ身体に付いた髪を整える。  
 
「まだ。もっとしてくれなきゃ嫌だ。」  
いつにない澪の態度や艶やかな表情と潤う目に明神はたじろぐ。  
「どうしたら満足してくれるんだ、澪は?」  
「明神が考えろ。」  
(と言われてもこの状況じゃ澪を限界までいかせるしか思いつかないんだが。ま、楽しいしいいか。)  
「じゃ、遠慮なく。」  
明神は澪の乳房をもみ、陰核を抓りあげる。澪は与えられる刺激に敏感に反応する。荒々しい動きでかきまぜると  
こらえきれずに澪の上体が崩れてくる。えぐるような容赦ない動きに澪の息が詰まる。  
「やっ壊れるっ」  
「まだ欲しいって体は言ってるぞ。」  
「っ」  
(この体力ばかっ)  
澪の後悔も刺激に押し流されていってしまう。明神が乳房やその先端、陰核を弄ぶと愛液が溢れ出し締めつけが  
一層強くなる。背中からうなじへと舌を這わせ音を立て吸うとぴくりと澪は快感がます。意に反してしまるたびに  
澪は明神の太さを感じていた。  
荒っぽく張りつめたものを打ち付けられ体をいじられるにも限界がきていた。澪の思考が真っ白になってゆく。  
「いやぁっ。いくっ」  
悲鳴にも似た声とともに澪は崩れ落ちると絶頂を迎えた。  
同時に明神は澪の隙をみて引き抜くと澪の背に白濁した液を放つ。どのくらい快楽に溺れていたのか。二つの身体は  
互いの体液でぬめついていた。混濁した意識の中、澪は再び起き上がろうとする。  
(明神が根を上げるまでやってやるっ)  
そう意気込むが体力に限界がきていた。知らぬ間に深く眠りについていった。  
 
 
一夜明け、帰り道で明神はすっかりご機嫌になって鼻歌を歌い半ば踊りながら歩いている。  
(あれだけやってもまだこいつ疲れてないのか…)  
明神の態度と体力に呆れつつも昨日よりも気持ちが軽くなっていることに気付き澪は苦笑する。  
不意に足を止めると明神は顔を寄せる。  
「あ。今度、家出した時は澪の方から誘ってると問答無用でみなすからな。忘れんなよ。」  
にやっと笑うとでこぴんする。  
「勝手に決めるな!」  
怒って澪は蹴りを入れる。  
(…いつか返り討ちにしてやる!!)  
澪は踵を返してすたすた家の方に向かった。  
 

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