濡れた互いの肌がぬるついて思わず身震いした。  
 
のぼりたつ湯気。  
湯船から出ても冷めない体。  
 
なんでこんなところでしているのか。  
それには理由がある。  
 
堅いタイル。すべる床。湿気た部屋。  
こんなところで交わる理由はそういう趣向でしたいからとか  
そんな理由じゃない。  
 
致し方なく。こんなところで。  
 
 
「…たまにはお布団の上がいい…よね…んんぅっ」  
 
「…ごめんな」  
 
濡れた黒髪を乱雑に混ぜながら荒々しく喉に舌をはわせる。  
もうこちら側は限界だ。もう十分に堅くなったそれを左手でしごいて。  
 
ぴくりと喉をそらせて鳴いた姫乃を  
膝に乗せ、背後から抱き寄せて太腿を抱える。  
明神は達したばかりの姫乃に自身を埋め込んでいく。  
姫乃の中は明神のモノをぬるぬると締め付けて。  
水滴か、愛液か。わからないものがそこからあふれた。  
 
「あああっ!駄目、まだ駄目だよ明神…さん」  
「うそつき」  
 
先ほど指だけで達してしまった姫乃の体内はひどく熱い。  
汗ばんだ細い背中に指を這わせると  
体を洗ったときの泡が少し残っていて劣情をあおる。  
すっかり熱く硬くなって質量を増したそれが姫乃を容赦なく突き上げる。  
ぬちゅぬちゅと浴槽に響き渡る水音に嬌声が重なった。  
 
「やぁぁぁ…あああ!」  
 
「…そんな声出して」  
 
「んっあああっっ!!」  
 
姫乃の太腿を持ち上げ、大きく足を開かせると激しく突き上げる。  
 
「みんなに聞こえても俺は知らないよ」  
 
「ひゃぁあ!!んっ!ああっ!!」  
 
ずぷずぷと音を立てながら、姫乃の耳元で明神が囁き続ける。  
耳たぶを吸って、無理矢理に舌をねじこまれて。  
卑猥な水音を立つ。  
 
「…明…神さんっ」  
 
「…は…っ…何…」  
 
懇願されるように名を呼ばれる。  
それでもとまらない律動にぴくぴくと動く膣口を感じながら姫乃は声をあげた。  
口元からたれるよだれをぬぐう余裕はもう、ない。  
 
「…鏡…見たくないっ…恥ずかしっ…んぁぁっ!」  
「…よくみなよ」  
 
浴槽についた、少しさび付いた鏡には  
淫猥な管理人と女子高生の姿が映っていた。  
恥ずかしいと目を背ける姫乃に逆にあおられて  
せりあがってくる快感にたまらず男は腰を打ち付ける。  
 
つながった赤い粘膜が鏡の中でぬらぬらと光る。  
 
「すげー…エロい。」  
 
言わないで、というかのように  
ふるふると小さく首を振るといつもはさらりと  
流れる黒髪が汗ばんだ背中にはりついた。  
 
ぐりぐりと腰を動かし、凹凸のある奥深くを突いて。  
両方の乳首を後ろからつかみ上げる。  
ふるふると震えながら姫乃は小さな手を重ねて。  
にちにち、と音を立てて姫乃の中を 蹂躙する。  
 
 
「 あぁぁぁ!もう、だめ、イく、イっちゃうぅ!」  
「…あー…きつ」  
 
ズンと突き上げ、探るようにかき回す。  
明神に何度も強い快楽でかき回されて、姫乃は何も考えられなくなっていた。  
互いの性器がからまっている感覚しか頭に入ってこない。  
頭の奥の方がびりびりとしびれて快楽で涙がこぼれた。  
 
「明…神…さんもっ…きて、きてよぉ」  
「ー…姫…乃」  
 
太ももを小さな手が懇願するようになでられて。  
明神はたまらず深く息を吐いた。  
 
浴室にたまった湿気が荒いだ呼吸を妨げる。  
二つが一つになってすべてが濡れていく感覚。  
舌と舌がからまって、粘膜と粘膜が濡れてすれあう。  
 
「やぁ…もう駄…目…!明…神さ」  
「…っ」  
 
陰核をおしつけるように、夢中で腰を押し付けられる。  
なかはきゅうきゅうとしまって、吸い取られてしまいそうだ。  
立ち込める、入浴剤の匂いと、姫乃の香り。  
 
姫乃の草むらを広げ、すっかり腫れたクリトリスを撫ぜた。  
 
「ひゃぁぁ!や、あぁあぁ明…神さんっ」  
「イイよ…ひめのん」  
「あっああんっあああ!感じちゃ…う…や…やぁぁっ」  
 
イく顔が見たくて明神は後ろからがばりと抱き込む。  
服の上からではわからない豊かな胸を触りながら、腰を打ちつけ。  
見せ付けるように舌をからませた。  
 
「んっぁ…明…神さぁん」  
「もう限界?」  
「んんっ!はぁっ!イっちゃうぅぅ!!」  
「っあ…」  
 
明神が舌をねじ込むと、腰を素早く打ちつけた。 顔も体もつながっている部分も、瞳も。  
表情さえもが濡れていく。  
 
「冬…悟さぁ…あぁぁぁぁぁっ!」  
「っ…。」  
 
体を駆け抜けるような感覚があって  
目の前が真っ白に染まって。  
姫乃は深い絶頂に達した。  
それと同時に明神も姫乃の頬を舐めながら熱いモノを吐き出した。  
 
 
うたかた荘には壁をないものとして  
するりと抜けてしまう陽魂がすんでいる。  
それも、子供が多い。  
 
二人が、こんなところでコトを行うのには理由がある。  
堅いタイル。湿気た部屋。湯気にごまかされる水音と嬌声。  
 
浴室の入り口には。  
 
 
「覗かない 清き魂。」の張り紙。  
 
この真相を知っているのは。二人しかいないのだ。  
 
 
 
終わり。  
 

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