朝か昼か、夜かかもわからない。
寝て、起きたら知らない場所に居た。
薄汚い部屋。電気も無いのか暗く窓もない。あるのは扉ぐらいで…そんな場所に、何故か拘束されていて。
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「何処だ此処は…それに…何故こんな格好に…」
手を後ろで縛られている…というか手錠をかけられているらしい。
「っく……なんなんだ、冬悟は―…姫乃はどうなった…」
段々頭がハッキリしてきた。
拘束されているというのは当然何者かに捕まったというコトなのだろう。
だが何故私は捕まった?
いくら寝ていたとは言え誰かが近づけば気配に気づく、それだけの訓練は積んだ、勿論経験も。
ましてや冬悟達もいたんだ、誰も気づかないなんてコトは無いハズ…。
…とにかくこの拘束を解かないと何も始まらないか。
手に力を込める、上手くいくかどうかしらないが剄ならどうにかなるかもしれない。
「剄ら―」
「そろそろ起きたー?」
ガチャリと扉が開いて誰かが入ってきた、思わず動きを止める。
…誰だ?
「なんで『捕獲』なんだろ、殺しちゃったほうがラクなのにさ―…ツマンナイだろうけど」
近づくにつれて段々姿がハッキリ見えてくる。
和服姿、女、頭に生えた蝙蝠の羽。
「な…、コク、テン…!?」
パラノイドからは完全に逃げ切った、場所もバレていない、そのはず。
なのに何故コイツが此処に、私の目の前に居る?
私達の居た場所がバレていた、こんなに早く?
「あ、起きてた起きてた、おはよー……アンタ、えーと…名前、湟神だっけ?湟神だよね、ヘビのコト殺した。」
「…っ…何だ、どういうコトだ……」
頭が上手く回らない。
疑問は浮かんできても上手く答えも見つからず…口をパクパクさせながら―傍から見れば情けない表情で。
「………どういうコトも何も、この状況そのまんまよ、アンタ、私達に捕まってるの…人質ってヤツ」
人質。
というコトは姫乃は捕まってはいないのか。
姫乃が捕まっているのなら私を生かしている理由も無いだろうしな。
「人質…そうか、なら…まだ姫乃まで捕らえてはいないか。」
考えているコトをそのまま言葉にして―相手を睨みつけながら。
人質―。私と引き換えに姫乃の身でも要求する気なのか。
それで姫乃がどういう返答をするかわからないがとにかくソレは避けたほうが良いだろう。
「あぁ、ウン。今グレイがあのコ探しに行ってる、見つけ次第アンタのコト話して―…この辺は説明しなくてもわかるわね。
で、私はその間アンタ見張ってろって言われた。」
「私としてはアンタのコトすぐにでも殺したいんだけどねー…見張りなんて面倒だし、まだ生きてるって嘘でもつけば大丈夫だと思うんだけど…ね、そう思わない?」
思わないな、足手まとい状態のまま死ぬのはごめんだ。
なんとかしてこの状態から抜け出さないといけない。
ならやるコトはヒトツ。『ここから逃げる』
手に力を込める、剄で壊せる確証は無いが。
「は…、思わないな、剄蘭―…っ、がッ!?」
撃とうとした瞬間、首を捕まれて壁に叩きつけられた。
コクテンの容姿からは想像もできないような強い力で。
「何しようとしてんの?」
「ぐ……ぅ…っ…」
息ができない、ギリギリと壁に押し付けられて…手も使えないからどうするコトもできずに。
「逃げるなんて考えないほうが良いと思うケド、アンタの刀も変な水も全部壊しちゃったし―手錠壊したトコロでどうにもならないよ?」
「っ……ッッ……ァ…っは…、あ…っ…」
手は離れた…けど、苦しい。
ゲホゲホと咳をして…時間をかけて、ゆっくり息を整える。
「ったく、手間かけさせないでよ…ただでさえ面倒……あ、そうだ」
「げほっ………。……?」
何か思いついたのかコクテンの表情が変わった。
まるで子供が悪戯でもする時のような、そんな顔。
「ほら、ただ見張ってるだけってのもツマンナイし、グレイが帰ってくるまで…アンタで遊ぼう。」
「…遊…?」
「そ、生身の人間の身体弄ったコトあんまり無いし…、あ、大丈夫殺しはしないから。殺しちゃったら私が怒られちゃうし。」
イヤな予感。
言ってる通り殺しはしないだろうが…それでも身体に寒気のようなモノを感じて。
「ってワケで―…とりあえず服ジャマだし、とっちゃおう」
ビリビリと音を立てて服が破かれる、コートまでは破かれなかったが他の服は…下着も含め全て破かれて剥ぎ取られて。
「……………な…」
思わず顔が赤くなる。
当然の反応。今まで誰にも裸を見せたコトなんて無かった。
「な、に…を、何をする…このッ…!」
顔をあげて、思いっきり睨みつけながら精一杯声を張り上げる。
それしかできない自分を情けなく思いながら。
「何を…って、だからアンタで遊ぶって言ったじゃない、そのまんまよ」
「んーと…要するに―」
コクテンの手が、指先が私の胸を撫でる。
乳首の周りをなぞるように、くすぐるみたいに。
「な……ッ、ぅ…」
自然と身体が反応する、ただ肌を撫でられてるだけ…なのに、異様に思うほど身体が敏感に。
「…ただ撫でてるだけよ?反応しすぎ…あ、もしかして普段からこういうコトしてなかったり?」
確かに最近はそんなコトをしている暇はなかった、気の休まる時なんてなかった。
でもだからって、なんで、こんなに。
「く……止め、ろ…、っぁ…」
コクテンの手の動きが段々と激しくなる、周りだけじゃなく乳首も…痛いぐらいに摘まれて。
「や…っぁ、あ、っぅ…んんっ…!」
身体を少し震わせて、軽く絶頂に達する―それはコクテンにもわかったようで。
「あは…胸だけでこんな…ってコトは、コッチいじったらもっと面白い反応しちゃう?」
すす、とコクテンの手が下腹部に向かって移動する。
そのままコクテンの手が秘所に触れて、指先でなぞるように撫でられて…すぐに身体がゾクッとして。
「ゃ…止めろ…、そこ……っ、ふぁ…」
「んー…ちまちまやってても面白くないかなぁ」
言葉と同時に指が中に入ってくる。一本だけ、だけど。
いじられてもいないのに濡れていたらしい、イってしまうほど感じてたから…当然かもしれないが。
ソコは指をすんなりと受け入れて、むしろ悦ぶみたいにひくついて。
「ァ…っん…、ゃ…め……」
震える声で止めるように、抜くように促してみるが聞き入れられるハズもなく。
くちゅ、と音をたてて中で指が動き始める。中をかき回すように。
「ひぁ、あ、あっっ…やめろ、ゃ…んンっ…!」
「やめろー、とか言いながらしっかり反応してるじゃない…グレイが読んでた本の通りよね、ホント。」
「っぅ、んっ…っく…ぅぁ、あ……!」
首を横に振ってなんとか耐えようとする。
快楽を受け入れてしまったらそのままおかしくなりそうで…だから無駄だとわかっていても抵抗をする。
…それもすぐに続かなくなるんだろうけど。
「ほらほらー…抵抗なんてヤメちゃえば?どうせ無駄なんだし。」
むき出しにされたクリトリスを思いっきり、強く摘まれる。
痛みと快感が同時に身体を走って…一瞬頭が真っ白になって。
「っ…ひ、あ、あぁあッッ!?」
二度目の絶頂、今度は身体を大きく揺らして、荒く息をして…それでも責めは止まず。
「楽しんだほうがいいと思わない?何にも考えないで、思いっきり。」
「っは…あ、っんく…っ…ぅ、ん…!」
否定の言葉は浮かぶが口に出せない。
喋ろうとしても快感で消される、考えた言葉も、全部。
「…ぁ…ッふ、ぅぁっっ…、ひ…ッ、ぁ、あぁぁあッッ!!」
3度目。
さっき達したばかりだっていうのに…段々間隔が短くなっていく。
そのうち何も考えられなくなるんだろうか。
…それでもいいかもしれない、姫乃が逃げ切れるなら、皆が逃げ切れるなら。
「はい三回目ー♪…なんかもう放心状態になっちゃってるけど。」
「ま、壊すなとは言われてないしねー…グレイの私物(玩具)全部試してみよー…ちょっと待ってなさいよ?」
楽しんでる顔、そんな顔をしてコクテンが部屋から出て行く。
今なら手錠を壊せれば確実に逃げれる…なのに身体は動かなくて。
相手が、コクテンが戻ってくるのを待つみたいに…『逃げよう』なんて思わなかった。
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オワリ。