※10年前の澪です。
「いいからいけえぇぇっ!!!」
…明神の声が頭の中で響き渡る。
明神が破ったトバリから間一髪で抜け出した私は、転がる様にして街の明かりを目指し走り続けた。
ゴウメイの雷雲の音が次第に遠くへ遠ざかってゆく。
右手に巻いた黄布に汗が滲み、スカートが脚に絡まって来る。踵が痛い。
私は何をしていたんだろう。
黄布…補助道具無しじゃまだ技なんて出せないのに、指示されて逃げるだけでこんなに精一杯になっているのに。
しゃしゃり出て行く事で何か役に立った様な妄想でも抱いていたのだろうか。
―みんな…ちゃんと逃げきれたんだろうか…―
自責の念が私の足を重くした。
刹那…不意に生温い風が頬を撫でたかと思うと、目の前の地面が突如爆発を起こした。
「…!?」
全身に響く爆音、飛んで来る砂塵から身を庇う様に俯せる。
しばらく木々の倒れる音や小爆発音が響き、バラバラと何か石や木ぎれが落ちる音が続く。
そして砂埃が治まり、私がやっと顔を上げた頃にはすっかり行く先を倒木で塞がれてしまっていた。
「…なんなんだ…一体……」
気が動転しかけている私の頬に、一粒の雨が降りかかった。
今の爆発による影響なのかそうでないのか…考える内に土砂降りになり、早く街へと焦ったが
水を含んだ制服は予想以上に重く、いくらも走らぬ内に濡れたスカートとぬかるんだ地面に足を取られ派手に転んでしまう。
「いたっ…!」
痛みで震える手を上げる。
頭を庇って転んだせいで、手の平と膝を擦り剥いてしまっていた。
小石が入り込み、汚れて血の滲む手の平を雨が洗い流してゆく。
その様子をぼうっと見詰めながら、少し目頭が熱くなった。
……本当に…
「私は何をやってるんだ…」
―いけない。こんな事をやっている場合じゃない。
…泣き言を吐きそうになる気持ちを堪え、再び走り出そうとした次の瞬間、
「…雨雨降れ降れ…もっと降れ…♪」
ドッ!!
「………ッ!…」
短い歌と共に後首に重い衝撃が走り、私はその場で気を失ってしまった。
…………それからどれくらい気を失っていたのだろうか…
私を目覚めに誘う声は、祖父や他の案内屋、そして明神…の声ではなく
「おい、いい加減起きたらどうだ」
聞き覚えの無い男の声だった。
その声で一瞬にして先程までの状況を思い出し、飛び起きる様に上体を起こす。
その時…首元にぬるりとした感触が走った。
驚いて首に手をやると、そこにいたのは一匹の…
「蛇!?」
ゾッとした私が払い落とそうと引っ張ると、蛇もそれに対抗する様に私の首を強く締め上げて来る。
見ると、山中の洞…の様な場所なのか、土壁が取り囲む中周りにも数匹の黒い蛇が私を取り囲む様に鎌首を擡げている。
その異様な様子や生あるものとは明らかに違う雰囲気から、その蛇がこの世の物では無いと悟った。
そして先程の声の主は私の後ろに立っていた。
私はすぐに向かい合う様にして臨戦体制を取る。
目の前に居たのは…濡れている訳では無さそうなのに何故かじっとりと湿った雰囲気の、痩せた…見るからに「蛇」を彷彿とさせる様な男だった。
そして蛇と同じく男もこの世の物では無いという事をすぐに感じ取る事が出来た。
「……お前は何だ。何故私をこんな所に連れ込んだ?」
「…………ウヒヒヒヒ」
男は質問には答えようとせず、気味の悪い笑い声を返す。
「答えろ!」
荒げた私の声が洞の中に響き渡る。
だが男は顔色一つ変える事無く、左手をス…と私の目の前に差し出した。
すると服の奥から真っ黒な模様が浮き上がったかと思うと、見るみる内それが蛇に姿を変え…さらにその奥からメス状のナイフが姿を表した。
(…陰魄だな…!)
鼻先に突き付けられたナイフから僅かに身を引くと同時に私は、黄布を巻いている右腕に力を込め……たつもりが、
手応えが無い。
…それもその筈、私の右腕からは巻いていた筈の黄布が消えている。
―頭から一気に血の気が引いた。
半人前な私から、機会があれば陰魄が黄布を奪い取る事等想像に難くない事だ。
「クッ…卑怯者ッ…!!」
逃げるしかない。
その考えが頭に過ぎった次の瞬間、周りを囲んでいた蛇が私の足や腕に一斉に絡み付いて来た。
「おっと…動かない方がいいんじゃねェか…?…下手に動くとお前の躰もさっきの木みたいになっちまうぜェ……?」
「何……?」
木…さっきの爆発か…?
「お前だけじゃねェ、お前が置いて来たあの案内屋連中もな。一人で逃げるたァ薄情な女案内屋もいたもんだ、ウヒャヒャヒャ」
「…!?で…デタラメを言うな!!」
「嘘だと思うんなら逃げてみな。俺には関係無い事だ。」
…私には返す言葉も躰を動かす事も出来なかった。
信憑性の無いこいつの言葉を信じずに蛇を振り落とし、傷を負いながらも逃げる事は出来る。
でももし…―
「……………」
「お?観念したか?」
私は言葉を返さなかった。
すると私が大人しくなるのを待っていたかの様に、腕や足に絡み付いていた蛇が服の隙間から肌を伝い入り込んで来た。
「……えっ…!?」
冷血動物独特の冷たさと波打って進む腹の感触の気持ち悪さに背筋に寒気が走る。
その一瞬怯んだ隙をつかれ、男のナイフが閃いたかと思うと
ブツ…という音と共に制服のシャツの前部分とスカートのホックが外れ、はらりと地面に落ちてしまった。
露わになる胸元や躰に男はじっとりとした視線を這わせると、私の躰を這う蛇に指先でクイ、と指示を出す。
すると蛇は私の上下の下着の中へ割って入り、両乳房に痛い程絡み付くと先端の突起にその小さな舌を這わせた。
同時にフロントホックだったブラは蛇が入り込んで来た事による要領でバツン、と音を立てて外れてしまった。
「……く…何の…つもりだ…」
「おーおー、ガキの癖にイヤらしい躰つきしやがって…」
「何を考えて……ッあ…!?」
男が言うか終わらぬ内に、下に入り込んでいた蛇がずるり、と秘部を擦る様にして移動した。
…勿論故意に、だ。
「だ……やめろ!こんな…ッあ…」
私に言葉を続けさせる事無く、蛇は何度も割れ目にそって体を擦り付けて行く。
次第にぬるぬるとしたものへ変わってゆく感触が自身でも感じ取れた。
乳房に絡み付いた蛇は相変わらず締め付け、乳首に歯を立てぬ様にして噛み付く等して刺激を与えて来ている。
何度もやられる内に私の足は躰を支える力を無くしてしまい、次第に肘と膝をつき地面に突伏する形となってしまった。
男は力が抜けた私の側まで歩み寄ると先程のナイフをパンティーの…秘部の少し後ろ辺りに通す。
するとごく小さい音と共に生地は切断され、湿った秘部が外気に晒される。
悔しさと羞恥に堪らなくなった私は男を睨み付けた。
「何のつもりか知らないが…只で済むと思うなよ…!黄布さえ手に入ればお前なんか…」
「あ…?どうしてくれるって…?」
私の言葉に男が不気味な笑みを浮かべたかと思うと、次の瞬間―
…ぐぶぶ…
「あ…あ、嫌ァ…!!」
秘部を這っていた蛇が一匹、窒穴に頭を潜り込ませて来たのだ。
「…あ、いや、やめろ…ッ!入って来る…な…」
不本意に溢れた愛液に潤滑を促される様にして、蛇はどんどん奥へと入り込んで来る。
立てた膝がガクガクと震え、あと少しで崩れ落ちてしまうという所で突如男は秘部に埋まった蛇を掴み、力任せに引き抜いた。
「…ひッ!!」
ぬぽ…という粘着質な水音と共に地面に落ちた愛液まみれの蛇は、そのまま消え去ってしまう。
それと同時に、刺激に耐える事が出来なかった私の躰も同様に地面に崩れ落ちる。
すると…今まで躰に絡み付いていた蛇達が一斉に私から離れ、撤退し始めた。
(やっと開放される…)
そう思ったのも束の間だった。
男は横になった私の前髪を掴み上げ、服の前を開け露わにした自分の肉棒に顔を押しつけた。
張り裂けんばかりに膨張して見えるそれだったが、やはり体温というものは無く
触れた私の頬にはひやりとした感触だけが走った。
「咥えてみな……噛んだら承知しないぜ…」
僅かに息を荒げた男の声が上から降って来る。
「上手に出来たらお前も、他の奴等も逃がしてやるよ。…ホラ…」
ぐいぐいと私の顔に自身を押し付けながら男が紡ぐ。
(こんな……こんな…事を…。…でも)
私は考えるのをやめた。
一息飲むと目の前の肉棒を一気に根元まで咥え込む。
正直…こういう経験は無かった。
ただ、今の私の頭には早く事を終わらせて…事実であるならば拘束されている他の案内屋達を早く開放させてあげなければ…
それしか無かった。
他の考えを完全にシャットアウトした状態で、私は一心不乱に男の肉棒をしゃぶり続けた。
「ン……ッぶ…、…」
「…はァ…いいぜェ……」
咥えたまま上下に抜くだけの簡単な行為だったが、次第に口の中に苦い味が広がって来る。
もう少しだ、そう思った時だった。
グイ…!
「……ッあ…!?」
先程と同様前髪を掴まれた私は自身から口を外されると、無理矢理仰向けに地面に組み敷かれてしまった。
続いて男は私が両脚を閉じられぬ様股の間に割って入ると、抱き付くのとはまた違う絡み付く様な仕草で私の躰に自分の躰を密着させる。
そして探る様な動きで肉棒を窒口にあてがった。
「……ひ…卑怯者…ッ!!卑怯者…やめろ…!!」
「クヒヒ、卑怯上等…やっぱすげェなァ…人間の女は…。」
「やめろ…だめ……おねが……ア…!!」
ぢゅぶぶ…ぶ…
「あ…あァーーッ!!!」
抵抗も虚しく、男の肉棒は勢いに任せて根元まで押し込まれてしまう。
「うは……キッツ……♪」
押し込まれた刺激もまだ治まっていない状態で、激しい出し入れが始まった。
冷たい異物感が私の窒内に広がる。
見るからに人間ではないこの男、どこで覚えて来たのか肉棒を突き上げる際
業と股間を擦り付けて女芯を刺激して来る。
…堪らなかった。
それに加え空いている口や指先では休む事無く乳房を舐め回したり、形が変わりそうな程力一杯揉みしだいたりと引っ切り無しに刺激を与えて来る。
ぐぽ、ぢゅぽ、ぢゅぽ、ぢゅ…
「あっ…あ…ああ……ひっ…!」
硬くなった乳首を摘み押し潰し、片方では吸い上げる、
それに加え下半身を突き上げ、擦る刺激…私は見ず知らずの男の手によって潮を吹き、絶頂を迎えた。
…プシュ…
「…あ…」
「あん?…何だ…小便か?」
それに興味を示した男が一瞬動きを止める。
その隙に抵抗も出来たのだろうが、絶頂を迎えた事による倦怠感や快感、自己に対する嫌悪感でぐったりと動けずにいた。
すると再び男が出し入れを始める。
吹いた潮…によっていくらか潤滑は良くなったものの、相変わらず男の肉棒のカリ部分は私の窒内で引っ掛かり…抜き取られる際は中身を持って行かれそうな感覚に陥った。
ぐぽっ…ぐぽ、ぢゅぽ…
「ひっ…やだ…イッた…ばかりなのに…ぃ…」
「俺が知るかよ…、ホラ、イキたいだけイッちまえ…!」
「あっ、あーッ!!だめ、だめ、…や…あぁ…!!」
限界が近いのか、男が一層激しく腰を打ち付け始めた。
絶頂を迎えたばかりの私の秘部は、内壁と女芯を擦られる度にびりびりとした刺激を感じ…ごく短い感覚で再び絶頂を迎え続け
溢れた愛液や潮で男と私の股間はビチャビチャになった。
そして何度目かの絶頂かという時、私の窒内の締め付けに反応する様に男の躰が前に突伏した。
「……出る……ッ…!」
「え…あ…いや、やめて…!」
ドブ…どぷ…っ…
「………ッあ…あぁ…!」
「……ク…ッ……」
冷たい感覚が私の中に広がる。
ずるり…と男が肉棒を引き抜くと、カリ部分などに男自身の精液が纏わりついて窒内から掻き出された。
動けない私の耳元で男は、
「俺はミズチ。パラノイドサーカスのミズチだ…次会った時は宜しくな……」
そう御愛想程度に囁くといつの間にか消えていた。
その後どうやって帰ったか覚えていない。
ただ明神が無事だった…その事実だけが私の救いの様な気がした。
おわり