「みょーじーん! ご本読んで!」
「あずみ! 昨日も読んだろ〜?」
「もーいっかい!」
「ヌウ……」
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
「ホハ! 私は川へ洗濯へ行って来るぞ!」
「へっへ……わしは山に芝刈りでも行こうか……」
すると、川からはドンブラコドンブラコと桃が流れてきます。
「ホハ! ホハハ!」
おばあさんはあんまり面白いので、左でストレートをかましました。
すると、中から男の子が誕生したではありませんか。
「あー……ダリィ」
「ホハハハ! 貴様は不思議な生き物だな!」
「お前もな」
意気投合した男の子とおばあさんは、家に帰って一緒にごはんを食べました。
「へっへへ……よし、お前はコモ太郎と名付けよう」
「ホハハ! コモ太郎とは良い名前だ!」
「バオ」
気がついたら一匹増えていました。
ですが、おじいさんとおばあさんはそんなことは気にしません。
「へへ……ところでコモ太郎よ、実はお前に頼みたいことがあってな」
「ンだよ?」
「ホハハ! 今から左で殴るから、よけるかかわすか好きにしろ!」
「へっへ……実は、この先の海岸から行ける、鬼ヶ島というところに、鬼が住み着いて困っとんじゃ……へっ、へへっ……」
「で?」
おばあさんの拳は、コモ太郎には当たりません。
おばさんの嫌がらせはえんえんと続きます。
「大変困っとるんじゃが、退治してきてくれんかのう……」
「ホハ! ホハハハ! 行かなければ左で殴るから、よけるかかわすか好きにしろ!」
「バオ」
「選択の余地ねーじゃねーか」
「ホハハ! このきびだんごを持っていくといい!」
こうしてコモ太郎は、鬼を退治する旅に出ました。
途中、お猿さんにコモ太郎は出会います。
「あの、すみません、鬼ですか?」
「あアッ!? なにザケたこと言ってやがる、この変態野郎!」
「私は変態じゃない」
気がつけば、二匹もお供が増えています。
ですが、お猿さんとウサギさんはいつもケンカしているので、コモ太郎はツッコミに疲れてきました。
「もう一匹くらい仲間が欲しいな」
「匹と言うな」
ウサギさんのプライドの高さは半端じゃありません。
すると、そこにコウモリさんが飛んできました。
「なにやってるのー?」
「あア、ちょうどいいや。お前、仲間になってくんねー?」
コモ太郎はきびだんごを出そうとしましたが、あいにくもう残りがありません。
「誰だ、食ったの」
「ウヒヒヒヒヒ、誰だろうねぇ」
犯人はみんなわかっていましたが、口にはしませんでした。
パラノイドサーカスの結束力は抜群です。
というか、また一匹お供が増えています。
だけど、ボケキャラだったので、コモ太郎はあえて無視しました。
「悪ィ、もうきびだんごねーや」
「ふーん、じゃあ仕方ないね」
コウモリさんは、おもむろに服を脱ぎ始めます。
「なにやってんの?」
「体でいーよ♪」
コモ太郎はその場で押し倒されてしまいました。
「お前っ! やめろっ! いつからそんなキャラになったんだ、テメッ!」
「殺戮解禁?」
「離せテメェェェッ!」
「さっきお口でするシーンなかったから、こっちでしよーよ」
「ワケわかんねェェェッ!」
お猿さんとウサギさんとヘビさんは、その光景をただずっと眺めていました。
「なァ……オレ達何してんだ?」
「深いようで浅い」
「アラララララ、酒とか欲しくねぇ?」
「オレァ、日本酒しか飲まねーぞ」
「私はワインを」
「んじゃ、ジャンケンしましょ」
「お前ら、助けろォォォッ!」
「ねー、しよーよー」
そして、おじいさんとおばあさんは、コモ太郎がいつまでも帰って来ないので、お引っ越ししてしまいましたとさ。
おしまい