「おーい、キツネ!」  
「……なんだ、コウモリ」  
最近、このバカがよく絡んでくる。  
「ねえ、ヒマだから遊んでよ」  
「他当たれ」  
ホントなら消してやるところだが、一応、仲間である以上無茶はできねえ。  
「じゃあ、話だけでいいや」  
そう言うと、寝ている俺の隣までフワフワ飛んで来て、俺の隣に腰をおろす。  
「おい、意味がわからなかったんなら、もう一回言ってやる。こっちくんな」  
「みんな邪魔扱いするんだもん。相手してよ」  
「邪魔なモン仕方ねーだろ」  
「一人でいてもつまんなくない?」  
「あー……」  
「コウモリって群れる性質なの」  
「そりゃキツネもだ」  
「じゃあ、ちょうどいいじゃん」  
「知るか」  
お前と話をするのがめんどくさいんだよ。  
「ねえねえ」  
「んだよ」  
「何でヒトの上に立とうとするの?」  
「そんなのお前にゃカンケーねー」  
「ふーん。じゃあ、ヒトの上に立ったらなにするの?」  
「あア?」  
「その後」  
「お前、意外と変なトコついてくるな」  
「でしょ? お話ししたほうが楽しいでしょ?」  
力を手に入れてどうするか。  
それは考えたことがないかもしれねえ。  
俺はちょっと、こいつの話に興味をもった。  
と、いうより、話に乗っちまった。  
「さあ、どうとでもするんじゃねえか?」  
「ふーん。じゃあ、ヒトみたいに、上に立ってみないとわからないんだ」  
「そんなん考えたことねー」  
「じゃあさ、ヒトの真似してみようよ」  
「あア?」  
また変なこと言い出したよ。  
「そうすれば、少しはヒトの気持ちがわかるかもしれないよ」  
「わからなくていい」  
「そうすれば、上に立つ気持ちもわかるよ」  
 
「要は、ヒトの真似して遊びたいってことか」  
「バレた?」  
そんな遊びに付き合ってるヒマはねえ。  
「発情期か。帰れ」  
「えー、でも、霊気を高めるいい機会だよ」  
「ん?」  
なんだ、またおかしなこと言い出しやがった。  
「お互いが交わることで、霊気って高まるんだよ。知ってる?」  
「初耳だ」  
「特に、高い霊気を持つ者同士だと」  
「へえ」  
そういうことなら話は別だ。  
「最初から言えよ」  
「だって、邪魔って言った」  
「そういうことなら話は聞いてやる」  
「偉そう」  
「うるせえ」  
そこまで話すと、コクテンは俺の上に乗っかってきた。  
「……上に乗るな。俺は下にされるのが我慢ならねー」  
「ん? いいよ」  
とは言ったくせに、俺の上から動こうとしない。  
「どけって」  
「どかしてって」  
「あー、ウゼェ」  
体をつかんで横に下ろし、今度はお互いに正面から向かい合った。  
「へへへ」  
「……なんで楽しそうなんだ、お前」  
「だって、楽しくない?」  
「別に」  
そのまま押し倒すと、俺は自分の穿いているものを下ろそうとした。  
「いきなり?」  
「あア?」  
「だって、もうちょっとこう……なんか」  
「めんどくせェこと言うな」  
「めんどくさいことしようよ」  
「うるせェな、俺は好きなようにやる」  
「初めて?」  
「あア!?」  
そりゃ、コウモリとするのは初めてだけどよ。  
っていうか、この国始まって以来じゃねえのか。  
コウモリと交わるキツネって。  
 
「ぶー。じゃあいい。ちょっとそのままでいて」  
「おい、なにしようとしてん……」  
俺の言葉を無視して、コクテンは俺の体に触れてきた。  
「おい……」  
「むー」  
俺の体に口づけをするコクテン。  
猫がするように、肌に舌を這わせてくすぐっていく。  
「なにやってんだ?」  
「その気にさせようと思って」  
「あー……」  
「どうせするなら、感情入れたほうが楽しいよ」  
「まアな……」  
それもそうなんだが、それはお互いに感情がある者同士での話だ。  
ぶっちゃけ、お前に感情なんかねえよ。  
「わかった」  
「え?」  
「それじゃ、俺なりのやり方でいくから、大人しくしてろ」  
「ホント?」  
なんでか、ちょっと嬉しそうなコクテン。  
だが、俺の中ではすることは決まっていた。  
二度と俺の周りをうろつかねえようにしてやればいい。  
なんでかしらねェが、こいつはやる気満々だしな。  
「ん」  
「あア?」  
……と思ったら、目をつぶって顔を伸ばしてくるコクテン。  
……何してんの?  
「ん」  
「あー……」  
無視して、服を脱がしにかかった。  
「んー!」  
「言いたいことあるなら、はっきり言えやァァァ!」  
「まずはキスしようよー!」  
「知るか!」  
どこでそんなの覚えたんだこいつは。  
「お前、ヒトにでもなりたいのか?」  
「んー、だって、そういう風にしてたの見たんだよ」  
こいつにそんなことを教えた人間に、炎獄を与えてやりたいと思いました。  
「だから、ん」  
「……あー……」  
ウザってェけど、とりあえず付き合ってやることにした。  
 
「ふんっ!」  
「んっ」  
「んー……」  
「んー」  
「……これで満足か?」  
「うん」  
……ホントにメンドくせェ。  
さっき脱がしかかった服を肩から下ろして、上半身を裸にする。  
「わっ」  
「あア? まさか、恥ずかしいとか言うなよ」  
「恥ずかしいよ。それなりに」  
「へェ……」  
ヒトの姿になると、そういう感情もでてくるもんか。  
それは少し、意外だなと思った。  
服の上からだとわからないが、折れそうに細い体をしていた。  
「へェ……」  
「えーと……さっきから、なんでへーへー言ってるの?」  
「いや、ヒトの姿で交わるのも悪くねェなと思っただけだ」  
する……  
「んっ」  
腕に触れると、それだけでコクテンが反応した。  
「そ、そうかも」  
「ああ、悪くねェ」  
さわさわさわ  
「んっ、んっ……」  
腕と脇のあたりを撫でると、くすぐったそうに、体を震わせた。  
「ははッ、ヒトの体も面白ェな」  
「ひ、ヒトじゃないよ……」  
「面白ェことに変わりねえよ」  
俺は、さっき自分がされたように、コクテンの体に顔を近づけた。  
そして、エサを舐めるように、舌を這わせていく。  
「んっ、んっ、んん……んっ」  
「はっ、お前、もうちょっと胸は大きくできなかったのかよ」  
「そ、それは自分だと、どうしようもないもん」  
「姿を作るのも、俺たちを表す、一つの大事な要素だろ」  
「だ、だって……」  
その小さい胸に小ばかにしたように、軽く爪で弾いてやる。  
「いた!」  
「ははっ、痛ェのか?」  
「だって、爪……」  
 
「あア? スマねー、忘れてたぜ」  
「あ、ちょっと赤くなってる……」  
「じゃあ、舐めて直してやるよ」  
「あっ」  
今度は、コクテンの胸を中心に舐め回してやる。  
「あっ! んっ、あ、ふあァ……」  
体の中でも、この胸の先が弱いらしい。  
そこを重点的に舌の先で転がして、弄ぶ。  
「んっ、ん、あっ! はあっ、あっ、あんっ、ん、んんっ」  
「なんだァ? ずいぶん声が出るな」  
「だ、だって、勝手に出ちゃうから仕方ないよ」  
「テメーはしゃべんな」  
「やっ!」  
辱められて、言い返そうとしたコクテンの乳首を、尖った爪で挟んでやる。  
桃の色が濃い肌色が、黒い爪の先が食い込んでいくと、その色の濃さをましていく。  
「い、いたいよ……」  
「黙ってろ。テメーは俺が楽しむようにしてりゃいいんだ」  
胸を乱暴に揉んで、その乳首を吸ってやる。  
「あんっ! あ、やあっ、あ、ああっ、うあ……そんなに、強く吸わないでっ」  
「じゃあ噛んでやるよ」  
かり……  
「ああっ! あ、やぁっ……はあっ、はっ、はあっ、はあ……」  
「ははッ」  
少し涙ぐんできたコクテンの目を見て、多少、俺の嗜虐心が満たされる。  
自分と同じくらいの力を持つやつを、こうやって好きにするのはなかなか面白い。  
ずっ  
「あ……」  
俺は袴の紐を緩めると、今度は下半身の服のほうに手を刺しいれた。  
ここがメインだっていうのは、どの生物でも変わりはねえ。  
「んっ……」  
股の間に手が伸ばすと、俺の手が肌に触れるたびに、コクテンの口から息が漏れる。  
「ここか」  
「んんっ……」  
足の根元の間に指を当てると、コクテンの足が俺の指の侵入を妨げる。  
「なんだァ? 邪魔されたら、何もできねーじゃねぇか」  
「だ、だって……」  
「お前から言ってきたんだろ。おら、足開け」  
「う……」  
ついでに、よく見えるように、袴も膝まで下ろしてやった。  
腰からスラッと伸びた両足は、上半身だけよりも、その体を細く見せる。  
 
「おら、開けって」  
「ん……うん」  
コクテンがうなづいたあと、指が入るくらいの隙間ができた。  
そこから中指を伸ばして、隠していた秘所に指の先を当てる。  
「うっ……」  
多少、湿り気のあるその入り口を、指の先で軽くいじってやる。  
「んっ、んっ、んんっ……」  
くりくりくり……  
「はあっ、はっ、ああっ、はっ、ん、んんっ……んっ! あ、あんっ!」  
にちゅ……  
俺の指にねっとりしたものが張りついてくる。  
「あっ、あっあっ、あっ、うああっ……あんっ! んっ、ああんっ」  
だが、さすがにこの爪だと、中に指を入れるワケにもいかねー。  
「おい」  
「えっ……なに?」  
途中で動きをためられたコクテンが、少し残念そうにこっちを見る。  
「なにトロンとした目してんだよ」  
「だ、だって、気持ちいいから仕方ないよ」  
「いいから、うつぶせになって、尻上げろ」  
「え?」  
一瞬、言葉の意味が理解できなかったようで、動きが止まる。  
「ええーっ!?」  
「んだよ、指でできねえから、口でするしか仕方ねーだろ」  
「え? 口でしてくれるの?」  
「なんか悪いか?」  
「ううん、そんな風に、してくれるのは嬉しいんだけど……」  
「あン?」  
「さすがに四つん這いは恥ずかしいよ」  
「四足歩行が恥ずかしかったら、俺らの種族はどーなんだよ」  
「生きてることが恥さらし?」  
「このアマ……」  
俺はコクテンの体をひっくり返すと、無理矢理その尻を持ち上げた。  
「恥ずかしいー! 恥ーずーかーしーいー!」  
「うるせェェェッ!」  
丸見えになった秘所に口をつけて、舌を割り込ませてやる。  
「ひゃうっ!」  
「お前は黙ってあえいでろ」  
「ううっ、あ、ああっ、そ、そんなこと言わないでよぉ……」  
れろ……  
「んっ!」  
 
れろれろれろれろ  
「はあっ、ああっ、あっ、ふああっ! うあ……き、気持ちい、いよ……」  
「知らねー」  
虐めてやるつもりが、なんだか喜んでやがる。  
そんなつもりじゃなかったんだが……。  
にゅるっ  
「やっ!」  
れろれろ……れろっ  
「はあ、あ……ふあァ……口でされるの、いい……ああっ、あっ、ふあ……」  
そのまましばらく舌で愛撫を続けていたが、コクテンの入り口が垂液でびしょびしょになり、俺の顔まで濡れてくる。  
「もう十分だろ」  
「ぇ……?」  
体から力が抜けきっているコクテンの尻をつかみ、中腰になって、俺のモノをあてる。  
「あ……」  
「これだけぐちょぐちょなら、痛くねえだろ」  
ずぷっ  
「ああっ!」  
垂液でどろどろになった入り口から、徐々に頭の部分が入っていく。  
だが、思ったよりきつい。  
「ちっ、体が細すぎるんだよ……!」  
「うああっ、痛い、そんなムリヤリしたら、痛いってばっ」  
「いいから、黙ってろ!」  
捻じ込むようにして、頭をなんとか挿入しようと、コクテンの肉壁の間に刺しこんでいく。  
「いぎっ、いい……うああっ! ふあァ……うっ、ああっ! うあ……」  
「ちッ……入れ、入れって!」  
ずぷっ  
「うあっ! 大っきい、大っきいってば!」  
「騒ぐなよ、今、頭が入ったからよ」  
「ふあ……」  
強引に挿入したせいで、つかんでいた尻からは、刺さった爪の生々しい痕が残った。  
白い肌をした尻に、赤い線が映える。  
「おら……続きいくぞ」  
「う、うん……」  
意外と、行為をしている最中のコクテンは大人しい。  
痛みにも耐えているその姿を見て、多少だが、こいつのことをかわいいと思ってしまった。  
「おら……」  
ずっ、ずぶっ  
「んんっ! くっ……」  
「もうちょっとだ、もうちょっとで全部……」  
「うん……! うん……!」  
 
ずっ!  
「よし……! 根元まで入った」  
「ふぁう……」  
俺のモノが収まりきったそのとき、コクテンの足に赤い線が伝っていった。  
「あア? なんだこれ?」  
「初めてだから……」  
「あア!?」  
「だから、初めての血だよ……」  
「…………」  
…………。  
ツッコミどころ満載だ。  
やばい、さすがの俺でも、どこからツッコんだらいいのかわからねえ。  
ずぷっ  
「あんっ」  
仕方ないから、とりあえず体で突っ込むことにした。  
ずぶっずぶっずぷぷっ  
「あんっ、ああんっ! うああっ、あっ、ああっ、あっ! あああっ!」  
「おい……なんだ、初めてって」  
「初めては初めてだから初めてだよお……」  
「つーか、よくそれでしようなんて言ったな、お前」  
「な、なんとなく、あっ、ふあっ、コモンとしたいなって……あんっ、思って……」  
「だったら、最初から言えよ」  
「だ、だって……言ったら虐めるでしょ……?」  
やばい。  
やばい、こいつをかわいいと思っちまった。  
「…………」  
「……コモン?」  
「あァ、じゃあ、虐めてやるよ」  
じゅぷっ  
「うあっ!」  
今まで以上に激しく動き始めた俺に、コクテンの背中が仰け反る。  
「だ、だから、虐めないでって言ってるのに……!」  
「うるせェ。大体、そんなトコまで、ヒトと同じにすることねーだろ」  
「知らないよ……ワタシだって、今日初めて知ったもん」  
「あァ、そうか」  
じゅぷっじゅぷっどぷっ  
「うあっ、はっ、はあぁっ、ふあっ! あっ! ああっ、あああァァっ!」  
お互いの動きが激しくなって、俺の限界も近づいてくる。  
「うああっ、コモン、コモン……もうっ、それ以上動くと……ふああっ、ワタシ、ダメになっちゃうかも……」  
「うるせー、俺もあと少しだから、我慢しろ」  
「うああっ! そん、な……無茶、言わないで……よおっ!」  
 
じゅぷっずぷっじゅぷぷっ  
「おら……もうすぐイクぞっ」  
「あああっ! あの、あのね……全部……全部、中で出してね」  
「あア、言われなくても全部出してやるよ」  
「うあっ、あっ、うん……絶対、絶対中で出してねっ……」  
「クッ……!」  
言われなくても、今の動きをやめられるハズがねェ。  
俺は最後の瞬間を味わうために、動きをいっそう激しくした。  
「あああっ! あァっ! うあああああァァァっ!」  
「クッ、イクぞっ!」  
「ああっ! あんっ! ふあっ、あああああああっ!」  
どぷっ! どく、どくっ!  
「……ッア……!」  
「ああ……あ……」  
コクテンの中に、大量の放出を続ける。  
久々の快感に、俺も力尽きたように、コクテンの上に重なって倒れた。  
 
「…………」  
「ねえねえ、楽しかったでしょ?」  
「ウゼー……」  
そして、そのあともちろん、地獄が待ち構えていた。  
「えへへ、ワタシ、初めてしちゃったよ」  
「そりゃ良かったな」  
「なんだか、周りがギラギラして見えるよ」  
「いや、濁点いらないから。どれだけ殺伐としてるんだよ」  
「ちょっと痛かったけど、今となってはもうおしまいだね」  
「おしまいって!? そんな大変なことしちゃったのか、俺は!?」  
「もうね、コモンのおかげで、世界観が360度変わったかも」  
「変わってねェェェ! 変わってないなら、いちいち世界観の話とかしなくていいから!」  
「あはは、コモンって楽しい」  
「おい……!」  
そんなことはどうでもいい。  
「ん?」  
 
「ンなことより、全然霊気が上がった気がしねェんだが……」  
「そう? 上がってるよ?」  
「むしろ、体がダルい気がするぜ」  
「そりゃ、コモンはダルいよ」  
「あア?」  
俺は思わず起き上がった。  
「どういう意味だ?」  
「だって、私の中に出したんだもん。いっぱい出してくれたから、おいしかったよ!」  
「おい……」  
「なんで? 血だって霊気なんだから、精ももちろん霊気でできてるんだよ。知らなかった?」  
「知らねェ……」  
「だから、中で出してって言ったじゃん」  
「コラ……」  
「口でもいいんだけど、今度は口でしてあげるね」  
「騙したのかテメエェッ!」  
「なんで? いつ?」  
「いや、霊気が……」  
「上がったよ。コモンの霊気をもらって、ほら、元気元気」  
「テメ……」  
しまった、コレが狙いだったのか。  
「でも、コモンとしたかったのはホントだよ」  
「知るかッ! ふざけんな!」  
「だって、いっぱいワタシのこと虐めたじゃん」  
「グッ……」  
「じゃあ、また来るねー!」  
「二度と来るんじゃねェェェッ!」  
その後、俺が元の力を取り戻すのに、1ヶ月の期間を要した。  
もう二度と、あいつとは関わらねェ……。  
「おーい、コモン! エッチしよ!」  
「死ねっ!」  
「死んでるよ」  
 
おわし  
 

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