「ねえねえ、コモン〜」
「あァ? コウモリ女、人の領域に勝手に入ってくんな」
「ねー、のど渇いた」
「ウゼェ。どうやったら陰魄がのど渇くんだよ」
「あのね、甘いもの食べたい」
「勝手にその辺の陽魂でも食ってろ」
「買ってきてよー」
「なんで俺がお前のパシリしなきゃいけねえんだよ。つーか、売ってねえよ」
「おーなーかーすーいーたー」
「ウゼェェェェッ!」
「あ! たった今大発見! 言葉と言葉の間を伸ばすと、なんでもかわいく聞こえるっぽいよ」
「あァ? やってみろ」
「あーまーいーもーのー」
「お、それっぽいそれっぽい」
「ほーむーらーぎーつーねー」
「ちょっとバカっぽいけど感じ出るな」
「うーらーぎーらーれーてーしゅーんーさーつー」
「おいちょっと待て。なんつった。お前今なんつった」
「おーなーかーすーいーたー」
「ウゼェェェェッ! やっぱウゼェェェェッ!」
「じゃあエッチしたげるから買ってきてよ」
「したくねえから断る」
「なんで? コモン、モテないでしょ?」
「お前何しに来た。ホント何しに来たんだお前」
「ホントはちょっとしたいでしょ?」
「発情期の雌に興味ねえんだよ」
「でも、胸見せてあげるって言ったら見るでしょ?」
「薄っぺらい胸なんか興味ねえよ」
「殺すぞ」
「す、すみません」
「べ、別に、あなたになんか、おっぱい見たくないんだからね!」
「お前それ、ツンデレのつもりだったら、ツンデレと呼ぶには図々しいにも程があんぞ。ツンデレの皆さんに謝れ」
「だけど、仕方ないからエッチしてあげるわよ!」
「お前がしたいだけじゃねえかァァァ!」
「ねー、ホントにしたくないの?」
「ウゼェ以外の何物でもねえな」
「もしかして不能?」
「テメーに興味ねえんだよ」
「もしかして早漏?」
「テメーに興味ねえんだよ」
「もしかして下手糞?」
「テメーに興味ねえって言ってんだろ」
「あーん、ひどいこと言われたー」
「さっきから明らかにお前のほうがひどいこと言ってんぞ! しかも三連発で!」
「大丈夫、鼻くそでも笑わないから」
「新しい単語だな、おい! さっきの言葉の中に入ってねーぞ!」
「目くそ鼻くそって似たようなものだって言うけど、鼻くそのほうが汚いよね」
「知るかァァァッ! お前もう帰れ!」
「じゃあ、わかった! エッチしなくていいから、飲み物だけ買ってきて」
「それ、お前が得するだけじゃねえかァァァッ! お前、交渉技術の欠片もねーな! 条件悪くなる一方だぞ!」
「じゃあ、飲み物いらないから、エッチしようよ」
「あ、あァ!? ワケわかんねー」
「ね、しよーよ」
「あー……。……あー、ダメだな。今日は乗らねえ」
「そっか。ちょっと残念」
「ああ、また今度な」
「うん、また今度ね。でも、胸だけなら見せてあげよっか?」
「ハッ、膨らみのねえ胸なんか興味ねえよ」
「殺すぞ」
「す、すみません」