本来目覚ましが鳴る2分前に自然と目が覚めた。普段ならその時計が奏でる無機質な騒音を無視して惰眠を貪るのに。  
珍しい事もあるもんだと、桶川姫乃は勢い付けて上半身だけよいしょと上げた。  
途端に下半身の違和感に姫乃は顔を強ばらせる。  
腰の辺りに鈍い痛みが走り、下腹がどっしりと重い。ああ、もしかして、とカレンダーに流し目を注ぐと、頃合いが丁度良い。  
「………やだなぁ。」  
まだ下着の被害がないのは分かっていた。しかし経験上あと半時もせずに赤いモノは姫乃をつたい、零れ落ちるのは分かっている。  
足にまとわりつくタオルケットを蹴り跳ばし、姫乃は立ち上がった。  
 
 
「ひめのん、疲れてない?」  
そう姫乃に尋ねる白髪の青年は、明らかに姫乃より目蓋が重たげだ。  
「明神さんだって眠そうだよ。」沸騰寸前の味噌汁を火から上げ、赤と黒のお椀にそれを注ぐ。  
「昨日夜中イキナリ友引の仕事が入ったんだよ。あ、ごめん。俺味噌汁だけでいいや。」  
「うん、分かった。昨日って何時位?」  
音を立てずに湯気が上ったお椀を置く。煮だった味噌の香が鼻を掠めた。  
「んん……2時とか……」ずず、と箸を使わず直にお椀に口を寄せて明神は味噌汁を啜る。  
2時、と目を見開いて姫乃は箸を明神の目の前に置いた。「じゃあ、全然寝てないじゃん。」  
「いや、まあいいよ。俺はこの後寝れるし。」ひめのんはどうなの、と明神は少しだけ眉間の溝を深める。「なんかすごい怠そうだよ。動き鈍いし、味噌汁しか飲んでないし。」  
無理しないで、と言う明神を姫乃は遮った。「大丈夫だよ。」  
少しお腹重いだけ、と笑って見せた。  
 
 
姫乃がエージとうたかた荘を出る所を見送るやいなや、明神は自室に戻り布団に倒れこんだ。  
全く寝ていない訳でもない。倒れこんだのには眠さの他に別の理由があった。  
 
姫乃と、半月以上寝ていない。  
理由を上げれば切りがない。職業柄、夜中に突然の来客だって明神にとって珍しい事ではなかった。  
以前一度だけ、依頼の常連客である元刑事にコトの真っ最中にドアをノックされた事がある。  
半裸の姫乃を押し入れに追いやり、切り替えしきれない体でジジイと顔を合わせる気まずさと言ったらなかった。  
ガクは姫乃と明神の関係を知ってか知らずか、以前より姫乃にひっついている気がする。  
アズミを始めとした、壁と言う概念をモノともせずに徘徊するちびっ子の存在も無視するにはリスクが大きすぎた。  
全く、と明神は少し黴臭い枕に深く息を注ぐ。なんでこうも悩みが絶えないのだろう。  
 
 
「みょーじーんっ!!起きろ、オイ!」  
突然、どすりと腹の辺りに尋常ではない重力が振り落ちた。  
重い目蓋を開くと、金髪の少年が馬乗りになっている。「おぅ、おかえり。エージ……」  
「おかえりじゃねぇよ、起きろ!姫乃が倒れた!」  
「はぁっ!?」  
「今、そこの角でうずくまってんだ。俺じゃ運べないしよ――うぉっ」  
エージが言い終わるのを待たずに、明神はがばりと起き上がる。「コンビニんとこだな?」  
 
どうやら明神は思いの外、深く眠っていたらしい。  
冬の太陽は西に角度を落とし、民家からは家庭的な香りが漂っていた。はっきりと時計を見たわけではないが四時は確実に過ぎているだろう。  
 
エージの言葉通り、姫乃はうたかた荘を出た最初の角で電柱に抱きつく様にうずくまっていた。  
焦げ茶色のダッフルコートから露出している足が凍ったアスファルトに投げ出されている。  
姫乃、と声を掛けるとゆっくりと顔を上げた。「明神さん。」  
「エージが、倒れたって……」  
通夜の参列者の様な明神の表情に姫乃は苦笑を洩らす。「倒れたって、大袈裟だよ。」  
汗で黒髪が何時もより青白い顔にへばり付き、息が少し上がっている。  
だから言ったのに、と明神は眉間に皺を寄せながら姫乃を抱き上げた。  
所謂「お姫さま抱っこ」を公道でやられ、気恥ずかくなった姫乃は少し身を捩る。歩けるから、と赤くなった耳を明神の胸板に押しつけて姫乃は呟いた。  
「ダメ。」姫乃が抵抗できぬ様、明神は腕に力を込める。足が氷の様に冷えきっていた。「大丈夫じゃないからこうなったんだろう。」怒りが入り交じった低い明神の声に、姫乃は小さくごめんなさいと答えた。  
うたかた荘に着くと、エージはどこかに出掛けた後だった。  
薄情なのか、変な気を遣っているのか。いや、後者だとしたら全くの見当違いな気配りだとは言えないのだが。  
とりあえず明神は、姫乃をつい先程まで使っていた自室の布団に降ろした。「風邪?」  
明神の問い掛けに姫乃は、言いにくそうに違うよとだけ答えた。  
「違うよって自覚してないだけじゃない?こんな身体冷やして……」そうぼやきながら明神は姫乃のふくらはぎから太ももをスッと撫で上げた。「明、神さんっ」  
「うわ!ごめんっいや、あんまり冷たかったからつい……」その言葉に偽りは無かった。風邪にしても何にしても、彼女の体調不良は下半身の冷えから来たものと先程から考えていたのだ。無意識にとは言え、具合の悪い姫乃に不必要に触ってしまった自分に明神は罪悪感を覚えた。  
「別に謝らなくていいよ……」頭を抱えた明神の横で、姫乃は拗ねたように呟く。「今更、そんなちょっと足触った位で大袈裟だよ。」  
「いや、そのさ。違うんだよ。姫乃が具合悪い時に触るとか変態っぽいじゃん。」  
身体ならもう大丈夫、と姫乃は上体を上げた。「あったかくすると治るんだ。」  
「………ホント?」  
「本当。」  
「もう大丈夫なの?」  
「大丈夫。」  
それじゃあさ桶川さん、明神は静かに姫乃の腰に両手を置く。「念のため、もうちょっとあったかくしたげる?」  
 
姫乃の顔を引き寄せようと、そっと頬に手を伸ばすとはた目から見ても上気しているのに冷たい。「もっと早く迎えに行けばよかった。」  
自分の体温を分け与える様に、明神は自身の頬を姫乃に擦りつける。  
「私が冷えてるんじゃなくて明神さんがあったかいんだよ。」そう言って少女は、短くついばむ様に明神に口付けをした。  
久しぶりに味わった柔らかさに、明神は少し恍惚としながら姫乃の腰を擦り上げる。「そうかな……」  
深く、ゆっくりと姫乃の口内に明神が入っていった。  
 
 
クラクラする。明神さんとキスをするといつもこうだ。途端に後頭部が重くなり、身体の力が抜けていく。  
腰にあった彼の両手はスルスルとセーラー服と共に上り、背中の真ん中まで来ている。  
「みょうじんさん…」臆病な彼が拒絶と捕らえない程度に、私は右手で彼の胸板を押した。「で、できれば服脱がさないで…」  
気のせいか、彼の顔は色付いた。「………ハイ…。」  
やけに真摯に頷いた途端、彼は下着をずり上げる。期待と摩擦で嬌声が思わず漏れた。  
 
 
白いブラジャーをずり上げると、形のいい胸が僅かに振動して顔を見せた。もう既に、二つの桃色の突起は天井を向いている。  
―――ヤバい、また何か来たわ……  
先程の「制服プレイ発言」と言い、このいやらしい突起と言い、姫乃は確信犯なのかとすら思う。  
「あのさぁ、ひめのん。」溜め息混じりにそうぼやき、明神はひょいと姫乃を持ち上げる。  
「えっ、なっ何する……」  
あぐらをかいた明神は姫乃を姿見の前で自身の上に座らせ、背後からセーラー服をたくし上げた。  
「やだ、やだ明神さん。」  
陽に焼けていない姫乃の半身が蛍光灯の元に表わになっている様子がハッキリと鏡が映す。。  
「俺さ、何もしてないんだよ。」耳を甘噛みしてやると、姫乃はピクリと反応する。  
「ココ、もうちりちりするでしょ?」そう言いながら、人差し指ピンク色の突起に軽く触れる。「ゃ…んっ……」  
「やじゃないクセに。」  
くり、と摘み上げると姫乃ははっきりと嬌声を発した。「んあ、やぁ……そんなあっ、っよくしなぃ、でぇ……」  
 
「嘘ばっかりだなあ、姫乃は……」姫乃の抗議を余所に、明神は少し力を入れて姫乃の双丘を揉みしだく。「ちゃんと鏡見て、姫乃。」  
「みょーじっんっさぁん…ふっぁあ…」自分の乳房が思い切り持ち上げられ、先端を爪で引っ掛かれた。「ゃあっそえだめっ……」  
 
桜色に染まった乳房を目指し、明神は姫乃の首筋に舌を這わせ始める。彼の意図に合わせて、姫はくっくっと息を洩らした。  
鎖骨を過ぎ、姫乃の双丘に明神のざらついた舌が這いずりだす。  
天辺に彼の触手が伸びるのを姫乃は息を殺して待つが、簡単に快楽を与えてくれない。「みょ……ぅじんさっはやくぅ……」  
そう焦らないで、とでも言うようにじりじりと明神は舌を這わせていく。  
彼女との行為を一体どれだけ自分が渇望していたか。  
色気などない、と自身を笑う彼女に自分がいかに欲情していたか。  
焦らされていたのは俺だ。  
ちう、と音を立てて吸い付くとまるでそこが彼女の心臓であったかの様に姫乃は崩れた。  
 
いくらなんでも早すぎるだろう、と寝転んでいる姫乃の横で明神は小さく溜め息をついた。  
確か、前々回の事だ。  
先程のように姫乃は明神が下半身に手を伸ばす前に果てた。  
その時も、さすがに無理に起こせる訳もなくムラムラしながら姫乃の回復を待った。事を終えた後に、軽くその事を詰ると姫乃はか細い声でこう答えた。  
「生理の直前だったからかも……」  
 
もしかして、と明神はちらりと姫乃の白い足に目を遣る。  
暖かくするとが治る腹痛、僅かに浮腫んでいる足、感度が上がり切った性感帯――――ついに仮定が確信になった。  
 
「明神さん」  
「あ、おはよ。」  
「おはよって、もう朝!?」  
「うん、まあ……まだ四時だけど。」  
まだ暗い空を窓から明神は覗き込んだ。  
もしかして、と姫乃は顔を青ざめる。「私、アレから寝てた?」  
姫乃の言葉に頷く明神はいつもより白くなっている気がした。姫乃が気絶して約十時間、寝ることもできずに明神は欲望と戦っていたのだ。  
 
申し訳無さで、一気に血の気が引いていく。多少は男性のセイリに以前より明るく、その類の「おあづけ」を食らう辛さも知った姫乃察した姫乃は明神の辛さを理解できた。  
 
やっとの思いでごめん、と告げると明神は力なく笑った。「そんな泣きそうな顔すんなよ。」  
「でも……」  
「姫乃、生理中だろ?どうせ最後までできなかったしさ。気にすんな。」  
コーヒーでも、と彼は立ち上がり台所へむかう。  
 
「できるもん。」  
「うぉっ」突然、背後からしがみ付かれ明神は奇声を上げた。  
不意を着いた姫乃の行動に、明神は思わず腰を引く。出来るって何が、と怯えながら明神が振り向くと赤面しながらこちらを見やる姫乃がいる。  
 
「その、ほら……」  
「うん。」  
「あの、あのね。こないだ、本で読んだの。男の人が、きもちいヤツ。」  
「……どんなんですか?」何の事を言っているのか皆目見当がつかない。  
 
姫乃は大分まごついてから、小さく呟いた。  
「その、…………口で……」  
 
どんな本読んでるんだこの娘は、と頭でぼやきながら明神は音を立ててジーンズのジッパーを下げる。  
「……何でもう大きいの…」  
「そこは触れちゃダメでしょ、桶川さん…」  
 
頭痛がするほど鼓動が早い。耳から頬にかけても明らかに火照っている。  
恐々と両手を当てがうと、それはどくんどくんと脈打っている。赤黒いきめ細かい肌、奇妙な形――何より熱い。  
 
ぺろり、と竿の部分を一舐めすると彼のソレは素直な反応を見せた。  
少し得意になって、明神を見上げると不貞腐れた様に唇を尖らせている。  
「明神さん、なんか怒ってる?」  
「……何で俺が怒るの。」「私の事見てないから、何となく。」  
「…………見れないだけです……」  
そうこぼすと、明神は右手を口元に遣る。  
恐らく自分がそうであるように、明神もまた耳まで赤くなっている。  
 
 
彼もいっぱいいっぱいなのかな―――  
その仮定は姫乃を少し、大胆にさせた。  
 
 
 
まずは唾液を塗りたくる。  
先日読んだ女性誌には確かそんな記述があった。  
優等生の姫乃はその指示に素直に従う。(この後、何だっけ……)  
友人がきゃあきゃあとはしゃぎながら読んでいたのを横目で見ただけなので、今イチ記憶がおぼろげだ。  
(確か、ココを……)  
手でぐっと明神自身を持ち上げ、根元に舌を這わせる。  
頭上から、明神が息を止めている気配が伝わってくる。いつもいじめられる分、今は何としてでも明神を悦ばせたい。  
 
(あ、そうだ。)  
姫乃はちゅる、と舌を引っ込めた。  
(吸うんだ。)  
唇を張りつけ、密封するかの様に明神のソレと自身の口内の狭間にある僅かな空気を吸い込む。  
「っ……姫乃、吸うな。」  
明神の余裕の無い声に、姫乃は舌を出す。「ダメ、いつものお返しだよ。」  
そう言うやいなや、姫乃は舌先を尖らせて裏側の筋の根元を突く。  
ずず、とスライドさせていくとやがて傘の部分に辿り着いた。  
(ここをぐるっと…)  
窪みを舌で一周すると、上から切れ切れの息が降ってきた。「っひ…姫乃、どこで憶えたんだよ……」  
「雑誌。」  
実用的な、と苦笑しようとした途端下半身をどっと快楽の波が襲った。姫乃が小さな口を目一杯広げて、自分の性器に吸い付いている。「うわ、ヤバ……」  
 
きゅう、と暖かく圧迫された明神は思わず姫乃の髪に手をやる。  
根元まで含めない分、とでも言いたげに姫乃はゆっくりと口をスライドさせてゆく。「ちょ、も……いいって!」  
明神の訴えも虚しく、姫乃は速度を速めるばかりだ。少し、苦い唾液が姫乃の舌を刺激した。  
 
水溜まりは薄く氷を張り、辺りは薄靄がかった空気で満ちている。目先の梢は葉を失い、冬の香を撒き散らす。  
冬の早朝の屋根はやはり冷たかったが、やがて気にならなくなった。  
「確かに、口でするとは言ったよ。」  
ダッフルコートに身を包んだ少女はそう言って、じとりと青年を睨み付けた。  
 
明神は彼女の手を捕らえようと、するりと右手を姫乃の脇に滑り込ませる。黒髪がいつもよりしっとりしていた。恐らく、乾かし方が不十分だったのだろう。  
「でも何も口の中で……!」  
「いや、ひめのん。それ以上はダメ。」屋根で話すと以外と響くんだ、と明神は姫乃を制す。  
さすがに大っぴらにするつもりはないらしく、姫乃は頬を膨らませただけだった。  
 
「や、だった?」  
「え?」  
「あんな事、自分からしちゃう女のコなんて……嫌かなって。」か細い声でそう告げると、姫乃はきゅっと明神の袖を掴んだ。  
「………嫌なわけないだろー…」少し顔を赤らめながら、明神は姫乃の頭をぐぐっと寄せる。シャンプーの華やかな香が鼻腔に入ってきた。「正直、嬉しかったよ。」  
遠くを見つめ、明神は呟いた。  
突如都会の凸凹な地平線に、光が走る。  
 
日の出だ。  
 
「うわぁ、綺麗!なんか幸せだな。」  
ね、と同意を求めると彼は少しだけ私の手を握る力を強めた。  
「うん………すごく。」  
 
 
一つ、発見がある。  
彼は恥ずかしい時、照れてる時私を見ない。  
 
正確には、私の目を見ない。  
 
多分今、私の顔を見れないのも顔を出したお日様のせいじゃないんじゃないのかな。  
 

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