「ひめのーん。メシ食ったぁ?」  
2階3号室のドアをノックして明神が尋ねた。  
ガチャと音がして華奢な少女が顔を出す。  
「?まだですけど・・・また何か作れってことですか?」  
あー違う違うと手を振り、手招きして管理人室の方を指す。  
「恵方巻。そこのスーパーで買ってきたんだ。食わない?」  
姫乃が耳慣れない単語に疑問符を浮かべると、明神は管理人室へ向かいながら簡単に説明してくれた。  
「ただの太巻きなんだけどさ、神様がやってくる方角、恵方を向いて黙って食べるんだ。  
 今年は南南東だね。食べながらお願い事をするんだよ。」  
はい、と渡された巻物は随分太い。姫乃の口には大きすぎるようだった。  
「えっと、で、こっちを向いて・・・」  
「そうそう。食べ終わるまでしゃべらないでな。」  
こくりと頷いて、姫乃は太巻きにかぶりついた。  
明神もそれを見て自分の恵方巻に口をつけるが・・・  
(・・・・・ぅあー・・・)  
傍らで大きく口を開けて太巻きをほお張る姫乃に思わず目が行ってしまう。  
(な〜んか・・・卑猥な図だなァ・・・)  
自分の口より大きな恵方巻を必死に収めようとする少女。  
願い事=目をつぶるらしいところがまたなんとも可愛らしい。  
気付かれないのを良いことに、明神はおめでたい恵方巻を食べながらとんでもない想像を巡らせていた。  
「・・・ぷはっ。おいしかったー!」  
姫乃の声で我に返る。  
「ぅお・・・っ・・・あ・・ああ、良かった。」  
自分の分の恵方巻は知らないうちに食べ終わっていた。  
先までの妄想をぱたぱたと心の中で追い払っていると、姫乃が無邪気に聞いてきた。  
「明神さん、お願い事しましたか?」  
「へっ・・・?」  
「私はみんなが今年1年健康に過ごせますようにってお願いしたんですけど・・・  
 よく考えたら何だか変ですよね。」  
あははと笑う少女に思い切り後ろめたさを感じる。  
「明神さんは?」  
まさか答えられるはずがない。なんとか取り繕って誤魔化した。  
「あ〜・・・お、お願い事は・・・言ったら叶わないからな。俺のは内緒。」  
ええーっと頬を膨らませる少女が自室に戻るのを見送って、明神はため息と共に呟いた。  
「神様・・・罰当たりで・・・すみませんでした・・・」  
明神の女日照りはもう当分続きそうだった。  
 
END  
 

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