大晦日午後23時58分。神社は新年を迎える参拝客でごったがえしていた
明神は陰魄退治、ひめのんは友達と初詣。
・・・ということにして、うたかた荘の霊達には嘘をついて2人きりで神社に来ている
姫乃「うっわー。すごい人!うわー。うわー!」
目を丸くしてキョロキョロと周囲を見回すひめのんがおかしくて、可愛いくて、明神はクスクス笑った
姫「なんで笑うんですかー!」
明神「だってさ、めずらしい場所に連れてこられてはしゃいでる子供みたい。ププ」
姫「子供じゃありません!」
プンスカ怒ってて本当に可愛い。
明「ムキになるとこがまた子供だ」
姫「じゃあ子供だから、明日お年玉ください」
明「そう来たか」
ヒュルッルーッ!!ドン!!ドドン!!
大勢の参拝客が一瞬で黙り、大きな爆音と共に夜空に花火が咲いた。新年の花火だ
一転してあたりは歓声に包まれ、2006年を祝う華やかな雰囲気に染まる
姫「わー!きれー!」
無邪気に喜ぶひめのんの横顔を花火の光が照らしてその笑顔を更に輝かせた
“花火よりひめのんのほうがきれいだよ”
聞いたことあるような口説きセリフが浮かんだが、花火に夢中のひめのんを邪魔するのがかわいそうで
ひめのんから視線をそらした
そんな明神の視界には花火のムードかなんなのか新年をディープキスで祝うカップルがあっちでもこっちでも真っ最中でいちゃついている
明(え?!おいおい神聖な境内で何やってんだおまえら!いやこれが最近の普通のカップルなのか?!)
他人のキスシーンなど見てもしょうがなく、明神は再びひめのんに視線を戻した
ひめのんはあいかわらず花火に一心に見惚れている
明(可愛いな・・・)
抱きしめたいな。キスしたいな。
思わずそんな感情が沸いてくる。花火もそっちのけで明神はひめのんを見つめた
姫「?どうしたんですか明神さん?花火、見ないんですか?」
ひめのんの真っ直ぐな瞳が明神を見つめ返す
明神の理性がキレた
姫「みょ・・明神さ・・?」
ひめのんのあごを軽く持ち上げ、その唇に自分の唇を重ねた
姫「やっ・・・!」
突然のことに拒み、逃げようとする少女の肩を抱き寄せ、今度は力づくで唇を奪った
姫「んん・・・!」
周囲のカップルのように十分に時間をかけて新年のキスを交わす
明神とひめのんの身長差が大きいせいで、できるかぎりの背伸びを強いられたひめのんは
長いキスの後、疲れて明神の胸にしがみついた
姫「もう・・・神聖な境内で何するんですかぁ」
言葉は怒ってるものの、声は怒っていない
そんなひめのんがますます可愛かった
明「あけましておめでとう。ひめのん」
そう言って今度はひめのんのほほにチュッとキスをした
(おわり)