「いってらっしゃーい!」  
明神さんに手を振りながら  
高校生にもなって、ウキウキしながら手を振った  
明神さんの居ないうえ、アズミちゃんとエージ君も  
居ない独りきりのうたかた壮は初めてで  
なんだか気持ちが高揚してくる  
「わー、本当に一人なんだ。」  
「ひめのん。」  
ぞくっと背中に寒気がした  
ゆっくりと振り返る  
私を「ひめのん」と呼ぶのは二人で  
そのうち一人は出掛けている、となると  
「・・ガクさん・・・。」  
苦笑いで振り向くと、予想通りに彼ともう一人が立っていた  
「やっぱり二人は離れられない運命なんだ!!」  
「ひっ!?」  
「・・・『ひっ』だってよ、アニキ。」  
「・・・・。」  
ガクさんは無言でその場に座り込んだ  
背後に黒い影が見えそうな位落ち込んで  
私はどうすれば良いか分からずにガクさんの傍に  
ゆっくりと(怖い!)近寄る  
「えーと・・・御免なさい、あれは驚いただけだから・・・。」  
言い訳っぽい言葉だったけれどガクさんは  
満面の笑みで此方に振り向いた  
 
その笑顔がなんだか可愛かった  
 
 

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