私、桶川姫乃 16歳
普通の女子高生だと思ってたけど…
明神さんによると、私は(人には見えないモノ)が見える体質らしいの
そう(霊)が見えちゃうの
誰もこんな話信じないよね
でもね…世界の何処かであるんだよ 嘘みたいな本当のような話が
そう このうたかた荘と
明神さんとエージ君達etc.の霊がね
ガチャリ
「たっだいまー」
し…ん…
姫乃は初めての期末試験初日で、いつもより早くうたかた荘に帰宅していたのだ
初日にしては自分なりに上出来な感じがして、ただいまの声も嬉しさが弾む
「あれ?みんな…居ないの?」
もう慣れてしまったと言ったら嘘になるが、姫乃が学校から帰宅すると誰か一人(+霊)が出迎えてくれた
でも…
「なんだ、みんな居ないのかぁ」
はぁと肩を落とす姫乃
今日の成果を褒めてほしかったのだ
もちろん(あの人)に
「ん?」
管理人室の明かりがついている
ひょっとして明神さん、寝ちゃってるのかな?と、管理人室をノックする…が、反応が無い
なぜだかドアノブに手がいく
開くドア…鍵かかっていない
期末試験の勉強で、自室にひきこもりがちであった姫乃は久しぶりに管理人室の空気を吸った
あ…明神さん居ない…でも電気付けっぱなしだ、もったいないなぁと思いながら
「明神さんの部屋ってほんと殺風景で、でもなんか汚れてるんだよね〜」
テレビを見させてもらいに管理人室にお邪魔する度思っていた事が言葉に出てしまった
ポンピーン!
姫乃の頭の中で、豆電球が光ったとゆうか閃いた
(明神さんが帰ってきたら吃驚するぐらい、この部屋を綺麗にしちゃおう!)
俗説に、試験勉強中になぜか部屋の掃除をしたくなったりする、アレだ
姫乃はそそくさと、テーブルの空の缶ビールや脱ぎ散らかされた衣類などを片し始めた
もともと掃除(家事)は嫌いじゃない むしろ好きな方だ
たが…
姫乃はまだ知らなかった
(男)とゆうモノを
ズル!
「きゃ!!?」
姫乃は派手にすっ転んだのだ
おまけに足をくじいてしまった…痛い
「なんなのよーもう…」
と、視界に写ったのは、一冊のジャンプと…なんだか女性が表紙を飾っている雑誌の二冊
どうやら姫乃は、これを踏んで滑ったらしい
ちょっと明神を恨んだ
「でも…」
女性が表紙の雑誌に手をかけてみる。とても気になるのだ。一種の女の感とゆうやつだ。
雑誌には
プルプルたわわに実る巨乳おっぱい娘・実留羽たわわちゃん巻頭グラビアetc.
姫乃は凍りついた
ちょっと…もしかしてもしかしてもしかしてもしかしてー!!
「これがエロ本ってやつー!?」
まさにホニャララパッパーである
耳まで真っ赤にしながらも、しっかり読みあさる姫乃
明神(+霊)がいつ帰ってくるかもしれない緊張感の中、年頃女の子…ウブな姫乃には刺激的な…でも読むのが止まらない…
これでも姫乃は、性について少しは興味を持っていたのだからしょうがない
その頃…
うたかた荘 玄関
ガチャ!
「うぃー…ただーいまー…」
明神だ
今日は朝に姫乃を学校に送り出してから、すれ違いに騒がしく飛び込んできたトミさんの依頼で案内屋家業を見事成し遂げて帰ってきたのだ
(あれ?管理人室明かり付いてんじゃん…)
(朝は急いでたしな…って、あれ?ドアが少し開いてるような…)
そうと覗きこむと、姫乃の後ろ姿が見えた
なんだか必死に正座して、何か読みふけっているようだ
(ジャンプでも読んでんのかなひめの…)
バン!!
「ひめのーん!!ストップ!ストーップ!」
管理人室の扉を勢いよく開け、突入する明神
「きゃあああ!!!?」
それに驚く姫乃
果たしてどうなる この二人!?
シュバッ
「あ!」
先に動いたのは、明神だった
姫乃の手の中にあった本は、今明神が持っている
「………見た…よね?」
気まずそうに姫乃を見る明神
「はい…」
悪さをしたのを親に見つかって叱られたような顔になった姫乃
「どこまで見た…?」
「え…?色々と…です」
「俺が誰でも見られる状態にしていたのは悪いけど、ひめのんにはまだ、早すぎる。解るかいひめのん?」
「…でも、…でも!」
「見てしまったのはしょうがないけど悪いけど、もう誰にも見られない場所にしまうからね」
「あ、ひめのん後でデコピン100回ね」
「そんな…!明神さん…待って…!!」
片手で本を持つ明神に、姫乃が追いすがった瞬間…
ドスン!
「きゃん!!」
姫乃は音を立てて、しりもちをついた
「大丈夫か!?ひめのん!」
慌てて駆け寄る明神
「痛い…足が……はっ!」
(そうだ、さっき雑誌を踏んで滑って足をひねっちゃったんだ…!)
「どうしたんだ!?ひめのん!」
「明神さん…!」
姫乃は想いあまって、明神の胸の中に倒れ込んだ
「なななな!!ひめのん!!」
「ひく…っ。みょーじんざん、ごめんなさ…ひくっ」
姫乃は、エロ本を勝手読んでしまった罰の悪さと情けなさで涙が出てきてしまったのだ
「よしよし…」
明神はこの状況をよく理解出来ないが、泣いている女の子相手に叱れない。優しく姫乃の頭を撫でた
姫乃は、ゆっくりとしゃくり声をあげながら、なぜエロ本を読む羽目になった経緯を話した…
黙って明神は聞いた
(俺のためにしてくれたんだな…)
そう思うと、愛しさがわいてきた
ギュッ…
姫乃は明神に包まれた
「みょーじんざ…!?」
「なんか俺、情けねぇな。大切な女の子泣かすようなことばっかして」
「そんなごとないです…!」
(…大切な?明神さん、今のなんて…)
すぅっと深呼吸をしてから、明神は言った
「大切なんだよ!ひめのんが!」
「俺の周りは、霊ばっか。そんな中、ひめのん…お前に出会えた…守らなきゃいけない人(生命)なんだ…大事にしなきゃダメなんだ…」
なんだか明神は今にも泣きそうだった。あの日の悲しくて切ない夕焼け。訳の分からない異物(霊)。親がおらず親戚中をたらい回しにされる異質な自分。他人を拒絶する事でしか生きていけなかった。理解者(先代明神)に出会えたが、自分が非力で失った。
そんな中出会えた、良き理解者の異性ー桶川姫乃
「もう失いたくない…もう失いたくないないんだ……」
抱きしめる腕に力が入っていく。ちょっと苦しくなってきたが、姫乃は我慢した。
姫乃は、明神ー男の人の泣く姿を初めてみた
(なんて今にも消えてちゃいそうなの…?)
(でも…少し残念だな…私のこと命としか見てくれてないみたい…)
「ひめのん…」
明神が優しく、頬を撫でる
姫乃は明神の行動が判った。撫でてくれた頬は、アイツーアニマのコモンに殴られた頬であったからだ
「ごめんな…あんとき…」
今にも崩れ落ちてしまいそうな明神を姫乃が…
ちゅっ
明神の頬に熱いものを感じた
「明神さん…もう大丈夫だよ…」
いつもの笑顔で、ニコリと笑う姫乃
そう、頬を撫でてくれたお返しに姫乃は想いを込めて、明神の頬にキスをしたのだ
「ひめ…の…?」
明神は今、自分にされたことが判らずにいた
(たしか、今ひめのんが俺にキスしてきて…)
「おおおおおおおお!!!?」
明神は姫乃を抱きしめる腕を離し、混乱した
「あれ?明神さん、キスされたことないの?」
さっきまで泣いていた姫乃はすっかり元気になっていた
「あるわけねぇーだろぉぉぉこんなおっさんがよぁぁぁぁ(ry」
明神は茹で蛸になりながら、頭がショート寸前だった
「これでお互い様♪」
またまたニコリと舌をペロリと出して笑う姫乃
「お…桶川さん…自分今何したか判ってます…?」
なぜか敬語になる明神
「判ってるよ♪明神さん(頬)にキスしたのv」
「あはは!明神さん、顔真っ赤ー(笑)」
声をあげて笑う姫乃に、明神はムッとした。
(このやろ…!)
ちゅぷ…
明神は姫乃を抱き寄せ、唇にキスをした。長いような短いような時間だった
「ぷはっ!!みょみょみょみょ(ry」
今度は姫乃が茹で蛸になりながら、頭がショートしそうになっている
明神は意地悪く
「お返しのお返し♪」
と言い張った