「ねえほたる。もう恋人ごっこはやめない?」
みーん、みーん
僕が言葉を発してからどれくらいの時間が過ぎただろうか。いや、実際は一分も経ってはいない。緊張に満ちた時間はいつもこうだ。
「えっと・・・健ちゃん、冗談・・・だよね?」
「冗談じゃないよ。他に好きな人ができたんだ。ううん、君とはただの成り行きだったんだよ。本気じゃない」
・・・・・・・・・
緊張が伝わったのかさっきまで鳴いていたセミが沈黙を貫く。
「誰なの・・・?ほたるの知ってる人?」
「教える必要はないでしょ?」
・・・・・・・・・・・・
僕の言葉でまた会話が止まり、静寂の時間が始まる。
「やだ・・・」
「そう」
ほたるが僕の言葉を拒絶した。でもそんなこと僕には関係のないことだ。
・・・・・・
「健ちゃん・・・どうすれば・・・どうすればほたるのこと好きになってくれるの・・・?」
「無理だよ」
完全な否定。ほたるには僕の言葉とは思えないだろう。
「・・・ぅ・・・・・・やだよぉ・・・健ちゃん・・・ほたる、ヒック・・・健ちゃんがいいのに・・・」
「・・・そうなの。」
そして案の定ほたるは泣き始めた。でもそんなことで僕は意見を変えたりしない。
でも・・・
「ぇっぐ・・・どうしたら・・・いいの?ほたるわからないよ・・・健ちゃん・・・ほたる、健ちゃんのためなら、健ちゃんと一緒にいられるなら何だってできるよ・・・?」
「・・・・・・本当に?」
好みではないけどほたるは僕の目から見てもかわいい。そんな女の子に一度も手を出さずにみすみす手放すのももったいない。
「じゃあ、僕のペットにもなれる?」
「え・・・?」
僕の言葉でほたるの表情が凍った。
「なれないんだね。じゃあ、もう・・・・・・」
僕は続きあえて言わずにほたるから視線を外す。
「・・・なる。」
「・・・」
ほたるが顔を伏せ呟く。だけど僕はそれを無視する。
「健ちゃん・・・なるから・・・お願いだからほたるを見て・・・」
「・・・」
伏せていた顔を上げほたるが僕に懇願する。
「なるって何に?」
だから僕はそれに答えてほたるを冷たく睨む。
・・・・・・・・
しばしの沈黙。そして・・・
「健ちゃんのペットになるから、だからお願い・・・ほたるを捨てないで・・・他の子のところに行かないで・・・」
「・・・ほたるがそこまで言うなら別にいいよ」
みーん、みーん・・・・・・
せみの声が響く中ほたるが僕のペットになった。
そして夏が始まった・・・
・・・・・・
「よお、イナケン、それにたるたる」
「信君」
「信・・・君」
聞き馴染んだ声が聞こえ振り返ると僕と同じ朝凪荘の住人、稲穂信が立っている。
「ああ、ひさしぶりたるたる。あ、そういえばごめんなこの前のコンクール見にいけなくて」
「え、ぅううん、別にいいよ。社交辞令だと思ってたし・・・」
「いやいや、社交辞令なんてそんなこと」
僕を尻目に信がほたると談笑している。だから僕はポケットに入っている「もの」を弄った。
「!・・・ん・・・ぁっ」
その瞬間目の前で話していたほたるが小さく声を上げ、足を震わせる。
「たるたる?」
その光景に信君が驚いている。
「な、なんでもないよ信君・・・」
「ほんとに大丈夫?顔色よくないけど・・・」
ほたるが笑顔を作って信にそう告げる。まあ、潮時かな?
「ああ、ごめんね信君。ほたる今日体調悪いみたいなんだ」
「え、そうだったのか?気づかなかったよ、ごめんなたるたる。」
「ぅ・・・うん、ほたるこそごめんね・・・」
「じゃあ信君、僕たちはこのへんで・・・」
僕は信との話にキリをつけ足を震わせ、息を荒くしているほたると朝凪荘に入る。
「あ、そうだイナケン。大事な話があるから後でお前の部屋に行くから」
「わかりました」
朝凪荘の玄関のドアを閉めようとしたとき信が何か言ったから適当に反応しておく。
「ちゃんと我慢できたね」
朝凪荘の階段で僕はほたるに話しかながら、スカートを捲る。露になったほたるの下着には振動する小さな膨らみがある。朝に僕が取り付けたバイブだ。
ビィィィィィィン・・・
「はぁ・・・健ちゃんここじゃ・・・ダメだよぉ・・・ぁあ・・・」
「ほたる・・・今何か言った?」
顔を俯かせるほたるの股間のバイブを指で押し込んでやりながら、僕は質問する。
「・・・な、ぁんでもないよ・・・んっ・・・」
「そう・・・後でご褒美をあげようか」
僕はほたるから手を離し、そのまま部屋に向かう。そして僕のペットはその後を追ってくる・・・