雨が降り注ぐ。
急速に体温が奪われていくのが知覚出来る程だ。
智也の眼から光が消え失せていく。
(俺・・やっぱりお前じゃないと駄目だよ・・)
何度も何度も思ってきたことが、今更脳裏に浮かんでくる。
体が自分のものだという感覚さえ失われていた。
この先に行き着く場所に、きっと彼女はいるのだ。
不思議なまでの確信に、智也は死さえ恐れてはいなかった。
いや、寧ろ死を望んでいた。
会えるか否かは別にして、これで彼は傷と過去から逃げられると思っていた。
力が入らなくなり、路上に体が崩れ落ちる。
もう1m先も見えない。
(あや・・かぁ・・・)
果たして、彼が望んだ通りなのか。
車のヘッドライトが彼を照らし出して、そして・・・・・・・。