優しいピアノの音色が聞こえる。  
俺は目を開けてピアノの方を見た。その視線の先には、リズミカルに鍵盤を叩く髪の長い少女がいた。曲が終わり、少女はこちらに振り返った。  
「おはよ、一蹴」  
「おはよう、いのり」  
 
――〈二人の世界〉――  
 
あれは昨日、俺といのりが公園で昼飯を食べているときのことだった  
「二泊三日のグアム旅行!?」  
俺は食べかけのあんパンを落としてしまった。そんなことはどうでもいい  
「なんで突然そんなことを…」  
俺は落としたあんパンを拾って尋ねた  
「実はこの間、商店街のくじ引きで当たったらしいの」  
「凄い運だな…で、お前が行くのか?」  
「ううん。私は学校があるし、ちょうどその日は両親の結婚記念日だから…」  
「そっか」  
しかし、一人娘を二日間もほったらかすとは。いのりは大学生とはいえ、気が弱いし心配じゃないのか?  
「それでね」  
いのりが口を開いた  
「相談があるんだけど…」  
「なに?」  
「なんていうか…その…」  
いのりが口をつぐむ。いのりの顔が赤くなってきた  
「えと…その…一蹴さえ良ければなんだけど…その…」  
もじもじしながらいのりが言った  
「その二日間の間…家に泊まってくれない…かな…?」  
「えええっ!?」  
俺は拾ったあんパンをまたしても落としてしまった  
「な、なんで…」  
「だ、だって、私一人じゃ不安だし、お母さん達も『一蹴なら安心してまかせられる』って!」  
俺たちが付き合っているのは、いのり両親ご公認だ。だがまさか、こんなことまでゆるされるとは…  
「で、でも…」  
いのりの家に行くのは初めてじゃない。今までに、数えきれないくらい行ったことはある。だが、宿泊は未だに経験がない。  
「お願い!一人じゃ不安なの!」  
これだけ頼んでるんだ。俺さえ自分を抑えれば、何も起こらないし問題ない  
「分かった。今度、お前の家に泊まるよ」「本当に?ありがとう!」  
「で、いつなんだ?」  
「あ、あした…」  
おいおい…  
 
 
 
そして今にいたる。つまり、今日は一日中いのりと二人きりということだ  
そう思うたびに体がこわばった  
「あ、もうこんな時間…」  
時刻はすでに七時をまわっていた  
「待っててね。急いで夕飯の支度するから」  
「なんか手伝おうか?」  
「いいの。一蹴はくつろいでて」  
「いや、でも…」  
「いいからいいから」  
俺はすることもないらしいので、とりあえずテレビをつけた  
                                    
どのチャンネルもつまらない番組ばかりだ。俺はなんとなくいのりを見た。料理してるいのりは、なんというか、家庭的で綺麗だ。いや、べつに普段から綺麗だけど、普段よりなん割りか増してる。  
 
しばらくすると、ばんめしができた。  
二人揃って食卓につく  
「おまたせ一蹴。今日はロールキャベツ入りクリームシチューだよ」  
「おおっ!すげーうまそう!いただきます」  
俺はシチューを口に運んだ  
「うまい!うまいよいのり!」  
「そ、そうかな…?えへへ…」  
いのりは照れて、顔を赤くした  
「な、なんか…新婚さん…みたい…だね…」  
いのりが言った  
「え?あ、ああ…うん…」  
俺は恥ずかしくなって下を向いた  
「一蹴、あ〜んして」  
「え?」  
気がつくと、俺の正面にいたはずのいのりが隣にいた  
「あ〜ん」  
「お、おい恥ずかしいって」  
「誰も見てないよ。あ〜ん」  
「あ、あ〜ん」  
俺ははずかしながらも、いのりにロールキャベツを食べさせられた  
「おいしい?」  
「お、おいしいよ」  
「よかった。おかわりあるから、じゃんじゃんたべてね」  
「お、おう」  
結局俺はシチューを二回おかわりした  
 
 
「ふ〜」  
俺は風呂から上がってテレビをつけた。  
「じゃあ私入るね」  
いのりが風呂場に向かった  
「しかし…なんか初めて来たみたいだな…」  
俺が緊張しているというのもある。だが、それ以上に今日のいのりは積極的だ。  
「何かあったのかな…?」  
そんなことを考えていると、いのりが戻ってきた。  
「何してるの?」  
「あ、ああ。ちょっと考えごとだよ」  
「ふ〜ん」  
それから俺たちは最近あったことを話した。主にいのりの大学の話がほとんどだったが  
「あ、もうこんな時間…」  
「ホントだ。そろそろ寝るか」  
「う、うん」  
「俺はお客さん用の部屋に寝ればいいんだよな?」  
「えと…うん」  
会話の歯切れが悪い。多分疲れているんだろう。  
「じゃあおやすみ」  
「う、うん。おやすみなさい」  
俺たちはそれぞれの部屋に入った  
俺はやることもないので、すぐに横になった  
 
 
眠れない…  
時刻は十二時。けっこうたったかと思っていたが、一時間もたってない  
コンコン  
ドアをノックする音がした  
「一蹴、まだ起きてる?」  
「起きてるよ」  
「良かった。私、眠れなくて…一蹴」  
「どうした?」  
「その…一緒に…寝ていい?」  
俺は驚いたが断らなかった  
「うん…いいよ」  
 
いのりは俺の隣に潜り込んだ  
俺たちは背中あわせで横になっていた  
…緊張する。  
俺たちは二年ちかく付き合っているが、実は一度も交わったことがない。キスはさすがにしたことがある。だがそこから先に、踏み出せないでいる。  
「一蹴」  
いのりが呼んだ  
「な、なに?」  
「あ、あのね。大学の友達の話なんだけど…」  
「どうした?」  
「そ、その…彼氏がいる友達はね。みんなしたことがあるんだって。その…あれを…」  
「うん」  
そうか…  
「それでね、私たちはその…まだでしょ?それで…その…」  
だから今日のいのりは…  
「私たちは…いつするのかな〜って…」  
いのりは乗り遅れてる気がしていたんだ。周りの人達に比べて。だからいのりは不安になって、急に積極的になって…なにやってんだよ俺は…  
「いのり…」  
「な、なに?一蹴」  
俺は言った  
「その…俺たちは俺たちのペースじゃ駄目かな?」  
「え?」  
「不安にさせてごめん。ひけめ感じさせてごめん。だけど、俺は俺たちのペースでやっていきたいんだ。それじゃ駄目かな?」  
「うん…いいよ…分かったよ…一蹴。」  
いのりは寂しそうに言った  
「だからいのり…」  
俺はいのりを抱き寄せてキスをした  
「んっ…いっ…しゅう…?」  
俺たちは俺たちのペースでいく。だから…  
「俺は今日、いのりを抱く。俺たちのペースだから。駄目…かな…?」  
いのりの目から涙がこぼれた  
「ううん…駄目じゃない…駄目じゃないよ…抱いて一蹴…私を…抱いて…」  
俺たちは抱き締めあった…  
 
俺たちはベッドの淵に腰かけた。いのりは寝間着も下着も脱いで、その綺麗な裸体を晒けだした。当然俺も裸だ。  
俺たちはその状態で、また抱き締めあった。  
「いのり…」  
「一蹴…」  
いのりが潤んだ瞳で俺を見つめる。俺たちはキスをした。深くて甘い大人のキスを  
「んんっ…ん…っ…んくっ…ふぅ…んんっ…」  
俺が舌を絡ませると、いのりは戸惑いながらもそれに応えてくれた  
俺はいのりの口内を、舌で何度も遊んだ  
「はっ…ふぅっ…ん…はぁっ」  
長いキスが終わると、いのりの顔がほてっていた。俺はいのりの髪を撫でた  
「な、なんか…恥ずかしいよ…」  
「なんで?髪くらい、いつも撫でてるし」  
「そ、そうだけど…」  
いのりの秘部に手を伸ばすと、そこは驚くほど濡れていた。だが、もう少し濡らしたほうが良いだろう  
「じゃあいのり、足広げて」  
「う、うん…」  
いのりが恥じらいつつも、仰向けになって足を広げた。俺はいのりの綺麗な秘部に顔を近づけ、舌を伸ばした  
「きゃっ…は…あっああっ…ひゃあうっ」  
俺はグチュグチュといやらしい音をたてて、いのりの秘部を舐めつづけた。いのりはその行為に目が釘づけになっていた  
「いっ…いっしゅう…き、汚いよ…そんな…とこ…ろ…はぁっ」  
「洗ってないの?」  
「そ…そうじゃ…ないけ…どっ…はあうっ」  
いのりはときどき体を震わせて、その独特の快感を感じていたようだった。多分、いのりはここが敏感なのだろう。体を震わせて、いまにもイきそうだった  
「いのりに汚いところなんてないよ」  
俺は舌を離した  
いのりはイきかけたようだったが、俺はそれをじらした  
「今度はいのりの番」  
「ええっ…わ、わたしが…?」  
「そうだよ」  
俺は黙って立ち上がった。いのりはしばらくためらっていたが、少し時間がたつと、俺のいきりたったものを舐め始めた  
「はあ…は…あん…ん…んっ…」  
最初はぎこちなく舐めるだけだったが、そのうちにいのりは口のなかに入れたり、握ったりし始めた  
「うっ…い…いのり…」  
俺はいのりの口頭部を押し付けた  
「んっ…はぁっ…ふぅっ…んっ…んっ…」  
俺はいのりの口に出しそうになったが、なんとか耐えた  
今度はいのりの胸を攻めた。  
 
まず、首すじをあごで撫でながら、胸を下から優しく揉んで、その大きさを主張したような胸の、弾力を堪能した  
「あっ…はあ…あ…ん…はあはあ…あぁんっ」  
次に乳輪を舐めると、いのりはかなり感じていたようだった。いのりはここも敏感なようだ  
「いのり…そろそろ」  
「う、うん…」  
いのりは仰向けになった。そして俺が上になる。俺はいのりの足を抱えた。俺たちは見つめ合った。そして…  
「いくよ、いのり」  
「うん…」  
俺はこれ以上なく大きくなった自身を、ゆっくりといのりの中にさし込んでいった  
「あ…っ…ん…くう…はあん!」  
いのりはベッドのシーツを握り締めた  
「あ…あっ……いっしゅ…う…はぁ…はぁっ」  
俺は根本まで入りきったことで、より激しく腰を動かし始めた  
「ああっはあん…あっあっ…ふぅ…んはぁっ!」  
部屋中にいやらしい音が響く。  
「いっ…いっしゅうの…わたしの中で…どんどん…はぁっ…おおきく…なって…るよっ…はあああっ!」  
「い、いのり…くっ…」  
「は…あっあうんっ…お、おくに…あた…って…る…あっあっ…ああっ…はあん!」  
いのりは自ら腰を動かし始め、俺の背中に手をまわして、抱きつく形になった  
「へんな…かん…じ…はぁ…きもち…いい…きもちいいよぉ…いっしゅうぅっ…はぁっ…」  
「いのり…もうだめだ…なかで…だすっ…っくう!」  
「い…いいよ…なかで…だして…はあっ…はああっ!」  
「い…いのりっ!」  
「はああっ…いっしゅう…いっしゅう…はっはあっ…はああぁ!」  
「あん…あ…っはあっ…はあん…やっ…はあ…はあ…はあ…やあっ…だめぇっ…はあっ…はぁっ…はあああぁぁぁあん!」  
ドクン!!!  
いのりが甘く高い声をあげると同時に、俺の自身は大量の精液を吐き出した。  
「ああ…はあ…いっしゅうの…はあ…あついのが…なか…に…はあ…はあ…」  
「いのり…」  
「一蹴…」  
俺たちは、また大人のキスを交わした。  
俺が自身を引き出すと、いのりの中から大量の液が溢れ出た  
「ベッド…汚しちゃったな」  
「いいよ。明日お洗濯するから」  
「ごめんな…」  
「いいよそんなの」  
「そうじゃなくてさ…いろいろ悩ませて」  
「気にしないで」  
「だけどさ…」  
「いいから」  
いのりが言いきった  
「わたしは…一蹴と、こうして一つになれたから…それだけで充分だから…」  
「いのり…」  
俺たちはまたキスをした  
そしてそのまま、深い眠りについた…  
 
 
 
 
〈終わり〉  
 

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