「はぁ・・・」
「どうしたのよ小夜美?もう今日だけで八回目よ?溜息・・・」
浮かない表情の小夜美を、親友の静流は少し睨む。
いつもは無駄なぐらい元気なのに、落ち込む時はとことんまでに落ち込む彼女は、多分どん底クラスに沈んでいるのだろう。
「もしかして、小夜美が言ってた男の子?確か智也君って言ってたよね」「・・・・」
智也の名が出た途端、小夜美の双眼から涙がボロボロとこぼれ始める。
「もしかしたらフられたの?その子に?」
「・・・うぅん。告白なんて出来なかったよ」
「それってどういうこと?あんた告白するって言ってたのに・・・」
これは事実だ。
つい先日、小夜美は告白すると意気込んでいた。その翌日に、この落ち込みようなのだ。
「私・・・智也君に、絶対嫌われちゃったよぅ」「あー・・・もしかして弟さんのことで?」
「うん・・・・」
昨日、小夜美は智也に『弟みたい』だと言った。その時智也は泣きそうな顔になり、次に寂しげな表情を浮かべて言った。『俺は、弟なんかじゃない・・・サヨナラ・・』と。