呼吸をするたびに快楽に蝕まれる身体にややもするとかき乱されそうになる  
意識を堪えつつ鷹乃は残された僅かな体力と精神力をフル稼働させて、最後の  
チャンスに張るべき目を考えた。  
 鷹乃が女に勝てる見込みはなかった。体力を消耗し尽くした彼女に女を打ち  
倒すだけの力など最早存在しなかった。何らかの奇跡によって女を倒せたと  
しても鷹乃の体力はそれで全て消費されるだろうし、そうなれば男どもにその身を  
蹂躙されるのは予想する必要のない未来図であった。  
 鷹乃に唯一残されたチャンスはこの場より逃亡することである。身体に受けた  
ダメージは大きい、しかし男どもの毒牙にかかることに比べたらまだ耐えることは  
できる。鷹乃はそのための戦術を練った。  
 ここに来るのにどのように通ってきたか、廃工場の外の道はどうか、どこまで  
逃げれば安全なのか、鷹乃は来るときに見た情景を思い出していた。  
 少女の乗っていた自転車、男どもの乗っていたバイク、自転車やバイクにキーが  
付いていたかまでは思い出せなかったが鷹乃はこれで逃げるのは避けようと  
考えた。クリトリスに付いた筒と肛門に入った留具は運転時に鷹乃に衝撃を与える  
ことは十分に予測できることであり、それがどのような結果になるかもまた予測  
できることである。それに後から来た連中が何でここにきたのかは分からなかった  
が、ここまで歩いてきたとも考えにくかったし、車やバイクで来たら追いつかれる  
のは間違いなかった。  
 
 鷹乃は体力の続く限り、走って逃げることを考えた。幸いにも工場へ続く道路の  
横には雑木林があり、そこに逃げ込めば車やバイクに入ることはできない。そして  
雑木林の中を通れば町の方に短い距離でいける。町まで行かなくともある程度  
近づけば携帯を使えるだろう。そこで警察を呼べば助かる。鷹乃は少女の携帯が  
まだポケットに入っていることを確認した。壊れていなければ・・・それで助かる。  
 男どもが林の中にまで追いかけてくればどうなる?  
 消耗しつくしているとはいえ普段から身体を鍛えている鷹乃は彼女を虎視眈々と  
狙っている男どもに持久力で負けるとは思っていなかった。ただ一つ、問題なのは  
女の存在である。この女を振り切ることをできるかどうか・・・できなければ・・・・・・  
 鷹乃は襲いくる不安を克服するために自分の未来をイメージした。  
 この場を切り抜けた寿々奈鷹乃は傷が癒えるのを待って練習を再開、そして  
3年生の引退試合となる秋の大会に出場し、見事な活躍を修めて浜学水泳部を  
優勝に導く。勝利を決めた鷹乃に抱きつく香菜、鷹乃を慕い必死になってつらい  
練習を耐えた彼女は来年の水泳部の主力となるだろう。観客席には詩音がいる。  
母校の敗北と親友の勝利、喜んでいいのか悲しむべきなのか複雑な顔をしている。  
浜学の応援席にはあの少女が。鷹乃が助けた少女が鷹乃を応援していた。  
ライバル登場と香菜は危機感を持っているようだ。そして鷹乃は観客の拍手の  
中、表彰台に上る。これが寿々奈鷹乃の歩むべき未来である。  
 鷹乃はその未来に向けて、眼前の敵である女から自らの身を救わなければ  
ならない。鷹乃は女を睨みつけた。  
 女は男を元の位置に戻らせ振り返った時に精神的に立ち直った鷹乃の姿を  
見た、襲いくる快感に耐えながらもまだ屈していないその姿に目を細めて悦んだ。  
 
「(なんて壊し甲斐のある子かしら)」  
 女は鷹乃の思考が手に取るように分かった。隙をついて逃げる、それしかない  
だろう。女の方もまた思考していた。鷹乃と追いかけっこをするのも楽しいけれど、  
万が一にも逃げられる可能性がある。何しろ水泳選手だけに持久力ならばここに  
いる誰よりも上であろう。体力の消耗の度合いは激しいだろうが、それは確証には  
なるまい。雑木林に逃げられると少々厄介かな。女は鷹乃をどう料理しようか  
思案していた。  
 鷹乃と女の間に緊張した空気が流れる。このまま持久戦に移るのか、立って  
呼吸するだけでも消耗していく鷹乃にとって明らかに不利であった。しかし女は  
隙を見せないために動こうにも動くことができなかった。  
「決めた!」  
 女はそう叫ぶと、その場で跳躍しリズムを取り出した。女は何かをしようとして  
いる。鷹乃は僅かな動きも見逃すまいと女の動作に集中した。  
トントントントントン  
 一定のリズムを取り跳躍し続ける女、いつ動きに変化が起こるのか、鷹乃の  
意識はそれに注がれていた。だが変化は予期せぬ形で現れた。  
「鷹乃さん!」  
 鷹乃を呼ぶ声がした。その声に聞き覚えがあった。それは鷹乃が助けようとした  
少女の声であった。  
「(なぜ、なぜ、あの子が・・・?)」  
「(捕まったの?逃げ切れなかったの?)」  
「(それとも助けに来てくれたの?警察を呼んできてくれたの?)」  
 その突然の声は女に意識を集中していた鷹乃を混乱させた。だが、すぐに  
自分の置かれた状況を思い出し、女に意識を戻す。女は相変わらずリズムを  
取って跳躍したままであった。鷹乃の方に隙ができてしまったのだが、女は何も  
してきてはいなかった。鷹乃は安堵した、あぶなかったと・・・だが、ここで鷹乃は  
一つ大きなことに気づいた。  
「(なんで・・・あの子は・・・私の名前を知っているの・・・?)」  
 次の瞬間、鷹乃は左足首に強い衝撃を受けた。  
 
「うわっ!・・・くふっ!!」  
 足首が折れてしまいそうな衝撃を受けた鷹乃はバランスを崩した。倒れるのを  
防ぐために足を踏ん張ろうとするが肛門の留具の刺激により阻止された鷹乃は  
手を地面に着いて傷めることを防ぐために身体ごと倒れて受身を取った。  
「ひぐぅっ!」  
 地面に転倒した衝撃は痛みと快感を伴った。それでも鷹乃はこの絶好の  
機会に襲撃するであろう女への警戒を続けた。だが女は場所を動いては  
いなかった、それどころかリズミカルな跳躍を止めていた。  
 鷹乃は女が来ないことをいぶかしく思いながら立ち上がろうとした。  
ジャラッ  
 何かの音が鷹乃の足の方から聞こえた。立ち上がる前の四つん這いの  
姿勢になったときに初めて鷹乃は自分の左足首に何が起こったのか知った。  
「鎖・・・?」  
 鷹乃の左足首には大きな鉄製の枷が嵌められていた。それは鷹乃の  
鍛え上げた足首よりも太かったが、さりとて足をそこから抜くことは不可能な  
ことは一目瞭然であった。そして枷には鎖が繋げられており、その鎖は  
工場の壁のほうに伸び何かに繋がっているようであった。混乱した鷹乃は  
自分の足首に繋がっているものが何か理解することはできなかった。  
「いっちゃえっ!」  
 女は叫ぶ。工場内にモーターの音が響いた。  
「あああああっ!!!」  
 鎖が引っ張られ、鷹乃の足首もまたそれに引っ張られた。鷹乃は工場の  
床を壁の方向に引っ張られていった。だが、それもすぐに終わった。鷹乃の  
身体を引っ張る方向が横から縦に変わったのである。  
「あーーーーー!!!い、いやーーーーー!!!」  
 工場内に設置されていたクレーンが唸り上げて動いた。地面に横たわって  
いた鎖のたるみがなくなると、その動きは上下方向に変わる。鷹乃の足首は  
その鎖の動きに合わせて上に引き上げられる。悲鳴を上げながら鷹乃の  
身体は上に引っ張られる。  
 
「ふぅあっ!・・・ふぅあああっ!!」  
 モーターの音が鳴り止んだ頃、鷹乃は左足首に嵌められた足枷によって  
クレーンから逆さに吊るされていた。鷹乃のポニーテールが箒のように工場の  
床を掃く。逆さづりにされた鷹乃の身体は振り子のようにユラユラと動いていた。  
 女が腕を上げて合図する。それに従い、男どもはニタニタ笑いながら  
鷹乃の方に近づいていった。  
「あっ・・・あっ・・・・・・」  
 鷹乃の揺れがほぼ収まる頃には女と男どもは鷹乃を円状に囲んでいた。  
その状況に鷹乃は自分が完全に囚われたことを悟った。この絶望的状況で  
鷹乃ができたことは露にされた豊かな胸と濡れて透けたパンツの前を手で  
隠すことだけであった。  
「!」  
 鷹乃の目は自分を囲んでいる集団の中にいる一人に注がれた。その一人は  
鷹乃が助けようとした少女であり、いつの間にか女の傍に寄り添うように立っていた。  
「もう使えますよ!」  
 クレーンの操作盤の方から声がした。女はポケットから携帯を取り出すと  
何処かに電話を掛けはじめた。すぐに鷹乃のポケットの携帯から着信音が鳴った。  
「やっぱり持ってたんだ〜」  
 少女は逆さづりにされた鷹乃に近づくとスカートのポケットに手を入れて携帯を  
取り出した。そして少女はそれに出た。  
「はいっ、故障していません!大丈夫です、ご主人様」  
 目の前で展開している茶番劇に目を白黒させている鷹乃に女は微笑む。  
 
「そういう訳なの。よく分かって?寿々奈鷹乃ちゃん」  
「えっ・・・」  
「なかなか面白い余興だったわよ、鷹乃ちゃん」  
「えっ・・・えっ・・・・・・」  
「助けていただきましてありがとうございます。寿々奈センパイ」  
「この子に代わって、私からたっぷりお礼するわね」  
「えっ・・・・・・・・・」  
「ご主人様の名人芸、是非とも味わってください」  
「これからが本番よ、存分に楽しんでいってね」  
 女と少女が邪な微笑を満面に浮かべ、鷹乃はそれを呆然と見つめた。やがて  
全てを悟った鷹乃が絶望の悲鳴を挙げ、周りの男どもはそんな鷹乃の姿を  
嘲笑った。  
 工場内に響く鷹乃の悲鳴と男どもの嘲笑、しかしその声はどこにも届くことは  
ない。  
 宴がまもなく始まる。鷹乃はそこで女にされ、そして女にされた少女たちが  
辿った破滅への道を鷹乃もまた辿ることになる。  
 
「そおぅれっ!」  
「くぅぁぁぁっ!!」  
「はははっ、パスパス!」  
「来た来た!いくぞ〜!!」  
 逆さ吊りにされた鷹乃は男どもによってブランコのように揺れ動かされた。  
倉庫の中をまるで振り子のように動かされた鷹乃は三半規管を不定に  
揺らされた平衡感覚の歪みと自分の体重に揺れ動く衝撃が集中してかかる  
足首の激痛に襲われていた。  
 悲鳴を上げる鷹乃を男どもは止めるどころか尚一層悦び、ブランコを押す  
力を増していった。  
「ご主人様、お湯が沸きました」  
 男どもに嬲られる鷹乃を楽しげに見ていた女は準備が整ったことを知ると  
次の手順を指示した。  
「そうね、ビニールシートは準備できているかしら?」  
「はい、いつでも敷けます」  
「じゃあ、お湯はちょっとゆる目にしておいてくれる」  
「はい、かしこまりました」  
 少女は女にムチを手渡した。  
 
「鷹乃さまへの施しが終わり次第、すぐに敷きますので」  
「そう、お願いね」  
 そして女はムチを大きく鳴らした。男どもはその音に驚いて鷹乃を揺らす  
手を止めて女のほうに注目した。揺らす動きがなくなったことによって鷹乃を  
襲う振り子の揺れは次第に収まっていった。散々揺らされて目を回して  
ぐったりした状態に陥った鷹乃には腕やパンツを手で隠す力すら失っていた。  
「はいはい。みんな手を止めて〜!」  
 女が言うまでもなく、男どもは既に手を止めていた。だが次に何をすれば  
いいのかは誰も分かっていなかった。  
「これから、鷹乃ちゃんにはムチの味を覚えてもらいます」  
 男どもは一瞬驚いたが、すぐに期待に満ちた目で女は見て、ついで犠牲に  
なる鷹乃の方を美味しそうな目で眺めた。一方、打ちのめされ恐怖に怯えた  
鷹乃の方は蛇に睨まれた蛙のように身動き一つ取れなかった。  
「準備はいいかしら、鷹乃ちゃん?」  
 女はムチを一回大きく鳴らした。その音を聞いたとき、鷹乃のパンツからは  
微かな湯気が立ち上った。  
 
 怯えた鷹乃は身体を丸めて身を護ろうとした。女にとって、こんな防御など  
すぐに破ることはできるが敢えて無理にこじ開けることを選択した。鷹乃の  
怯え、ムチに苦しみ悶える表情を見たいがために。  
「オーエス!オーエス!」  
「ふぅあっ!・・・ぬぬぬ・・・ひぅっ!!」  
 女の指示で男たちは鷹乃の手首にそれぞれ手錠をかけ、それに紐を  
結わえて手を開く方向に引っ張った。そこいらの軟弱な男よりも力のある  
鷹乃だが、それぞれの腕に咥えられた三人の男の力に打ち勝つことなど  
できようはずなどなかった。ましてや今の鷹乃は逆さ吊りの状態にあり、  
加えて身体中に回った薬の効果と肛門に入れられた留具が抵抗する力の  
大部分を消失させていた。  
「や・・・やだ・・・やめて・・・・・・」  
「もうちょっとだ!オーエス!オーエス!」  
 抵抗するために組んでいた腕が徐々に解けていく。86の豊満なバストが  
今、男どもの手によって晒しものにされようとしていた。  
「オーエス!オーエス!」  
「や・・・くはぅあぁあ!!」  
 鷹乃の両手は完全に開かれ、その形のよい乳房が露にされた。  
 
「いいよ、いいよ!鷹乃ちゃん!!」  
「どうだ!思い知ったか!!」  
「後で十分可愛がってあげるからね!!」  
 男たちは悦び騒ぎ立てる。ここにいる男ども全員浜咲の周辺にて女の子を  
無理矢理ナンパしようとして、鷹乃に痛めつけられたことのあるものばかりで  
あった。だから自分たちをぶちのめした鷹乃が辱めを受けることに対して  
溜飲を下げていたのだ。  
「引っ張ってなさいよ!手を離したら・・・殺すからね」  
「はっ・・・はい」  
 女はまるで自分たちの手柄であるかのように喜ぶ男どもを侮蔑した。  
そして目の前の獲物を誰が捕まえたのかを思い知らせ、その獲物に対して  
自分に正当な権利が存在することを判らせるべく釘をさした。  
「鷹乃ちゃん、行くわよ。レッツ、ショータイム!!」  
 逆さ吊りにされ、身動きの取れない鷹乃にムチが襲い掛かった。ムチが  
乳房に当たる、激しい痛みと共に今まで感じたことのない快感に鷹乃は  
襲われた。  
「いぁっ!」  
 痛みと嬌声とも取れぬ声を上げる鷹乃。そして矢継ぎ早に襲い掛かる  
ムチ、前の声が出し終わる前に襲い掛かってくるムチに鷹乃の意識は  
次第に混濁していった。  
 
「それっ!」  
「うぁあああああ!!」  
 女の振るうムチは巧みに痛みと同時に快感を与えていた。しかし、鷹乃が  
快感の奈落に落ちそうになると強烈な痛みを与えたり、逆にわざと力を  
緩めたりして意識と理性を保たせた。これは鷹乃の身体に痛みと同期した  
快楽を、精神に癒しがたい亀裂と屈辱を刻み込むための所作である。  
「いっ、いたっ・・・ひぃっ・・・ひゃうっ!ひゃうっ!!」  
 鷹乃は女がムチを振るう度に痛みに対する悲鳴と同時に押し寄せる快感に  
悶える声をあげていた。  
「あははははっ!ムチで悶えてるぜ、この女は!!」  
「とんだ変態だなっ、鷹乃ちゃんはっ!」  
「こらっ、鷹乃!こんなエロい子に育てた覚えはないわよ!」  
「「変態鷹乃!哭け哭け鷹乃!変態鷹乃!哭け哭け鷹乃!!」  
 男どもの嘲笑する声が鷹乃に深い屈辱を与えた、自分を貶める笑い声よりも  
自分がその内容どおりに悶え感じていることに。  
 女の振るうムチの痕が鷹乃の身体に刻まれていく。その端正な顔こそムチの  
猛威を免れていたが、細く引き締まった二の腕、豊満な乳房、キュッと締まった  
腹、男の目を引きつける太もも・・・いずこの場所にも女のムチが襲い掛かった。  
 女の攻撃にそれだけではなかった。今や申し訳程度にしか存在しない  
ボロキレのような鷹乃の衣服を完全なる破壊が目論まれていた。片袖だけに  
なった制服、腰に巻きついただけのスカート、大きな穴が数箇所開いた  
ニーソックス、健気に残されたスニーカー、これら全てが数センチ単位の布の  
切れ端に変えられていった。  
 
「ふぅあっ・・・ふはっ・・・はっ・・・」  
女の攻撃がやんだ時には、鷹乃の身体の前半分にはムチの痕が無数に刻まれ、  
その全て痛みに喚起される快感に目覚め開発されていた。そして、クリトリスと  
肛門の留具でへばりついているパンツの残骸以外に彼女の身を纏うものは  
存在しなかった。  
「お、お願い・・・も、もう止めて・・・・・・」  
 鷹乃は涙を流して哀願した。だが女はそんな鷹乃に冷酷な言葉を返した。  
「じゃ、今度は背中ね」  
「えっ!?ゆ、許して!許してください!!」  
 しかし男どもは鷹乃の叫びなど無視して女の命令に従った。男どもは  
時計回りに回転して、鷹乃の背中を女に向けた。  
「謝ります!謝りますから・・・もう許して!!」  
「聞こえな〜い」  
「な、なんでもしますから・・・もう止めて!もう許して!!」  
「はいはいはい分かったから、少し黙っててね」  
「これ以上・・・これ以上されたら・・・わ、私は・・・」  
 泣き叫ぶ鷹乃を無視して女は再び攻撃を開始した。  
 
「あっ!いっ、いた・・・ふぅあっ!!」  
 先ほど施されたムチの攻撃が今度は鷹乃の背中と尻に対して行われた。  
鷹乃の背中に次々と刻まれるムチの痕、そのたびに鷹乃は叫び哭いた。  
「ひゃんっ!ひゃんっ・・・ひゃうっ!ひゃうっ!!」  
 鷹乃の敗北は誰の目にも明らかであった。しかし女は鷹乃のこころに  
修復不能なまでの痕を刻み込むために屈辱を与えていた。まだ鷹乃の  
理性は完全には壊れてはいない、しかし変質的な行為に快楽を覚えつつ  
ある事実は彼女をして自分の身体に不信感を植え付けるのに十分であった。  
鷹乃のこころは薄皮を剥ぐように傷を深めていた。  
「(痛い!痛い!痛い!・・・感じるな!感じないで!!)」  
「(嘲笑らわれている・・・嘲笑らわれてる・・・)」  
「(止めて!誰か止めて!なんで・・・?なんでなの・・・!?)」  
 痛みと快楽と戸惑いの入り混じった表情を浮かべつつ鷹乃はムチが当たる  
たびに哭き叫んだ。  
「(いいわ!いいわ、この子!!なんて・・・なんて変態なの!!)」  
 鷹乃の痴態に女は悦び、ムチを振るう手に力がこもる。  
 ムチの攻撃がやんだ頃には鷹乃の身体には無数の痕が残され、身に  
つけていたものはほとんど破壊された。現時点で鷹乃の身体に残されて  
いるのは肛門の留具と乳首とクリトリスをきつく摘まみ上げている筒、  
そしてそれに固定されて鷹乃の小便と液に濡れ汚れて大事なところを  
健気に隠しているハンカチ大サイズのパンツのなれの果て、そして彼女の  
トレードマークともいえるポニーテールを止めているリボンだけであった。  
「も・・・もう、満足したでしょ・・・」  
「冗談でしょ?まだまだこれからよ!」  
 嬲られ、痛めつけられ、苦痛と快楽の合わさった痴態を晒され、嘲笑  
された鷹乃はこれ以上の恥辱を与えられることを恐れた。だが男どもは  
鷹乃をレイプしたいと考えており、女は更に鷹乃を堕としたいと考えていた。  
 
「わたしが・・・わたしが何をしたのよ!なんでこんな目に合わないと  
いけないのよ!お願い!お願いだから、もうやめて!!ここまでされないと  
いけないことなんて・・・いけないなんて・・・」  
 打ちのめされた鷹乃が泣き崩れ始めた、がそれもすぐにやんだ。  
「ひぎぃぃぃ!!」  
 女は鷹乃の乳首を挟んでいる筒を引っ張った。鷹乃の乳房は引っ張られ、  
彼女に叫び声を上げさせた。  
 女は鷹乃の乳首のついている筒を外した。挟まれていた乳首には筒の  
歯の跡が残された。  
「ひゃうっ!!」  
 女は続いてクリトリスの筒と肛門の留具を外した。鷹乃のそれぞれの  
部分はこれらの道具によって完成させられていた。  
「まぁ、ちょっと虐めすぎたかしら。お薬をつけてあげるから」  
 女の言葉にはいたわりのかけらもなかった。こう言っている最中に女は  
少女にゴム手袋をつけてもらっていた。少女は恭しくつける手袋は医療用の  
白いものである。その怪しげな行動は鷹乃に更なる恐怖と不安を与える  
のに十分であった。  
「それよりも見なさいよ、鷹乃ちゃん」  
 女は残骸と化した鷹乃のパンツを手にした。女は鷹乃の小便と液に濡れ  
汚れ、ハンカチサイズにまで引き裂かれたそれを鷹乃の顔に近づけた。  
女が鷹乃の顔に近づけた部分は留具で鷹乃の肛門にねじ込まれた箇所で  
あり、そこは鷹乃の内部のもので茶色く変色していた。  
「うっ!」  
「ちゃんと毎日うんちしてる?宿便が残ってるわよ」  
 鷹乃はその強烈な刺激臭に顔を背け、咽び泣いた。鷹乃は泣くことは  
相手を喜ばせ、更なる嗜虐行為に及ぼさせるだけであることを理解していた。  
 女は鷹乃のパンツを少女が持つアタッシュケースの中に入れた。  
「そっちもおいおい治してあげるから、取り合えず今はね」  
 女がクイッと顎を動かした方向にはバケツを持った別の少女がいた。  
少女の出で立ちはゴム手袋に軍事用のガスマスクという異様なもので  
あった。  
 
「この薬は効果あるんだけどね、ちょっとした劇薬なの」  
「・・・」  
「劇薬といっても、塩酸とか硫酸みたいなもんじゃないから安心して」  
「・・・・・・」  
「ただ、ちょっとした副作用があるの。肌につくと大変なことになるし、  
揮発性だから吸い込んでも問題があるの」  
「・・・・・・・・・」  
「でも効果は満点よ、保証するから」  
「!!!」  
 言い終わるころに少女が女の顔にガスマスクをつけ始めた。鷹乃は女の  
言葉に動転した。そんなものを・・・自分の身体に・・・・・・パニックに陥り、  
哀願する鷹乃。だが鷹乃はガスマスクの覆われる直前の女の表情を見た。  
その寒気がするような薄ら笑いに鷹乃は恐怖し、漠然とした不安が確実な  
ものとした。  
 この女は自分を破滅させる・・・自分の人生を支配しようとしている・・・  
 鷹乃は、呆然と、打ちのめされた。  
「じゃあ、治療開始ね」  
くぐまった声が発せられた。ガスマスクの下で女が如何な表情を浮かべて  
いるのかは誰も分からなかったが、そのくぐもった声は嬉しそうな響きだった。 

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