木瀬歩。  
薙刀に対して絶大な自信を持ち、明るく、友だちも多い活発な少女。  
加えて、容姿もなかなかで人懐っこく、大阪弁も彼女のかわいらしい声と調和して、  
ほぼ完璧な女である。  
 
一考すると何も不満無しに幸せに生きていけそうな能力の持ち主であるが、今、彼女の  
持ち合わせているもの全てを穿つ程の衝撃を放つ、一人の女がいた。  
 
……藤原雅である。歩の明の部分を除けば彼女はほぼ同等、いやそれ以上の才能を備えていた。  
その雅に歩はある一件以来、邪険な態度をとるようになっていた。  
事あるごとに雅に執拗に絡み、厭われる事ばかりを施していた。  
 
ある日、雅に彼氏が出来た。  
鷺沢一蹴というその男は以前は陵いのりと付き合っており、いのりと別れた後に  
直ぐに雅とくっついた事で噂にあがっていた。  
これは男照りであった歩にとって一大事であり、屈辱的なことであった。  
雅への激しい怨恨感情のある歩が黙っているわけがもなく……。  
 
「藤原さん。彼氏ができたんやって?」  
歩は薙刀部での着替えの最中に唐突に雅へ質問をした。  
無論、返事がどのようなものかは想定できていた。  
「ええ、できましたよ。それが何か?」  
「いやね。あんたみたいな、いっつも仏頂面した女と付き合おうとした男の気が知れへんなと思ってな。」  
嫌味のつもりでいったが、雅は顔色一つ変えずに無視して着替えをしだした。  
脱ぐと直ぐに豊満な胸とくびれた腰がいやに歩の目についた。  
(いつもながら、なんていい体してんねん。私、女やけど、この体には惹かれてしまうわ)  
 
歩は雅に敵対心を燃やしていながらも、この肉の素晴らしさの前には平伏してしまっていた。  
女でさえも惹きつける彼女の体。男であれば、誰しもがしゃぶり尽くしたくなるものであった。  
更にそこに雅の気丈さが付加することで彼女へ望むものは増加する。  
強い女を堕としたい。自分だけのものにして、忠実な下僕にしてやりたい。  
墜ちる前と墜ちた後の差異を想像する事で男の性欲はより強固なものへと進化する。  
雅には男を誘う不磨な蜜があるのである。  
 
そして、女である歩も自然とそれに惹き付けられていた。もう、逃れることが出来ないほどに。  
 
歩は一蹴と雅がどのような交際をしているのかわからなかった。  
それ故に雅を慕うさよりんから何かをきこうとしたが、彼女の方も水滴一粒程のことも  
知っていないようだった。  
 
「鷺沢。私とあなたとの関係は理解していますね?」  
受験の為に殆ど生徒がいない学校で、雅は鷺沢一蹴へ自分達の付き合いが如何ほどのものかを  
確認しようとした。  
「ああ、わかってるよ。偽りの関係なんだろ」  
「そうです」  
雅は一蹴と一つの契約を結んだ。自分の祖母を間接的に痛みつける為に。  
一蹴には婚約者と結婚したくないからと嘘をついた。  
どうせ譎詐なのだから、訳はどうでもいいだろうとの考えだった。  
 
二週間の時が過ぎた。  
一蹴にも雅にも感情の変化が表れた。  
二人はいつしかお互いに惹かれあい、あの雅でさえも一蹴に対して  
愛しいと思う気持ちが浮かんでは消える泡みたいに、現出するようになっていた。  
 
「一蹴。あなたは陵と付き合っていたときに彼女にしていたことはなんですか?」  
「え……、そうだな。髪の毛をよくいじまわしたり、抱きしめたりしてた」  
「そ、そのような破廉恥なことしてたのですかっ」  
「うん」  
一蹴は雅との短い期間とはいえ、長時間の話のうちに、彼女が恥ずかしがったり照れたりするところに  
女を感じるようになっていた。このたおやかさは日本の男性をくすぐるには十分であった。  
このとき、彼の心には密かに情欲の炎が燻り始めていた。  
 
このように雅と鷺沢一蹴との間柄は大変微笑ましいものであった。  
然し、それが人口に膾炙することで、歩の雅への固執は爾後、凄まじいものへとなっていった。  
 
 卒業式も間近に控え、一蹴と別れて部室へと向かった雅は眼前に広がる光景に  
愕然とした。  
「こ、これは……」  
 
薙刀部の女子たちの裸体。  
周りにちらばる下着や制服、そして彼女達の体につくべったりとして今にも其れ独自で  
動き出しそうな白色の液と皮膚への何かしらの棒で叩かれたと思われる傷跡。  
 
頭の中が真っ白になった。事前までみえていたものは一瞬で消え去り、  
何処に焦点をあわせて良いのか戸惑う。何が起こっていたのか。何が。  
自身のこれまでの経験、知識で対処できる範囲のものか、あるいはそれを超越しているのか。  
雅はただそこに立ちすくむ事しかできなかった。  
 
 
コンコンと戸を軽やかに叩く音がした。  
「誰だろ?」  
一蹴は友達から借りた漫画をふとんの上で読みふけっていた。  
一人暮らしの彼にとって、漫画は生活においての必需品であった。  
時間は午後8時をまわったあたり、こんな時間に来る人は誰だろうかと思いつつ  
ドアを開けた。  
「鷺沢君、こんばんは」  
「き、木瀬さん!」  
「なんやの、そんなに愕いて」  
「だって、雅を敵視している木瀬さんが恋人である俺の下にくるなんて、どう考えてもおかしいだろ」  
歩は伏目がちに一瞬し、ぱっとうえへと視点を動かし、薄笑いを浮かべていった。  
「実はな・・・、私、鷺沢君にいいたいことがあるねん」  
「・・・何を・・・」  
「ここじゃはずかしいから、中に入ってもええ?」  
「あ、ああ」  
切実な顔をして迫られたのでで断ろうとしたのだが、そうもいかなくなってしまった。  
この顔に何のたくらみを潜めているのか。一蹴は知る由もなかった。  
 
「汚い部屋だけど・・・」  
「いいんとちゃう、私、こういうの好きや」  
「あっ、ふとんかたづけなくちゃ」  
「いいよ。その代わりここに座ってもいい?」  
「いいの?」  
「ええよ」  
木瀬の気さくさの前に一蹴はたじろいでいた。  
(意外と良い人じゃないか、雅とちがって)  
と思った後、雅と歩を比べた事に罪悪感をもったが、歩から受けた感慨は消えはしなかった。  
歩はタンクトップのうえにジャンパーをはおり、下は黒い色のミニスカートだった。  
それが、彼女の長くて繊細な黒髪とあわさり、何処となく陰のある女にみせた。  
 
 
男の習性か。  
女をみるときに、どうしても顔の美しさ、肌の色、胸を順々にみてしまうのは。  
一蹴は彼女をそうみた。  
そして、彼女は雅には勝らないものの、高い水準にいることは秋毫も狂いはなかった。  
殊に細身なのにしっかりとした胸に彼は顔を埋めたくなった。  
歩の服装からして、大してあったこともない一蹴は、部屋に招きいれて間も無く彼女の  
体をしった。  
 
 
「それで用件は?」  
直ぐに話をきかないと、歩に何かされると、一蹴の直感が働いた。  
そのため、素早く手をうつことにしたのだ。  
「まあまあ、そんなにせかさんでもいいやん。ゆっくりしようや」  
すると、歩は着ていたジャンパーを脱ぎだし。タンクトップ一枚になった。  
彼女の青色のブラジャーの紐が呼吸をする度に妖しくみえかくれし、胸の輪舞は澄明なものとなった。  
「あ、き、木瀬さん。ちゃんと、服きてよ」  
「なんでなん?陵さんや、藤原さんとは日常茶飯事なんやないの?この程度は」  
そういうと歩は一蹴に擦り寄ってきて、彼の胸から腹の辺りを撫で始めた。  
「なあ、鷺沢君。ほんまに藤原さんのことすきなんか?」  
「え・・・?」  
「私な、なんだか最近、鷺沢君のことが気になるねん。せやかて、鷺沢君は藤原さんとつきおうてるし」  
歩は一蹴のことをじっとみつめた。一蹴もその彼女から目が離せなくなった。  
 
「うっ」  
「なあ、どうなん?ここ」  
一蹴の股間を歩の白くて柔らかそうな手がさする。  
「最近、溜まってるんとちがう?」  
同時に歩は胸を前へ突き出して、一蹴にこすりつけた。  
「はぁはぁ・・・ねえ、鷺沢君。私の胸、どう思う?結構いいんとちゃうん?」  
胸を刺激して感じているのか、歩の息遣いはひどく荒くなった。  
「!」  
一蹴は動けなくなった。  
いのりがいなくなってから、そういう気は全く薄れて、何一つ欲を発することなく生活してきた。  
また、雅とはまだそういう関係にもなっていなかった。  
だから・・・  
(俺、なにしようとしてるんだろう。このままだと、木瀬さんのこと・・・)  
「鷺沢君、正直になろうや。なぁ・・・」  
歩は一蹴のズボンのチャックを開けて、大きくなったものを口でつかんでとりだした。  
「木瀬さん、やめてくれよ。おい、やめろよっ」  
理性と欲望のなかで必死になって声を振り絞った一蹴だったが、彼女―木瀬歩―には通用しなかった。  
「ずちゅ・・・ちゅる、ちゅる・・・はぁはぁ、ここまできてやめるん?・・・んっ、んっ」  
「・・あっ、ううう」  
「んんっ、ぷはっ。鷺沢君だんだん大きくなってるよ。こんなに大きくなるもんなんやな」  
少し笑いをうかべて、歩は再び一蹴のモノへ吸い込まれるようにしゃぶりついた。  
「ちゅ、ちゅる・・・・ぬちゃ・・・」  
喜び狂った顔で一蹴のものを舐める歩にいつしか一蹴は全てをはきだしてもいいと思うようになった。  
「はぁ・・・木瀬さん・・・俺・・・」  
「ぺろっ、んっ、んっ、ずちゅ・・・なに?だしたくなったんやろ」  
 
歩は一蹴の顔をみて、返事を待った。その間、無論、フェラはとまる。  
一蹴の顔が出したくても出せないじれったいものへと変わる。  
「・・・俺は・・・」  
ココロに浮かぶは雅。彼女の事を忘れて、歩に没頭していていいのか。  
それでも、悦楽の世界を味わいたいと願う。一蹴の体。  
だが、歩は切り札をもっていた。  
「鷺沢君、これならどうや」  
「ああ!」  
ぬれた肉棒を白い二つのものが包んだ。  
「私のこれ、結構自信あるんよ・・・それ!」  
大きい乳が一蹴のものを優しく、それでありながら的確に刺激をあたえる。  
頭で何を考えているのかわからなくなった。  
股間のものが更にでかくなった。  
 
「はは、鷺沢君、もうでそうなん?だしてもええよ。だして、私の顔や胸にぶっかけてええよ?」  
「ああ、気持ちよすぎる・・・、ぐっ、だめだ、でるっ」  
先ほどのフェラのせいで限界にきていた一蹴は即時にいった。  
2、3回、モノがピストン運動をし、白い液体がピュッと勢いよく歩へと降りそそいだ。  
どぴゅっ・・・どぴゅっ。  
生臭い匂いに顔を多少歪めた歩であったが、直ぐに口元の液を嘗め回した。  
じゅ、と音を立てて一蹴の精液をごっくんと飲み込み幸せそうな顔をして、  
淫乱な腰を上下にふった。雌が雄のを欲しいという証を発したのだ。  
「ええやん、鷺沢君のいっぱいで・・・私、もう我慢できひん」  
「・・・・」  
放出した一蹴に抵する力はもはやなかった。  
歩が一蹴に前からおんぶしてもらう形になる。  
「まだ、かたいまんまやん。これなら・・・」  
ずぶっ、ずぶっと歩のなかに一蹴の太い男根がはいっていく。  
「ああっ、・・・はいってくる、はいってくる」  
「・・・ぐっ・・・」  
雅への罪悪感、そして仔細に自分を攻撃した快楽から開放感から放心状態へとおちいっていた一蹴であったが、  
快楽の再来により、彼の意識は復活した。  
「さぎさわ・・・くん、私、実ははじめてなんよ」  
「!?、なのにあまりいたくなさそうだけど?」  
ニヤリと笑い、何も応えずに歩は腰を振り始めた。  
一蹴のほうも気持ちよさに興味を削がれ、腰のふりを受けた。それだけ彼の精神はまいっていた。  
「うんっ・・・ああっ、きもちイイ、きもちイイよっ、鷺沢君のええっ、ええよっ」  
「あ、ありがと・・俺も木瀬さんのなかいいよ」  
「鷺沢君・・・もうなかにはいっちゃったんやから・・・名字なんかでよばんで歩ってよんでえな・・・はぁはぁ」  
「・・・・・・・・ああ、歩」  
一蹴のなかで何かが吹っ切れた。  
 
今まで腰を動かしていたのは歩であった、彼も自ら始動しはじめた。  
「うわぁあああん、す、すごすぎるっ・・よぉ。鷺沢君のすごぉおおおいいっ」  
「なあ、すげえだろ。俺の・・・ぅっ・・・はさあ・・・」  
さらに腰を左右上下にまわしにまわし、歩のなかを貪る。  
歩の乳をもみまわしながら、ゆらしまくった。  
「なかで・・・こすれるのぉぉぉっ・・・はぁんっ」  
陶酔しきって快楽の海へ投げ込まれた一蹴と歩の行為は端から見れたなら  
恋人同士のようで、古くから愛し合っているようだった。  
「だめぇ・・・鷺沢君、もう私・・・いってしまう・・・はぁぁ」  
一蹴の肩をつかむ手が震えて離れそうになる。  
「もうちょっと、我慢してよ・・・」  
ドンと一発つく。  
「ああっ・・・やっ!も、もう・・・むり・・・ィイ・・・あっ、イイっ」  
「わかった・・・。だしてやるよ!」  
言い終わるやいなや歩の膣の締め付けが強くなり  
「もうだめや・・・・・はぁ・・・はぁっ・・・い、イクッ!イクッ!いっちゃう〜〜〜〜」  
人間かどうかわからないほどの声をあげて。歩の体が跳ねた。  
そして、一蹴の巨大化したものから激しい勢いで、量で、精液が歩のなかへ発射された。  
「うぁっ・・でてる・・・鷺沢君の熱いの・・・でてるっ・・・あったかいのぉ」  
ごぼごぼと精液がこぼれだしてくる。  
 
ごぼごぼと精液がこぼれだしてくる。  
悦にはいった顔をしばらく一蹴は眺めて、いい気分になっていた。  
女とやるのは久しぶりだったので、彼は飢えていた。  
そこには、手にかけられない雅に欲求不満になっていたことも、原因の一つとなっていた。  
「なかなかよかったよ、木瀬さん」  
「ん・・・そう?まだ、藤原さんとはやってないん?」  
「・・・うん・・・」  
頭によぎった儚い雅の表情。こんなことをしたのを彼女が知ったらどうなるだろう。  
でも、まだ雅には告白していないし、偽りの関係であるのだから知ったところで関係ないだろうと  
一蹴は思った。  
 
 
数分たって、扉を激しく叩く音がした。  
「・・・、だれやろ?」  
「さあ」  
一蹴は服を着ながら、誰なのかを問うた。  
時間は9時30分を廻っていた。  
「一蹴!私です、雅です」  
「え?!」  
「一蹴にどうしても相談したいことがあります。私は、自分ではどうしたらいいのかわからなくて・・・」  
発せられる声は声涙であった。雅は扉の前で泣きながらこちらに話をかけていた。  
だが、一蹴はそれがわかったところで、茫然となった。  
(どうして泣いてるんだ?俺と歩がこうなったことを知っているのか!?)  
勿論、雅にそれを知る由はない。彼女は別種のことで話をしたがっていた。  
そう、あのことで。  
「み、雅・・あ、あの・・・緊急なのか?」  
「できるだけですが、早めに話したいことなのです。私には・・・」  
そこで雅は一つおいてから、声をふりしぼった。  
「私には、あなたしかいませんから。だから、助けてください」  
 
悄然とした一蹴を尻目に歩の笑い声がきこえた。  
「くっくっくっ・・・、やっぱりここにくるとおもってたわ」  
一蹴が声の主へとふりかえると、彼女は意地悪い笑みを浮かべて、一蹴をみていた。  
 
 

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