ある晴れた日の午後。私は友人の家へと向かっていた。
その時には私はまだ気付いていなかった。その日が日常の終わりであるということを・・・。
「双海詩音の裏紅茶講座」
詩音・鷹乃SS
今日は土曜日。学校もなく、私は友人である詩音の家へと向かっていた。
季節はもう秋。少しづつ涼しくなってきた数日前、私は詩音から家へと誘われた。
どうも土・日・月曜日の3日間、詩音の父親は仕事の関係で家に居ないためもしよければ泊まりがけで遊びに来ないかという事だった。
私としてもたまにはそういうのもよいと思い詩音の申し出をうけさせてもらった。
詩音の家の前まで歩いてきてインターホンを押す。少しすると中からパタパタという足音が聞こえてくる。
「鷹乃さんいらっしゃい、どうぞあがってください」
一見するといつもの詩音と変わらなかった。しかし鷹乃は見逃していた、詩音の獲物を狙う肉食獣のような邪悪な笑みを・・・。
「では鷹乃さんお茶を煎れてきますのでここで待っていてください」
リビングに通された私はソファーに座り詩音が煎れてくれる紅茶をまっていた。
私は紅茶について詳しいわけではないし特別好きだということでもない。しかし詩音の煎れてくれる紅茶美味しいと思うし好きでもある。
詩音の紅茶には人を落ち着かせる何か特別な成分でも入っているのではないかと思った事もある。
・・・
少しすると詩音がカップとティーポットを持って戻ってきた。
そして私に紅茶を煎れてくれる。
まずはじめににおいを楽しむ・・・はずだったがにおいをかいだ瞬間今までに嗅いだことがないようなにおいがした。
「ねっ、ねえ詩音・・・なんだかこのお茶のにおい随分と変わったにおいなんだけど・・・」
「うふふっ、実はですねこのお茶は鷹乃さん用に特別にブレンドしたお茶なんですよ」
「特別?」
「とにかくお試しください私の自信のブレンドなんですよ」
詩音がそういうと事はこのお茶も良いものなのだろう。そう思い直し私はお茶を一口飲んでみた。
「ん・・・っ!」
何だか今までで味わったことかない味が口の中に広がった。
「ずっ、随分と・・・変わった味ね・・・・」
飲めないわけではないが多くを飲むのは遠慮したい味、しかしせっかく詩音が私のために煎れてくれたお茶を残す訳にはいかない。私は残りを一気に飲み干した。
それにしてもこのお茶って・・・、「ねえ詩音このお茶って一体・・・」
そういいかけた私ではあったがなぜかその後の言葉が続かなかった。
急速に薄れる意識の中私の目は邪悪な笑みを浮かべる詩音を映していた・・・・。