メダロット島・・・普段は子供達に大人気の遊園地だが、今入り口の前に佇んでいる少年は決して遊びに来たわけではない。
「ロボロボ団を止めなくちゃ・・・。」
「他の皆が心配だ。早く行こう。イッキ」
彼の側に居たクワガタを模したメダロットがイッキに顔を向けた。
彼の目からも少年と同じオーラを発していた。
「うん、そうだねロクショウ。」
イッキと呼ばれたその少年がいざメダロット島に入ろうと足を出した瞬間である。
イッキとロクショウの頭の中に突然以前に知り合った少女の声が響いてきたのだ。
「ゆーしゃさま、行っちゃ駄目!!」
「マルガリータ!?」
「どうして彼女の声が?」
「今、じいやからゆうしゃさまが危ないって知らせを聞いたからじいやに頼んでゆうしゃさまに私の声を伝えてもらってるの。」
「大丈夫だよ、マルガリータ。心配しないで。」
「じいやの占いは良く当たるの・・・もしゆうしゃさまになにかあったらマルガリータ悲しいから・・・。」
「大丈夫だマルガリータ。何があってもイッキは私が守る。」
「約束するよマルガリータ。僕達は絶対戻ってまたコーダインに行くって。」
「うん、分かった。ゆうしゃさま。マルガリータ待ってるから絶対また来てね。」
「ありがとう。やっぱりいい子だね、マルガリータは。」
「でもどうしても心配だから今からゆうしゃさまにとびっきりの味方をつけてあげる。」
「すごい味方?」
「うん!じいやに頼んだら今回だけってことで。あ、じいやが!!それじゃゆうしゃさま待ってるから!!」
その言葉を最後にマルガリータの声は二人の脳裏から消えた。
「どう思う?イッキ。」
「マルガリータの言うことだから大丈夫だと思うんだけど・・・。」
イッキが苦笑いを浮かべるとポケットに入っていたぎんのロケットが突然白い光に包まれた。
「ぎんのロケットが!!」
「イッキ、ロケットを外に!!」
ロクショウの言葉を受けてイッキが慌ててぎんのロケットを外に投げるとたちまちロケットは3メートル台の大きさになった。
「こんなに大きくなるなんて・・・。」
「ああ・・・。」
あまりの変化に二人は立ち尽くしていたが、ロクショウがチャンバラソードを突然構えたのでイッキも釣られてメダロッチを構えた。
「どうしたの?ロクショウ。」
「中に誰か居るぞ。」
「え、本当に?もしかしたらマルガリータの言っていた味方って。」
イッキ達が緊張した様子でロケットを見つめているとロケットからタラップが降り、一人の少年とメダロットが姿を現した。
『いきなり光に包まれたかと思えば今度はロケットの中かよ・・・。』
「おい、イッキ!どこだよここは!!」
『そんなこと俺が知るか!!俺だって知りたいよ!!』
口喧嘩しながらもロケットから降りてきたは少年はイッキを見て目を丸くした。
そこには自分と同じ姿をした少年がメダロットを連れていたからである。
「僕がいるよ・・・。」
イッキは信じられないといった感じに首を左右に振った。
「ああ、確かにお前だ。」
ロクショウも目の前の二人に驚きを隠せなかったものの、チャンバラソードをまだ下ろしては居なかった。