その日は雨だった。
パタン。
カスミは本を閉じた。
ここは放課後の旧校舎。居るのはカスミと・・・メタビーだ。
しかしメタビーは動かない。メダルを失っているからだ。
動くことのないメタビーにカスミは声を掛けた。
「メタビー、今日は雨が激しいね。」
カスミはメタビーがメダルを失っているのを知っている。だが、いつか、いつか必ずメタビーは帰ってきてくれると信じていた。
メダルを失うことは死ぬのと同じ。もう帰ってはこない。変え様の無い事実はカスミに大きな心の傷を刻み込んでいた。
「止むまで待ってようかな・・・傘も忘れちゃったし。」
カスミはそう呟くと、瞼を閉じた。
どれ位経っただろうか?カスミは自分を呼ぶ声で目が覚めた。
「ちょっとカスミ!」
肩が何者かによって揺り動かされる。
「ヒヨリ?」
カスミの眼前には幼馴染のヒヨリが立っていた。雨に打たれながら来たのか、服が濡れていた。
「ヒヨリ?じゃないわよ!夏になっても雨降ると寒いんだから、こんな所で寝ちゃ駄目よ。」
「うん・・・どうしたの?」
「傘持ってるかどうか聞きに来たの。でも持ってないみたいね。」
「うん・・・」
「はぁ〜・・・こんなことだったら来なきゃ良かったわよ・・・」
トスン、とカスミの隣に腰を下ろす。理由が無くても来るんだろうなあ、とカスミは思った。
「あれ?オプチは?」
オプチとはヒヨリの愛機だ。ヒヨリの代わりにカスミを呼びに来るなんてこともしばしばだ。
「オプチは今日は点検に出したの。朝言わなかった?」
「そういえば言ってたような・・・」
「同じことを何度も言わせないで。」
「うん・・・」
お節介というか、気が強いというか・・・カスミの前ではいつもこんな調子だ。
そうだよね、メタビー?と思いながらメタビーを見やると、視界にヒヨリが入ってきた、
「・・・またメタビーのことを考えたの?」
「・・・そうだよ。」
ヒヨリは少し溜息をついた。
「カスミの気持ちも分かるけど、メタビーは絶対に動かないのよ!?いい加減メタビーのことは忘れなさいよ!」
言ってしまった後、ヒヨリはしまった、と思った。
本当は何か気の効いたことを言って元気付けてやろうと思ったのだが、言い方を誤ってしまった。
いつもならこんなことは言いはしない。今日は特に機嫌が悪かったのだろう。
カスミは一瞬驚いたような顔をしたが、次の瞬間には怒った顔をしていた。
「・・・ヒヨリにだって・・・大切な人を失った気持ちは分かるだろ!」
滅多に見せないカスミが怒った顔。ヒヨリは慌てて弁明した。
「ごめん・・・でも・・・」
「でも何だよ!ヒヨリなんか・・・ヒヨリなんか・・・!」
ガタッ
カスミは素早く立ち上がり、ヒヨリに覆いかぶさった。その拍子にヒヨリは転んでしまう。
「イタッ!ちょっと!何して・・・」
カスミはヒヨリの声など微塵も聞かす、ヒヨリのシャツに手を掛けた。
「嫌、やめて!」
「うるさいっ!」
カスミが勢いよくシャツを引っ張った。ヒヨリのシャツのボタンが弾け跳ぶ。
中から現れたのはヒヨリらしい、淡い水色のブラジャーだった。
「見ないでよっ・・・!」
ヒヨリも羞恥で顔を赤くしながら必死にもがく。カスミはそれにイラついた。
「うるさいって言ってるだろ!」
嫌がって振り回すヒヨリの腕をカスミは無理矢理掴み、口付けた。
「むぐっ・・・」
ヒヨリの目が一瞬大きく見開いたが、すぐに抵抗しだす。
「やめ・・・」
カスミは掴んだ腕に力を込めると、力を込めてヒヨリを床に打ちつけた。
ガツッ
ヒヨリは打ち付けられた衝撃で力を緩めてしまう。カスミは一度離した口をもう一度口付けた。
良くも悪くも二人とも初めてのキスだ。しかし、感動も、嬉しさも、微塵も感じることは無かった。
そこにあったのは、虚しさと、悲しみと、後悔だけであっただろう。
カスミは強引に舌をヒヨリの口内に入れた。
「ちゅぷ、くちゅ、ん・・・」
ヒヨリは段々抵抗しなくなってきた。受け入れ始めたのか、諦めたのか。
カスミはおとなしくなってきたことを感じ、徐にヒヨリの胸に触れた。
「!」
平均より大きいヒヨリの胸。カスミはブラジャーを外すと、白く形の良い乳房が露になった。
そのままカスミは胸を揉み始める。
「あっ・・・」
ヒヨリがピクンと反応する。カスミはその反応を見た後、スッと口を離した。
つつっと透明な糸が二人の口を繋ぐ。カスミとヒヨリの目が合った。
「カ・・・スミ・・・?」
己を呼びかける声を無視し、カスミはヒヨリの乳首を抓る。
「きゃう!」
更に反応するヒヨリ。構わずカスミは抓り続ける。
「んくぅ・・・あん!」
ヒヨリはもう全く抵抗していない。嬌声も出始めていた。
カスミは黙ってヒヨリを見ていたが、視線を下に落とした。
見ているのはヒヨリのスカート。ヒヨリは嫌な予感がした。
予感は的中した。カスミはヒヨリのスカートに手を掛けた。
「やめて・・・そこは・・・っ!」
「そんなこと言ってるけど、ヒヨリのココびしょびしょだよ?」
カスミの言ったとおり、ヒヨリの下着は愛液で濡れていた。
カスミはスカートの中に手を突っ込み、秘所の辺りを指でなぞった。
「ああっ!」
快感で仰け反るヒヨリ。カスミは更に指を動かした。
「ンっ・・・」
ヒヨリは必死に声を出すのを堪えた。
「もう・・・いいでしょ?」
カスミがヒヨリに問いかける。ヒヨリはカスミが何を言いたいのか分からなかった。
「な、なにを・・・」
するきなの?と問おうとしたヒヨリは次にはその言葉の意味が分かった。
カスミがベルトをカチャカチャと外し、自分のモノを出し始めた。
「きゃっ・・・」
カスミのモノは大きく勃起していた。
「(やだ・・・昔見たのと全然違う・・・)
昔見たと言っても、幼少の頃一緒に風呂に入ったときに見たくらいだ。あの頃は性の壁など存在せず。お互いに羞恥心など無かった。
今は違う。
ここまで来てしまった・・・必然の出来事では無いにせよ、だ。
少なくとも男として認識しているこの状況で、カスミが性器を見せるということはそれなりのことを意味していた。
「まさか・・・」
「入れるよ・・・?」
「待って!それだけは・・・」
ここに来てまた抵抗しだしたヒヨリだったが、既に遅かった。
カスミはヒヨリの上に覆いかぶさり、秘所に自分のモノを番えた。
ズブッ
「ああぁ!」
ヒヨリは処女だ。当然痛みも伴ってくる。
「痛いよぅ・・・カスミぃ・・・」
ポロポロ涙を流しながらカスミに抱きつく。
「ごめんよ・・・少しだけ・・・少しだけ、我慢してね・・・」
奥まで入りきったときには、痛みは治まっていた。
「大丈夫?ヒヨリ・・・」
「ん・・・うん・・・」
「じゃあ、動かすね・・・」
グチュ、グチュ・・・
ぎごちない動き。その音は雨の降る音で掻き消された。
「う、くぅ・・・」
「すごい・・・あったかいや・・・」
段々慣れてきたらしく、カスミは動きを早めていった。
パンッパンッっと小気味の良い音がしてくる。
「んっ、あっ、あぁん・・・」
「ヒヨリってそんな声も出すんだね・・・」
ちょっとからかい気味なカスミの声。ヒヨリは顔を真っ赤にした。
「だって・・・ぅぅん・・・きもちいいんだから・・・」
「そうだね・・・僕も気持ち良いよ・・・」
「ああっ・・・カスミ・・・もう私・・・」
「うん・・・僕も・・・限界かな・・・」
今日は大丈夫だから、と囁く。分かった、と頷く。こんなやり取りだけでも今では喜びを感じていた。
カスミはぐっ、っとヒヨリの腰辺りを掴んだ。
「くぅっ・・・出すよっ・・・!」
「いいよぉ・・・だしてね・・・ちゃんと・・・ちゃんと・・・うけとめるからっ!」
ドプッドプッ・・・
快感の余韻に浸りながら、カスミは自分のモノを引き抜いた。
***
「・・・ごめんね、ヒヨリ。」
ポツリと言った一言。
「私だって・・・言い過ぎた。」
お互い背中合わせで座る二人。
「でも・・・するならもっとちゃんとしたかったな・・・」
カスミに聞こえない程度に呟く。
「うん?」
「何でもないわよ。ほら、雨、止んだみたいよ。」
窓の外を見ると、確かに雨は止んでいた。雲の間から太陽が見える。
「雨降って地固まる、だね。」
「そんな言葉じゃ片付けられないわよ・・・」
ヒヨリは半分呆れ顔。
「まあいいわ。このことは許してあげる。」
「ありがと・・・」
「その代わり!」
「?」
何を言い出すのだろう?
「生徒会・・・入いんなさい。」
「ええ?」
「何か熱中するものがあったらあんたも変わるかもしれないでしょう?」
「・・・そうかもしれないけどさ・・・」
「けど、なによ?」
「なんでもないよ・・・」
適当にはぐらかし、カスミはヒヨリの方を向いた。
チュッ
立ち上がり様にキス。
「ちょ・・・っと!」
また赤くなったヒヨリを見て、カスミもちょっと顔を赤くする。
まだ夏は始まったばかり。
何があってもこのことは忘れないだろう。
カスミとヒヨリはそう思ったのだった・・・