昼休み、彼女はいつもの如く広すぎる校内の清掃活動をおこなっていた。  
「や、やあカリンちゃん。こんにちは」  
そう彼が声をかけると、二房に束ねられた髪が揺れ、カリンは穏やかな笑みを浮かべながら振り返かると。  
「こんにちは」  
クラスメイトなのだから、顔くらい見知っていて当たり前だ。  
しかし彼にとって、そのこと自体がとても、とても嬉しかった。例え、その笑顔がみんなのものだとしても。  
あの噂が真実だろうとも……  
「何か、私にご用ですか?」  
彼が沈黙し立ち尽くしたまま喋らないせいで、カリンは微かに首を傾げ、その空色の瞳に困惑が滲む。  
そんな彼女の表情すら可憐と言えた。  
彼は唾を飲み込み、手の平に滲んだ汗を拭い。  
「あ、あの……さ」  
嘘かもしれない……  
嘘だとしたら、彼女の心を傷つけてしまうかもしれない……けれど。  
「一階の男子トイレを、さ。誰かが汚したみたいで、で、僕掃除頼まれたんだけど。  
一人じゃ出来なさそうなんだ、だから、その。  
カリンちゃん、お掃除得意でしょ? だから掃除するの手伝ってくれない、かな……ダメ?」  
カリンは天翅の如く微笑み、快く。  
「はい、よろこんで」  
快諾した。  
 
「……ここ、ですか?」  
カリンが連れてこられたトイレは、余程意地悪な姑でもない限り「汚い」とは言えない程、清潔であった。  
首を傾げて彼を振り返ると、彼は想定の範囲内の問答だったというのに。  
「あ、あ、うん、そう。ここ。こここの一番奥、一番奥の個室」  
「そうですか」  
そんな彼の様子を気にする風もなく、カリンがのんびりと向かうのを傍目に。彼は掃除用具箱から「清掃中」の札を取り出して、廊下側のドアノブにそれをひっかけた。  
カリンは戸の開かれた一番奥の個室の前に来て、何故か再び首を傾げた。  
その個室の中も綺麗で、やはり汚れてるとは言えない。  
「あら? あの……」  
カリンが振り返って先を言うよりも早く、そのなだらかな胸に手が触れていた。  
カリンは彼と、彼の手を見比べつつ。それでも穏やかに笑みを浮かべ。  
「あの、ここも汚れてませんけど。ここではないんじゃ?」  
「はぃ……いっ、にえ、ここです。ここに……間違いないです」  
胸に当てた手が微かに震えた、武者震いという類のものではない。  
単純に怖かった。  
この先、これから先の言葉を言ったら嫌われるかも知れない、それが怖い。  
元より親しい間柄では無かったが、それでも怖かった。  
彼の手が微かに震える。  
 
「でも……」  
「カリンちゃんっ」  
彼自身驚く程の大声で言葉を遮った。これ以上躊躇していたら、一生このままだ。  
「よ、汚れてるのは、便座じゃなくて、その、よごれてるのは……」  
「なら、なんなのですの?」  
唾を飲み込もうとしたが、喉が乾いてしまっていて上手く飲み込めなかった。  
彼はズボンをパンツごとまとめて下ろし、目の前に立つカリンに見せつける様に股間を突き出して。  
「ぼっ、僕のおちんちんが汚れてるから、だから……舐めて、綺麗にして欲しいんだっ」  
言い終えると、シンと静かな時間が訪れた、まるで時間が止まったかの様な。そんな時間が流れ、彼の興奮していたモノも、一秒経つ毎に縮んでいく。  
カリンは驚いた様な呆けた様な顔で彼の顔を見つめ、彼はその純な瞳から逃れる様に視線を逸らし、タイル張りの壁を見つめた。  
永遠とも思われる時間が過ぎた、そんな錯覚に囚われ、逃げ出したいと心の奥で何かが喚く。  
駄目なら、駄目だとしても。  
今ここで冗談だったと言えば、笑って許してくれるかも知れない。  
そう考えて口を開こうとした、その瞬間。  
「ああ、なんだ。そんなことでしたのね」  
「……え」  
カリンの手は彼の手を優しく包み込み。  
「任せて下さい、お掃除、得意ですから」  
 
桃色の口唇がねっとりと皮も剥けていない陰茎をしゃぶり、涎が音をたてトイレの壁に反響する。  
カリンは幕間に声と息を洩らし、それが彼の心を更にくすぐる。まるで体育の授業にて、全力で走った後の様な荒い息使い。  
頬には朱が落ち、その頬を更に柔らかくみせる。  
「……っ」  
カリンは便座の上に座り、しながらも彼の顔を見上げ続けている。まるでその表情を見て愉しむが如く。  
「声、出しても構いませんよ」  
「そっ、んな……声なんて」  
口の端から涎がこぼれ、スカートを汚す。  
「気持ちよく、無いですか?」  
「そんなぁ、ぁっ、こと……ぅんっ」  
言おうとしたが、カリンの舌先が絡みつくように袋を舐め、先端が柔らかな頬に触れた瞬間。イってしまいそうになったが、なんとかこらえられた。  
「ここにも、カスが……ちゃんと、んっ、洗わないと駄目ですよ」  
言いながら股についたカスを舐めとり、それを涎と共に飲み込む。  
彼は更に顔を赤らめ。  
「かっ、カリンちゃんに洗って貰おうと思っへ……その」  
舌先に代わり、細くしなやかな指が袋を包みこみ、撫ぜるように揉む。  
「洗って無かったんですか?」  
外皮の掃除が終わり、厚い包茎チンポの皮を唇で剥き、そのキノコの様な先端を露出させ。はむ様にさきっちょを甘噛みする。  
 
「……ひあっ」  
「一杯出して良いですよ。洗わなかったのなら、この一週間オナニーもしなかったのでしょ?」  
オナニー自分で言うなら、或いは他の誰かが言ったのなら、そんなにも気にならなかったかも知れない。けれど。  
彼にとって、いや学園中の男子生徒の憧れであり、聖女の様に思われてる少女の可憐な口唇が言った。  
「ぁ……ああっ」  
それだけで、いや、だからなのかもしれない。  
それまで押し留め我慢していた液が、せきを切ったように溢れ出し、発射された。  
「キャッ」  
凄まじい勢いで発射された白液は、カリンの喉ちんこを痛めつけるように喉に殺到し。その生臭さと勢いと量の性で、カリンは嘔吐感に襲われ、彼の陰茎を口元から押し退けた。  
その刺激で更にむち打つ事となり、白液がカリンの顔や制服にかかり。  
出し切る頃にはカリンの体は白液にまみれ、流れ落ちたモノがトイレの床や便座を汚した。  
「うっ……ハァ……アァ……」  
足が酷く震え、立っていられなくなり、閉められた扉に背中を打ち。滑り落ちる様に座り込んでしまった。  
彼の股間はまだ出したり無いと言うように脈打ち、締まり悪く、脈打つ毎に白液を少しづつこぼす。  
「一杯出ましたわね」  
 
声に彼は顔を上げ、頷いた。  
カリンの顔はベトベトで、口の端からは不純物の入り混じった涎がこぼれていたが。それでも彼女は優雅に笑っている。  
彼は精一杯の笑顔を作り。  
「ありがと……綺麗にしてくれて、カリンちゃん」  
カリンは天翅の笑みを浮かべると、舌先で口の周りの白液を舐めとり。  
「まだです、ソレまだ汚いですから。ちゃんと綺麗にしないと、ね」  
「え、でも……」  
もう限界。  
言おうとしたが、カリンは立ち上がり彼の体を掴んで立ち上がらせると。  
先ほどまでカリン自身が座っていた便座に彼を座らせた。  
カリン自体は床の上に座り。  
「こうすれば、立てなくなるまでしても大丈夫、ですわ」  
カリンはそう言い、笑った。  
 
 
〜〜完?  
 

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