「あれ…………ない」  
マンション近くのコンビニ、昼下がりの時間は客の入りも殆ど無く、今はメダロットが一体だけ。  
その一体はレジ近くに置かれているアイス売場の中を、店員の好意により貸された踏み台に乗って覗き込んでいる。  
「え、と」  
ブラスは困ったように頬を掻き、店員に踏み台を返し、頭を下げると。店を出。一旦帰ろうとしたが。  
ヒカルが働いているコンビニへ向かおうことにし。その前にそこの公衆電話で、アリカに連絡を入れよう――そう思ったが。  
財布の中身を思い出して止めた。  
「……暑いなぁ」  
メダロットだからってこんな暑い中を行かされるなんて不公平だ、ブラスは漠然と思った。  
 
太陽はまだ高い  
 
一枚、  
一枚、  
その度に衣擦れの音が耳に聞こえ、床に正座させられているイッキの視線が熱を帯びていく。  
――自身で言い出した事とは言え――  
アリカはしま模様のパンティに手を掛けた所で、ふいに思った。  
――私だけ脱ぐなんて、不公平、よね。  
 
アリカは不意に笑った。  
イッキは真意に気づかず、笑い返した。  
 
背を向けたまま服を脱ぎ、既にパンツ一枚となったアリカは、くるっと振り返ると。  
「あんたも脱いだら?」  
にまっと笑ってそう言ったアリカに、イッキはなんのことか一瞬理解できず、ワンテンポ遅れて。悲鳴をあげた。  
「そんなにイヤがらなくても良いじゃない」  
「いや、でも、だって」  
「いいから、いいから」  
楽しげなアリカとは対照的にイッキの顔は悲壮に赤らんでくる。  
その手は下腹部に張られたテントに当てられ、どうにも離せない。  
するのだから見られるのは当たり前だが、それでも幼なじみにギンギンに興奮したソレを見られるのは。恥ずかしいことの様に思えたから。  
「い、いや、でも、ボクは後でちゃんと脱ぐから。アリカがががさ先に」  
口をつく言葉は予想外に慌てふらつき、それが更にイッキの心を色めかせる。  
「何言って――」  
そして、口と心の慌てっぷりを無視した様に眼はアリカの胸に固定されていた。  
海水浴に行った時の日焼け痕が残ったままの肩、薄く肋骨が透けるなだらかな胸元。胸は小さく少年の様だがきめこまかく織られた布地の如き肌に、淡い色を纏った蕾。  
イッキは固い唾を飲み込み、見入るばかりに。その距離が縮まっていることに気づかないでいた。  
 
「――してんのよ」  
「へっ?」  
視界が陰に覆われ、イッキが顔を上げるより早く。アリカの顔がイッキに迫り、イッキの顔を一別すらせず、その真下を見。  
「なに隠して。っていうより、なんでそこ押さえてるのよ」  
イッキの返事を待たず、アリカはイッキの手をひっぺがし  
息を飲んだ。  
沈黙するアリカに、「あ、いや、これは。その……違うんだ」意味不明な良い訳を並べ立てたが、アリカはその言葉を無視し。短パンのホックに手を掛けた。  
「ちょっ、アリカ」  
アリカは鼻孔をいつもより拡げ、正座したままのイッキのチャックを下げていく。  
イッキはまだ何事か呻き呟き続け、顔はどんどんと紅潮していき。体は仰け反って、腕は体を支えるに終始しアリカを引き剥がすことも出来ない――するつもりは無かったが。  
純白のブリーフはいまや強情なテントと化していて、その天辺は既に限界が近づいていた。  
アリカは乾いたのどで息を飲み。汗が一滴、頬をなぞった。  
恐る恐る手を伸ばし、ゆっくり、慎重に。そのテントの天辺に触れ、さわりと少しずらす。  
それだけで硬くなったイッキのソレは、ブリーフの白い布地を左右に押し退け、アリカの瞳にその姿を焼き付けさせる。  
 
薄茶色の外皮に包まれた、ピンクに紫を加えた様な亀頭は、縁に皮が少し引っかかり。それでも限界まで伸びをしようと、びくんっと時折アリカの眼前で振るわれる。  
その先端から何かが跳ね、アリカの鼻先に掛かる。  
「な、なに? おしっこじゃないわよね……」  
不思議げに眉ねを寄せ、鼻先に指を触れさせ、付着した暖かみの残る液体を取り。そのネトッとした感触に顔をしかめ、再び同じ台詞を吐いた。  
イッキは答えず、不始末な自分の息子を叱りつつ、アリカから視線を逸らし眼を瞑ろうとした。が、  
「――ひっ」  
「ねーねー」  
アリカは無邪気な顔で、目の前のモノを爪で弾いたり、皮を引っ張ったりしながら。  
「いつもはどうやってるのよ」  
「いつもって……」  
イッキは必死に声を押し殺し、絨毯を指で握りしめる。  
下手打てば今にもイキそうな程だ。アリカの手が自分の股間をいじっている、それが胸を熱くさせ。下腹がメラメラと燃えていく。  
「その、えぇと」アリカはたどたどしくも「一人で――一人でしてるんでしょ? そういう時、どうやってるのか、見せてよ」  
「うえぇっ!!」  
 
「ほらほら早く早く」  
アリカは身を屈めイッキの股間近くに顔を寄せたまま、おどけるように言ったが。  
「な、なんで」至極真っ当なイッキの言葉を聴き、むむっと眉間に皺を寄せ。  
「見たいから」  
「だから、なんでっ」  
更に皺は深め  
「眠ってる間、人の体触ったクセに、ナニ言ってんのよ」  
「あ、あれは」  
「なにっ」ズイッとアリカの顔が、後ろに少し引いているイッキの顔に近づける。  
イッキは視線を逸らして逃れようと試みたが、先回りされてしまい。元より壁際に座っていたせいで退路はない。ゴツンと後頭部が安っぽい壁にぶつかった。  
「さあ」  
アリカの眼が光る。  
 
「……なんで」  
結果的にイッキは負け、短パンとブリーフを脱いでベッドの端に座らされ。今度はアリカがイッキの前で正座している。  
「ねぇ、そこに座らない方が――」  
「特等席でみたいじゃない、やっぱり」  
「あ、そう……」  
まあカメラを持ってないだけまし、か。イッキは深く息を吐いた。  
そして、自分のペニスを包むように優しく掴むと、ゆっくりと上下のピストン運動を始めた。  
ゆっくりと言っても、それほど長さはないため一往復にはさして時間はかからない。  
 
シュッシュッと自室でやるのと変わらない行為も、直ぐそこでアリカが見ているというだけで、異様に興奮してくる。  
幾度かしたことはあっても、こうして目の前にいるアリカを見ながらにするのは。どうみてもオカズにしてるだけに申し訳なく思い、イッキは目を閉じたり逸らしたりしたが。  
やはり視線はアリカに戻る、興味深げに自分のオナニーを見てる純な瞳に。  
瞳は強気に好奇なまま、しかし口は半開きで、頬は朱に染まっていく。気のせいか額を流れる汗が増したようだ。  
退いた方が良いとは言ったモノの、実際アリカの顔にかけられるかと思うと。何故か自分の心が沸く事を不思議に思ったが、そんなことは直ぐに頭から消した。  
手の動きが増し、速っていく。  
早くかけたい、早く、早く。と。  
「ぅ――うっ」  
「へ、どうした――」の。と言おうとしたが、言うより早く。イッキの亀頭の先端の割れ目から、勢いよく半透明の精液が飛び出。間近に居たアリカの首筋、顔めがけたように上手くそれらはアリカに掛けられた。  
ぴくんっぴくんっと小さく脈打つペニスの如く、イッキは射精したことによる達成感と、アリカにかけたという征服感に満たされつつ、短く荒い息を繰り返しながらアリカを見る。  
アリカは何が起きたのか、すら、理解できず。ただ呆然と顔の下半分にかかっている精液を指先で掬い取り、それを見たまま動きを止めた。  
「ごめん」  
イッキは取り合えず謝り、目線をうろつかせティッシュを探しながらも。アリカの顔をちらちらと見て、アリカが指についた精液を舌で舐めとるのをみて、短く呻いた。  
「アリカ……?」  
「…………」  
イッキの吐息より短く、ため息より小さい言葉はアリカの耳には届かなかったらしく。  
不意にアリカは悪戯っぽく笑い。  
「へぇ。これが……イった瞬間ねぇ」  
なんてことを呟きながら、再びイッキのペニスに視線を下ろし。  
「あれ? ちっちゃくなってってる……?」  
「一回だしたから……」  
 
「ふーん」  
アリカはアヒルの様に唇を尖らせると、つまらなさそうに漏らす。  
その目は離れることなく、少しづつ小さくなっていくソレをみつめ。少し悪戯っぽい輝きが宿ったが、イッキはそれに気付かないでいる。  
射精した。ということによる満足感と、それ以上に心を満たしている興奮は、未だ冷めていない。  
パンツ一枚で自分の前にアリカが座っている、という状況。  
出した瞬間のアリカの驚きの顔。  
自分から出た、少なくとも綺麗ではない液体がアリカの顔を汚し、  
そしてそれをアリカが口に含んだ。  
馬鹿になるんじゃないか? そんな興奮は熱く。まるでロボトルしている時か、それ以上に燃えていた。  
イッキはもえるような気持ちに満たされながらも、それはひた隠しにしていた。  
未だ濡れているアリカの顔を拭く為のティッシュを目だけで探すが、物はあちこちにちらばり法則性はないため、かなり難儀な仕事と言える。  
イッキは立って探そうと腰を上げようとしたが、アリカに腰を掴まれ。術なくベッドに引き戻され座らさせられる。  
「――アリカ?!」  
アリカの手は素早くイッキの前に回され、小さくなったソレを掴んでいた。  
 
「擦ればいいのよね?」  
アリカは事も無げに言う。  
その平然とした様は、完全に動転しているイッキと比べると、とても同年代とは思えない。  
アリカは無言を肯定と受け取り、包むように握ると、小さく小さくピストンさせ始める。  
アリカの手には熱を帯びた肉棒の感触が、イッキ自身が出したねっとりとした液体越しに伝わり。余りに柔らかいソレは、少し力を加えただけで潰れてしまうのではないかと思えてしまう。  
アリカは慎重に手淫を続けるものの、ソレはあまり大きくならず、先ほどの様に膨張しない。  
それでも敏感になっているため、或いは他人の手でされているせいだろうか? 背筋をゾクッとする快感がイッキを撫ぜていき、小さく声が漏れそうになる。  
上手く大きくならない自分の股間に対する呆れと落胆、そして  
「もうちょっと強く――」  
「アリカ、お願いしたいことがあるんだけど。イイ?」  
「なに?」  
イッキはごくりと唾を飲み込み、下腹部が疼くのを感じる。  
「口で、その……えぇと」  
アリカと視線を合わせ、思わずたじろいでいた。ゲスなことを頼もうとしている自分の心を読まれたようで  
「口で? なによ。またキスしたいの?」  
アリカは悪戯っぽく含み笑う。  
 
イッキは深く、ゆっくりと深呼吸してから。合わせるのを避けるように逸れる視線をそのままに、  
「舐めてくれたら、その、また勃つと思うんだ。だから、口で舐めて、舐めてくれない…………ダメ」  
イッキは勢いに任せて全て言い切ると、いつの間にか閉じていた瞼を開き、横目でアリカを見る。  
アリカは頭の上にクエスチョンマークを幾つも浮かべ「何を?」と短く問い返した。  
沈黙と、物言わぬ右手の人さし指が答え。  
「舐めるってまさか」アリカは露骨に顔を歪め「アンタのちんちんを?」  
負けそうになるが引いては要られない、のだが。  
「……だ……駄目、かな」  
どうにも口ごもってしまう。  
元来ある小さい頃からの力関係はそう覆るものではない、理解していながらも。イッキは自身情けなく思った。  
本当ならもっと強気に自分主導で  
けれど実際にはアリカ主導で、確かに『かけれた』という事は興奮したが、自慰させられている。  
そんな情けない想いを察したのか、アリカはフフンッと鼻で一笑の後  
「いいわよ」  
楽しげに笑った。  
根本を軽く掴み、裏筋の上を舌が這っていき、小さなペニスの皮に包まれた先端に付着したままの精液を舐めとる。  
舌を置いたまま桜色の口唇を近づけていき、軽くキスする。  
精液を吸い取る様に先端に吸い付き、唇と皮を絡ませ。顎を左右に揺らし、歯を当てないように慎重に口内でもて遊ぶ。  
「うあ…………あ……」  
イッキの指先は強くシーツを掴み、そのゾクッとする感覚をその身に受ける。アリカはそれを見て満足げに笑う。  
舌をペニスに絡ませ、うねるようにその身の上を這わせていき、根本まで辿り着くと。筋をレールかにし一気に滑らせる。先端部が口から出る寸前にチュポッと吸った。  
心なしか膨らんできたペニスの腹をアリカの唇がくわえ、あむあむとはむように甘噛みする。  
それを次第に下ろしていき、厚い袋に包まれた睾丸を唇でくわえ、数度はんでから口の中に片方を入れ。あめ玉を舐めるように中で転がす。その間も手がペニスを握り、手淫を繰り続けている。  
アリカの頭に何かが乗り、それが手だとアリカが理解したのは。乗っかてきた何かがアリカの短めな黒髪を撫で回し、少しづつ押してきたから。  
アリカは短く肩を竦めると、睾丸から唇を離した。  
 
再びペニスを口にくわえると、  
――あれ?  
先ほど口に含んだ時よりも大きくなっている、アリカは一人そう想い。唇をすぼめて先ほどと同じく吸い付こうとした、が。あっさりと先端が喉に付き、咽ぶ。  
しかしイッキは離そうとしないため、唇をすぼめ、鼻で大きく息をして呼吸を整え。  
首を動かして外そうとしたが  
「うぅ、あっ……ああっ」  
イッキの嗚咽の様な喘ぎに、アリカはふと考えると。  
ペニスから口を外さず、手でするのと同じくピストンさせる。  
息苦しいが、それもイッキの喘ぎを楽しむ一環と考えれば苦ではないな。アリカは考え、その口の動きを繰り返す。  
素早く激しく繰り返したり、ねっとり吸い付くように繰り返したり、或いはその二つを混ぜたように。ねっとり激しくイッキのペニスに吸い付き続ける。  
分泌される唾液が舌とペニスと唇に絡まり、それらの境界線を混ぜこぜにしていく。  
アリカは上手く声は出せずに居たが、直情で喘ぐイッキに気を良くし。口淫を続ける。  
「……で……で、ぇ。る」  
うめくイッキの言葉を理解できず、ただの喘ぎだと聴き逃したが。  
――その意味は直後に理解できた。  
イッキの両手ががっしりアリカの頭を掴み、その瞬間に備えようとする。そのせいで自然、力が篭もり。アリカの頭は引き寄せられる。  
喉までイッキの先端が迫り、また咽びそうになるが。そんな事を考える間などなく。  
「……んあっ…………ぁぁ」  
「んふ――ふがっ。……ひ…………うあ、あ」  
先ほどよりも強く、激しく、鋭く。それは突くようにアリカの喉を襲った。  
アリカはその場でせき込み、離れようとしたが。イッキの両手が許さず。半分近くを喉の中に直接注ぎ込まれ、残りは咥内の唾液を犯し。  
咽んだせいで半開きになった下唇から漏れこぼれた。  
 
アリカは出してもまだ威様を保ち続け、喉に触れている亀頭から逃れるように、イッキの手を逃れ顔を離して。  
大きく息を吐いて。赤い舌先をペロリと、こぼれた精液を舐め取り、口内に残っていた精液と唾液との合成液をのみ下し。「んふっ」と小さく、笑みにも似た吐息を漏らした。  
口の中にはまだ若干苦みの様なイッキの『味』が残っていて、アリカは小さく笑った。  
「ご、ごめ……口の中で出す気は――」  
「あと一発くらいはイケそうね」  
謝ろうとしたイッキの言葉を遮り、アリカはイッキのペニスを握り。未だ萎えていないソレに満足気に  
「ベッドの上に寝っ転がって」  
戸惑うイッキを余所にそう言い、イッキの答えを待たずに押し倒す。  
「ちょっ、アリカ」  
「不公平じゃない。アンタばっか」  
ニカッと太陽の輝きをまとって笑い。イッキの上に跨る。腰を折って、イッキの顔にその顔を近づけ、唇と唇とを重ね合わせる。  
柔らかな弾力がイッキの唇に伝わり、ぬるっと舌先が唇を割り入ってくる。イッキは条件反射的に舌を絡ませ、眉間に皺を寄せる。  
それを見てアリカは顔を離し。舌先から涎をイッキの咥内に落とした。  
渋面を浮かべるイッキは  
「なんか、苦くない……?」  
 
「自分のじゃない、我慢なさい」  
「…………でも」  
「文句言わないのっ」  
言いながらもアリカは片手でパンツを脱ぎ、まだイッキにも見せていない秘所に手を滑らせ。自身の心を反映しているかのような状態に満足し、そのまま手をイッキの股間へ走らせる。  
「……入れたい?」  
アリカは窓から差す陽光受けて、冗談の様な話だがイッキの目には輝いて映った。  
イッキは眩しげに首肯。  
「ちゃっ、ちゃんと私に合わせなさいよ」  
「…………何が?」  
「……その……イクの、とかよ。そういうのっ」  
声を荒げるアリカだが、その言葉はどことなくキレを感じさせない。  
「努力するよ」  
「そりゃそうよ。私のな、中に……入れれるんだからっ。ど、努力くらいなさいっ」  
「うん……」  
微細な変化、小さすぎる、見逃してしまいかねないほど。けれど  
 
「もしかして、アリカ……」  
今まさに入れんと決意したアリカをイッキの声が止め、アリカが視線を送っても。イッキは二の句を継がず。  
「なによ」  
「えっ、あっ、やっ、その…………なんでもない」  
アリカの眉間に皺が寄り、目が微細につり上がる。  
「なによ、歯切れ悪いわね。言いたいことあるならハッキリ言ったら」  
イッキは視線を落とし、アリカの柔肌が視線を埋め付くし。その最下に映る、連結せんとするソレらを見て。  
「勘違いかも知れない……けどさ」  
「……なによ」  
「もしかして、入れるの怖い? 入れたくないんじゃない?」  
僅かな間。  
それが正しく、アリカの返答としてイッキに伝わった。  
「なっ、なに言ってんの。バカじゃない。私がこんな――こんな事いちいち怖がると思う? 思わないわよね」  
「無理、しなくていいよ」  
「無理じゃないっ」  
「……ほんとに?」  
「本当に――」  
イッキの手がアリカの腰を掴み、引き落とす。アリカの手が既に狙いをつけていたおかげか、イッキの亀頭の先端が、アリカの恥丘に触れる。  
「――ヒッ」  
「ほら、怖いんだ」  
イッキが手を離しても、アリカは動けずにいた。  
 
 
アリカは――  
 
 
「ほら、怖いんじゃない。それなら……残念だけど――」  
優しく語る口調には、真実残念だという風ではあったが。今無理しなくても、いつか。そう遠くないいつかチャンスは訪れる。  
だからこそ。イッキは自身から身を退かんと言った。  
少しでも本意でないのなら強制すべきじゃないし、その場の勢いに任せるべき事柄でもない。  
アリカの無言を同意に取り、イッキは目を瞑り小さく息を吐こうとした。その口唇が――塞がれた。  
 
目を開けるとアリカの顔は無く、ヒカルの部屋の薄汚れた天井のみ。  
「アリ……カ……?」  
体の上、服越しに確かに感じているアリカの体温。  
「――ね、イッキ」  
漏れるような吐息が耳にかかり。少しこそば痒く、気持ちいい。  
「やるの? やらないの? どうする」言おうとしたが、喉が拒否し、口唇が拒み。違う言葉を短く、「……なに」たったそれだけしか言えなかった。  
「努力、してくれるんでしょ?」  
それは本当にアリカの声だったのか、それほどか細く、小さな、言葉。  
イッキは直ぐに答えることが出来ない。  
 
アリカはそう思っていた。けれど――  
「うん。努力する、できるだけ」  
ハッキリとイッキは答えた、その心音が大きく強く高鳴る。  
 
「……ほんと?」  
「うん」イッキは小さく首肯  
「絶対?」  
「……うん」  
「一人で勝手にイ、イかないでよ」  
「…………努力、するよ」  
頼りないがイッキらしい答えに、アリカは苦笑を禁じえないでいたが。  
されど、先ほどハッキリと自分の言葉を受けてくれたイッキ。  
 
――少し嬉しかった。  
 
これまでの互いの関係を考えるまでもなく、イッキには無理を利かせてきた。これまでずっとそうだったし、これからもそうかも知れない。  
だから煙たがられていても仕方ないって思っていた。  
実際、女の子らしくない私よりカリンちゃんのが可愛いし、彼女にするなら……明らかに、ねぇ?  
だから、イッキが無防備な私を見て。手を出してくれたのは、そういう気になってくれたのは、こういうとアレだけど…………嬉しかった。  
確かに気の迷いとか、トンビに油揚げみたいなモンかもしれないけどさ。  
けど、女の子として……  
こういうのの対象として、  
視てくれていた。それが――  
 
「――じゃ、覚悟はいい」  
軽く笑う、嬉しさを押し隠した照れ笑いの様な軽い笑い。  
イッキはただ微笑み返し  
「アリカの好きなタイミングで良いよ、アリカの自由にして」  
 
だから――  
「天国にイかせてあげる」  
アリカは鼻でフフンッと笑い冗談めかす、  
「なんだよそれ」  
プッと吹き出すイッキに、アリカは頬を少し膨らませる。  
 
――だから。  
 
イッキが私に触ってくるのも、  
イッキが一人でするのを見るのも、  
イッキのを口に含むのも、  
怖くはなかった。  
だけど、イッキのを私の膣に入れる。その行為は、考えてる段階じゃ全然怖かったのに、直前になったら。冗談みたいに怖かった。  
自分の膣がちゃんと、他のみんなと違っていて。使いモノにならなかったら。イッキと、イッキと一つになれなかったら――  
それが怖かった。  
 
だから、イッキが私の言葉をそのままに受けて、「努力する」そう言ってくれたのが嬉しい――  
 
アリカはイッキの根本を掴み、先端と入り口とを触れ合わせる。唾を飲みこむ。ジトッとした汗が服に滲む。  
「い、いくわよ」  
イッキの確かな首肯に、アリカはそれでも三拍ほど間を開けてから、ようやく。ゆっくりと腰を降ろし始めた。  
濡れたままのイッキの先端が恥丘を分けて、鮮やかなピンクの花弁へと押し入っていく。  
「――ぅあっ…………あ……あ」  
愛液に満ちた肉壷にイッキの先端が入り込んでいき、緩やかに押し開く。  
「――ヒャアッ!」  
ツッ、と。一筋、赤い線が落ちていく。  
「ご、ごめん痛かった?」  
「ううん。大丈夫。むしろ」アリカは少し苦しげだが、それでも変わらずハッキリと「気持ちいいくらい」  
「ほんと?」  
「ホントよホント、アンタにも味合わせてあげたいくらいに、ね」  
イッキは小さく苦笑し、  
「動かせる?」  
「当たり前――て言いたいけど」軽やかに笑い「なんか上手く力はいんなくて……だから、イッキが動かしてよ」  
「う、うん」  
 
差し込んだまま上下を入れ替え、イッキは緩やかに腰を振り始めた。  
吸い付いてくるというよりも食いついてくるアリカの肉壷を、最初の内は前後させるだけでも辛い。  
「アリカ、力、抜いてっ」  
アリカは朱に染まった顔を腕で隠し、イヤイヤと首を振って。  
「なら、脚――ぅあっ……ふぁ…………閉じさせてよ。恥ずかしいのよっ」  
目尻に涙を浮かばせながらアリカは言ったのだが  
「今更じゃないか……」ボソッとイッキは呟きつつも、手で足首を掴み、更に脚を開かせた。  
「なっ、ああぁ……なにっ、……すんのよ」  
恥ずかしがるアリカが可愛かったから。  
なんて事は恥ずかしくてとても言えないが、実際問題、現実にある問題が差し迫っていた。  
 
「それが、さ……もう、ちょっとで……」  
過敏になり過ぎたと自身で理解できる感覚、既に限界は近い。  
イッキは腰のフリを早くしていく。  
約束した身としては破る訳にはいかない、が。  
「ごめん…………アリカァッ」  
「――へっ、ちょっ、嘘でしょ」  
 
    ×    ×    ×    ×  
 
「宿題ね」  
「…………はい」  
「努力するって言ったくせに」  
「…………ごめん」  
「一人で勝手に三回も、」  
「…………ごめん」  
アリカはフッと笑い  
「ま、良いわ。それよりも」  
「それよりも?」  
「も一回やりましょ」  
「えぇっ!」  
「今度は私がイくまで、いいわね」  
「……無理」  
「はぁ?」  
「無理無理、もう無理だって」  
そういうイッキの言葉にアリカは、人差し指をピンッと伸ばし  
「まだ元気じゃない、だから――」アリカはニィッと笑い、強引にイッキの唇を奪うと  
「がんばろ。ね? イッキ」  
そう言って、小さく笑った。  
 
 
 
「ただいまー」  
ガチャッと開かれるドアをブラスに続き、ヒカルが入ってくる。  
「いやー、バイトが早く終わってさー」  
脳天気に言いながら居間の扉を開くと  
 
「おやおや」  
イッキとアリカはヒカルのベッドの上で、仲良く並んで眠っていた。  
 
 

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