「生まれて初めてだぜ 誰かを手ずからぶちのめしたいと思ったのは」  
 
 
 
そういって名瀬が書記戦に参加することに決まって1夜が明けた。  
忙しそうにする名瀬を、古賀は温かに見守った・・・と思いきや  
「あー・・・ うえー・・・」  
 
箱庭学園の購買部の傍らで1人うなだれていた。名瀬かって?あ、間違えた何故かって?  
その回想は約1時間前に遡る・・・  
 
古賀は、名瀬が研究所として理事長から与えられている理科室的な教室に来ていた。時計台の研究室とは別だ。  
もちろん、来た理由はいつも通り名瀬のもとへ来るために、だ。  
 
「なーぜーちゃん?」  
いつもと同じ様子で問いかけてみた。が、返事が無い。ただの理科室のようだ。  
いつもなら「はーいよ」とか言ってひょっこり顔を出すところなのに。  
(留守なのかな?)  
頭に?マークを思い浮かべながら周りを見渡してみた。しかし、研究道具以外の何も無い。  
(珍しいなぁ・・・いつも私が来るまではいるのに)  
とりあえずまた後で来るか、と思いドアに向かって歩き出した。すると、足に何かに引っかかった。当然、転びかける。  
 
「うわっち!・・・危ないなー!・・・・って・・・」  
こけかけたあと、後ろを見て何にひっかかったかを見た。そして、その引っかかったものを見て絶句した。  
「名瀬ちゃん!?」  
 
名瀬が倒れている。瞬間、まず古賀は過負荷の来襲を思い浮かべた。  
見たところ外傷はない。だが、今自分達が敵対しているのは意味も分からない異能集団の過負荷だだ。まぁ古賀も人のことをいえたものでも無かったけど  
 
「と・・・とりあえず救急車!?それより人吉のお母さんのほうが速いかも・・・!?」  
そうやって古賀が1人でわなわなしていると、足元からかすかに声が聞こえた。  
「ん〜・・・」  
 
「名瀬ちゃん!意識はあるんだね?何か痛いところはない!?」  
その声は名瀬が起き上がろうとしていた声だった。慌てて古賀は名瀬を支える。  
一方、名瀬のほうは意識が朦朧としているようで、頭を振り回しながら額に手を当てている。  
「んー・・・?痛いところ?やべぇ、腰が超痛い・・・」  
そういって手を自分の腰に回す。  
 
「腰だね!?よし、そこのベッドに・・・!」  
そう言って古賀は名瀬の腰に手を回し、腕を肩にのせて立ち上がらせた。  
 
 
 
「んしょ、んしょ・・・」  
「お、なんかワリィな古賀ちゃん・・・」  
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!ほら、寝転がって!」  
「お、おう」  
そうやってベッドまで歩かせると、上手い具合にサポートしながら名瀬をうつ伏せにベッドに乗せた。  
あ、この二人のエロパロじゃないからベッドに来たからってエロイベントは起きないよ。  
 
「どんな感じに痛い!?」  
緊迫した表情で古賀は名瀬に聞く。対する名瀬は、  
「あー・・・そうだな。背骨から横っ腹にかけて、重いものでも入ってるかのように痛い」  
なんというか気だるい感じで古賀に返した。  
古賀は、名瀬がこうなってしまっている事に危機感を感じた。  
(血も出てないのに名瀬ちゃんがすごくしんどそう・・・これは、相当な過負荷かも!?)  
 
「な・・・なにか治療法はないの!?」  
もしかして古傷を開く過負荷か、いやいやまさかそんなことはないよねとか思いつつも対処法を名瀬に尋ねる。  
「あー・・・?治療法?そうだな・・・あれだ、あれ。揉んでくれ。」  
 
「揉む?揉めばいいんだね!?任せて!・・・あれかな?あれって何だろ?直揉みのがいいかな!?」  
「あれだな。あれって何だよ。直揉みのがいいな。」  
そう会話を交わしながら、古賀は名瀬の制服を上にズラす。  
 
「よ、よーし・・・準備できたよ!どうすればいい!?」  
「よし、そうだな、まずは下から上に上がっていくように・・・」  
名瀬にレクチャーされながら、古賀は名瀬の腰を丁寧に揉んだ。  
「おぅおぅ・・・古賀ちゃん上手いぜ・・・んっ・・」  
「U」みたいな目になりながら名瀬は感想を漏らす。  
 
「ここかい?ここがいいのかい?」  
古賀もキャラが変わりながら丁寧にこなしていく。  
「あぁっ・・・そこ、そこだよ・・・ああ、古賀ちゃん、それ以上は・・・っ!」  
 
「あ〜ら〜。名瀬ちゃんはここがいいんだ?ほれ、ほーれ」  
親指で名瀬の「いいポイント」をグリグリする古賀。この娘、割とSなのかも知れない。  
「んあぁっ!・・・流石古賀ちゃん、オレがみこんだ・・・っん!・・・だけはあるぜぇっ・・・・」  
 
「・・・ん?」  
何か違和感を感じ始める古賀。  
あれ?過負荷にやられて倒れてたんじゃなかったっけ?それにこれ、治療って言うよりマッサージっぽくない?  
あれ?エロ展開無しとかウソじゃん。あれ?これってエロいの?  
 
名瀬が目をパチッと開けて古賀のほうへ振り向く。  
「・・・ん?どうしたんだ古賀ちゃん?急に手を止められちゃ萎えちまうぜ」  
古賀は腰に当てていた親指を外す。そして、続けざまに名瀬に無表情で問いかける。  
 
「・・・ねぇ?なんでさっき床に倒れてたの?」  
名瀬が「ああ、それか」と答え、さらに続ける。  
 
「昨日から戦挙の文献漁ってて集中して物事とか考えまくってたら、集中力と体力が切れちまってよー  
 床にバタッと倒れてみたら意外と冷たくて、心地いいもんだから寝てたら腰が痛くなっちまったって いててててててててて!!?  
 古賀ちゃん!?何故俺の腰に肘打ち!?」  
 
心配した分を返せとばかりにその後も名瀬へ攻撃する古賀。そこで何かに気づき、ハッと我に返る。  
「まだ1週間あるのにそんなにかんばってるんだ・・・その、今回ってそんなにヤバイ相手なの?」  
「いてて・・・腰に百裂拳かましといて平然と質問するなよ・・・。あー、まぁな。俺に言わせりゃ1週間しか無いって感じなんだが」  
ベッドに腰掛けた状態になって答える名瀬。  
 
「ふーん。じゃあ、なんか私にできることないかな?すごい大変そうだし、何か手伝えることとかないかな?」  
それを聞いた名瀬は、覆面からでも分かるぐらいにバツの悪そうな顔をした。  
そして、ハーッ・・・と一度息を吐いて、決意を固めたように話し出す。  
「それなんだがよー・・・」  
 
「?」  
 
「いやな、これから戦挙に備えて色々と準備する訳だが・・・ 戦挙にゃ危なっかしいものが多くてな。  
 それに備える道具を準備するのに 割と危ない実験しなくちゃなんねぇんだ。 自分自身に関しては  
 守れるんだが、その場にいるその他を守れる自信がねぇ。そこで、ワリィけど古賀ちゃんはしばらく実験室に入らないで欲しいんだ・・・」  
 
言いたくないことを言っちまった、的な感じで周りを見渡す名瀬。そしてもう一度古賀を見る。  
「それにな・・・この1週間で俺んとこに過負荷が来ない可能性も否定できねぇんだ。  
 だから・・・よ?今日から1週間は黒神たちんとこに行って、安全にしててくんねぇかなって・・・」  
大人が子供を諭すように言う名瀬。古賀ちゃん怒るだろうなぁ、とか思っていたが、反応は意外なものだった。  
 
「うんっ!そうだねっ!」  
名瀬は一瞬( ゚д゚ )←こうなった。続けて古賀が話す。  
「人吉の真似は置いといて…まぁ仕方ないってのは私でもわかるよ。。それにそれこそ名瀬ちゃんが私を思って言ってくれてることだし、  
 そんな名瀬ちゃんの思いを無下にする訳にはいかないもんね!!」  
元気に笑顔で答える古賀。 割とすんり受け入れてくれたことに、名瀬はなんだか拍子抜けした。  
さらに古賀は続ける  
 
「人吉のときいなかったのも寂しかったけど・・・でもさ、今回は名瀬ちゃんが戦う訳じゃん? 私の相手をしてたせいで  
 準備が疎かになって、名瀬ちゃんが大怪我とかしちゃったらそれこそ本末転倒だし!ね?」  
「古賀ちゃん・・・」  
そこまで古賀が考えてくれていることに、名瀬は素直に感動した。そして、その嬉しさを胸に押さえつつ古賀に精一杯の返事をする  
「任せといてくれ!絶対に俺はあんな奴らには負けない!たとえ勝てなくとも、勝ってやる!」  
 
 
 
 
「まぁあんなこと言いましたけど、寂しいもんは寂しいんですよねー・・・」  
誰もいない購買でジュースを飲みながら呟く古賀。  
黒神のところに行け、と言われたものの、なんだかフラスコ計画を潰したアイツのとこに行くのは気乗りしないなー とか思いつつうなだれていた。  
他の誰かを頼ろうにも、この箱庭学園で面識があるのは  
 
「高千穂、宗像先輩、雲仙君、都城先輩、行橋先輩、『裏の六人』・・・あとロイヤルちゃん」  
頼りたくなかったり、頼ると殺されそうだったり、親衛隊にブーイングを受けそうだったり、この学園にいなかったり、入院中だったり、現在地が謎だったりと、  
とにかく今の状態では頼れないような人物ばっかりだった。  
「うがー・・・割と私って人脈とかないんだなー・・・」  
そう1人で絶望していると、突然後ろから話しかけられた  
 
「古賀先輩、何してるんですか?」  
ん?と思って古賀が振り返ると、そこには先日戦挙を終えたばかりの善吉が立っていた。  
 
「なんだ人吉か・・・とりあえずジャージの下に裸ってのは結構ダサいからやめたほうが良いよ」  
「なんだとか言わないでくださいよ。・・・なんでみんなこのデビラーな感じがわかんねぇかなぁ」  
(人吉って服装だけじゃなくて発言も割とダサいなぁ)  
そんな事を胸の中にしまっている途中、ある事を古賀は思い出す。  
それはさっき名瀬が言っていた事だ。  
 
「あ、そうだ古賀ちゃん。ワリィけどさ、人吉の事もちょっと見てやってくんね? この俺が治療したんだから怪我のほうはあんま心配ないと思うんだけどよー  
 この1週間アイツの面倒見てやれねーとさ、せっかく俺が鍛えてやったことがまた抜けちまいそうで・・・ 何、特別な事はしなくていいんだ。  
 なんか見てておかしーなーと思ったとこ指摘してくれるだけでいい。ほら、俺の実験とか見てた古賀ちゃんなら なんとなく分かると思うしさ」  
 
異常性を王土に抜かれたとはいえ、古賀は元十三組の十三人の戦闘班だ。ルール無用でいいのなら、格闘のノウハウ等は達人並みに心得ている。  
だから、確かに善吉に教えてやることは可能だが・・・  
 
(だー・・・ 人吉と一緒にいると黒神に会いそうだしなぁ)  
フラスコ計画云々はあれど、実際別にめだかの事が嫌いな訳ではない。だが普通に接する分には少々おせっかいすぎるところがあるのだ。少し気が引けてしまう。  
ついていくべきか、いかないべきか、頭の中でぐるぐる回ってたところ、急に善吉が遠くを見ながら、独り言らしきものを語りだした。  
「修行しようにも師匠は書記戦に向けて準備中だし、めだかちゃんは1人で擬似凶化合宿を決行しようとするし・・・困ったもんだなぁ」  
それを聞いた古賀は、購買のイスから立ち上がり 机に手をバン!と叩きつけて話し出す。  
 
「え?黒神と一緒になんかするんじゃないの?」  
予想外に変な部分で返事が来た善吉は少し驚きつつも、目を閉じて額に手を当てて説明を始める。  
 
「いやぁ、俺もそのつもりだったんですけど・・・どうやらめだかちゃん、今回に関しては自分が見えてないようなんですよ ほら、俺が死に掛けたこともありますし。  
 生徒会長として周りには気を配ってるようですけど、そうして周りに気を配ってる分、余計自分に気が回ってないんですよ。そのせいで  
 俺と一緒に修行したほうが効率良いとかそんなんも判断できてないようです。」  
 
「いつも冷静な黒神にしては珍しいね」  
「そんだけ今回に関して責任を感じてるんでしょう まぁ無理もないですが・・・」  
 
腕を組んで諦めたようにため息をつく善吉。  
善吉にしてみれば都合が悪いことこの上ないのだが・・・  
(やった!これで頼れる奴が見つかった!黒神もいないし、人吉なら過負荷も追っ払えるだろうし!私的にはバッチリなタイミングじゃん!)  
古賀にしてみれば都合がいいことこの上無かった。  
「あのさー、人吉.....」  
そうして古賀は説明を始める。  
 
(中略)  
 
「....という訳なんだよ」  
「あー・・・そりゃ大変ですね。 まぁ、俺としては見てもらえる人ができたって事で好都合ですけど・・・めだかちゃんとかいなくて大丈b  
 
「大丈夫大丈夫!ぜんっぜんダイジョブ!」  
「?・・・・ま、まぁ古賀先輩が良いって言うならいいですけど」  
一通りの説明を終えた古賀。せっかく安息を手に入れたのに、ここで黒神が入られちゃたまらないとばかりに めだかの介入を阻止しようとする。  
 
「で、人吉はこれからどーするの?」  
これから善吉と行動を共にする。ということは、善吉の行動=自分の行動だ。どうしても確認しておきたい。  
「そーッスね。今から体育館にでも行ってさっそく修行しようかと。今日から1週間 部活もありませんし、体育館には備品もたくさんありますし  
 今日は1日中それですね。 まぁおそらく書記戦まではずっとそれですよ。」  
腕のストレッチをしながら善吉は答える。  
 
「じゃーこれから1週間のほとんど体育館かー。どの道暇なんだなー」  
憂鬱だ、と言わんばかりの顔をする古賀。  
「ハハッ まぁ話し相手ぐらいにはなりますよ」  
それに対し、江迎ぐらいならコロっと行ってしまいそうなイケメンスマイルで答える善吉。  
 
(・・・人吉と話すことってなによ)  
しかし、古賀ちゃんにフラグは通用しない。  
 
 
 
 
「よーし...それじゃ、始めますか!」  
体育館にて サンドバックを用意し意気込む善吉。服装はいつもと違うがセンスが悪くない。たぶんボクシング部にもらった部員用のトレーナーとかそんなん。  
「…」ズズズ  
やる気マックスな善吉に対して、生徒会室から持ってきたのか、コーヒーセットでコーヒーを入れて ボーっとコーヒーを飲んでいる古賀がいた。  
ついでに体育倉庫に押し込めてあった折りたたみ式の机と椅子も引っ張り出してきたようだ。  
「…えーと」  
 
「気にせずやりなよ。何々、見てるって言っても名瀬ちゃんみたいにキビキビする訳じゃないし。ちょっとおかしいと思ったところをアドバイスするぐらいかな」  
対応に困っていた善吉に「まぁがんばりなよ」とばかりに声をかける古賀。顔は幼けれどやはり上級生。余裕が違う。  
「えーと、じゃあとりあえず サンドバックに打ち込みでもやるかな・・・」  
そういって構える善吉。その様子に古賀が驚き、声をかける  
 
「ちょっ! 足技メインで手を使う技が少ないったってグローブ付けないと危ないよ!そのままやったら、拳の骨が折れるかも知れないよ!?」  
慌てる古賀に、善吉は振り向かずに答える。  
「・・・実戦で、グローブを付けてる暇もなけりゃ意味も無いですよ。大事なのは、どれだけ的確に相手にダメージを与えるか、です」  
 
「・・・そう、だよね」  
善吉の真剣味のこもった声に気圧される古賀。 自分も戦っていた身とはいえ、やはり言葉にして「戦う」ということを考えると、何か胸の奥深くに突き刺さるものがある。  
しばらくの間、沈黙が通る。  
そのとき、善吉が  
「っと、なんかしんみりした感じになってすみませんでした!わざわざ見ていただいてるのに」  
と、途端に振り向いて申し訳なさそうな笑顔で話す。古賀はそんな善吉のあまりの変わり身の早さにプッ、と吹き出す。  
 
「いやいや、いいんだよ。球磨川と戦った後に 身構えない方が異常なんだから。ささ、そんなことより、早くはじたほうがいいんじゃない?」  
「…はいっ! よろしくお願いします。」  
善吉が満面の笑みで答える。  
 
 
 
しばらく体育館は 善吉がサンドバックを叩く音のみが響いていた。  
古賀が飲んでいたコーヒーもなくなり、善吉はなぐり蹴り、古賀はそんな善吉を見つめる、というなんとも不思議な空間が出来上がっていた。  
別にその状態を保持していても何の問題もないのだが、そのとき古賀の頭に善吉の「話し相手になる」という言葉が頭をよぎった。  
そしてフラスコ計画、戦挙を見ている限りでは どうやら生徒会のメンツは話しながら戦うのが好きなようなので、古賀は遠慮などという言葉が頭から飛んでいた。  
そんなわけで話しかけてみる。暇だったし。  
 
「人吉ってさぁ…なんか趣味とかないの?ほら、モデルガンとか持ってるんでしょ?」  
善吉は一瞬、古賀に視線をやってすぐにサンドバックに視線を戻す。  
「あれは趣味じゃないっすよ。必須事項だからやってるだけで。」  
古賀はそれを聞いて一瞬キョトンとした顔になり、フーとため息をつく  
「あんたさー… 黒神を守りたいのは分かるけどぁ、必須事項は無いでしょ。流石にこの平和な日本で銃撃つ人なんて」  
「いますよね」  
「いるよね。バズーカも撃つね。」  
箱庭学園に法律は届かない。  
 
「それじゃ、古賀先輩は何か無いんですか?やっぱ女の子なら何か1つぐらい熱中できることあるんじゃないですか?」  
サンドバックを殴りながら善吉が言う。  
「そーだねー。割と熱しやすく冷めやすいタイプだから、特定の趣味とかはないかなぁー。名瀬ちゃんも大体そんな感じだし」  
古賀もそれとなく答える  
「あれ?特撮とか好きなんじゃないんですか?」  
これを聞いた古賀がピクッと反応する  
 
「特撮っ!?特撮は趣味なんてもんじゃないよ!むしろ私の本職!趣味って言われたから言わなかったけど、もしこれも私の趣味に入るなら  
 しゃべりまくっちゃっていいのかな!?いいよね!やっぱね、いつの世代でも初代ってのは頂点にあると思うんだよ!んでね....」  
 
一方的にしゃべりまくる古賀。普通の人間なら変なスイッチを入れたことを後悔するところだが、ここは聞き上手善吉。  
「なるほど… 俺も平成派で昭和ライダーにしばらく手を出してなかったんですが、やはり平成とは違う引き締まりがありますね  
 いろいろある昭和ライダーの中でも、俺はV3が一番好きなんですよね。やっぱ特撮っていえば...」  
 
聞き上手ってか多趣味過ぎるだけかもしれないやばい。  
 
 
「割と人吉ってわかってるねー!さすがの名瀬ちゃんでもここまで話せないよ!」  
時は夕暮れ。善吉は修行しながら、古賀は本腰を入れてライダーについて話し合った結果、あっという間に時は過ぎてしまった。  
「ちっちゃい頃からそういうのは大好きだったんで。俺もここまで語れる人に会えてうれしいっすよ」  
互いに笑いながら 道を歩く。二人とも帰路についている。ちなみに善吉の家は少し違う方向なのだが、送ってる感じ。そんな感じ。  
 
「あー…そういえば、明日どうします?」  
その善吉の一言を古賀は一瞬理解できなかった。何故そんなことを聞くのか。  
 
(あっ…そうか。別に明日とかは学校に行く必要ないんだよね。もともと夏休みだし)  
別に行かないならいかないでいいはずなのに、何故か「行かない」という選択肢に抵抗がある古賀。  
善吉と古賀の間に沈黙が走る。その沈黙に焦り、古賀はふと名瀬の発言を思い出す  
 
「そ、そういえば名瀬ちゃんが 『書記戦の間は人吉の修行のコーチになってくれ』って言ってたなー」  
少し盛って話す古賀。  
「でも過負荷とか怖くないですか?別に、無理しなくても俺は1人で頑張りますよ。師匠にも俺がちゃんと説明しますし」  
善吉は少し心配そうな顔をする。善吉の性格だから、本当に過負荷に襲われる古賀が心配なのだろう。古賀もつられて心配になったが、こうなったら意地だ。  
 
「でも名瀬ちゃんに頼まれたことだし、十三組の十三人の名にかけて約束は守らなきゃ! 人吉が鈍ったら生徒会だけじゃなくて学園のみんなが困るし!」  
古賀の口調がかなり必死になる。そんな必死さに押されて善吉も 思わず 「わ、分かりました」と承諾してしまった。  
 
ってなやりとりをしているうちに古賀宅へ着いた。家は普通の極み。普通の家。普通すぎて逆に普通。  
「送ってくれてありがと。流石にここまで来たら大丈夫でしょ」  
さわやかな微笑みで髪を上げながら言う古賀。少し大人っぽい仕草に善吉がドキっとしたかどうかは 今後の展開読んでから勝手に自己完結しやがれ  
「えーと…じゃあ明日、迎えにあがりますね!」  
誤魔化すように言った善吉だが、古賀が高千穂顔負けの反射で返事を返す。  
 
「うぇっ!?ど、どうして?」  
その反応が意外だった善吉は ちゃんと説明を始める。  
「えーと…だって過負荷がいつ来るか分からないでしょう?登校しているときにないとも限りませんし…というより、今まで1人で来てたのが危なすぎると思うんですが…」  
「・・・そ、そういやそーだよね! えーと、じゃあ時間とかどうする?」  
理由に納得し 仕方ないなとばかりに承諾する古賀。善吉は一度考える仕草をした。  
「それじゃ、明日朝9時に古賀先輩の家の前に来たらメールするんで、そっから出てきていただけますか?」  
「OKOK!朝九時だね。それじゃ、また明日ね!先輩を待たせるようなこと、するなよ?」  
といいつつ家の中へ向かう古賀。  
「ハイ!明日もよろしくお願いします!」  
それに応えて、善吉のいい返事が響いた。  
 
 
 
50mほど後ろの電柱から、制服の男が笑いかけていることも知らずに。  
 
 
 
 
 
 
それから5日間、毎日 同じ繰り返しが続いた。  
善吉が古賀を迎いに上がり、学校へ行き、体育館で修行、帰宅の繰り返しだ。  
古賀と善吉はもちろん仮面ライダー以外のことも話した。時には学園であった面白い話や、時には自分の過去についても。  
まぁもちろん善吉への戦闘的アドバイスもあるのだが。  
そんなこんなで、二人しかいない体育館で 二人は急激に仲を深めていった。  
 
そして、書記戦前日。  
 
(9996...9997...9998...9999...)  
まるで冥加のような思考だが、これが冥加な訳ではない。  
この思考は善吉がパンチの数を数えてるアレだ。アレってなんだ。  
今日善吉はサンドバックにパンチを打ち続けている。横からだったり、正面だったり、時には上から殴り下ろしたり、時にはアッパーのように殴り上げたり。  
これだけ打てば常人なら相当な時間がかかるが、善吉の本気パンチは一発一発が早く、また休憩も挟んでいないため、それほど大きな時間がかかることは無かった。  
 
今日は古賀の提案で、1万パンチを打っているところだったのだ。  
どうやら善吉のパンチに違和感を感じるので それをつかみたいとのこと。  
 
そして、最後の一発に全力を込める。  
「いちまんっっっっっ!」  
1万回の最後の善吉の全力パンチのドォン!という音が体育館内に響き渡る。  
 
「・・・ふぉぉっ!?」  
頬に手をつけて寝ていた古賀の目が一気に覚める。5000ぐらいまでは見ていたのだが、やはりそんな集中力が持つわけがなく…  
 
「にゃに!?きゃふきゃ!?」  
突然の爆音に驚き、舌も回っていない。  
「あ、すみません!・・・あれ?もしかして、寝てたんですか?」  
一度謝ってから 疑う目で見つめる善吉。寝起きで焦っていた古賀は、そこでなんとなく意地になってしまった。  
 
「ねねね、寝てないゅっ!やだなぁ、ちょっとびっくりしちっただけだよ!」  
口元からヨダレが垂れ、頬に赤い拳のあとが付いてることにも気づかず。  
 
「・・・(絶対寝てたよなぁ。でもま、半分位までは視線感じたし・・・途中まで見てくれてるハズだよな)」  
「じゃあ、何かアドバイスとかありませんか?」  
本当に見てたのかなぁと、ばかりに心配そうに見る善吉。しかし実は5000発目まででちゃんとアドバイスポイントをまとめていた古賀は、焦ることなく得意げに答える。  
 
「そうそう!それなんだけどね、人吉ってキックは完璧なんだけどパンチが大振りすぎるところがあるの。それで....」  
自身も殴るジェスチャーをしながら解説を続ける古賀。それを真似する善吉。  
「そうそう、そんな感じそんな感じ。ちょっとそれで殴ってみて」  
 
 

 ∧_∧        
 ( ・ω・)=つ≡つ ←善吉  
 (っ ≡つ=つ  
 /   ) ババババ  
 ( / ̄∪  

 
 
「うーん…なんか違うなぁ…もっとこう… 理想的にはこういう感じで…えーと… ああもうじれったい!」  
うなー!と 勢いよく首を振り回す古賀。  
「!!  そうだ!!」  
 
何かいいことおもいついた!と善吉の後ろに回る古賀。  
ふにゅ。  
「!!?!?!?!」  
「ここはこうやって引き締めてね、突き出すように」  
ふにゅふにゅ  
「・・・!?!!?!」  
 
何を善吉が焦ってるかって、そらまあ善吉じゃなくても焦らざるを得ない状況にいるわけで。  
古賀が善吉にわかりやすく教えるために 善吉の後ろに回り、後ろから抱きつくように自分の両手で善吉の両手を掴んだのだ。  
 
つまり、古賀の豊満な胸が善吉の背中に当たる訳で。  
 
(ぬぉぉぉぉぉぉ こんな不埒なことに反応するな俺!!これは古賀先輩の俺に対する信頼あってのことで・・・)  
頭の中で煩悩がグルグル回りまくる善吉。それに対して古賀は純粋に善吉の戦闘をサポートする。  
 
(集中しろ集中集中集中集中集中・・・・・・)  
 
そうしているうちに 急にササッ と古賀が離れた。  
善吉が疑問に思って古賀を見ると、古賀が顔を青くして口を開け、善吉を指さしている。  
そして、善吉の顔を指差して小さい声で言った  
 
「な・・・なにその鼻血・・・」  
善吉の鼻から真っ赤な液体が垂れてる  
善吉からササッーっと血の気が引いた。鼻血はポケットに入れてたティッシュでふき取る。  
(やばい、やばいぞ!これはバレるとこれからの俺の信用とプライスレスにかかわる!なんとか、なんとか誤魔化す方法は・・・)  
 
古賀の胸は中々でかい。過去の話を聞くにどうやら体のあちこちを 名瀬にパワーアップさせられたようだ。  
胸も例外でないだろう。Fはいくであろうその胸は 感触を想像するだけで柔らかく、善吉の想像を膨らましていくには出来が良すぎた  
めだかと比べても負けてはいないだろうその胸は、今も古賀の首の下で静かに揺れて――――  
 
古賀の顔が一気に赤くなった。  
 
「ひっ!ひとよしのヘンタイっ!」  
 
そりゃ↑みたいなことを考えてたら自然と視線は胸に行くわけで、その視線により、  
もともとはノーマルであっても、頭が悪い訳ではない古賀は どういうことか気づく訳で。  
 
「こっちはただ教えようとしてるだけなのにっ! 話も聞かずにそんなことばっか考えてたんだねっ!」  
「ち、ちがっ――――」  
「違わないでしょう!?この乳感鼻血野郎っ!!」  
 
真っ赤な古賀に真っ青な善吉。  
意味不明なことを言う古賀と弁明する善吉のその様子は まるで微笑ましいバカップルのようで。  
 
「…」  
あの後、しばらく声を出した古賀は、今、善吉と向かい合って座っている。ちなみに座っているのはあの折りたたみ式の机だ。  
何故向かい合っているかって、説教かますためな訳で。  
「あのー…」  
「なに?」  
「…」  
顔は可愛いといえど、やはり元「十三組の十三人」。本気で威圧すれば善吉でも圧倒される。  
善吉は申し訳ない気持ちでいっぱい、頭の中はおっぱいでいっぱい。  
というのは冗談だが、とりあえず方向は全力で謝るほうに向けることにした。  
「本当に申し訳ございませんでした!!!!」  
机なので土下座は見えないと思い、机に手を付き精一杯頭を下げた。  
 
「…」  
古賀は黙ってはいるが 雰囲気から刺々しいものが消えた。どうやらちゃんと善吉の誠意は伝わったらしい。  
 
「んー。まぁ正直 私が悪いようなもんだしねー。意識せずに後ろに回っちゃったから」  
頬をかきながら今度は古賀が弁明するように言う。  
 
「それでも離れもせず感触を楽しんでいたのは許せないけど・・・ま、今回はおあいこって・・・こと・・・で・・・」  
話している途中で、急に古賀がどもり出す。顔も驚いたような顔だ。  
「・・・?」  
古賀の視線はある一点に注がれている。 見たまんま止まっているので、その視線の先を善吉が探ってみると、それはどうやら善吉の手の甲のようだった。  
「・・・?俺の手がどうかしたんですか?」  
善吉は心底疑った感じで声をかける。古賀の意思を全然察することができない。  
古賀は驚いたような顔のまま大きく声を放つ。  
 
「こ、拳が大変なことになってるじゃん!!?それ、怪我なんてもんじゃないよ!?」  
へ?と不意を突かれた善吉は自分の手を見つめてみる。 今までずっとだったから疑問にも思わなかったが、確かになんかボロボロになっている。  
見た目だけでもかなり痛々しい。  
「あ、あぁこれですか。そんな大きな怪我でもないっぽいんで気にすることは―――」  
 
「ちょっと待ってて!」  
「はいっ!」  
話を軽く流そうと思っていた善吉は、慌てた声で大きく叫んだ古賀に怯んでしまった。  
古賀は体育倉庫のほうに走って入ると、「こっちだったっけ!?こないだ見たんだけどな…」とか叫びながら何かを探し回る。  
「あ、あのー…」  
善吉が何か言おうとした途端、  
 
「あった!!」  
古賀の発見声が聞こえた。  
その後、体育倉庫から両手で何かを抱えた古賀が走りながら出てくる。  
「救急箱・・・?」  
古賀が抱えているのは少し大きめの救急箱だった。  
古賀は座っている善吉の横に救急箱を置いた。救急箱を開いて中身を確認すると、善吉に向かって命令(?)する  
「手を出して!」  
「はいっ!」  
またも怯んで古賀のほうに向き直る善吉。今度は抵抗の余地も無しだ。  
 
 
 
 
「・・・もう、どうしてこんなになるまでほっておいたの?私がやれって言ったっていったって、自分で加減とかできるでしょ?」  
善吉の手に包帯を巻きながら説教を始める古賀。善吉が足を開けているので、椅子に座っている善吉の真ん前に古賀が跪いている形になっている。  
「い、いやー…宗像先輩とか球磨川のときに比べりゃこれぐらいどうってことは・・・」  
善吉の目が泳ぐ。  
 
「あるじゃない。なんか形が変だよ?・・・もう、いくら足がメインっていったって、手が潰れたら実力は半減なんて話じゃないんだよ? 修行効率だって悪くなるし」  
古賀の説教はまだ続く。  
 
「はい次右手。 …そりゃ、強くならなきゃって 焦るのは分かるけどさ」  
古賀の包帯もまだまだ続く。  
 
「焦りすぎて体壊しましたーなんて本末転倒だよ? それに、もう人吉はこの戦いの間は戦わなくていいんだしさ」  
ぐるぐるぐるぐる巻き続ける。  
「…もう戦わなくていいってことは あいつ等に限ってありませんよ。」  
急に善吉が真面目な声を出す。  
 
「・・・そうかもしれないけどさ、」  
包帯を巻き終わった古賀は、善吉の顔を見上げる  
「俺は、あいつ等と戦い続けなくちゃいけないんです、いつまでも。それが箱庭学園生徒会の仕事で、義務なんです」  
善吉も古賀を真っ直ぐに見つめる。  
「「・・・」」  
しばらくの沈黙が生まれる。  
(ぬぉっ!変にカッコつけちまった・・・)  
 
善吉は自分の辛気くさくなりすぎた発言に少し後悔する。そして、結局沈黙に耐え切れなくなった善吉は 軽い調子で声を出す  
 
「と、とはいえ流石に体を壊すわけにはいかないですよねっ!!ハハ、いやーわざわざ 治療までしていただいて何かすみません!!」  
急に明るい声を出されてビックリする古賀だが、善吉の意図を察して 古賀も釣られて笑う  
「んーまぁ 頑張りすぎは良くないってことだよ! とりあえず、しばらくは安泰にね!じゃないと、私みたいになっちゃうよ!心臓貫かれたりして!!」  
そしてしばらく二人で笑い続けた。  
 
で、落ち着いた頃に 自分達の体勢がどうなっているか気づく。  
 
「・・・・(!?)」  
股を開けて座っている善吉の前に 古賀がかがみ込んでいる形。  
これで卑猥なことを妄想しないほうがおかしい。よって二人は正常だったということになる。  
だが、それを意識して離れるのもなんだかおかしい。  
「「・・・」」  
さっきとは違い、本格的で、しかも恥ずかしく気まずい空気が二人の間を離れる。  
 
そして、それを静かに覗き込んでいる1人の制服男がいた。  
 
『あらヤダー。二人とも健全高校生の不健全な取り組みに 参加しようとしてるじゃなーい』  
『なんとなく会長戦で 改心させられそうな気がしたから、運命を変えようと 古賀ちゃんと善吉ちゃんをくっつけてみたけど』  
『予想以上にこうかはばつぐんだ!』  
『さぁて、そろそろ二人の関係にフィニッシュをかけようか!!へい!』  
 
『運命を変えるために 僕がこのお話のはじめにしたことは こうだ』  
『善吉ちゃんと古賀ちゃんの関係を、本来とはかけはなれた「大嘘」にする』  
『そして二人の心の距離を なかったことにする』  
『つまり、これから善吉ちゃんがめだかちゃんとくっつくという将来を』  
『な か っ た こ と に し た』  
『なんか本編と効能が違うって?気にスンナ、こまけぇこたぁいいんだよ!』  
『そして今から僕が何をするかって?』  
『二人の理性を一定時間、なかったことにする』  
 
『もちろん、なくすのは性欲の理性だけだ』  
『さぁ、観客のみんなも、僕も、善吉ちゃんも古賀ちゃんも』  
『レッツパーリィィィィ!!!!!!』  
 
『It's!! all fiction!』  
 
「・・・!」  
善吉のズボンがテント状にふくらむ。当然善吉は慌てる  
(やべぇ、やべぇやべぇやべぇ!!! さっきのヤバさの比じゃねぇ!古賀先輩が目の前にいるのにふくらましちまった!!)  
古賀はもちろん、ふくらんだ善吉のズボンに気づき、それをじっと見つめる。  
(もうバレてる絶対!!・・・・あぁ・・・くそぅ、うわあああ…なにか、なにか大切なものを失ったぁ・・・)  
イキリ立った息子とは裏腹に、座り込む善吉のテンション。色々な事を覚悟した。  
しかし、出てきた古賀の言葉は 善吉の予想とはかけ離れたものだった。  
 
「・・・ねぇ、苦しくない?」  
「へ?」  
ドン引きされてるものだと思った善吉は、むしろ心配したような 古賀の言葉に驚きを隠せなかった。  
 
「こんなにズボン張って…苦しくない?」  
いや、この声色は心配と言うよりか・・・  
 
「苦しいなら、私が楽にしてあげようか?」  
誘っている。古賀が、善吉を誘っていた。当然、善吉は戸惑う  
(うへぇ?何この状況… そ、それに…上目遣いでその言葉は卑怯ですよ先輩…)  
そしてハッ、と何かに気づいたように善吉は頭の中で否定する  
(駄目駄目、駄目だ!!俺にはめだかちゃんが…)  
「お願いします」  
あくまで頭の中だった。  
 
「・・・じゃあ、ズボンとパンツ降ろしてくれる?」  
「はい」  
誘った声色のまま善吉に言う古賀。そして、さっきまでの 否定はなかったことにされたかのように素直に従う善吉。  
座ったままで善吉がジャージのズボンを下ろし、ためらいもなくパンツも降ろした。  
ブォン!と勢いよく善吉の性器が振るわれる。  
「ふぉっ」  
その勢いに古賀が少し驚く。善吉はズボンとパンツを足から外す。  
「・・・ふぉぉ」  
善吉の性器を、不思議なものでも観察するようにじろじろ見る古賀。  
 
「実物を見るのは初めてだけど、割となんか大きいね・・・」  
サラッと処女発言。  
そして、覚悟を決めたようにつぶやく。  
 
「じゃ、じゃあはじめるね…」  
と言いながら善吉の息子を掴む。が、そこで停止したまま動かない。  
「?」  
戸惑っているのかな、と善吉ははじめに思ったが、古賀の様子を見るとそういう訳でもなかった。  
戸惑っているというよりか、何をしていいのか分からない、といった顔だ。  
そこでフォロニスト善吉の上手いフォローが入る。  
「とりあえず、ナメたりしてみてくれませんか?」  
 
「う、うん」  
今度は善吉に素直に従う古賀。一瞬動きが止まったが、突然はむっ と善吉のご子息を口にくわえた。  
そして下で先っぽを転がす  
「・・・くっ・・・!」  
苦しそうな声を出す善吉。それを古賀は心配する  
「ら、らいようぶ?(だ、だいじょうぶ?)」  
「へ、平気ですよ。それに、自分でするより圧倒的です。でも、この気持ちよさはある意味兵器だ・・・」  
と、わけのわからない供述をしながら善吉は悶える。  
 
そんな善吉をみた古賀にスイッチが入る。  
 
「えーえ、ほほはひもひひぃんは…(へーえ、ここが気持ちいいんだ…)」  
今までのほんわかした古賀のムードとは裏腹に、Sっ気あふれる古賀が聞き取りにくい声で言う。  
 
そして、古賀の舌の動きが止まる  
 
突然快楽を止められた善吉は 遊んでいたおもちゃを突然取り上げられた子供のような表情になる。  
そうしていく内にも善吉の快感度が下がっていく。  
「こ、古賀先輩・・・なんで・・・」  
 
そういった途端、古賀が超絶的なスピードで舌を回し、善吉のせがれをダイソンもびっくりの吸引力で吸い上げた。  
「ぬぁっ!・・・んっ・・・!」  
止められた後に急激に吸われたことで、さっきまで止まっていた快楽が一気に復活する。善吉も声を出さずにはいられない  
 
「ふふふふ… もほはーひぃーんはーひぃーほ、はへはいへほへ(ふふふふ…もと十三組の十三人をなめないでよね)」  
「んぐっ・・・!がぁ・・・!」  
あまりの気持ちよさに童貞の善吉が悶えすぎて声が出ない←サラッと童貞宣言  
そして、善吉も限界になる。  
「こがっ・・・先輩っ!もう出ますっ!」  
 
瞬間、古賀が動きを止める。  
 
今度は最高潮の興奮を止められた善吉。当然、こんなところで止められて、満足できる訳がなく、自分の手でしごこうとする…  
が、古賀は善吉のムスコから顔、つまりは口をどけない。  
善吉が戸惑っていると、古賀はゆっくり善吉の御子息を口からゆっくり抜き取る。そして代わりに手で軽く握る。  
 
「ふふふ… 人吉、どうしたの?そんなもの欲しそうな顔して」  
いつもの古賀からは想像できない、とてもSッ気溢れた表情で尋ねる。  
「そ、それは…」  
どもる善吉。  
 
「ハッキリ言わないとわかんないなぁ…」  
舌なめずりしながら善吉を真っ直ぐ見つめる古賀。善吉は思わず目をそらす。そんな状態で、古賀はあることを思いつく。  
 
「…そうだ! …ねぇ人吉、私今から手を離すからさ、その間…絶対に触っちゃ駄目だよ?わかった?」  
「・・・は、はい」  
そう言って古賀はゆっくり握っていた手を離し、立ち上げる。善吉は、手を離す瞬間を見た後、顔を上げて古賀を見つめる。  
古賀は手をクロスさせて上着を掴むと、それを一気に上に引き上げた。つまり上着を脱いだ。  
たゆん、とブラジャー越しに古賀の豊満な胸がゆれる  
「・・・!」  
それを見た善吉は せがれに触りたい衝動がさらに増す。しかし、努力根性我慢でなんとか貫き通す。  
そのせいか、善吉の顔が歪む。  
 
「ふふ…」  
いたずらっぽく古賀は笑うと、背中に手を回す。そして、プチッという音が聞こえたかと思うと、ブラジャーが外れた。  
締め付けられていた古賀の胸が開放され、さらにたゆん、とゆれる  
 
(ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっぉ!!!!!)  
触りたい衝動とかそんなレベルじゃない。アレだ、アレってなんだ  
根性我慢でなんとか通る。しかしもうハッキリ言って耐えられないレベルだ  
さらに歪む。  
 
善吉がそんな状態な中で、古賀は今度はパンツに手をかける。そして、スカートを付けたまま、パンツを一気に降ろした。  
 
スカートがふわりとゆれる。心なしか古賀の顔も少し赤い。そして、パンツを宙に投げる  
(えんだあぁぁぁぁァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)  
善吉の頭の中は耐える耐えないの話ではないはず。だが、我慢でなんとか通すことがギリギリできた。  
ごめん、やっぱできなかった  
「はああっ」  
善吉は一気にムスコを上下させる。恍惚の表情で。  
だが古賀がそれを許さない。古賀の顔が真顔になる。  
古賀は善吉の睾丸に手を回す。まぁハッキリ言ってキンタマ掴んだ。  
「!!」  
 
「ひとよぉし〜 私の言う事が聞けないなら、どぉしよっかなぁ〜 私って握力だけはあるんだよね〜久々に測定したいな〜」  
善吉の顔が一気に青ざめる。そして勢いよく手を離す  
古賀は満足そうな顔で善吉を見る  
 
「やっと手を離した?よしよし、よくできたね…じゃあ、そのまま 仰向けに寝転がって?」  
古賀は命令口調で善吉に言う。善吉は素直に無言で従った。  
そして善吉が地面に座り、足を伸ばし、仰向けに寝転がった。その瞬間、  
「ぁぁっ!?」  
 
「やだなー 人吉ぃ。踏まれたぐらいで何良い声出しちゃってんの?」  
古賀が善吉のムスコを踏み付けた。そしてそのまま踏み続けた。  
「ん・・・ぐぁっぁ?!」  
 
「人吉ってば、これで感じちゃうなんて、割とMなんじゃないの?」  
ぐりぐり、と足で善吉の御子息を押さえつける。今までで、1番ドSな顔で古賀が言う。  
 
「どうしたい?どうされたい?…しゃべらないなら 分からないしやめるしかないよね」  
古賀がゆっくりハッキリ言う。と、善吉が焦りだす。  
「え、えーと…その…なんと言いますか…」  
その様子を古賀はニマニマと見つめる  
「えーと…あの… ってふぐぅっ!!」  
が、さすがにじれったくなったのか、さらに踏む力を強めて見下すように善吉に言う  
 
「さぁ、早く! わたしに、して欲しいの?欲しくないの?」  
さらにぎゅうぎゅう、と踏みつけられる  
「ん、がっ!」  
善吉は一度苦しそうな声を出す。が、意を決したのか古賀に向けて視線を合わせる  
「・・・・さい」  
 
「え?なんて?聞こえない」  
古賀は耳に手を当てて おちょくるように聞き返す  
 
「そのまま続けてくださいっ!!」  
 
「・・・・ぷっ」  
あ〜っはっははっは!!と腹を抱えて笑う古賀。しばらく笑うと、善吉に向きなおす。  
 
「ははははは…ひ、人吉ってホントにMだったんだね…はははははは、あーおかしいwww」  
散々笑われて流石に堪えたのか、善吉が目をそらす。  
そして、そのタイミングを見計らったかのように 古賀が善吉のムスコを強く踏みつける。  
 
「じゃあ、望みどおりにしてあげるよ」  
そ〜れ、ぐりぐり、と色々な攻め方をする古賀。善吉はたまらない。  
「んっ・・・ぐっ・・・!」  
一見苦しそうに見える・・・が、実はかなり恍惚の表情だ。  
 
「あはっ 靴越しでも分かるよ! もう、出そうなんでしょ?」  
古賀が見下した笑顔で言う。善吉は感じながら、無言でうなずく。  
 
「ははっ!じゃあ、思いっきり出していいよ!さぁ、ほらほら!!」  
「うぅぅっ!出ますっ!!」  
最後のとどめとばかりに 強く踏むと、それに答えるように善吉のムスコから白い液体が勢いよく飛び出た。  
 
「っ!きゃっ!」  
善吉の御子息の真上にいた古賀に、善吉の数億の子供がふりかかる。  
善吉は「やってしまった…」とばかりに口を開けて震えているが、精子は止まらない。  
善吉の精子が出終わるころには、古賀の顔面まわりにはべっとり付いていた。そして、古賀が3歩ほど下がる  
善吉はいろいろとこれからの恐怖を覚悟した。が、古賀の反応は意外なものだった。  
 
「はぁ〜…」  
今度は古賀が恍惚的表情を浮かべると、右手の人差し指の先っぽで頬に付いた精子をふき取り、それを口の中に入れた  
善吉はそれに驚いていた。だが、古賀はそんなの関係なく、他のもふき取って嬉しそうに舐めていく  
 
「・・・んぱっ ほぁ・・・」  
そして、指先にまた1つ精子を乗せながら、一言告げる。  
 
「これが、人吉の味かぁ…(ペロッ)」  
それは、ゴングを鳴らすには十分すぎる合図だった。  
 
「古賀先輩ぃっ!!」  
「きゃっ!」  
善吉はそこから一気に立ち上がると、古賀の肩を掴み、優しくも激しく床に押し倒した。  
どうでもいいが同時にニット帽も落ちる。  
「すみません、俺、もうこれ以上我慢できません!」  
善吉が切羽つまったような表情で古賀の目前に迫る。最初古賀は驚いていたが、そこから一転落ち着いた表情になると、善吉に優しくこう告げた  
 
「いいよ。人吉の好きにして。」  
 
善吉は勢い良く古賀にキスをした。してから舌も口の中へ挿入する。  
少し苦い味がした。おそらく自分の精子の味なんだろう。だが、そんなことはおかまいなしだ。  
 
「んっ・・・むぅ・・・ぷぁ・・・」  
そして口と口のつながりが解かれる。古賀は少し寂しそうな表情をする。  
が、善吉はそんなことおかまいなし、とばかりに古賀の下半身へ口を移す。そして、一度古賀に目配せをすると、表面から優しく舐め始める  
ちなみにスカートを取らないのは書いてる私の趣味です。気にしないでください  
 
「あっ!ぁぁぁ…!んぐっ!!ぁっあぁ!」  
善吉の優しくもくすぐったい愛撫に、さっきと立場が逆転した古賀は快感を隠せない。  
善吉は舌を少し挿入しようとする。が、キツキツでとてもじゃないが入りそうに無い。  
ということで、善吉は指をあてがい、ほんの少し古賀の秘部に挿入した。  
 
「ひあぁああぁっ!」  
古賀の腰がビクン!となる。だが善吉は続ける。  
「んぎぃぃっ!」  
 
古賀が目をつぶって感じ続ける善吉の頭に手を当てて引き離すようなポーズをする。だが、実際は引き離せていない。ただ手を当てているだけだ。  
しばらく指でかき回した後、今度は舌を秘部へ挿入する  
 
「んっ!んっ!ああぁっ!」  
舌が入って腰がビクビク震える古賀。善吉はそれを楽しむように続ける。  
が、勢いよくやりすぎたようで、古賀のほうは限界が来てしまった。  
 
「ひっ、ひとよしぃっ!もうダメっ、わらし、わらしいくっ、いくぅぅう!」  
それを聞いた善吉は一気に舌のスピードを速める。  
古賀はその勢いに耐えることなどできなかった。  
 
「ぁぁあああぁぁぁぁぁぁあぁあっ!!!」  
ヨダレを垂らしながら笑顔で昇天する古賀。それを見た善吉は一度ゴクリと喉を鳴らすと、自分の息子を古賀にあてる。ちなみに入れば正常位だ。  
古賀は快楽でほとんど意味がわかっていないながらも、善吉がしようとしていることだけは理解した。  
 
「ひょ、ひょっと待ってぇ!まだイッたばかりだし、は、初めてなんだからその、心の準備とか…」  
善吉は古賀の話など聞こえていない。そして挿入し始める。だが、それでも優しく、少しずつ古賀の中へ挿入していく。  
 
「んぐぅぅぅぅぅぅ!」  
そして奥まで入る。少し古賀は顔を苦痛の色にゆがめた。秘部からは血が出て、眼も涙目になっている。  
そして、そんな状態で 眼をカッ!と見開き、善吉をにらみつける。  
そこで善吉は少し古賀に怖気づく。だが「ああ、これは何か命令されるな」と直感していた  
そしてその直感は当たることになる。  
 
「今、私たち、繋がってるんだね…」  
「…キス、しながらなら動いていいよ。むしろ、しながら動いて」  
その言葉を古賀が聞くや否や、善吉はまた古賀に激しくキスをする。古賀もそれを目を閉じながら応じる。  
善吉、古賀の両方が無言なまま 腰のピストンが始まった。  
 
「んんっ!んっ!んっ!」  
キスされながらなので、声が声としてちゃんと出てないが、それでもピストンされるたびに感じていることが分かる位に古賀は喘いでいた。  
それを見るのが楽しかった善吉は、腰の動きをどんどん早めていく。そして、最終的には残像が見えてきた。  
 
「んっ!んっんっ!!!んっんっんっ!!」  
善吉が超人的なスピードで腰を動かすゆえ、古賀はさっきイッたばかりであるのに、もうすでに限界が近づいていた。  
「んっ・・・!」  
それは善吉も同じ事で、これまで人生で経験したことの無い かつてない射精が近づいていることがわかっていた。  
二人は合図もしていないのに、同時に唇を離すと、しばらく見つめ合った。ちなみに腰は動いてる。  
 
「ねぇ・・・っん! ひとよし・・・!」  
ほとんど喘ぎ声で古賀が言う。  
「はいっ・・・!なんでしょうか・・・!」  
善吉も喘ぎ声でこそないものの、男にしては感じている声で答える。  
「名前で・・・んっ!・・・呼んで?わたしも、名前で・・・んっ!呼ぶからぁ・・・」  
その言葉に一瞬善吉は驚くが、笑顔になり、そして名前を呼ぶ。  
「いたみ・・・」  
「善吉・・・っ!」  
かつてない笑顔を古賀が浮かべる  
そして、フィニッシュに向けての最後の言葉を古賀が放つ。  
 
「一緒に・・・イこ?」  
そして善吉はまたまた古賀の口をふさぐ。今度はもう離さない、とばかりに。  
 
今までで1番激しい運動が10秒ぐらい続く  
「んんんんんんんっ!!んっ!!!」  
そして、残像が見えるほど早く動いていた善吉の腰が1瞬止まった。  
 
そして、最後の1突きが行われる  
 
「んんんんんんんんんんん!!!!!!!」  
「んぐぅ・・・!!」  
 
古賀の膣内に精子がたくさん飛び出す。そして、1度出きったかと思うと、さらにもう1度精子の波が来る。  
ドクドクッ…とリアルに聞こえるほどの量を 古賀の中に善吉のご子息が放出する。  
 
そして、古賀はもうヨダレまみれで快楽に浸って動けなくなっていたので、善吉が口を離す。  
「はぁ、はぁ・・・・」  
これはさらに興奮している訳ではなく、なれない運動をしたために善吉が疲れているのだ。  
善吉は古賀の膣からゆっくりムスコを抜く。  
そして、射精後の倦怠感、古賀と繋がれた幸福感を感じながら、古賀の横に座る。  
「いたみさん…」  
そして古賀の幸せそうなアヘ顔をしばらく見る。そして、頭をなで、その行為に満足したように体育館の入り口のドアのほうに顔をやると、  
 
大変なものが、いや、たいへんな者がそこに並んでいた。  
 
そう、いつもは無人であるはずの体育館だが、その入り口に数名の人物が立っていたのである。  
そうそう、箱庭学園が崩壊するぐらいにありえないメンツが。  
端から順に、名瀬、高千穂、めだか、宗像、阿久根、平戸ロイヤルである。  
 
善吉は驚きを隠せない。  
「あ・・・・?え・・・?えええええ!?な、なんであなたたちが・・・!」  
全員、わなわなと震えている。  
そんな中、名瀬がまず声を出した  
「お、お前…俺の古賀ちゃんを…」  
「あ・・・その・・・」  
善吉は言い訳が見つからない。  
次に高千穂が発言。  
「古賀ぁ…!胸デかくても好きだったのに・・・!」  
「あ・・・その・・・なんでいたみさんのパンツかぶってるんですか?」  
次にめだか。  
「善吉ぃ!私というものがありながら・・・!」  
「あ・・・そ、その・・・」  
次に宗像。  
「人吉くん!僕というものがありながら・・・!」  
「あ・・・そ、その・・・あんたは色々ちがう・・・」  
次の阿久根。  
「出たら人気取れるかなぁって」  
「しばき回しますよ」  
次の平戸ロイヤル  
「私の出番と聞いて」  
「何一つねぇよ」  
 
そして、全員が(何故か阿久根とロイヤルも含めて)憎悪に溢れていた。そして、それぞれに眠っていた力が開放される。  
 
「よくも、古賀ちゃんをおおおおおおお!!!!覚醒!!!『燃え盛る憎しみの炎(ファイア・ファイア)!!』」  
「俺の皮膚に触れちまった攻撃はァ!ぜーンぶ反射ァァ!!!」  
「許さんぞぉぉ開放!!リモデリングゴッドモード!!!」  
「核!!」  
「重力操作と予測する!!」  
「ロイヤルストレートフラァァァァッシュ!!!!」  
『行くぜ!!みんな!!』  
 
「お前・・・!球磨川っ!」  
突如現れた球磨川に驚きを隠せない善吉。  
『どう?僕の却本作りの才能は?』  
笑顔のドヤ顔で言う球磨川  
「これ…お前の仕業がぁっ!?」  
『やだなぁ、人のせいにしないでよ』  
『古賀ちゃんとヤったのはあくまで善吉ちゃんだよ?』  
「そ、そうだけど…」  
善吉が下を向いてどもる。  
 
『さぁ!みんなぁ!いま、誰を狙って誰をやっつけるべきか分かるよね!?』  
球磨川が怒り狂った5人に向き、言葉を投げる。その言葉により、バラバラだった5人に統率が生まれる。  
『さぁ、その矛先は…』  
全員の視線が1人へ向かう  
『「「「善吉(人吉)ぃ!!死ねぇえ!!!」」」』  
5人の最凶の攻撃が善吉に向かう  
(あ、やばい これ死んだな)  
善吉は死を覚悟した。善吉のいる場所に5人の攻撃が当たった。  
 
だが、善吉は死んでいなかった。  
「・・・!俺、生きて・・・!」  
その手を、引くものがいた。  
「ほら、善吉!私がいるのに、死んじゃダメじゃない!!」  
強く、力強く、引くものがいた。  
「いたみさん・・・!」  
「ほら、はやく逃げるよ!!」  
「・・・はい!」  
そして、二人は駆け出す。  
手を繋いで、本来は迎えることのなかったエンディングへ向けて。  
「「くそっ、外したか・・!!まてぇぇぇ!!!」」  
たとえ大きな困難なあろうと。  
「ねぇ、善吉・・・」  
「・・・はい?」  
この二人の、本来のエンディングへ向けて、走り出す。  
「これからも、ずっと一緒にね!!」  
 
 
 
 

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