んっ、んん・・・  
ここはどこや、なんで真っ暗なんや・・・?  
 
誰かいないんか?とりあえず電気、電気はどこや・・・  
ホント真っ暗や、何も見えんわ、何でこんなに真っ暗なんや・・・?  
 
「鍋島センパイ・・・」  
「・・・鍋島先輩・・・」  
「おお、その声は善吉に黒神か、なんやこんな暗いところで、何しとるん」  
「先輩、ここは保健室です・・・」  
「やっぱり、見えてないんですね・・・」  
「なんや?見えてないってどういう事や?それより早く電気つけようや」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
 
二人の沈黙でようやく状況が飲み込めてきた  
 
え?なんや?つまり、これはアレか?  
真っ暗に見えてるのは・・・ウチだけ?  
っていうか・・・ウチが見えてないだけ・・・?  
 
「鍋島先輩、落ち着いて聞いてください・・・  
 
俺が着いた時、先輩は武道場の真ん中に素っ裸で倒れてて・・・  
周りには部員達がみんな壁にネジで貼り付けられてて・・・  
 
ここに来る途中気付いたんですけど・・・  
先輩の目が赤くなってて、血が出てて・・・救急車呼んだら警察沙汰になりかねないから、とりあえず保健室に・・・」  
 
善吉の言葉で、少しずつあの時の事を思い出していた  
あの時、あの球磨川とかいうヤローが、ヘンな目薬を垂らして・・・  
 
「あぁぁぁぁぁぁあああああああッッ!!!」  
 
あの時の痛みを思い出し、咄嗟に目を押さえてうずくまる  
声が自然と口から衝いて出る  
 
ウチの目が、見えなくなった・・・?ウソや、そんなんウソや  
 
「ウソやぁぁぁぁぁぁぁあああッッ!!」  
 
病室にウチの嗚咽混じりの悲鳴が響く  
 
「・・・・・・ッッ!!」  
「めだかちゃん、どこに行くんだっ!?」  
「決まってるだろう!あのゲスの居場所へだっ!  
あいつなら鍋島先輩を治せる!それでなくとも今すぐズタズタにしてやらねば気が済まん!」  
「あっ、おい待てよっ!」  
 
二つの足音が遠ざかり、後輩二人がいなくなった事を知った  
「ふぐっ・・・えぐっ・・・ぐすっ・・・」  
 
ウチ・・・もう、見えへんのかな・・・目・・・  
格闘家としては終わったも同然や・・・それどころか、これじゃもうマトモな人生さえ・・・  
 
なんで・・・どうしてこうなったんや・・・  
 
ウソやろ・・・ウチの人生、こんな事で、あっさり終わるの・・・?ウソや・・・そんなんウソって、誰か言ってくれ・・・頼むから・・・  

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