「うん!今日も今日とてあたしの仕事はパーフェクト♪」  
掲示物をきちんと貼り終えた喜界島もがなは上機嫌であった。  
その為、彼女は背後に音もなく近寄った影の存在に気付かなかった。  
もちろんその男が、心の中で  
「僕は正義の実行機械(中略)切り裂いて引き裂いて一件落着大団円…。」  
などと、呪文のような物騒なセリフを唱えているなど知る由もない。  
 
「さあ、帰ろ…。」  
もがなが振り向いた瞬間、刺客の男の獲物が一閃した。  
「きゃああっ!?」  
もがなの制服に、日本刀で斬られたような、三筋の爪跡がつく。  
彼女が、何が起きたのか理解できず、手にしたポスターが床の上に落ちる前に、  
鉤爪は二度三度と鋭い軌道を描いた。制服とスカートがズタズタに飛び散る。  
もがなは下着だけの姿になっていた。ポスターが乾いた音を立てて廊下に落ち、  
それに続いて、数秒前まで制服だった布切れの残骸が、はらはらと散った。  
もがなが悲鳴を上げる前に、さらに鉤爪がもう一閃する。  
ブラジャーも粉々になり、曝け出された豊かな乳房がプルンと揺れた。  
 
「や、やだあっ!」  
もがなは体を隠して、うずくまろうとした。が、その前に相手の制服が目に入った。  
この白い制服は風紀委員会のものだ。生徒会に唯一対抗できる恐怖の組織。  
風紀維持のためには暴力行為も辞さない危険な連中だ。  
なぜ自分が狙われるかはわからない。しかし確実に言えるのは、狙われた以上、  
いかなる言い訳も通用せず、処刑されるのみということだ。  
 
(恥ずかしがってる場合じゃない、逃げなきゃ!)  
羞恥心に顔を染めながら、胸だけ隠してもがなは走り出した。刺客は勿論追ってくる。  
放課後の校内は、まだ生徒が多い。パンティ1枚で全力疾走する姿に、  
生徒達の視線が突き刺さる。(厳密に言えばまだ靴とソックスは残っているが)  
恥ずかしくて死にそうだ。涙が浮かんでくる。  
だが、誰も救いの手を差し延べる者はいなかった。もがなを追っているのが風紀委員の  
白い制服である以上、助けたくても助けられない。  
逆らおうものなら、非情の矛先はその者にも容赦なく向けられるからだ。  
孤立無援のまま、もがなは走るしかなかった。止まったら殺られる…。  
 
もがなも競泳部の特待生である。全力で走る内に、少しづつ差が開いてきた。  
しかし刺客の足もかなり速く、諦める素振りなど微塵も見えない。  
どこかに隠れてやりすごした方がよさそうだ。  
もがなは運動部の部室棟に逃げ込んだ。校内からここにたどりつくまでに  
何十人何百人の生徒に、この恥ずかしい姿を見られたか、もうわからない。  
だが羞恥心をかなぐり捨てた甲斐あって、刺客との差は100メートルほどに  
広がっていた。うまく隠れられれば、なんとか逃げおおせるかもしれない。  
 
「屋久島先輩、種子島先輩! 開けて、開けて下さい!」  
もがなは競泳部部室のドアを必死で叩いた。しかし不運なことにドアには  
鉤がかかっていた。屋久島と種子島も不在のようだ。  
そうしている間に、刺客の足音がどんどん迫ってきている。  
どこでもいい、何とか身を隠さなくては。もがなは手当たり次第に、  
他の部室のドアを開けようとした。だが生憎どこもしっかり施錠されている。  
泣き出しそうになりながら、ドアノブを引っ張るもがなに、  
ようやく一つのドアが開いた。ほっとしかけたもがなだったが、  
その瞬間、廊下の角を曲がった刺客の姿が目に入った。  
「ひいっ!!」  
彼女は慌てて、その部室に飛び込み、内から鍵をかけた。  
 
どうやら陸上部の部室のようだ。だが、一息つく間も彼女にはなかった。  
刺客が外から、部室のドアをガンガン叩いている。  
身も凍るような恐怖に襲われつつ、もがなは手近なベンチや用具入れを動かし、  
ドアに立てかけてバリケードを作った。ドアを叩く音が次第に激しくなる。  
「助けて……誰か助けてよぉ……。」  
半べそをかきながら、もがなはバリケードをさらに増やそうとする。  
その時、鋭い金属音と共に、部室のドアに三筋の亀裂が走った。  
「きゃあああっ!?」  
彼女が懸命に積み上げたバリケードは、軽々と吹っ飛んだ。  
そして信じられないことに、鉄製のドアが切り裂かれ、破片が轟音を立てて  
床に落下する。その向こうには刺客の姿があった。  
風紀委員長直々に刺客に選ばれた男の、実力は伊達ではないのだ。  
 
「来ないで、来ないでえ!!」  
泣きながらもがなは、手当たり次第にあたりのものを刺客に投げつけた。  
さすがに呼吸は荒かったが、それでも刺客の無表情は変わっていない。  
じりじりと彼女ににじり寄っていく。刺客は左手を振り上げた。  
「きゃあっ!!」  
次の瞬間、彼女は床に押し倒されていた。その首の左右に鉤爪が突き刺さる。  
そして刺客は、もがなのパンティも切り裂いた。  
「や、嫌ああっ!」  
悲鳴をあげるもがなだったが、動けば鉤爪が首に刺さってしまう。  
恐怖と羞恥に、彼女は体を震わせた。  
 
身動きできないもがなを見下ろしながら、刺客が口を開いた。  
「僕は正義の実行機械。何も考えないし、何も感じない。  
だが、手こずらせてくれた礼はさせてもらう。それが風紀委員の掟!」  
そう言うと、左手の鉤爪で固定されたもがなの喉に、右手の鉤爪を近づける。  
「う…ううっ……!」  
恐怖でぎゅっと目を閉じたもがなの喉首に、鉤爪がそっと押し付けられた。  
そのまま、嬲るように喉から胸元へ、鉤爪はなぞっていく。  
そして鉤爪は、もがなの大きなバストから、乳首の周辺をゆっくりと周回し始めた。  
「あっ……はううっ……!」  
刺客はよほど自分の武器を使いこなしていると見えて、傷一つつけぬまま、  
もがなの乳首を鉤爪で愛撫した。その絶妙な動きに、乳首が自然と勃起してくる。  
 
「やだ、やっ…。」  
この状況にも関わらず自分の体の反応に、もがなの頬は赤く染まった。  
刺客はニヤリと笑うと、再び鉤爪でもがなの体をなぞり始めた。  
乳房から引き締まった腹部を経て、下腹部に到達する。  
ヘアをかきわけて、クリトリスを発掘した鉤爪はちょんちょんと刃先でつつく。  
「くっ!くうっ!」  
敏感な部分に刺激を与えられ、もがなは呻き声をもらした。  
「脚を広げろ。」  
刺客は、何の興奮も見せない声で命令した。否も応もない。  
言われるままに、もがなは脚をそろそろと開いた。秘部がぱっくりと口を開ける。  
 
刺客はしゃがみ込むと、鉤爪を1本、もがなの秘裂の中に侵入させた。  
「く…ううっ……!」  
もがなは顔をそむけた。鉄の爪の冷たい感触が、体内にどんどん入り込んでくる。  
刺客は、そのまま精密な動きで鉤爪を二度三度と出入りさせる。  
鉤爪の先端が、もがなの膣壁内をこすりながら往復した。  
「あ、んんっ…!」  
苦痛と紙一重の危険な愛撫に、もがなは思わず喘ぎ声を立てる。  
刺客はようやく、爪をもがなの体内から引きずり出した。その先端部分は  
もがなの愛液でぬるりと濡れていた。刺客はそれをペロリと舐めた。  
(駄目…このままじゃ嬲りものにされて殺られる……助けて……)  
 
その時、救いを求めるように伸ばしたもがなの手に、固い感触の物が当たった。  
彼女は藁にもすがる思いで、それを掴んで刺客に投げつける。  
刺客は軽く鉤爪で払いのけた。ところが、その物体は鉤爪の刃に当たって裂け、  
白い粉が刺客の顔を直撃した。  
「げえっ!?げほ、げほおっ!!」  
もがなが偶然投げつけたものは、陸上トラックにラインを引くための、  
石灰の小袋だったのだ。たちまち部室中が真っ白になり、気管に石灰が入った上に、  
目潰しまで食らった刺客は、鉤爪も取り落とし、激しく咳き込みながら悶え苦しんだ。  
鉤爪から解放されたもがなは、口元を押さえながら這って部室の隅まで逃げた。  
「貴様ぁっ!げっ、げほげほ!よくもおお!がはあっ!」  
部室中を覆う白い霧の中から、刺客の苦悶する声が聞こえてくる。  
とりあえず逃れはしたが、状況は好転していない。刺客は鉤爪を装着し直したらしく、  
鉄の爪が空を切る音が聞こえてくる。石灰の煙幕も薄くなってきた。どうしたら…。  
 
そのもがなの目に、紅白戦用の赤い鉢巻が飛び込んできた。  
同時に稲妻のように、一つの考えが脳裏に閃く。かなり恥ずかしいが、  
そんなことを言っている場合ではない。  
もがなは鉢巻を手に1本取り、手早くウエストに巻いた。さらにもう1本を持って、  
縦に巻いて股間から後ろに回す。簡易ながら赤フンドシが完成する。  
ここからが本番だ。もがなはその縦の鉢巻を前後からぎゅっと持ち上げ、  
自らの股間に食い込ませた。しびれるような快感が脳髄を襲う。  
 
「んくうっ!はああっ…!」  
しかしそれは同時に、彼女が着慣れた競泳水着の感触と、それを着た時の  
緊張感と戦闘意欲を瞬時に呼び起こした。レース前の落ち着かない時、  
彼女は物陰で競泳水着を股間に食い込ませ、それによる性的興奮でアドレナリンを  
発生させていたのだった。  
鉢巻による赤フンドシという応急処置であったが、その刺激は彼女を一変させた。  
もがなは残っていた靴とソックスも脱ぎ捨てた。眼鏡も放り投げる。  
その瞳は、先程までの怯えきった子羊ではなく、金の亡者と恐れられた  
競泳部専属時代の、クールな狩人の眼光に戻っていた。  
 
部室中に飛び散っていた石灰がようやく収まってきた。  
「くそおっ!げほっげほっ!どこだ、殺してやる!げほほっ!」  
まだ咳が止まらぬまま、刺客は鉤爪を振り回す。その石灰の霧がようやく晴れた先に  
刺客が見たものは、赤フンドシ一丁で倒立しているもがなの姿だった。  
「!?」  
もがなの脚が大きく旋回した。刺客の顔面に強烈な蹴りが入る。  
「ぐえっ!!」  
さらにもがなは倒立したまま、脚を扇風機のように回転させる。刺客の制服を  
かする度に、風圧で白い風紀委員の制服が切り刻まれていく。  
「こ、これは南斗白鷺拳!?」  
 
そんなわけはない。これはシンクロナイズドスイミングの応用であった。  
金目当てで他校の助っ人に行っている内に、シンクロにも参加する必要もあった為、  
覚えただけだ。しかしもがなの強靭な脚力は、拳法並みの破壊力を生んでいた。  
「おのれっ!!」  
刺客は鉤爪を振りかざして襲い掛かった。しかしその両腕は、もがなの蹴りではじかれる。  
鉤爪が吹っ飛んで壁に突き刺さった。  
「く、くそっ!」  
慌てて鉤爪を取りに行こうとする刺客だったが、その隙をもがなは見逃さなかった。  
倒立状態から腕力だけでジャンプし、刺客の首に飛びついた。両脚で首を締め付ける。  
 
「ぐおおっ!!」  
ふりほどこうとした刺客だったが、眼前の光景に一瞬それを忘れた。  
刺客の目の前には、赤フンドシだけで隠された、もがなの秘部がどアップになっていた。  
隠されたといっても細い鉢巻1本だけであり、ヘアはほぼ丸見え。  
左右から秘肉も見えかかっている。正に極楽と言ってもよい絶景であった。  
が、それを楽しむ余裕など全くない。もがなの強靭な脚力は万力のように頸動脈を圧迫する。  
脳への酸素供給が完全に絶たれた刺客の顔色は、たちまち紫色に変わった。  
「や、やめ……助け……。」  
痙攣し始めた刺客は命乞いを始めた。形勢は完全に逆転したのだった。  
 
しかしその刺客を冷たく見下ろすもがなは、ぴしゃりと言った。  
「お金払って!」  
「……え……?」  
「え、じゃないわよ。人をこんな目に遭わせといてタダで済むと思ってんの?お金払って!」  
「は……はひぃ……。」  
刺客は力を振り絞って、ポケットから財布を取り出した。もがなはそれをひったくると、  
絡めていた脚をほどいて、刺客から飛び降りた。バッタリと崩れ落ちた刺客は泡を吹いて失神する。  
 
「ひーふーみー……シケてるわね、こいつ。」  
財布の中からありったけの金を頂戴して、もがなはふっと一息ついた。  
何気なく壁の方を振り向く。大鏡に自分の姿が映った。バストは丸出しで、下腹部には  
申し分程度の赤フンドシを食い込ませた姿が。  
「きゃああーっ!!」  
興奮状態でどこかへ行っていた理性と羞恥心が、一挙に戻ってきた。もがなは乳房を隠しながら  
うずくまる。刺客を倒したまではよかったが、こんなほぼ全裸の状態でどうやって帰れというのか。  
「そうだ、確か生徒会室に予備の生徒会服があったはず…!」  
だが、この運動部室棟から生徒会室までには、先程の逆のルートで校内に戻らねばならない。  
もがなは躊躇した。しかし、こうしている間に陸上部員だけでなく、練習を終えた他運動部員が  
戻ってきてしまったら…。  
「ええい、毒を食らわば皿までよ!」  
 
 
それから数日の間、箱庭学園ではこのような噂話が飛び交った。  
「なーなー、聞いた? 赤フンドシ一丁で全力疾走する女の話。」  
「おお、聞いた聞いた。100メートル5秒くらいのすさまじい速さだったってな。」  
「そう言えば、この間下着姿で風紀委員に追っかけられてた子がいたじゃん、それとちゃうの?」  
「何でも、生徒会室に走りこんで姿を消したって言うぜ。」  
「あー、それならきっと生徒会長だな、間違いねーよ。」  
「なんだ、それなら普通だな。」「ああ、普通だ。」  
そしてその会話が近くでなされる度に、顔を真っ赤にしながら立ち去る生徒会会計・  
喜界島もがなの姿があったことには、誰も気付かないのであった。  
 
(END)  
 

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