「ひ、人吉!! お前に惚れちゃったから…ちゅー、するぞっ!!」
「なっ!?」
もがなが言葉に詰まりながら血迷ったことを言い放つと同時に、善吉の身体は床に押し倒されていた。
マウントポジションをとったもがなは顔全体を真っ赤に染め上げ、瞳孔が開いている。
自分でも何を言っているかわからないような状態で善吉の上に乗っているもがなは、キスをしようと善吉に顔を寄せた。
善吉は嫌がり、顔を背けながら抵抗するが、競泳で鍛え上げられたもがなをそう簡単には引き離すことは出来ない。
しかし両手でもがなの顔を押さえ、なんとか勢いを殺すことに成功した。
不意に昔を思い出した。
ファーストキスをめだかに奪われたときのことだ。
幼かったがそのキスでめだかが自分だけを見てくれるんだと勘違いした善吉。
小さい頃で何も知らないとはいえ、熱いキスは愛情を注いでくれる者にしかしないと思っていた。
だが善吉は、次の瞬間信じられない光景を目撃する。
めだかが善吉の隣にいた男子にも、その隣にいた女子にも問答無用でキスをしていったからだ。
……キスは愛情を注いでいる者にするもの。
だからめだかは全員にキスをした。
教室内は阿鼻驚嘆の嵐。
逃げ惑う少年少女たちに同年代の少女の魔の手が伸びていった。
身体能力の差は歴然としている。
誰もめだかからは逃れることが出来なかった。
キスされた友人たちは、なぜか精気を吸われたようにぐったりと倒れていく。
気力、体力を共に吸われ起き上がれなくなったようだった。
教室内が終わるとめだかは口元を手で拭い、倒れた皆を見ながら腰に手を当て胸を張って微笑む。
そして悠然と教室から出て行った。
どこに行くんだろう…なんて考えるまでもない。
目的はすぐにわかった。
バンっと教室のドアが開く音が響く。
隣のクラスのようだ。
すぐにさっきここで遭ったのと同様のことが行われているようで、悲鳴が遠くから聞こえた。
しばらくすると全員にし終わったのか、静寂が訪れ、数瞬後にまた悲鳴の嵐が巻き起こった。
善吉のファーストキス。
いい思い出になるどころか軽い女性恐怖症を患った結果に終わった。
それは今でも続いている。
「やめろ!!」
「お前に惚れたんだ! ちゅーしなきゃ!!」
「何言ってんだよ! お前はキス魔なのか!?」
「ち、違うわよ! 初めてだよ!! 人吉だから!!」
「余計にわかんねーって!! とりあえずそこどけ!!」
「いいからちゅーするぞ!!」
「いいからってなんだよ! それに嘘はやめろ!」
「嘘って何!? あたしは嘘なんかついてない!」
「それが嘘だ! この前めだかちゃんとしてただろ!」
「あれはファーストキスよ! セカンドキスは初めてなの!!」
「それは初めてって言わねーよ! 俺もセカンドキスは初めてだよ!」
「じゃあ初めて同士お揃いだね! 早くするぞ!」
「意味わかんねーって! それにここは生徒会室だぞ!」
「生徒会室じゃなきゃいいの!?」
「そうじゃねー!!」
「この場から逃れようとしても理由をつけてもダメ! とにかくするぞ!」
うわぁ、やべーなんてもんじゃねー。
こいつ喜界島…か?
もう何が何だかわならなくなった顔だぞ、これは。
とりあえず一発殴って正気を…なんて出来たら楽なんだが、女相手にそんなことはできねーし。
善吉が考えている間にももがなの攻めは続いている。
柔道の襟の取り合いのような素早い攻防が続き、お互いの息が切れ切れになってもそれは続いた。
もがなは目を見開く。
ただでさえ正気がどこかに飛んでいっている状態なのに、今よりも目が大きくなるのは正直恐怖でしかない。
「お、男と女のちゅーって言ったらこれだよね!」
「違うだろ! ちょ、待て! よせ!」
「何をやめるの!? これは愛情表現なのよ!」
「おまえ、めだかちゃんの愛情表現を真似するな!
それにこれはやりすぎだ!! めだかちゃんもこんなことはしねーよ!!」
「しねーってことは試そうとしたことはあるんだ!?
あたしとはちゅーも出来ないのに、人吉はあのヒトとこんなこともやってるの!?」
「やってねーよ! とにかく落ち着け!」
「落ち着いてるわよ! 人吉が落ち着きなさいよ! こんなに硬くして!」
「それは生理現象だからしょうがないんだよ! とりあえずそこどけって!!」
「また言い逃れするの!? そんなにあたしとちゅーしたくないの!?」
「そんなことじゃねー。とりあえず話はそこをどいてからだ!」
「逃げるつもりね。そんなことさせないわ。人吉がちゅーしないと……」
「わかった、わかったから。一回だけだぞ」
「じゃ、じゃあ、い、いくわよ」
もがなが身体を浮かせて善吉に迫った。
その刹那、善吉は床を滑り、もがなから逃げようとする。
が、なにかが引っかかった。
それは――
「ひ、人吉くん!? そんな過激な!? あたしは本気じゃなかったのに!!」
「違う! 不可抗力だ!! お前がいきなり腰を下ろすからだろ!?」
「だって逃げるのわかってたから。と、友達になってくれるんだったら…その…いいよ……」
「何いってんだよ! とりあえずどいてくれ!!」
「は、恥ずかしがってるのね! わかった。あたし、したことないけどリードしてあげる!」
「いや、やめろって! おい!!」
「ま、まかせなさい!」
善吉ともがなの股間は接触している。
そんな状態でもがなは腰を前後に動かし始めた。
二人の局部は布切れが数枚隔てたところにある。
善吉の抵抗が薄くなった。
もがなは恥ずかしそうな善吉の顔を見て興奮していく。
ひ、人吉くん、こんなことされて嬉しいの?
それもあたしに押し倒されて…。
抵抗がさっきより小さくなったし、喜んでいるんだよね?
じゃこのまま?
でもこれだけじゃ心配だからやっぱり……。
もがなの腰の動きが激しくなる。
普段からめだかの生着替えを見たり、露出させた胸を見たり慣れているとは思っていた善吉だが、
実際に体験したことのない女性独特の刺激は辛いものがあった。
いくらお人よしでも思春期の男だ。
そんな刺激を受けて正気でいられるはずはない。
なんてことを思うはずもなく、おひとよしの善吉はひたすら考えていた。
もがなを傷つけないよう退かせるためにはどうすればいいか。
満足しているように見せればいい。
なら抵抗は必要ない。
だが一線は超えないことを決める。
真剣に善吉が対処を考えている時、もがなは善吉の股間に手を伸ばしていた。
ソレを触るのではなく、ズボンのチャックを探しているが、善吉は気が付かない。
チャックを探り当てたもがなは、腰の動きに合わせて少しずつ下げていく。
一番下までチャックを下げると下着の上から触り始めた。
下着の上からソレを触りどこからか出せるところがないか調べているが、善吉はまだ気が付かない。
もがなの腰の動きに翻弄されている。
沈黙の中お互いの作業だけが続く。
善吉は頭の中で。
もがなは善吉の下着をまさぐることを。
二人とも自分の目的を果たそうとしている。
善吉の対応策は間に合わなかった。
もがなは下着の隙間を見つけソレを手に取った。
熱く硬い、そして悠然とそり立っている。
善吉は驚き、身体の動きが停止していた。
それを見たもがなはスカートを捲くり上げ、気合いの入った純白のパンツをずらし、入れる準備をする。
善吉に刺激を与え続けたことで、もがなの陰部はヌルヌルになっていた。
「おいっ! やめろ!! 正気に戻れ!!」
「あたしは正気だ! こうしなきゃ人吉は友達になってくれないんでしょ!?」
「いや、いいって。もう友達だって」
「いいって何よ! そんなあたしがしつこいから諦めて友達になるなんて言うのはおかしい!!」
「友達かどうかなんて確認し合うものじゃないだろ! 一緒にいて楽しけりゃいいんだよ!」
「あたしといても楽しそうじゃなかった!」
「そりゃ、ほとんど初対面だし。お前は仕事を始めちまうし」
「あたしのせいだって言うの!? 友達はそんな風に責任を押し付けたりしないはずだわ! だからまだあたしたちは友達じゃない!」
「そんなことねーって! とりあえず落ち着くんだ! こんな状態で初めてなんて絶対後悔するぞ!」
「後悔なんてしないわよ!」
初めての生徒会だからと思い、いつもの水着を着ずに今日だけはちゃんとした下着を穿いてきたのは正解だったようだ。
さっとずらし陰口に愛液でヌルヌルになった善吉のモノを添える。
口ではなんて言ってもさすがに緊張しているらしい。
もがなは深呼吸を何度か繰り返し覚悟を決めた。
善吉の亀頭がもがなの中に侵入し、一気に処女膜を破り奥まで入り込んだ。
もがなは目を瞑り、歯を食い縛って破膜の痛みに耐える。
呼吸を整えた後、潤んだ瞳で善吉の目を射抜いて
「こ、今度こそ、ちゅーするぞ!!」
と一言。
顔を真っ赤に染めたまま、善吉自身を膣に咥え込んだまま、もがなは再びキスを迫った。
くちゅくちゅの膣に締められる快感に耐えながら、善吉はもがなの唇を遠ざけるように手で壁を作る。
腰を振りながら善吉の抵抗が弱まった隙を突いて顔を寄せた瞬間、
――ガラッと勢い良くドアが開いた。
「……善吉、若いうちは色々あると思うが、場所くらいは選ぶが良い」
「人吉クン、きみは生徒会室をなんだと思っているんだい?」
めだかは溜息を吐きながら、阿久根は顔を背けて照れながら言った。
もがなのスカートで股間がどうなっているかは隠れて見えないとはいえ、何かを言わなければ誤解されてしまう。
「誤解じゃねェけど違うんだ!!」
「……めだかさん、少し見回りでもしてきましょうか」
「なぜだ? 阿久根書記。
まあよい。校内の見回りも生徒会執行部の仕事の一つだからな。
善吉、喜界島会計、二人とも留守を頼むぞ」
何かに気付いたのか、小さく動揺を見せた後、阿久根はめだかを連れて生徒会室の外へ出て行った。
善吉はめだかたちを見送り、ドアが閉じるのを見届けると溜息を吐いた。
めだかたちが生徒会室へと入ってきても、もがなは善吉だけを見ていた。
善吉の目がめだかと阿久根を追って隙が出来た。
膣がヒリヒリと痛み、貫かれたままの状態。
熱を感じ、愛液がダラダラと溢れてくる。
友人としてだけではなく、それ以上の何かを意識してしまいそうになる。
もがなは善吉の手を押し退け、唇を合わせた。
過激に舌で舐め回す。
善吉は必死にもがくが後頭部を両手で押さえられ、いくら力を入れても離れなかった。
いい加減抵抗することに疲れてしまい、諦めたところでもがなの唇は離れた。
「……ふう、人吉くん。これからよろしくね」
「あ、ああ」
善吉はもがなの中に入ったまま、友達になることを約束した。
終わり