水槽学園は、蛇籠財閥が明治時代に開校した私塾を元に発展してきた名門校である。  
時代は移り財閥がグループになっても勢いは衰えず、学園も優秀な人材を社会に輩出し続け、  
遂に創立100周年を迎えた。本日はその開校100周年祝賀記念式典が行われる日であった。  
 
体育館に集合した生徒は、皆一様にソワソワしていた。頬が緩みそうになって  
顔を引き締める者、妙にぎこちなく緊張する者、平静を装おうと意識する者……  
その理由は、体育館の随所にセットされたテレビカメラにあった。  
この式典の模様は、ネットで全国に生放送されるのである。  
たかが一高校の創立式典と言うなかれ、蛇籠グループにとっては式典に参列する  
有力者の顔を映すだけで、いかに社会に影響力があるかとのアピールにもなる。  
そしてもう一つの目的もあった。  
 
「それではただ今より、私立水槽学園創立100周年式典を行います。」  
進行役の教師が緊張を隠せない面持ちで、開会を告げる。  
校歌斉唱、校長の挨拶、OBの政治家や著名人の祝辞が続き、粛々と式は進んでいく。  
「次に生徒代表挨拶。生徒会長・蛇籠飽より、諸先輩へのお礼の言葉がございます。」  
一礼して蛇籠が壇上に上がる。これこそがテレビ中継の真の目的である。  
 
蛇籠は卒業後、蛇籠グループの要職の地位に就任することが決定している。  
数年後には、グループ総帥の座を継ぐ事も内定済みだ。  
今日はその顔見世の場でもあるのだ。彼女の美貌と知性溢れる演説をもって、  
口うるさい外野を黙らせ、将来の蛇籠グループ後継者であることを示すのである。  
 
壇上のマイクスタンドの前に立った蛇籠は、軽く一礼してスピーチを始めた。  
「本日、創立100周年というめでたき日を迎え、諸先輩の方々には心より御礼申し上げます。  
100年の間に世界は大きく変化してきました。しかし100年経っても変わらない事実もあります。  
それは………オナニーは気持ちいいということですわ!」  
会場が大きくどよめく。  
 
「わたくし、最近知りましたの。おしっこを我慢しながらするオナニーの味は格別ですのよ。  
今にも漏れそうになりながら、アソコをいじくると快感が倍増しますわ。  
そして現に、わたくしは今朝起きてから一度もお手洗いに行っておりませんの。  
もう…そろそろ限界なのですが……それでこそより大きな…快楽が得られるというもの…!」  
とりすましていた蛇籠の顔が急に紅潮してきた。左手でスカートをがばっとめくりあげる。  
晒された純白の下着の中に手を突っ込み、蛇籠は一心不乱に指を動かす。  
 
「あっ!ああっ!き、気持ちいいっ!皆様、おわかりいただけるでしょうか!」  
会場が再び、どっとどよめいた。  
「い、今にも漏れそうなのに!…はっ…はっ…そ、それに耐えながらクリトリスを弄る悦びっ…!  
 これほどの快楽がこの世にありましょうかっ!」  
内股になって足が小刻みに震え、脂汗を浮かべた蛇籠は確かに失禁寸前であった。  
しかし彼女は歪んだ笑顔を浮かべ、自分の秘部に刺激を与え続ける。  
たちまち、白い下着にじんわりとシミが広がっていった。  
 
「君っ!やめなさい!何という破廉恥な!」  
たまらず、壇上にいた来賓の一人が止めに入った。  
しかし彼は蛇籠にたどりつけなかった。壇上のスポットライトが落下し、彼の頭を直撃したのだ。  
それを合図にしたかのように、スポットライトのケーブルが次々と切れ、来賓たちを襲った。  
みな昏倒し、壇上に残っているのは蛇籠だけとなった。  
 
「『あっはっは、面白ーい。こんな奇跡的な事故ってあるんだねえ。  
  いや、坂之上さんの奇跡を操るスキル"賭博師の犬"にとっては朝飯前の常識かな?』」  
 
顔面蒼白になった教師達が壇上に上ろうとするが、次に異変に襲われたのは彼らだった。  
「やめなさい、蛇籠さん!……うっ!?」「なんてことを!……く……苦しい…」  
次々と喉を押さえ苦悶して倒れてゆく。ことごとく酸欠症状を起こしていたのだ。  
来賓と教師が全員失神した後には、何が起こったかわからずうろたえる生徒達が残される。  
壇上では、我関せずとばかり蛇籠が股間をまさぐっていた。  
 
「『まあ蛇籠さんの酸素を操るスキル"遊酸素運動"は、人間を操るのに最適とは言えないけど、  
  こういう大勢相手の時には便利と言えば便利だよねー。おっと、そろそろイキそうかな?』」  
 
まわりの騒ぎも目に入らぬかのように自慰行為に耽り続けた蛇籠は、昇り詰めようとしていた。  
「ああっ!ああっ!もうっ、駄目…!漏れちゃう!イッちゃうう!!  
 さあ、皆さん!この私のはしたない姿を存分にご覧になってくださいぃぃ!」  
じょろろろろろ……  
絶叫と共に、蛇籠の下着の中から黄金色の液体が滝のように流れ落ちる。ついに失禁したのだ。  
そして同時に、彼女はエクスタシーにも達した。下腹部がびくんびくんと痙攣し、  
だらしなく半開きになった口からは涎も垂れている。しかし表情は恍惚そのものだった。  
 
「はぁっ、はぁっ……さあ、皆さんもご一緒にいかがですか?」  
 
その蛇籠の言葉に、次々続く異常事態で茫然自失となっていた生徒達のざわめきが止まる。  
男子も女子も目が異様に輝き、我先にと服を脱ぎ始める。  
そして全裸になった生徒は、手近の異性とキスを交わし、肉体を愛撫し、セックスを始めた。  
失神している来賓や教師達に目もくれず、生徒達は若い性欲を爆発させる。  
この式典がネットで中継されていることなどすっかり忘れて、本能のままに身体を交えた。  
 
「ああっ、あううん!」「そこ、そこいいよぉ!」「らめぇぇっ!」「もっと、もっとぉ!」  
「おお、おほぉぉ!」「きっもちいいいっ!」「い、いくぜっ!」  
 
数百人の恥も外聞もない叫び声、パンパンと肉を打つ音、淫液の水音が響き渡り、  
たちまち体育館は、酒池肉林の大乱交パーティー会場と化した。  
 
「うり皆様、楽しぬうべできしあすあね? せい私も続きをさせみいとどけあすわ!」  
その有様を眺める蛇籠の目からは、知性が失われていた。呂律も回っていない。  
しかしお構いなしに、小水でぐしょ濡れの下着を脱ぎ捨てる。  
壇上に座り込むと、大きく足を広げ、本格的にオナニーを始めた。  
「はうっ!んん…これでがりヌワピーはやめられせきだぬわ!」  
その首元には、小さなプレートが刺さっていた。  
 
そして体育館の3階にある放送ブースでは、この大混乱を全く人ごとのように  
ニヤニヤ眺めながら見物している男がいた。球磨川禊である。  
 
「『確かに支配者を支配するスキル”操作令状”は、かなり上位のスキルかもしれないけどさ、  
 対象者がいかにも操り人形でございますみたいに、頭がパーになってしまうっていう  
 致命的弱点があるからね。有効活用するためには練兵さんの知能を操るスキル”退化論”で、  
 知性をキープしながらでないとね。そういう意味では、般若寺さんの性欲を操るスキル  
 ”下劣な大道芸”と”退化論”を組み合わせて、知性をダウンさせつつ性欲を暴走させる  
 やり方が、一番効果的だと思うんだよね。ま、体育館全体に効果を及ぼすようにしたら  
 蛇籠さんの化けの皮もはがれちゃったけど、もう邪魔も入らないからいいか。  
 ね、須木奈佐木さん? 』」  
 
「ふぁ、ふぁい…」  
球磨川が腰掛けた椅子の足元から、くぐもった声で返事がした。  
そこには一人の女生徒がひざまづき、涙目になりながら球磨川の逸物を口に咥えている。  
乳房は丸出しで、局部周辺を申し訳程度に隠すだけの、ほとんど紐のようなボンデージスーツを着せられ、  
フェラチオを強制されている女生徒の名は須木奈佐木咲。  
球磨川との闇の抗争の果てに、敗れた惨めな姿だった。  
 
「むぐっ…ちゅば……んんっ……」  
得意げな球磨川の演説を聞きながら、須木奈佐木は懸命に口と舌を動かした。  
こんな恥ずかしい格好で屈辱的な奉仕を強制されるなど、1か月前までの彼女には考えられないことだった。  
しかし球磨川に敗れたことで、彼女の心は音を立ててポキリと折れていた。  
筆舌に尽くしがたい恐怖と陵辱に彼女は抗し得なかった。役者が違いすぎたのだ。  
 
球磨川が両手を伸ばし、須木奈佐木の乳首を摘んだ。  
「ひっ……!」  
彼女はビクンと身体を震わせた。その乳首を指先で転がしながら、無邪気な口調で球磨川は言う。  
「『うん、そろそろいいよ須木奈佐木さん。じゃあ入れさせてもらっていいかな?』」  
「は、い……」  
フェラチオを中断し、須木奈佐木は球磨川の足元からおずおずと這い出してきた。  
「『じゃあ、そこに後ろ向きになって手をついて。放送機材には気をつけてね』」  
多数のスイッチが並ぶ放送機器の隙間を選んで、須木奈佐木は両手をついて、尻を突き出す。  
ほぼレザーの紐一本で秘部とアナルを隠しただけの、むっちりした尻が球磨川の前に現れる。  
球磨川はその紐を横にずらした。既に十分潤っている花弁が露出する。  
「『んじゃ、いっただきまーす』」  
おどけた口調で球磨川は、先ほどからのフェラチオで十分固くなっている逸物を挿入した。  
須木奈佐木は小さく呻く。  
 
「うっ……くうう……はっ、はっ……」  
球磨川の手が伸びてきて、両の乳房を揉みしだく。須木奈佐木は歯を食いしばって耐える。  
この1か月で球磨川に何度犯されたことか。決して慣れるものではない。涙がにじんできた。  
しかし球磨川はそんな彼女の心中を知ってか知らずか、気持ち良さそうに腰を動かしている。  
さらに、放送ブースのガラス越しに眼下の乱交も眺めていた球磨川は、何か閃いたように  
悪戯っぽい笑みを浮かべた。  
 
「『そうだ、須木奈佐木さん。式次によるとそろそろ校歌斉唱なんだよね』」  
「うっ……え、えっ……?」  
「『在校生代表として校歌歌ってよ、ほら』」  
そう言うと、体育館用のマイクのスイッチを入れた。須木奈佐木の顔が青ざめる。  
「『この式ってネット中継されてるんだよね?全国の皆さんに君の美声を聞いてもらおうよ』」  
悪魔の発想としか言いようがない。犯されながら悶える声で校歌を歌えというのだ。  
それも全国中継の音声で……!  
 
「い…嫌っ!嫌っ!!それだけは、それだけは…許してくださいっ!…あ、ううっ!」  
容赦なく突きまくられながらも、須木奈佐木は涙を流して懇願する。  
しかし、球磨川の答えは至ってあっさりしたものだった。  
 
「『だーめ』」  
 
奈落の底に突き落とされたような気分だ。だが、選択肢などもはやなかった。  
須木奈佐木は震える手をマイクに伸ばし、口を開いた。  
「あ、ああっ……青く…輝く……す……水槽の…くっ!……うう、痛っ!」  
意地悪にも球磨川が、鷲掴みにした乳房をぎゅっと捻ったのだ。  
腰も休めることなく、ピストン運動を続けている。  
恥辱と屈辱で気が狂いそうだ。体育館の生徒達はセックスに夢中になっており、  
自分の声を聞いている者はほとんどいなさそうなのが、せめてもの救いだが、  
それでもこの恥ずかしい音声だけは、全国に流れているのだ。もう死んでしまいたい…。  
 
「あっ、あっ!……ああ…我らが……栄光の…っ!……水槽学園……っ!!」  
なんとかフルコーラス歌い終わる。須木奈佐木の顔は涙でぐしゃぐしゃだ。  
「『はーい、よくできました。ご褒美をあげようね』」  
「…うっ…!?」  
ドクンという脈動を膣の中に感じたかと思うと、生温かい液体が流れ込んできた。  
球磨川は二度、三度と腰を振って、一滴残らず放出してから腰を引く。  
秘部から溢れ出る精液を拭おうともせず、須木奈佐木はその場に崩れ落ちた。  
「許して……もう…許して……」  
顔を覆ってひたすら泣きじゃくるだけだった。  
 
満足そうに逸物を収め、身繕いした球磨川の表情は晴れ晴れとしていた。  
「『うん、いいよ。もう許してあげる。この学園でやることはもうなさそうだし。  
 そもそもこんなところで道草食ってる場合じゃなかったんだよね。  
 早く安心院さんを倒すスキルを探しに行かなくっちゃ…。じゃあ、名残惜しいけど  
 お別れだね、花熟理さん、坂之上さん、般若寺さん、練兵さん』」  
「ふぁい……」  
放送ブースの片隅で、呆けたような4人分の返事が返ってきた。  
木偶人形のように突っ立っている花熟理桃、坂之上替、般若寺憂、練兵癒だった。  
須木奈佐木を制圧することにより、彼女の”操作令状”の操り人形と化していた、  
蛇籠以下生徒会役員をも手駒にし、球磨川はこの記念式典破壊計画を実行したのだった。  
 
 
 
育館では性の狂宴が果てるともなく続く。壇上では蛇籠が猿のように自慰に耽っていた。  
「『じゃあ僕はそろそろ行くとするかな。おっと、最後に花熟理さんの  
 水量を操るスキル”四分の一の貴重”を見せてくれないかな?』」  
「ふぁい……」  
呆けたままの花熟理が、持っていたペットボトルの口を開く。  
それがスイッチらしく、壇上の蛇籠の下腹部が大きくふくらんだ。  
「はひっ!?」  
次の瞬間、蛇籠は噴水のように大量の黄金水を撒き散らす。  
「ほーっほほほほ!ほーっほほほほほほほほほほ!!」  
しかしそれは快感をももたらしたようで、彼女は狂ったように腰を振っていた。  
「『あー面白かった。じゃあね、君たちももう好きにしていいよ』」  
球磨川が放送ブースを出て行くと、残された花熟理たち4人も、  
外の生徒達に負けじと服を脱ぎ、女同士で妖しく裸身を絡め始めた。  
部屋の隅で震えながら泣き続ける須木奈佐木の姿など、目に入らぬかのように……  
 
 
かくして100年の歴史を持つ水槽学園は、この前代未聞の不祥事により  
創立100周年の1週間後に廃校になった。  
それは球磨川禊の転入から、わずか1か月後のことであった。  
 
(END)  
 

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