『長者原くんと大刀洗さんの観察日記』
一日目。
大刀洗委員長は、『うとまない』アイマスクをつけて、選挙管理委員会室の自分の机の前で寝ていました。
長者原副委員長は、公平に仕事をきっちりやって、帰って行きました。
二日目。
大刀洗委員長の机が、心なしか副委員長の机に近づいている気がします。
大刀洗委員長は、『こばまない』アイマスクをつけて、自分の机の前で寝ていました。
心なしか頬が赤味がさして見えます。
それを見た長者原副委員長は、部屋の空調を少し下げた後、公平に仕事をきっちりやって帰って行きました。
三日目。
大刀洗委員長の抱き枕が、人が二人は寄り添って寝られるようなダブルベッドサイズになっていました。
大刀洗委員長は、『はらまない』アイマスクをつけて、自分の机の前で寝ていました。
心なしか普段よりも、もじもじと足を動かしているように見えます。
それを見た長者原副委員長は、
「部屋は委員全員で公平に使うべきです」と一言つぶやき、公平に仕事をきっちりやって帰って行きました。
四日目。
選挙管理委員会室の蛍光灯が全て外され、窓には厚い暗幕がかかり、部屋の中が真っ暗になっていました。
ぼんやりと見える大刀洗委員長は、『まちきれない』アイマスクをつけて、自分の机の前で寝ていました。
暗い室内に、委員長のものと思われる荒い息遣いが良く響いていました。
公平に時間通りに長者原副委員長が来ると、私たち黒子は委員長に部屋から追い出されてしまい、
今日の仕事は終わりになってしまいました。
閉ざされた部屋からは、「あぁーーーっ! んぁあーーーーっ!」と、委員長の長く伸ばすネコのような嬌声が
聞こえ、我々黒子は皆委員会室の前で耳をそばだてていました。
五日目。
朝。委員会室を訪れると、ダブルサイズの抱き枕には委員長と副委員長が抱き合って眠っていました。
あとで副委員長に「不純異性交際の是非」について伺うと、特に校則で定められてはいなかったそうです。